デザイナーとして、日々の業務の中で、クライアントの希望を叶えるアウトプットを生み出すには、どうしたらいいのかを考えることも多いのではないでしょうか。
デザイン=コミュニケーション・アーツとも呼ばれ、私たちデザイナーの仕事はコミュニケーションが重要な鍵になります。そのコミュニケーションの基盤となるのが、各関係者とのラポールを築くことです。
今回は、ラポール形成について書いていきたいと思います。
ラポールとは
「ラポール(rapport)」の語源はフランス語であり、「架け橋」という意味を持っています。
このことから、一般的にラポールとは「親密な関係」や「信頼し合っている関係」を指し、相手を信頼して打ち解けた状態を「ラポール形成」と呼びます。
ラポールを形成することで、お互いの価値観を理解し、チームの親密性を高めることができます。
次に、ラポールを形成するメリットを説明していきます。
ラポールを形成するメリット
そのラポールを形成するメリットは、主に以下の6つがあります。
- 相互の信頼を築ける
相手と打ち解けた状態を作ることで、”この人にならなんでも言える” という気持ちになります。 - チームメンバーのエンゲージメントを高められる
お互いに理解しているメンバー同士でチームを形成していれば、一緒に働くことに対してポジティブな感情を抱き、エンゲージメントが高まります。 - 建設的なフィードバックを行いやすくなる
相手を信頼し合っているからこそ、心理的安全性が担保され、互いに事態の改善という視点で建設的なフィートバックを行いやすくなります。 - チームのロイヤルティが高まる
お互いに情報開示し合っている透明性の高い状態であれば、状況や課題を把握しやすくなり、チームの動きを加速させる動きを取りやすくなります。 - 良好なグループダイナミクスを構築する
メンバーが相互に相手への意見について共感を持てる場合、チームでの団結力が高まり、協力的かつ積極的に行動しやすくなります。 - より「息の合った」状態が感じられる
ラポール形成がなされている状態では、相手への共感も高まるため、よりチームでの一体感を感じやすくなります。
ラポール形成に必要な、自己開示と共感
会話の中でお互いに積極的に自己開示をしていくことで、相手への共感も同時に得ることができます。そのため自己開示は、ぜひ積極的に行っていただきたいことの一つです。
例えば、一緒にプロジェクトを行うメンバーに対して、自分の弱み・強みを素直に打ち明けるとします。
そうすると、他メンバーからの期待値を調整すると共に、自分の強みを活かしやすくなり、自分の弱みも共有することで、他メンバーが特に意識すべき部分がわかるようになります。
自己開示については、些細なことでも伝えていくことが大切です。
またメンバーが自己開示を積極的に行えるために、どんな意見も受け止めるオープンな姿勢を貫くことが重要です。さらに、課題が出てきたと思ったら、都度話し合いで解決することで、徐々に信頼関係を構築していくことができます。
また共感については、意見に含まれている要点を適切に抽出し、なぜこの意見が出たのか、意見の背景も読み取ることで、要点を押さえた対話を行うことができます。
例えば、クライアントからアウトプットについての意見を受けたとします。出た意見について、なぜこの意見が出たのか、意見の裏側にある背景を考えることで、相手が本質的に求めているニーズを汲み取った提案やコミュニケーションを取ることができます。
自己開示と共感に重点をおいた丁寧なコミュニケーションを心がけ、積極的に行うことで、相手との壁を徐々に壊すことができます。
おわりに
ラポール形成のために、自分を偽る必要はありません。また社交的な人や外交的な人になりきる必要もありません。ラポールはコミュニケーションスキルに関係なく、誰でも築くことができます。
私も、日々の業務で関わる方々との適切なコミュニケーションについて考えることが多々あります。
このラポール形成について知ることで、デザイナーに必要なスキルの1つである傾聴力を今後も高めていきたいと思います。