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使いやすいUIについて考える

UIデザインとは、ユーザーがスムーズに目的達成できるように画面設計することです。良いUIデザインをするために、「ユーザーが使いやすいUIとは何か」を考える必要があるのではないでしょうか。

スマートフォンをはじめ、現在では使いやすいと感じる情報機器のUIですが、開発当初から使いやすかったわけではありません。UIの設計方式はさまざま変遷を繰り返しながら、現在の形になっていきました。その中でも今回は、UIデザインにおいて本質的な要素であるメタファー方式とイディオム方式について、UIの変遷に触れながら書いていきます。

また、UIデザインについて知りたい方は以下の記事もぜひ併せてお読みください。

メタファー方式によるUIデザイン

メタファー方式とは?

メタファー方式は、UIデザインにおいて既知の概念や対象を利用して、ユーザーが新しいUIを理解しやすくする手法です。

例えば、ファイルを削除するプログラムにはゴミ箱を模したアイコンにする、ファイルを格納するプログラムにはフォルダのアイコンにする、メッセージを送信する際に紙飛行機のアニメーションを入れる等です。

メタファー方式は直感的で使いやすいUIを提供し、ユーザーの学習コストを低減させます。良いメタファー方式のデザインには、概念の適切な表現と視覚的な一貫性が不可欠です。

メタファー方式のデザイン原則

メタファー方式のデザインにはいくつかの原則があります。

まず、メタファーは、ユーザーにとって理解しやすいものを選ぶことが大切です。誤解を招くようなものは避けましょう。例えば、同じメタファーが異なる意味を持つ時、ユーザーによっては混乱を生んでしまいます。また、メタファーは文化や地域に依存しない一般的なものであるべきです。

これらのポイントを心掛けることで、メタファー方式を活用したUIデザインはユーザーにとってより親しみやすく、使いやすいものになります。

メタファー方式の課題

メタファー方式を採用することで、使いやすいUIデザインが実現しますが、先ほどのような「ファイルを削除する」という単純な操作を行う場合、削除するためのメタファー(ゴミ箱アイコン)を探すことは難しくありませんが、ファイルを入れ替えたり、ドラッグ&ドロップしたりなどの複雑な操作になると、その操作をメタファーだけで理解することが難しかったり、システムの製作者と操作者に共通の文化的背景がないとメタファーが成立しなかったり、といった課題が残ります。

メタファー方式の課題を乗り越えるイディオム方式

イディオム方式とは?

イディオム方式とは、「息をのむ」「腕を磨く」といった慣用句のように、直感的に理解できないが、一度意味を理解できれば簡単に覚えられる、といった特徴を持つインターフェースの設計方式です。

例えば、スクロールバーはウェブページやアプリのスクロール操作を示す典型的なイディオムです。ユーザーはスクロールバーを操作することで、コンテンツを上下にスクロールできると理解します。他にも、ドラッグアンドドロップ、ピンチ・ズーム、タップなど、スマートフォンやタブレットデバイスで使われるイディオムが数多くあります。

これらは、何かのメタファーを使っているわけではないため、初めて触れる人にとって直感的に理解できるものではありませんが、一度操作すれば二度目以降の操作はスムーズにできるものだと思います。

このように、メタファー方式で表現できないことは、イディオム方式を採用することでインターフェース上での操作が増え、よりウェブやアプリケーションは使いやすくなっていきました。

イディオム方式のデザイン原則

イディオム方式のデザインにもいくつかの原則があります。

まず、ユーザーが自然に感じる動きや反応に基づいて設計することです。これは、ユーザーがこれまでに積み重ねてきた経験や知識にフィットするようなデザインを心掛けるということです。また、イディオムは効果的である一方、過度に使用するとUIが複雑になる可能性があります。必要な部分でのみ適切に使用することが重要です。

“有名なアプリがやってるから”は、止めよう

イディオム方式の原則は「使い慣れる」ことです。では使い慣れている有名なアプリ・UIを真似をすれば良いUIにつながるのでしょうか。

UIは「なんとなく使いやすい」という主観的な理由で決定しません。そのサービスに合わせて意図された設計思想、統一されたルールでUIデザインは行われています。その設計思想無くして、ただ表層だけを真似しても使いやすいUIにはなりません。

下記の記事では、有名なアプリの中でも不親切に感じたUIを考察しています。ぜひ併せてお読みください。

まとめ

異なるアプローチでそれぞれ使いやすい設計を実現した「メタファー方式」と「イディオム方式」。

メタファー方式は、新しい概念を既に知っているものと関連付けることで、理解の助けとなり学びやすさを実現します。一方イディオム方式は、ユーザーにとって馴染みのある操作を取り入れることで、使いやすさを高めるものです。

どちらの方式を選択するかは、プロジェクトの趣旨や対象となるユーザーの特性を踏まえて検討しましょう。新しいコンセプトや製品を伝える際には、メタファー方式が有効であると考えられます。しかしメタファー方式だけでは表現に限界があるため、スクロールのような直感的に学べるイディオム方式も併用することが望ましいです。

最終的には、ユーザーの視点に立ってデザインを検討することが、使いやすいUIを提供することの成功のカギとなります。

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新卒でITメガベンチャー企業に入社し、POとして複数の新規事業立ち上げ・運用に従事。その後、デザイナーにジョブチェンジし、デザインコンサルティング会社、起業を経て、セブンデックスにUIデザイナーとして参画。