KNOWLEDGE
KNOWLEDGE

初めてでもわかる!ネーミングプロセス

サービス名を考える際に、何から考えて、どのように要素を発散させ、終息させていくんだろうと困ったことはありませんか?

今回ははじめての人でもわかるようにネーミングプロセスをまとめています。あくまで一例ではありますが、参考にしてみてください。

ネーミングプロセス

今回はサービス名のネーミングを行う場合のプロセスを記載していますが、企業名など他のネーミングを行う場合もプロセス自体は大きく変わらないと思います。全体の流れとしてはプロジェクトの進行方向を決めて、サービスの前提を整理し、ワードの発散を行い、ワードを組み合わせて、評価、商標登録を行うというシンプルな流れです。

具体的には下記の流れになります。

  1. 進行プロセスの策定
  2. 競合サービスがどのようなネーミングをしているのか整理と傾向出し
  3. サービス名の決定基準を明確にする
  4. 誰にどんな価値を提供したいサービスなのか言語化
  5. サービス名から出したサービス名で表現したいイメージの整理
  6. ネーミングに入れたい要素出し
  7. キーワードの発散
  8. ネーミング
  9. サービス名の評価
  10. 商標登録の申請

プロセスのスケジュール計画

プロジェクトを始める前に策定プロセスを決める必要があります。プロセスを思考する際に特に考慮する事項は下記です。

▼スケジュール計画におけるポイント

- 商標登録プロセスの有無や期間を踏まえた全体プロセスを策定できているか
世間一般の商標登録のプロセスだけでなく、クライアント社内での商標登録のフローと必要な期間を理解しておかないとスケジュールにクリティカルな問題が発生する可能性が高いため。
(例)
・企業名をサービス名に含む場合は社内での承認完了までに2ヶ月半程度かかる
・商標登録登録が完了していなくても先にサービスリリース可能か否か
 ※プロジェクト担当者とネーミングの合意が取れれば、サービス名の商標登録完了していなくてもロゴ作成に進めることができる場合あり

- 全てのプロセスに追加・修正の工数が入っているか
ネーミングは言葉の発散から確定まで一発で決まることはほぼないため必ず多めに追加や修正の工数を入れる必要があるため

- 商標登録に弁理士を使うかの検討

競合サービスがどんなネーミングをしているのか整理と傾向出し

ネーミングを行うとなると、自社が押し出したいポイントからワードの発散を始めようとしてしまうこともあると思いますが、最初に競合のネーミングを分析して傾向を理解しておくとその後の作業が楽になります。

▼このプロセスにおけるポイント

- 他社サービス名を要素(意味/言葉)ごとに分解すること どんな意味が込められているのか、どういった言葉の組み合わせになっているのか(造語、略語、サービス特性の組み込み方)などの観点で分解することで、この後にネーミングを行う際のワード発散観点となるため

- 上記を踏まえ、構成されている要素で傾向を出してネーミングのパターンについて言語化すること パターンについてワードでの発散だけでなく、文章化することで判断軸や論点整理として機能するようになるため

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

下記を理解してサービス名の作成に役立てるため。

- 他社のサービス名構成要素 

- 構成要素によるサービス名の傾向

▼アウトプットの例

本来はもう少し詳細に傾向を見ていますが、下記のように概要を理解するだけでも、今回のサービスはどの方向性でネーミングすることになりそうか見立てがつきますよね。

  • 会社名とサービス名が一致している場合(例:Money Forward,freee)
    • 会社名から〇〇の業界のサービスであることがわかる場合
    • 会社名が有名で名前を入れることで市場で優位に立てる場合
    • 会社名自体がサービスのコンセプトと一致している場合
  • 会社名とサービス名が一致していない場合
    • 会社名から〇〇の業界のサービスであることが第三者から見て認知できない場合
    • 会社名ではなく保有している各サービスが有名な企業の場合
  • サービス名+ 機能詳細になっている場合
    • サービスを拡張させて各サービスで別の収益を上げていきたい場合

サービス名の決定基準を明確にする

前提として、1発で誰もがしっくりくるサービス名を出すことは難しいので、サービス名の発散と収束は何度も行います。その際に、決定基準を明確にしておかないとサービス名の方向性を定めていくことができません。また、サービス名や企業名は今後数年、もしかしたら何十年と使われる可能性のあるものです。最終意思決定についても慎重に行うと思いますので、基準を明確にしておく必要があります。

