企業のWebサイトは、単なる情報発信の場にとどまらず、顧客との初期接点としての役割を担い、ブランド認知や事業成長に直結する重要な経営資源です。その中心にあるのが「Webデザイン」です。
Webデザインは、単なるビジュアル表現ではありません。ユーザーの導線設計、コンバージョン最適化、情報構造の整理など、成果につながる設計力が問われます。優れたデザインは、企業の信頼性を高め、サービスや商品の価値を的確に伝えます。
本記事では、Webデザインの基本的な概念、制作プロセス、そして実務に必要なスキルについて、要点を絞って解説しています。
目次 [開く]
そもそもWebデザインとは?
Webデザインとは、パソコンやスマホ、タブレットなどのデバイスに表示されるWebサイトの見た目に関わる制作を行うことを指します。Webサイトのワイヤーフレームの作成やレイアウト変更、UX改善など多岐に渡ります。
WebデザインはWebサイトの目的を達成し効果の最大化を目指すことが求められます。従って、単なるサイトのかっこよさや見栄えに注目が行きがちですが、ユーザーのニーズを適切に捉えたWebサイトを作ることが最も大事になります。
Webデザイナーの仕事とは
Webデサイナーの仕事は上記でも記したWebデザインを専門に行う人や職業を指します。基本的なWebデザイナーの役割はWebサイトの構築方法、ビジュアルデザイン、コーディング作業に分かれます。
Webサイトの構築は目標やターゲット層の明確化やワイヤーフレーム、プロトタイプの作成を具体的に行います。ビジュアルデザインはワイヤーフレームなどを基にレイアウトやカラーやフォントなどの選定からデザインコンセプトの決定を行います。最後にコーディング作業とはHTMLやCSSを用いてデザインを実際のWebサイトに反映します。また、PCやスマートフォンなど様々なデバイスで表示できるように設定します。
Webデザインに必要なスキル
デザインに関する知識
Webデザインにおける「デザインの知識」とは、感覚的なセンスではなく、論理的な思考とユーザー視点に基づいた情報設計力を指します。たとえば、視線の流れやボタン配置、情報の伝わりやすさなどに配慮する必要があります。
具体的には、レイアウトの基本原則(整列・反復・近接・対比)、配色、フォント、余白の扱いといった視覚的な整理術が求められます。これらはユーザーにとっての“無言のナビゲーション”となり、理解と操作性を高めます。
さらに、Web特有のスクロールやクリックといった動きに対応した設計も重要です。美しさに加えて、「動き」と「文脈」に配慮した表現が、成果を生むデザインを支えます。
デザインツールの操作能力
Webデザイナーにとって、デザインツールを自在に扱える力は欠かせません。頭の中のアイデアも、形にできなければ価値になりません。ツールの習熟は、作業の正確さやスピードに直結し、仕事の質と効率を大きく左右します。
FigmaやAdobe XD、Photoshop、Illustratorなどが代表的なツールで、中でもFigmaはチームでの共有やプロトタイピングに強みがあります。これらを使って、ワイヤーフレームの設計からUI制作、画像の加工まで幅広い業務を担います。
ただし、ツールを操作できるだけでは不十分です。重要なのは、目的に応じた使い分けです。UIデザインにはFigma、画像加工にはPhotoshopなど、用途に最適なツールを選ぶ判断力も必要です。
コーディングやプログラミングに関する知識
Webデザインでは、エンジニア並みのスキルは不要でも、HTML・CSS・JavaScriptといった基本的なコーディング知識があると大きな強みになります。コードの構造や動作を理解していれば、実装しやすいデザインを考えることができ、開発との連携もスムーズです。
アニメーションやレスポンシブ対応など、動的要素を意識した設計は、ユーザー体験を高めるうえでも重要です。また、WordPressなどCMSの仕組みを知っておくと、運用面を見据えた提案も可能になります。
動きや構造が伴うWebにおいて、コードの理解はデザインをより実践的にする力です。基本からでも着実に学ぶことで、説得力のあるアウトプットにつながります。
優れたデザインを観察・分析する力
Webデザイナーにとって、良質なデザインに日常的に触れ、その意図を読み解く力は欠かせません。ただ「見る」だけでなく、「なぜこの配色なのか」「どうしてこのレイアウトが使いやすいのか」といった視点で観察することで、自分の中にデザインの引き出しが増えていきます。
たとえば、注目を集めているWebサイトには、ユーザーの視線誘導やボタン配置、余白のバランスなど、目的達成のための仕掛けが随所に施されています。こうした工夫を分析する習慣が、実務での応用力や説得力ある提案力につながります。
また、トレンドや業界ごとの表現スタイルにも敏感であることが重要です。日々のインプットを意識的に行うことで、デザインの幅が広がり、案件ごとに適切なアイデアを生み出す基盤が養われていきます。
Webデザインを作成する際に重要視すべき3つのポイント
UI/UXデザインを意識する
Webデザインでは、見た目の美しさだけでなく「使いやすさ」も重視する必要があります。ユーザーが迷わず目的を達成できるように、分かりやすいナビゲーションやスムーズな導線設計を心がけましょう。
UX(ユーザー体験)を意識することで、ページの離脱を防ぎ、満足度やコンバージョン率の向上につながります。ユーザーの視点で「どんな操作がしやすいか」「どんな情報が求められているか」を考えることが、成果を生むWebデザインの第一歩です。
レスポンシブデザイン
