日々の上司への報告や、クライアントに対する提案、社内ミーティングなど、相手に何かを「伝える」機会は多いでしょう。
私たちデザイン会社でも、特にプロジェクトマネージャー(兼UXデザイナー)は提案するデザインやコンセプト、戦略をクライアントに適切に伝え、プロジェクトを前に進めることがとても重要な責務です。
ここでは、デザイン提案に限らず、日々のミーティングやプレゼンテーションで、聞き手を動かすために必須なメッセージの伝え方(ストーリーライン)について、何を意識すべきか?何が重要なのか?についてお伝えいたします!
目次
ストーリーラインの重要性
みなさんは、クライアントや上司との MTG で、こんなケースを経験したことはありませんか?
「作成したプレゼンテーションについて、意味が通じないと言われてしまう。」
「せっかくアウトプットを作ったのに、相手の期待値とずれていた。」
「上司に報告しても、それで?と言われ詰まってしまう。」
これらは全て、「聞き手にどう動いてもらうために」「どのような情報を」「どのような流れで伝えるのか」かを正しく整理できなかった結果、聞き手に真意が伝わらず、意思決定や行動変容を起こせなかった結果生まれた事例です。
ストーリーラインとは、まさにこの「聞き手にどう動いてもらうために」「どのような情報を」「どのような流れで伝えるのか」という、結論に至るまでのメッセージの流れを表します。
上記のような事態を防ぎ、聞き手に対し、最終的に意思決定などの行動を変化させる目的を達成するために、良いストーリーラインの構築が不可欠なのです。
良いストーリーラインとは?
それでは良いストーリーラインとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
それは以下二つの要素で成り立っています。
- Step1. 「聞き手にどう動いてもらうか」という「ゴール」が明確に設定されていること
- Step2. ゴールを達成するために、聞き手に対し「どのような情報を」「どのような流れで伝えるか」が明確で、内容に対し納得感があること
Step2 の「納得感のある」ストーリーラインには、ただ内容が「わかりやすい」だけではなく、相手が共感するような斬新なアイデアや、情緒性も必要になってきます。
この記事では、あくまで「情報をわかりやすく伝える」ことにフォーカスしてお伝えします。
Step1. ゴールを設定する
人にどのような情報を伝えるのかを検討するにあたり、そもそも「誰に、何を、どうしてもらいたいのか」というゴール状態は明確に設定できているでしょうか?
当たり前のことに見えて、実は意外とできていないことが多いです。
- 「上司に意図を理解してもらうためにプレゼンする」
- 「上司が意図を理解した上で、最終的に他部署に連携できるよう、プレゼンする」
これら二つのゴール設定では、最終的に達成できる結果が異なることは明白でしょう。
「聞き手を動かす」というゴールを達成するためには、「誰を」「どんな状態にしたいか」を正しく設定することが必要です。
まずは、自身が動かしたい相手はどんな人なのか、以下の観点を元に明確にします。相手がどんな立場にいて、どんな前提知識を持っているのかで、伝えるべき内容が自ずと変わってきます。
- どういう立場にいるのか
- どういうことに興味があるのか
- どんなことを求めているのか
- 専門的な知識をどれくらい理解しているのか
- これまで、どのような情報を共有してきたか
続いて、イメージした相手が、どのような状態になれば良いのかを言語化しましょう。
- 聞き手が内容に合意してくれたらいいのか
- 聞き手に動いてもらう必要があるのか
- 聞き手が〇〇について疑問点を解消して欲しいのか
「理解してもらう」だけでは不十分で、その先のアクションを設定できるかどうかがポイントとなります。
Step2. どのような情報を、どのような流れで伝えるかを整理する
さて、ゴール状態が明確になったら、聞き手をその状態に持っていくために、「どのような情報を、どのような流れで伝えるか」という、メッセージの流れを整理します。
この「流れ」を作ることが、プレゼンテーション資料のストーリーラインを作るということになるわけです。
ここでは、ストーリーラインの作り方として2つの方法を紹介します。
方法1.ストーリーラインの型を使う
いわゆる「フレームワーク」と呼ばれる型を使うことで、話の流れに説得力を持たせる方法です。一般的には、以下の三種類の型があると言われています。
ゴールによって、最適な型は異なり、例えば未来提案型は、新規事業の提案やクライアントの課題を解決するアイデアの提案に向いています。
「プレゼンテーション フレームワーク」と調べるだけでも多くの種類のフレームがあり、一度調べてみるのも良いでしょう。
方法2.ゴールから逆算し、地道に組み立てる
聞き手を最終的に納得させるには、その前にどんな情報をあたえ、どんな状態まで持っていかなければならないのか?を逆算して考える方法です。
聞き手はプレゼンまでにどのような前提知識を持っていてどのような内容を期待しているのかを事前に設計し、ゴールに持っていくまでに聞き手が持ちそうな疑問が解決できるように、話を組み立てていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、聞き手を動かすための良いストーリーラインの二つの要素についてと、それぞれの設定の仕方のコツをお伝えしました。
▼ 良いストーリーラインとは(再掲)
- 「聞き手にどう動いてもらうか」という「ゴール」が明確に設定されていること
- ゴールを達成するために、聞き手に対し「どのような情報を」「どのような流れで伝えるか」が明確で、内容に対し納得感があること
本記事が、プレゼンテーションに限らず、「聞き手を動かす」場面での情報の伝え方を考える際の一助となれば幸いです。