▼このプロセスにおけるポイント

- 前提、サービス名のアウトプットを出して社内・先方にフィードバックをもらう中でアップデートされていくものなので、最初の条件に固執しないこと

- ロゴの作成イメージが湧く基準が作成されていること

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

- 名前の良い悪いの判断はしにくい(特にクライアントは)ため、基準を決めることで案を絞っていくことができるため

▼アウトプットの例

基本的なネーミングの判断基準に、クラインアントとのすり合わせで出てきた基準を追加していきます。例えば、サービス名の候補を出し、その候補に対してのフォードバックや所感などを伺いながら追加していきます。

一般的な決定基準:

① サービスコンセプトは反映されているか

サービスコンセプトを総て反映したネーミングは難しいので、サービスコンセプトの中でも特に重視したい要素を決めておく。

② 音感がよいか

音感がよければユーザーに記憶されやすくなる。また、その音感がコンセプトにマッチすることがベスト。

(例)軽い印象を持たせたい場合は、濁音を使わない。

③ 発音しやすいか

発音しづらいと使われなくなる=名前が浸透しない可能性がある。

※声に出して呼ぶ機会が少ない場合は考慮しなくて良い可能性もある。

④ わかりやすいか

どういったサービスなのか、サービス名でわかるものにする

※ただし、機能を表現するワードを組み合わせるのか、コンセプトを表現するのか、など表現方法は複数あるため、わかりやすさの表現方法は検討必要あり。

字面の表現は適切か

サービス名の印象は音だけでなく、目からの印象でも形成される。したがって、大文字小文字など表現したい世界観が1番伝わる字面を選択する必要がある。

クライアントからのフィードバックを踏まえ条件として追加:

あくまで例になりますが、クライアントからフィードバックをいただいて追加したものとして下記があります。

  • カジュアルすぎないもの
  • 革新性がありすぎる名前ではないこと
  • 漢字を使用したレガシーな名前ではないこと
  • サービス名単体でも企業名を追加しても成り立つものであること

誰にどんな価値を提供したいサービスなのか言語化

サービス名策定のイメージをより詳細に思考するために要素を整理していきます。

このプロセスにおけるポイント

- デザインコンセプトを出すためのアウトプットと一部関わってくるため、デザイナーとサービスイメージの連携が必要

- サービスリニューアルの場合、現状とリニューアル後両方の価値を出すこと 差分が明確になり、新しいサービスではどんなイメージをつける必要があるのか、そのイメージづけに適したサービス名が何かの発想に役立つ

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

サービス名の方向性を整理するために下記を言語化する必要があると判断したため。
- サービスが現在どんなユーザーにどんな価値を提供しているのか

- サービスが今後どういったユーザーにどんな価値を与えられるのか ※上記はサービスのリニューアルの場合の例です。

サービス価値から出したサービス名で表現したいイメージ

現在のサービス(企業)イメージと、今後作っていきたいサービスイメージを整理します。現在のイメージは必ずしも出さなくて良いものですが、今の要素をやや残してリニューアルしたい場合や、現状と未来の差分を出して、その差分が何か、差分を埋めるためにどのようなサービス名にするかを思考する際に役立ちます。

▼このプロセスにおけるポイント

- 擬人化すると、偉人で例えると、カラー/ワードのイメージで言うとどの色、など複数の観点からイメージをアウトプットすること

- ワードで終わらせず最後は文章化してまとめるとどういうイメージなのか収束させること
ワードで発散させるだけだとなんとなくイメージがあるだけで終わってしまい、次のワード発散の方向性が決まらない。

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったの

- ワードの発散を行う前にサービス名で表現したいイメージを言語化することで、 発散するワードの方向性を絞ることができるため。 
- ワードの発散をする際にイメージから類義語

▼アウトプット例

擬人化、イメージカラー、イメージと近い偉人、など様々な観点で発散をします。

擬人化した際のイメージ:

(現状)

・他者との比較はしない

・ストイック(表には出さないが)

・凛としている

・コツコツ小さな成功を積み上げて大きな成功を成すタイプ

・安心を感じる(信頼できる)

・裏表がない

・感情の起伏が激しくない

・素朴

・正直

・飽きない(目新しさはないがずっと使い続けたい)

(今後)上記の要素は残しつつ下記を追加。

  • エキスパート
  • 進化し続けている

偉人のイメージ:

