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次から実践できる!UIデザインの初稿提案ポイント

「数パターン考えてきたので、この中から選んでください」

デザイナーがデザインを提案する時、1案だけを持っていくことはあまりありません。(もちろんシーンによっては1つのデザインをバチっと決めにいく時もある)
多くの場合は「数パターン」もしくは「A案 or B案の2パターン」からデザインを選んでいただくかと思います。

「サービスコンセプトに合ったビジュアル」「デザインコンセプトに合ったビジュアル」と言われても、何をもって合っているとしていいのか判断が難しいです。どっちがいい案であるか選ぶ人は、判断軸が明確でないと結局主観で選ぶことになってしまいます。

主観で選んでしまわないように、提案の仕方や話し方を受け手(クライアント)のリテラシーに合わせて変えていくことが大切です。

この記事では、ワイヤー完成後のビジュアルデザインフェーズで、要件を満たすデザインの良し悪しを決めやすくするためにデザイナーとして提案に挑む際に持っていくアウトプットはどのようであるべきか、気をつけたいポイントをまとめました。

また、記事の最後に簡易的なチェックリストを記載しましたので、是非活用してみてください〜!

制作するときのポイントまとめ

今回ご紹介するポイントは4つ。

  • 操作性からも比較してもらう
  • 感情を比較対象にしない
  • AとA”の比較にしない
  • コンセプトから外れた捨て案は提案しない

この4つのポイントについてそれぞれ解説していきたいと思います。

操作性からも比較してもらう

ビジュアルの比較は感覚で行なってしまいがちなので、個人の好みに寄るリスクが高いです。そこでUIデザインのビジュアルの場合は、操作性をベースに案を出すと判断がしやすい提案になります。

整理した要素や各情報に優先度をつけるだけでも、ユーザーに対して要素に注目して欲しいタイミングが変わります。例えば、以下の図の「よくあるご質問ページ」のように各要素の配置と構成を変えることで注目してほしい要素の見方が変わってきます。

むしろ操作性の提案を行う場合は、ディテールはおまけ程度でも良いかもしれません。

感情を比較対象にしない

「それってあなたの感想ですよね」という有名な台詞がありますが、デザイン提案時はまさにこの考えを念頭に持ち、自分の感想・感情にならない提案を心掛けます。

例えば「シャドウがあることで動きが出て、楽しげな印象になります」と説明した場合、 “動きがでている”や “楽しげ” は自分の主観であって、他者も同じように感じるとは限りません。

UIデザインの場合は、誰でも同じ認識が持てる事実ベースで説明した方が良いので「シャドウがあることで画面に奥行きが出る」などといった客観的事実を説明するのが適切であると考えています。

==おすすめ記事の紹介==
また、ビジュアルの意思決定をするためのロジカルなプロセス設計や、コンセプトに対する表現の切り口については、こちらの記事が非常に参考になるかと思います。
複数のVIが、ロジカルなプロセスで意思決定されていくのが垣間見えて面白いです。

AとA”の比較にしない

「角R付き」と「角Rが付いていないもの」といった微々たる差は、作った本人にとっては全然違うと感じるものですが、見る側としては違いを感じづらいものです。(シーンによっては適切な提案かもしれません)

コンセプトに基づきつつ、レイアウト自体を変えて提案した方が、推し案のデザインのいい根拠が立ちやすく納得を得やすいです。

コンセプトから外れた捨て案は提案しない

微々たる差にしないように各デザイン案の方向性を振り切ることはしますが、コンセプトから外れた捨て案は作成してはいけません。

理由は、

  • 仮に捨て案が選ばれた場合、その後のデザイン作業でコンセプトに寄せるコストが大きい
  • 捨て案前提で作りすぎているため、推し案との比較がしづらい

からです。

チェックリスト

  1. 主観に寄った感覚だけの差になっていないか?
  2. 微々たる差でしかないデザイン案になっていないか?
  3. 各要素の配置の理由が説明できるか?(操作性・ビジュアル性両視点から)
  4. コンセプトから外れた捨て案になっていないか?
  5. デザイナーとして、推し案が最善であると言い切れるか?

デザイナーとして「最善である」と言い切ろう

デザイナー本人が「あっちもこっちも良い」とブレてしまっては、提案された方は迷ってしまいます。コンセプトを元に作成した案たちですが、推し案は「この案が最善である」とデザイナーとして言い切って提案しましょう。

「責任を負う意識を持ち自分で意思決定し、上には承認してもらうだけ」というスタンスが本当に大事だと思います。

情熱大陸でOSRINさんが「OSRINに決めてもらうデザイン」をアシスタントに複数提案された際に放った「その仕事の仕方してたら消費されるだけ」という言葉。当時そのアシスタントと同じような感覚でいた私はその言葉が本当に身に沁みました…。(自分的に神回だったので、もし機会があったらいろんなクリエイターに見てほしい)

アウトプットに対して自分の意志を持つことが大事。後輩であろうと自分が下っ端であろうと最終決定者に良し悪しの全てを託すのではなく、つくった本人が「これが1番いいんや🔥!!」と自信をもって提案していきましょう。

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UIデザイナー
多摩美術大学卒業後、DeNAで新規アプリサービスの設計,UIデザインに携わる。2020年にセブンデックスに入社し、アミューズの新規事業UXUIデザインなど、企画段階から、UIデザインまで、様々なフェーズの支援を行っている。