プロトタイピング 事例 KNOWLEDGE
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プロトタイピングの事例に見る|愛されるプロダクトのつくりかた

私たちの身の回りに溢れる様々なプロダクト。そのどれもが人知れぬ試行錯誤を経て私たちのもとに届けられています。
今回はプロダクト開発の中でも重要なプロトタイピングに注目し、世界中で愛されているプロダクトにおける開発の裏側を追って行きたいと思います。

プロトタイピングとは

プロトタイピングとはプロダクトの完成に向けてプロトタイプ(試作品)を制作し、仮説検証を行いながらプロダクトの改善を繰り返す手法のことです。ユーザーや開発者がプロトタイプを実際に利用することで、設計時には気づけなかった課題や発見を得ることができるのです。

プロトタイピングについては以下の記事でもご紹介しています。デジタルプロダクトにおけるプロトタイピングについて詳しく説明していますので、是非こちらもご覧ください!

プロトタイピングを経て生み出されたプロダクトの実例

それでは、身近な製品のプロトタイピングの様子をご紹介していきます。

ナイキ 『ゴーフライイーズ』

手を使わずに履くことができる話題のナイキの製品『ゴーフライイーズ』の誕生までの流れをご紹介します。

この製品の開発にあたって考えたのは、手を使わずに既存のシューズを着脱するにはどういった行動をとるかでした。デザイナー自身が体験し、脱ぐ時は片足でかかとを踏んで足を引き出し、履く時は靴につま先を滑り込ませ、かかとを潰して足を入れ込んでいることがわかります。そして以上の動作を想定し、簡単に着脱できる設計にすることが決まりました。

この製品のプロトタイピングに用いられたのはナイキの既存モデル『ローシ』です。はじめはこの『ローシ』のかかと部分をザックリと断ち切り、粘着テープを巻きつけたものをプロトタイプとして制作し、着脱時のシューズの状態を検証。中でも、シューズを脱いだ時にも履く時にも安定した状態を保つための双安定性ヒンジ(ちょうつがい)とテンショナー(張力調整装置)と呼ばれるバンドの開発のため、チームはプロトタイプをもとに研究を重ねていきました。

そうして現在販売されている形になりました。このシューズは販売前から話題となり、販売後即完売することに。

大反響のこのシューズに対し、車いすフェンシングチャンピオンのべべ・ヴィオはこのように語っています。

「いつもはシューズを履くのにとても時間がかかります。ナイキ ゴー フライイーズがあれば、足を入れて、その上に体重をかけるだけで大丈夫。これは障がいのあるアスリートに限らず、あらゆる人のリアルな生活にも活用できる新しいテクノロジーです。」

ナイキ公式ホームページより

このプロダクトはあらゆる人のペインを解決する今までにないシューズとなりました。それはナイキの開発チームによる荒削りでもプロトタイプを制作し、仮説を検証し続けた結果と言えるでしょう。

開発チームによるインタビューは以下よりご覧いただけます。覗いてみてはいかがでしょうか。https://www.nike.com/jp/flyease/go-flyease

ダイソン 『G-Force』 

続いては「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」でおなじみのダイソンです。ダイソンといえば先述の通り掃除機はもちろん、ドライヤーや照明など幅広い製品を開発しています。そしてどれも洗練されたデザインと圧倒的な機能で他社製品との差別化されています。

今回は代名詞とも言える掃除機の誕生秘話からダイソンのプロトタイピングの様子をみていきます。

ダイソン社の創業者であるダイソン・ジェームスは従来の紙パック式掃除機に不満を抱いていました。長年使っていると次第に吸引力が落ちていったためです。そこで掃除機を分解、紙パックの目詰まりが吸引力低下の原因であると気づきます。

解決策に悩んでいたジェームスですが、製材工場の屋根を見てヒントを得ます。この屋根には粉末分離器が取り付けられ、木くずと空気が分離されていたのです。この原理を利用できないかと考えた彼は早速プロトタイピングに取り掛かります。そうしておよそ5年間で5,127台のプロトタイプを制作。単純計算で1日あたり2〜3個のプロトタイプを制作していたことになります。

ジェームズは長い時間をかけてようやく彼の目指していた「吸引力の変わらない掃除機」の開発に成功したのです。

 

 
 
 
 
 
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今や名前を知らない人はいない家電メーカーとなったダイソン。その素晴らしい製品の数々の裏には泥臭くも真摯なモノづくりへの態度が伺えます。また、プロトタイピングを繰り返し、理想形に近づけていくその過程が製品やブランドに説得力を与えています。

任天堂 『Nintendo Labo』

日本を代表するゲーム会社の1つである任天堂。代名詞とも言える『スーパーマリオブラザーズ』をはじめ、新しいゲーム性と独特な世界観でブームを巻き起こしている『Splatoon』など、世界的に愛されるプロダクトを数多く生む任天堂もその成功の裏側で試行錯誤を重ねています。


今までにない遊びを作り出してきた任天堂ですが、中でも『Nintendo Labo』は発売当初その新しさに話題になりました。そもそも『Nintendo Labo』とは付属のダンボール紙をユーザーが自身の手で組み立て、『Toy-Con』と呼ばれるコントローラーを作ります。この『Toy-Con』を『Nintendo Switch』にセットし、専用ソフトで遊ぶという全く新しいプロダクトです。

『Toy-Con』にはいくつかバリエーションがありますが、今回は『トリToy-Con』のプロトタイピングに注目しました。この『Nintendo Labo』は子どもをユーザー層として想定しています。そのため、「子どもでも持ちやすいか」や「長時間利用しても疲れないか」といった観点を重視した設計がなされていました。

しかしいざプロトタイプを制作すると、前述の課題はクリアできても「子ども達に組み立てられるのか」という問題が発生。このプロダクトはユーザーが自分自身で組み立てるというのが体験の醍醐味となっています。そのため、修正を余儀なくされました。そこで実際のユーザーになりうる小学生を集め、組み立てられるかを試すテストを実施。その度に問題点を洗い出し、繰り返しプロトタイプを作成したのだとか。

このプロダクトはダンボールでできており、テストからプロトタイプ作成までの時間を短縮することができたため、早い回転でプロトタイピングが行われていました。

まとめ

いかがだったでしょうか。世の中で愛されているプロダクトの多くは数えきれないプロトタイピングを重ねた上で作られ、私たちの元に届きます。ご紹介した例のように実際に手を動かしてプロトタイプを元に改善していくことが世の中で広く愛されるプロダクト作りの近道と言えるでしょう。

参考:任天堂 採用情報 「トライアル&エラーを重ねて」
https://www.nintendo.co.jp/jobs/keyword/66.html

インターン
スマートフォンの操作に手こずる祖母を目の当たりにしたことからデザインの矛盾を強く感じ、UXUIデザイナーを志す。 セブンデックスに入社し、より多く人が幸せになるためのデザインのあり方を上流工程から学んでいる。将来的に老若男女誰もが使うプロダクト開発に携わることが目標。