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メンタルモデルとは?相手を理解しビジネスに活用しよう

朝起きて、ご飯を食べて、歯磨きをして…
外出する時は鍵を閉めて、外で雨が降ってきたら傘をさして…
夜になったら帰宅して、お風呂に入って寝る。

私たちは、1日の中で数えきれないほどの「行動」をとっていますが、そのほどんどは、意識的ではなく無意識的に行っているものです。

頭を使って考えた上で意思決定をしなくても、おそらく歯磨きはしますし、雨が降ってきたら傘を差すでしょう。

なぜ、意識もせずに行動することができるのか。それは、意識しなくても勝手に脳が状況判断をし、あなたの行動に導いているからですが、その裏には土台となる判断材料が存在します。

面白いことに、どのような「土台」を築いていて、どのような「判断材料」を持っているかは人によって異なり、世の中には、歯を磨かない人や、傘を差さない人がいることも事実です。今回は、UXデザインにおいて、その「土台」を形成するのに重要な要素となる「メンタルモデル」という考え方に触れていきます。

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メンタルモデルとは

メンタルモデルとは、『人間が無自覚のうちに持っている、思い込みや価値観』のことです。

元々は認知心理学という分野の言葉で、人が何かの思考に到る前提として、メンタルモデルが存在します。

例えば、幼少期に犬に襲われた経験がある人は、犬を見たときに「襲われるかもしれない」と感じますが、実家で犬を飼っている等で常に犬と一緒にいる環境で育ってきた人にとっては、「可愛い!」と感じるでしょう。

犬を見たときに、その人の脳が「犬=怖いもの」として処理するか、「犬=可愛いペット」として処理するかは、「過去の体験」によって変わってくるのです。

他にも、私たち日本人は、家に帰ったら靴を脱ぐのが常識とされていますが、海外では靴を脱がすそのままベッドに上がる文化があるようです。

このように、同じ状況下であっても、その人がこれまで育った環境や体験によって、「思考や行動」が変わってきます。それらの裏には、無意識のうちに自身の思考を誘導している「思いこみ」や「価値観」があります。

その「思いこみ」や「価値観」のことを「メンタルモデル」と言います。

メンタルモデルは、思考に至るまでの土台となるもの

メンタルモデルは、あなたの思考を形成する、土台となるものです。

メンタルモデルによって思考が形成され、その思考を元に行動が決まり、その行動が(私たちの目の前で起きている)体験を引き起こします。

つまり、私たちの目の前で起きている全ての体験は、メンタルモデルの上に成立しているということになります。

では、メンタルモデルは何によって形成されているのか。それは、「過去の体験」です。

冒頭の「犬に対するメンタルモデル」で例えると、「犬を見つけたので、怖くなって逃げてしまった」という出来事の土台には、「犬は人を噛むものである」というメンタルモデルが存在し、そのメンタルモデルは「犬に噛まれたことがある」という過去の体験の上に成立しているのです。

思考:「顕在意識」と「潜在意識」

私たちの行動を左右する意識(上記でいう「思考」)は、「顕在意識」(理性・決断など)と「潜在意識」(価値観、感情、観念など)の2つに分類することができ、顕在意識は3%〜5%ほどの割合で、それ以外(95%〜97%)は全て潜在意識であると言われております。

行動をコントロールするためには、97%の「潜在意識(思考)」を攻略しなければなりませんが、「潜在意識(思考)」という事は、直接的にコントロールすることができないということ。意識(思考)を直接的に変えたとしても、行動を変える事はできないのです。

逆に言えば、潜在意識(思考)をコントロールする術を身につけていれば、多くの行動を変えることができるとも言えます。

メンタルモデルは、意識するものではなく、知るもの

では、思考をコントロールするための土台となる「メンタルモデル」には、どのように向き合えば良いのでしょうか。

大事なポイントとしては、「メンタルモデルは、意識するものではなく、存在を知るもの」ということ。

メンタルモデルは、意識して変えられるものではありません。メンタルモデルよりも上に形成される「思考」でさえ97%が無意識(潜在的)であるため、その土台となるメンタルモデルを意識的に変えられる訳がありません。

先ほどの例で言えば、顕在意識で「犬を見ても逃げない!」と意気込んでいたとしても、潜在的に「やっぱり怖いかも・・」「噛まれた経験が忘れられない」という意識を持っていた場合、行動を変える事は難しいですよね。

「犬を見たときに逃げてしまった」という出来事は、「犬を見た時に逃げてしまう」という行動によって引き起こされ、その土台には「また犬に噛まれるかもしれない」という思考があること認識し、「犬は人を噛むもの」というメンタルモデルが無意識に働いていることを自覚します。

その上で、「犬は毎回噛むわけではない」という新しい体験をすることで、体験→メンタルモデル→思考→行動→体験と段階的に変わっていくのです。

つまり、メンタルモデルの存在と座組みを知り、新たな体験によって「未来の出来事」が変わっていくということです。

メンタルモデルを理解することで広がる可能性

ここまで、メンタルモデルを知ることが大切という話をしてきました。最後に、メンタルモデルを知ることで得られるメリットについて触れておきます。私が考える、「メンタルモデルを知ることのメリット」は、大きく3つです。

  1. 自己成長に活かせる(自分の行動を変える)
  2. マネジメントに活かせる(チームメンバーの行動を変える)
  3. 広告・営業戦略に活かせる(自分が知らなかった行動を知る)

メンタルモデルを知れば、その人の思考が分かり、行動が分かります。

ビジネスの世界で結果を出すためには、行動の変化が求められるシチュエーションも少なくありませんが、行動を変えようと思ったら、思考を知り、メンタルモデルを知り、過去の体験を変えなければなりません(「①」と「②」に該当)。

また、自分とは異なる行動を取る人のメンタルモデルを知ることで、自社製品の新たな使いに気づくこともあります「③」に該当)。

例えば、私が歯ブラシを拡販する広告戦略を任された場合、「歯ブラシ=食後に歯を磨くもの」という認識を持っているため、自社の歯ブラシを拡販する際には、食後のシチュエーションを考えなら戦略を検討します。

一方で、最近「食前に、口の中を綺麗にして、より綺麗な口内状態で食事をするために歯を磨く」という方に出会いました。「歯磨き=食前にするもの」というメンタルモデルを知ることで、歯ブラシのユーザー数がぐっと広がり、新たな切り口で戦略を考えることができるでしょう。

このように、「メンタルモデル」は全ての思考・行動・体験の土台になっているため、その土台を理解することで、あらゆる可能性を広げることができます。

自身のメンタルモデルを知り、相手(メンバー、ユーザー、クライアント)のメンタルモデルを知れば、「行動」や「体験」を意図的に設計することができるのです。

ぜひメンタルモデルを取り入れ、意図した体験設計を行ってみましょう。

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新卒入社でマイナビに入社し、企画営業としてマイナビ転職や、求人広告販売を担当。全社表彰/社長賞獲得。CX(Candidate Experience)を通して広義のデザインに可能性を感じ、また自分の仕事の領域を広げたいと思い、セブンデックスに入社。現在はPM/UXデザイナーとして様々な案件に携わりつつ、採用人事など幅広く担当している。