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パートナーと働くための哲学 ~善き人格(ペルソナ)をもった人とは?

セブンデックスでPMをしております、山本です。

セブンデックスの仕事は、パートナーの皆様の困りごとについて専門家として一緒に考えて解決していくことです。パートナーの方に満足いただくためには、UXの専門家であることはもちろんですが、一緒に働きたい人であることが大切です。専門知識や経験は一朝一夕で身につくものではありませんが、一緒に働きたいと思ってもらえるスタンスは今日から始めることができます。

そこで、一緒に働きたい人とは何か、自分が目指したい人物像とは何かを考えてみました。

理想の人物像を意識したきっかけ

きっかけは、「ここは今から倫理です」という漫画を読んだことでした。

この漫画は、高校の倫理の先生がさまざまな問題を抱えた生徒と共に、「善く生きる」ためにどうあるべきか諭したり、一緒に悩んだりする漫画です。

善く生きるとは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスの言葉、「ただ生きるということではなく、善く生きることこそ最も大切にしなければならない」という言葉に基づいています。人間にはさまざまな欲望があるが、どうすれば人として正しく美しい行動として、自分の人生を満たすことにつながるのかを考えなければならないという意味です。

作品の「本当の私」という話では、SNSでの「仮の自分」に執着し授業が上の空になってしまう女生徒と対比するように、人格(ペルソナ)という概念が語られます。

ペルソナとは、人間が社会生活において求められるさまざまな役割やキャラクターを演じる機能を指す概念です。転じて、マーケティングではターゲットの中の具体的な人物像を表す言葉として使われています。

この話では社会的なペルソナに加えて、より個人的な人格、あるべき人物像(「人格者」という言葉がわかりやすいかもしれません)についても言及します。

作中からのセリフを引用します(長いため、要約しています)。

人はそれぞれ人格(ペルソナ)を持っています。それにより人間は動物と違い、自然から与えられた通りに生きるのではなく、自己を持ち、新しいものを生み出しています。

人格は自然と手に入るものではなく、主体性、所有性、一貫性、責任性を持っていることが必要です。

主体性とは、何が良くて何が悪かったのか、他人の解釈を鵜呑みにせず自分で反省する力があること。
所有性とは、人格が身体を所有・コントロールできていること。
一貫性とは、発言や行動に連続性が見られること。
責任性とは、自らの行いに対して責任を負っていること。

出典:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』集英社 (2018)

このセリフを読んで、つい、自分も本当に人格を持てていただろうかと振り返りました。

自分で思考できていたか、自分の発言や行動に責任を持てていたか。そして、作中で語られた一例だけではなく、自分がどういう人格であるべきかを考えてみることにしたのです。

パートナーと働くための善き人格とは

パートナーと気持ちよく働くための善い人格とはどのようなものかを考えるために、過去の人たちが人やコトへの向き合い方について、どのような思考を行いどのような言葉を残したのかを調べました。

その中で、共に働きたくなる人として大切にしたい3つを紹介します。

  • 縁を持った人へ、責任を果たすこと

「人間であることは、とりもとりもなおさず責任を持つことだ」。サン=デグジュペリの「人間の土地」の一節です。

このセリフは、愛する人への責任を果たすこと、絆のために生きることが、人生を最期まで支えてくれることをさしています。

作品は、死にゆく主人公が最期まで妻への絆を全うするために生き切る物語ですが、仕事でも一つ一つの縁を大切にし、出会った人への愛を持って、その責任を果たす人格を持ちたいものです。

  • 遠い夢や野望だけではなく、目の前のことに全力でやり切る

「父の平生を考えてみると、自分が遠い向こうにある物を望んで、目前の事を好い加減に済ませて行くのに反して、父はつまらない日常の事にも全幅の精神を傾注しているということに気づいた。宿場の医者に安んじている父のレジグナチオン(諦念・諦め)の態度が、有道者の面目に近いことが、朧気ながら見えてきた」。森鴎外の「カズイスチカ」の一説です。

遠い夢を叶えることだけではなく、一つ一つ目の前の小さな課題に全力で取り組むことの重要さを気づかせてくれる文章です。諦観というと後ろ向きにも捉えられそうですが、それが正しい行いに近いことだと、前向きに捉えています。

自分が置かれている環境を正しく捉え、今できること一つ一つに全力を尽くせる人間でありたいです。

  • 善い人格であることを考え続ける

「わからん」。哲学者の西田幾多郎が、大学での講義中にしばらく考え込んだ後に発した一言です。

仕事にも人生にもさまざまな場面があり、一概に正しいことというものはありません。その中でただ惰性で決めるのではなく、自らの意思で何が正解なのかを考え続けることが、唯一確実に正しく生きるための方法であると考えます。常に仕事の中でも、自分はどうあるのが正しいのかを考えることを諦めないでいたいです。

最後に

作中では、このように生徒を諭します。

エピクテトスはこう言いました。君はこの世界という演劇の一人の役者である。君の役割はただ一つ。与えられた役を見事演じること。 私の大切な教え子の役割を演じてくださいますか?

出典:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』集英社 (2018)

私たちは問題解決のパートナーとして、その役割を全うします。

パートナーのためだけではなく、自分の人生を満たすために善い行いを続けられるよう、誠実で情熱的で愚直に人格を磨き続けていこうと思います。

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