クライアントと伴走するのではなく先導する。このスタンスはプロジェクトマネージャーが持つ基準から生まれました。そのようなスタンスを崩さないセブンデックスのプロジェクトマネージャーは、果たしてプロジェクトの壁をどの様に乗り越え、進めているのか。話を伺いました。
▼プロフィール|結城 徹也
新卒で人材系ベンチャー企業に入社し、法人営業に従事。その後リクルートにて企画営業職として、大手企業の広告営業やソリューション開発に携わる。 社内新規事業コンペの経験で、デザイン思考に興味を持ち、UXデザイナーを志す。その後、セブンデックスのUXデザイナー/PMとして入社。スタートアップのコーポレートサイトリニューアル、上場企業のUX設計UIのリニューアルなどに携わる。社内ではdiv内の行動指針浸透などの役割も担う。
与件の背景から本質を導き、納得感を持って進める
ー今までどんな案件に携わってきましたか?
アプリのUXUI改善や、コーポレートサイトリニューアル、直近ではターゲットが満足する自社サービスサイトの改善などに携わっています。
具体的には市場調査から課題を特定、立てたペルソナが喜びつつもCV増加を両立させるための体験設計などを行い、改修しながら効果も見ていくような支援を行いました。
ー最初から具体的な支援内容が決まった状態で依頼が来るんですか?
いえ、実際は最初に来た与件と実際の支援内容が違うことが多いんですよね。クライアントは「こんなことをしたい」「これができない」の様な状態で来るんですが、あくまでクライアントの目線で見えてる事象の1つに過ぎないんです。なのでまずは想いを汲み取った上で「与件の背景にある、本当に抱えている課題は何か、そのための最適なHowは何か」を対話しながら見つけていくことから始まります。
一見、課題と要件が明確な場合でも、その課題の背景を知ると実は思い込みや業界のバイアスが掛かっている事もあります。
この様な状況のクライアントを商談の段階で適切にリードしながら、案件の最中はその延長線上で紐解いてあげる。この様な進め方が多いです。
ーその中でPM/UXデザイナーはどんな役割を担ってるんですか?
フロント対応はもちろん、プロジェクト進行管理から、ディレクション、UXデザインまで携わります。市場調査、戦略策定の様な上流から理想的な体験を設計して提案、プロジェクトを推進していくため、その職責は広いです。
プロジェクトを推進するうえで特に大切にしてるのは、伝え方です。良いものを作るのはもちろんですが、どう納得感を持ってもらうか。例えば調査レポートやペルソナ、市場選定する際は、アウトプットに加えてなぜその結論に至ったのか、プロセス、思考をすべて共有して、クライアントと目線を合わせる。そうすることで建設的に議論できるようになるんです。思考プロセスまで伝えるコミュニケーションは、セブンデックスとしての特徴だと思います。
先を見通しながら、目の前の事象を紐解く
ー「クライアントの理解」を必ず挟みながら進めるんですね
遠回りに見えますが、必要不可欠なことだと思っています。
前工程の決定事項は後工程に影響を与えてきます。クライアントと意思決定するタイミングで「Aを選んだ場合はこうでBはこうなります」と、いかに先を見据えた説明を丁寧にできるかが重要で。プロジェクトを完遂することはもちろん、プロジェクトが終わった後の影響範囲まで、できる限り見通して伝え、その上で意思決定することは意識してます。
まずは自分たちなりの正解を提示してあげる。それを軸に対話しながら、クライアントが持っていない知識は共有してリードするようなイメージです。
ー対話しながらもリードする。このバランス感が大切ですね
先を見せながら手元を固めていく作業は大事だと考えています。以前に行ったプロジェクトで「何だかこれじゃない」の様な抽象的なフィードバックで頂くことがあったんですよね。なぜそうなってしまうのかを考えた時に、その後の開発や運用など後続プロセスとの接続イメージをクライアントが抱けていないことによる、漠然とした不安があることがわかって。そこからはクライアントの思考を洗い出して、どの接続がうまく行ってないのかを言語化して、その懸念に対して丁寧に伝えるようにコミュニケーションを意識しました。結果的にクライアントからも具体的なフィードバックが来る様になって、そこからは建設的に議論が進むようになったんですよね。
起きてる事象に対して「なんで理解してくれないんだろう」のスタンスではなく、対話を通してクライアントの思考を紐解いてあげる。本質を導くことが大切だなと感じています。
リアルな感覚を持って事業を創る
ーなぜセブンデックスはそこまで対話にこだわるのですか?
PMとしての共通認識というか、最低基準になってるのかなと。
会社の行動指針とは別でPMチームでも行動指針があるんですが、その中に「全てのステークホルダーのUXを考える」があって特にこれは意識してます。社内はもちろんクライアント、エンドユーザー、全員のUXを最適にするためにプロジェクトをリードする、という意識はかなり強いですね。
例えばユーザーの為と言ってクライアントの気持ちを無視した提案をしても、クライアントにとって納得感なかったらその後の再現性も無くなってしまいますよね。妥協や諦めを選ぶことはなくて、「この状況をどう良くしよう」を常に考えてます。
こうやって対話にこだわりきれるのも、多分自分たちが「デザインのプロ」に対する自信はあっても変なプライドはないからだと思います。プロとしての専門性を持って提案するけれど、それに対して議論して、最善があるなら柔軟に変える様なバランス感が大事で、メンバー全員がそれを基準として持ってます。結局誰のどんな体験を良くしていくかみたいな話になったときに、ビジネス文脈はもちろん、事業思想や制約条件とも最終すり合わせが必要で。そうなると最終的な意思決定者はクライアントになりますよね。だからこそ、対話の中で相手の思想をリスペクトしながら最適解を出すことが大切になります。
ーものづくりよりも事業づくりの感覚に近いですか?
事業づくりの感覚ですね。ものづくりだけだとエゴになってしまうので、クライアントの会社や事業の状況を見ながら最善を出しています。客観的にチームを見てすごいと思うのが、全員が投資する側の気持ちやリスクを想像してるんですよね。事業家の気持ちを持って体現してるんだと。
これらは社内の環境も要因にあると思ってて。セブンデックスはスタートアップなので、どの施策にいくら投資してどれくらいのリターンがあったのか、どのくらい収益を得てるかを日々肌で感じているんですよね。だからこそ、その感覚を持ち合わせる部分もあるのかなと。自分たちがリアルな事業成長を体感しているからこそ、その感覚がPM同士の共通基準になってますし、クライアントワークにも日々活かされています。