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デザイナーなら知っておきたい!フォントの選び方【背景知識で選ぶ】

フォントはデザインの印象を左右する重要な要素です。デザイナーはフォントの形状の特徴や視認性・可読性、トレンドなどを考慮して選んでいきますが、加えて、フォントの背景知識を添えることがあります。筆者は実際に、ロゴ2案から最終案を決めかねているという場面で、フォントの歴史やこれまでにどうやって使われてきたのかを説明し、それが判断材料となりロゴが決定した経験があります!

今回は例として、代表的な欧文フォントであるHelvetica、DIN、Futuraの背景知識を紹介してみたいと思います。

フォントの背景知識を紹介

Helvetica(ヘルベチカ)

Helveticaは1957年にスイスで生まれたフォントです。バウハウス(1919年に開校し、現在もあらゆる分野に影響を与え続けているドイツの美術学校)の機能的なデザイン性に影響を受けています。世界で最も使用されているフォントのひとつで、BMWやPanasonic、THE NORTH FACE、無印良品などなど… 挙げたらキリがないほどたくさんの企業ロゴに採用されています。また、Apple製品に標準で組み込まれており、私たちが生活をする中で最も目にする欧文フォントかもしれません。Helveticaを題材にしたドキュメンタリー映画も制作されています。

余分な要素が無くすっきりとしていて誰にでも読みやすく、また、シンプルだからこそ持ち合わせることのできる洗練された上品さ・繊細さも感じられます。世界で最も信頼されている美しいフォントであることから、多くの場面で選ばれています。デザインの流行は日々移り変わりますが、結局のところHelveticaに戻ってきてしまう、絶大な信頼を置かれるフォントです。

DIN(ディン)

DINは1931年にドイツで生まれたフォントです。DINは「Deutsches Institut für Normung(ドイツ工業規格)」の略称で、工業製品の品番表記のために開発されました。ドイツでは現在でも、交通機関の標示やマンホールなどに使われています。Helvetica同様に、企業やブランドのロゴとして多く採用されています。最近では「TOKYO2020」のポスターに使用されており、街中でも頻繁に見かけるフォントです。

Helveticaのようにシンプルで無駄が無いフォントですが、工業製品の品番表記のために開発されたということもあり、より可読性に優れていると思います。読みやすさに加えて、幅の狭さとボールド感でクールな印象を醸成する場合に使用することの多いフォントです。

Futura(フーツラ)

Futuraは1927年にドイツで生まれたフォントです。バウハウスの講師だったデザイナーによって開発されました。Futuraはラテン語で「未来(英語でfuture)」を意味します。円や三角、直線といった幾何学的な図形をベースにしたフォルムが特徴のフォントです。いわゆる”おしゃれ”であることが求められる場面で使用されることが多い印象で、Louis VittonやSupreme等のファッションブランドのロゴや、映画のタイトルロゴやスタッフロールで使用されているのを頻繁に見かけます。

HelveticaやDINと比べて、独特のフォルムを持ったフォントです。上記のように“おしゃれさ”を醸成するために選ばれることが多いフォントです。故にデザイナーからの信頼も厚く、筆者も例に漏れず、何かつくろうとなればまずはFuturaから試します。

知ることで新たな視点を

あらゆるデザインに制作者の意図が組み込まれていて、フォントも例外ではないはずなのに、なかなか見た目以外の部分を知る機会がないように感じます。表面の印象や機能だけで決めていくこともできますが、歴史やルーツ、開発までの経緯、フォントに込められた意図まで深く理解することで、そのフォントを使用する根拠を強くする要素になりますし、また敬意や愛着が湧くこともあります。今回紹介したような長く使われているフォントは歴史も深く、デザイン史を知るきっかけにもなるのではないでしょうか。是非、お気に入りのフォントの背景知識を調べてみてください。

UIデザイナー
多摩美術大学卒業後、広告制作プロダクションに入社。ビジュアルデザインを軸とし、デザイナーとしてナショナルクライアントをはじめとした様々な案件に携わる。2020年セブンデックスに入社し、クライアントワーク支援や社内のクオリティーマネジメントなど幅広く携わっている。