スマートフォンやタブレットの利用が当たり前になった今、レスポンシブデザインはWeb制作において欠かせない要素です。画面サイズに応じてレイアウトを自動調整することで、どのデバイスでも快適に閲覧できる環境を提供します。
ユーザーはPCだけでなく、移動中や隙間時間にスマホからサイトを訪れることが多いため、モバイルでの使いやすさがWebサイトの印象を左右します。レスポンシブ対応が不十分だと、表示が崩れたり、操作がしづらくなったりして、離脱の原因になりかねません。
検索エンジンもモバイルフレンドリーなサイトを評価するため、SEOの観点からもレスポンシブデザインは重要です。すべてのユーザーに最適な体験を届けるために、初期設計の段階から対応を意識することが大切です。
SEO対策も必須
Webデザインは見た目だけでなく、検索エンジンで上位表示されるための「SEO対策」も重要です。適切な見出し構造や、テキストと画像のバランス、読み込み速度の最適化など、デザインの工夫が検索順位に影響を与えます。
また、ユーザーにとって使いやすい設計は、滞在時間や回遊率の向上にもつながり、結果的にSEOにも好影響をもたらします。デザイナーであっても、基本的なSEOの知識を押さえておくことは、成果につながるWebサイトを作るうえで欠かせません。
事例から知るWebデザイン作成の手順
今回はセブンデックスが手掛けた積水ハウス株式会社様の事例に則り、説明していきます。
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Webデザインを作成する目的を明確にする
Webデザインを行うにあたっては、まず「誰に向けて、何を伝えるのか」を明確にすることが欠かせません。これが定まらなければ、どれほど見栄えの良いデザインでも、成果にはつながりません。
そのためには、SEO調査やアクセス解析を通じて、検索キーワードの傾向や流入経路、直帰・離脱ポイントなどのデータを収集・分析します。こうした定量的なデータに基づいて、ユーザーの検索意図やニーズを正確に捉えることで、ターゲットのペルソナを具体化することができます。
さらに、メインターゲットに加えてサブターゲットも設定することで、サイトの多目的性が高まり、より幅広いユーザー層への対応が可能になります。
Webサイトのコンセプトを決定する
ターゲットと目的が明確になったら、次のステップはサイト全体のコンセプトを設定することです。コンセプトが定まることで、トーン&マナー(トンマナ)に一貫性が生まれ、デザイン全体に統一感が出てきます。
トンマナに関して詳しく知りたい方はこちら
たとえば今回のプロジェクトでは、「コミュニケーションを行うWebサイト」というコンセプトを設定し、それを軸としてサイト全体の設計・制作を進めました。
コンセプトが決まった後は、それに基づいてユーザーに伝えたい情報を整理し、Webサイトの最終的な理想像を具体的に思い描くことが重要です。これにより、目的に合致した、ぶれのないサイト制作が可能になります。
Webサイトのワイヤーフレームを作成する
ターゲット、コンセプトが決まったらWebサイトのワイヤーフレームの作成に取り掛かります。ワイヤーフレームとはデザインの一歩手前のサイトの枠組みのことを指します。ワイヤーフレームは以下の2つのことを決め、その後機能を追加していきます。
レイアウト
どのコンテンツをサイト内のどの位置に配置するか、CTAをどこに設置するかなど、全体の構成を大まかに決めていくのがレイアウト設計の作業です。同じ情報であっても、配置する場所によってユーザーの印象やクリック率は大きく変わります。そのため、レイアウトを検討する際は、慎重かつ十分な時間をかけて取り組むことが重要です。
デザイン
レイアウトが確定したら、次はデザインの工程に入ります。デザインは、レイアウトに加えて「色」「フォント」「画像」などの要素で構成されます。配置する内容や位置がある程度決まっている状態だからこそ、色使いや書体選びによって、ユーザーにとっての視認性を損なわずに、いかに独自性やブランドらしさを表現するかが重要なポイントになります。
また、既存サイトのUX/UIを改善する場合も同様に、まずは「なぜユーザーが離脱しているのか」という課題を丁寧に分析し、それに基づいた適切なコンセプト設計とワイヤーフレームの再構築が不可欠です。問題の本質を捉えたうえでのデザイン設計こそが、改善効果を最大化する鍵となります。
コーディングを行い公開する
デザインが完成したら、最後に「コーディング」と呼ばれる工程が必要になります。
コーディングとは、JavaScriptやHTML、CSSなどのプログラミング言語を用いてソースコードを記述し、デザインを実際のWebブラウザ上で動作する形に落とし込む作業です。
この工程が必要になる点こそが、Webデザインと紙媒体(チラシやポスターなど)との大きな違いです。Webは、見た目だけでなく「動作する仕組み」まで一体で設計する必要があるため、コーディングはWeb制作において欠かせない要素のひとつといえます。
まとめ
Webデザインは見た目だけではなく、戦略と設計力がものを言います。セブンデックスでは、ユーザー理解に基づいた導線設計やブランド訴求力のあるUI設計を通じて、成果につながるWebサイトを構築します。
リニューアルや新規立ち上げをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。ビジネスの成長に直結するサイトを、戦略から実装まで一気通貫でご提案します。
以下ではWebデザインに強い制作会社をまとめた記事になりますので詳しく知りたい方はこちら