株式会社りそな銀行

金融業界に新風。りそな銀行 DX推進部門向けワークショップを2日間にわたって実施

口座開設や投資信託、住宅ローンなど、様々なニーズにお応えする商品を提供する大手銀行の株式会社りそな銀行。株式会社セブンデックスは、りそな銀行のDX推進部門において新規事業を担うチームを中心とした若手メンバーを対象に、新規事業の効果検証に関するワークショップを実施。当社がこれまで数多くの企業の新規事業立ち上げをサポートしてきた経験から得た、深い知見と実践的なナレッジを、今回のワークショップを通じて共有させていただきました。

Workshop
YEAR2023

新規事業開発の相談に乗っている中で顕在化した、「効果検証」を組織にインストールすることの重要性

当初セブンデックスは、りそな銀行の新規事業におけるUIデザイン及び開発の支援を行う予定でした。しかし、プロジェクトの提案段階で、「この新規事業がユーザーにとって長期的に魅力的なサービスであるためには」という大きな課題があり、この課題は単に美しいUIデザインや機能的な開発を超えた、事業の本質的な成功要因を探るものでした。

そこで、中長期的な目線でニーズを深堀する中で、りそな銀行のご担当者様から、新規事業の効果検証の重要性、その方法、そして実施することで得られる成果について、社内にナレッジを浸透させてほしいとのご要望をいただきました。この施策は、単なる技術的なサポートを超えた、事業の成功を根底から支えるものになると考え、効果検証ワークショップの実施を決定。

ワークショップでは、様々な企業と共に現場の事業開発に向き合うセブンデックスだからこそ持っているナレッジをケーススタディなどを取り入れ、長期的に実践できるものを目指しました。さらに、共有したナレッジをDX推進部門全体で共有できるよう、ワークショップでの内容はハンドブックとしてまとめ納品しました。

効果検証の重要性やグロースのフレームなど、実践に必要な前提知識を短期間でインストール

効果検証とは、サービス・プロダクトがどのように機能しているか、その効果を検証すること。効果検証(仮説検証)を繰り返し、仮説が間違っていれば軌道修正する。これらを繰り返すことが、新規事業には重要になっていきます。新規事業のサービスが長期にわたって利用されるよう、効果検証のプロセスを徹底的に掘り下げることに焦点を当て、ワークショップを通して効果検証の重要性やグロースのフレームなど、実践に必要な前提知識などをインストール。

新規事業のアイデアの多くは、「このサービスはこのニーズに応えることができるのではないか」という仮説からスタートします。不確実性が高い現代において、新規事業を始めることは常にリスクを伴うため、事業が始動してみないとその成果は未知数です。しかし、間違った方向への投資を避け、正しい道へと進むためには、効果検証は不可欠です。

仮説出しと体験整理で、検証ワーク前の思考エクササイズを実施

通常、新規事業の効果検証は製品やサービスが市場に出てから、ユーザーの反応を見ながら行われます。そのためワークショップでは、参加者が今後直面するであろう実際の課題を模擬的に経験していただきました。

まず「効果検証を行うための思考法」の準備運動を実施。この準備運動は、参加者に「仮説の検証方法を設計する」という効果検証に必要な思考法を身につけさせることを目的としています。

りそな銀行の新規事業と親和性の高いビジネスケースに基づき、ペルソナやストーリーボードを用いて理想的なシナリオを作成。このプロセスは、具体的なユーザー体験とサービスの流れを想定する際に役立てることができます。次に、参加者は2つのチームに分かれ、サイトマップやワイヤーフレームの作成に取り組みました。このワークでは、チーム内で意見を出し合いながら進行し、作成されたサイトマップやワイヤーフレームは、各チームが発表、共有。互いのアイデアからインストールする機会となりました。

効果検証で重要な手法「アンケート設計」「ファネル整理」「インタビュー」を実践的なワークで実施

効果検証の重要性などを学んだあとは実際にケーススタディを基に、効果検証で重要な手法である「アンケート設計」「ファネル整理」「インタビュー」を実施。このワークでも、新規事業開発時に起こりうる課題を模擬的に経験していただくために、新規事業と親和性の高いビジネスケースでケーススタディを実施しました。

アンケート設計では、よくあるアンケートの項目を基に、失敗しやすい例とその理由について詳細に説明。特に重視したのは、深層心理に迫るためのアンケート方法と、アンケート調査が仮説検証ツールとしてどのように機能するかについての理解を深めることでした。参加者は、ケーススタディをもとに、アンケート調査を行う前に必要な情報をチームで洗い出し、それを具体的な設問に落とし込む練習をしました。

その後、ケーススタディを基にファネル整理を実施。ファネルとは、消費者やユーザーの行動の流れを各フェーズに分けて捉えることを意味します。各チーム、ファネル項目を定義し、ファネルの各段階でのユーザー離脱の原因に関する仮説を立て、各チーム発表をしました。この活動を通じて、参加者はファネルを使った効果的なユーザー行動分析と具体的な仮説検証の手法をインストールことができました。

インタビューでは、アンケート設計とファネル整理時に学んだ知識を活かし、「インタビューを活用したPSF検証」と「インタビューを活用したコンセプト検証」を実施しました。

まず、「インタビューを活用したPSF検証」では、課題(Problem)に対して提供される解決策(Solution)が適切に機能している(Fit)かを評価する方法を実際のサービスを用いて実践ワーク。参加者は、実際にサービスを使用しているユーザーの課題を仮説立て、サービスの機能(ソリューション仮説)が当初の課題をどの程度解決しているかを評価し、仮説が機能しているかどうかを判断しました。実際にインタビューを設計し、得られた情報が検証目的に沿っているかどうかをチーム内で議論しました。

次に、「インタビューを活用したコンセプト検証」では、新規サービスや機能案のコンセプトが顧客に受け入れられるかどうかを検証。このプロセスでは、サービス概要を説明した仮想パンフレットであるCIS(コンセプトインプレッションシート)を使用しながら検証を進めていきました。参加者はコンセプトテストの設計と質問設計のワークを通じてインタビューを実施し、新規サービスや機能のコンセプトが市場にどのように受け入れられる可能性があるかを評価しました。

参加者満足度100%。ネクストステップは、「効果検証」をDX推進部門全体へのインストール

ワークショップ終了後、ワークショップで行った内容をまとめたハンドブックを制作。このハンドブックは、今後の新規事業の実務で参加者が活用するためのものであり、また、今回の参加者を含む部門全体での効果検証の適用を促進するための資料です。

このワークショップの主な目的は、新規事業開発を担うチームに効果検証の重要性と基本的な思想を理解させ、実践型ワークショップを通じて実務に活かせる思考や観点を習得してもらうこと。2日間のワークショップを通じて、効果検証の必要性に関するアンケートでは、参加者全員が「効果検証の必要性を理解できた(100%)」とご回答いただき、効果検証の重要性と基本思想を参加者に深く浸透させるという当初の目標は、達成。さらに、参加者の満足度も100%に達し、高く評価いただきました。