サービス名に入れたい要素出し

サービス名に入れたい要素を絞っておくことでブレなく後続プロセスのワード発散ができます。

▼このプロセスにおけるポイント

- 最低限の要素に留める 要素を出そうと思えばたくさん出てしまうため、必ず持たせたい要素のみに絞る

- 必ず社内で合意を取る 他のプロセスも全て社内でフィードバックをこまめにもらうが、特にこのプロセスで認識に齟齬が出るとワード発散の方向性にブレが生じるため特に丁寧に認識を合わせる。

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

- ワードの発散時にワードにブレが生じないようにするため

▼アウトプット例

  • 永続的なニュアンスを感じる
  • ダイレクトに伝わる
  • 〇〇な機能を押し出す〇〇な要素
  • スマート=無駄がなくてキリッとしている

キーワードの発散

いよいよ、サービス名を作るためのワード発散です。ここまで整理してきた価値や持たせたい要素に関するワードを発散していきます。ここでは質ではなく、量を重視してたくさんワードを発散してください。

▼このプロセスにおけるポイント

- 発散するワードの多さと多角的な観点で幅出しができていること 類義語や和英辞典、英英辞典、Googleでの画像検索など、持たせたいイメージに関連しそうな言葉を検索して、検索した言葉からさらに類義語を探すなどする

- ワードを発散して同じ系統でグルーピングできていること グルーピングすることで、前のフェーズで出したイメージに対してどういったワードが発散が足りていないのか把握することができるため、持たせたい要素に対して漏れなくワードの発散ができる

- 発散してネーミングを作成して、発散して、、、を繰り返しできていること

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

- キーワードを発散することでサービス名の組み合わせの幅が増えるため

- 細かいニュアンスのズレを把握し、発散するワードの方向性を修正していけるため
(例)保存を表現したいが、saveだと一時的な保存に感じてしまうが、本来表現したいのは継続的な保存なので
keepの方がイメージが近い、など

サービス名の評価

サービス名の候補を絞る、また新しい候補を出すためにも、何が良くて何がダメなのかを評価し共通項を整理する必要があります。

このプロセスにおけるポイント

- 評価の軸と評価の結果が明確に言語化されており、記録として残っていること 記録先はどこでも良いが、記録が残っていないと没にした方向性のサービス名をまた出してしまい、出戻りが発生する。

- 重要視したい要素から順に点数に重みづけを行うことができると客観的な評価がしやすい

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

- 評価軸を明確にすることで、どの要素を取捨選択したのか、思考過程を残すことができ、クライアントに説明しやすい状態になるため。

商標登録の申請

前提として商標登録を行わなくてもその名前を使うことはできますが、同様の名前があった際に不利に働いてしまうため、特別な理由がない限り商標登録は行いましょう。

商標登録を行う前に事前に調査会社を使ったリサーチ、もしくはご自身でも調べることができますので、必ず調べてから申請を行いましょう。

このプロセスにおけるポイント

- 商標登録にかかる期間をクライアントに共有し、理解してもらう
商標登録にかかる期間を把握していないクライアントもいるため、どのくらいかかるのか、そのために現状のサービス名決定のスケジュールになっていることを理解してもらうことで、

- 商標登録を誰がいつやるかクライアントに早期の段階で決めてもらうこと

- 商標検索のサイトやGoogleでのキーワード検索で被っている名前がないか確認をする
※同じ名前でも商標登録の分類や意味合いが違えば、登録できる場合があります。

▼なぜこのプロセスを行おうと思ったのか

- 商標登録がされていないと、同業で同様のサービス名を利用している企業があった際に不利になってしまうため

▼商標登録の検索サイト

特許庁が作成しているサイトがあります。(他にも複数サイトがありますので、すべてのサイトで検索をするのがベストです。)

最後に

名前を決める際には納得感が必要です。ただ、その納得感は直感だけで決めることができないものだったりもします。直感を裏付けるためにも、名前に持たせたい要素を明確にして、決めていく必要があるのです。ぜひこの記事を参考にして、情報の整理とワードの発散、名前の策定をしていただければと思います。

ブランディング支援資料

セブンデックスのブランド構築プロセスと実績詳細が解説されている資料を無料でダウンロードできます。

大学時代、学生団体でイベントの企画などを経験し、体験設計に興味を持つ。新卒で旅行会社に入社し、営業や営業企画を経験後、体験設計に注力できる、且つサービスを通してではなく、直接顧客の課題に向き合い事業のグロースに寄与できるセブンデックスに惹かれ、UXデザイナーとして入社。