2025年のWebデザインは、ひと言でいえば「伝わる気持ちよさ」。目を引くビジュアルだけでなく、読みやすさ・操作の確かさ・軽さまで含めて体験を丸ごと整えることが評価されます。
本記事は、現場で使える視点を持ちながら、20のトレンドをやさしく解説します。見た目の流行(タイポや配色、レトロ感)だけでなく、アクセシビリティ、マイクロインタラクション、パフォーマンス(操作後の速さ)、デザイン運用、そしてAIの活用までをまとめました。
読み方のコツはシンプルです。全部を盛るのではなく、自分たちの目的に合う3〜5個だけを濃く使う。コーポレートなら「アクセシビリティ×余白×読みやすいタイポ」、採用なら「巨大タイポ×イマーシブ表現×オリジナルイラスト」、ECなら「スマホ読みの縦スクロール×マイクロインタラクション×軽量化」——そんなふうに組み合わせると、見た目と成果のバランスが取りやすくなります。
目次
- 1) アクセシビリティ・ファースト
- 2) PCでも“スマホ読み”の縦スクロール
- 3) スプリットレイアウト(大胆2分割)
- 4) 体験型3D(“使える3D”)
- 5) イマーシブ(没入)デザイン
- 6) AIアシスト・デザイン
- 7) “境界線を見せる”ボーダーデザイン
- 8) エクスペリメンタル・ナビゲーション
- 9) マイクロインタラクション
- 10) 遊び心のあるカーソル
- 11) アダプティブ・ダークモード
- 12) カスタムイラスト&抽象図形
- 13) レトロ/Y2K & ピクセルアート
- 14) 多色ノイズ・グラデーション
- 15) ニューナチュラリズム(有機とクリーン)
- 16) ミニマル&ホワイトスペース
- 17) Bento Boxレイアウト
- 18) 巨大見出しのファーストビュー
- 19) 紙っぽいデザイン(エディトリアル風)
- 20) サステナブル/軽量志向
- Webデザインならセブンデックスにおまかせ
1) アクセシビリティ・ファースト
「誰でも使える」を最初の設計条件に据える考え方です。色のコントラストは十分か、見出しは階層できちんと並んでいるか、画像に代替テキストはあるか、キーボードだけで移動できるか、読み上げで意味が通る文になっているか——こうした基本を“あと付け”ではなく最初のワイヤーから織り込みます。結果、迷わない導線で離脱が減り、フォーム完了率も上がりやすく、ブランドへの信頼感も底上げされます。
例:フォームの必須項目は「*(必須)」だけでなく、エラー時に具体的な修正案を表示(例:「電話番号はハイフンなしで」)。
やりすぎ注意:チェック項目を増やしすぎて迷走せず、まずは「コントラスト・フォーカス・代替テキスト」の三点から確実に整える。
2) PCでも“スマホ読み”の縦スクロール
PCでもスマホのように、上から下へ気持ちよく読み進められる作りが主流です。章ごとに背景や写真のサイズ感を切り替え、余白で呼吸をつくると長いページでもダレません。ナビや関連情報は画面の脇やヘッダーに“常に見える”形で置き、本文は1段でシンプルに。採用やキャンペーンのようにストーリーを伝えたいページほど効果的で、CTAは各章の“落ち”に置くと次の行動につながります。
例:採用LPで、上から「ミッション→働く人→制度→応募」の順に縦で読み切り、各章末にCTA。
やりすぎ注意:装飾や演出を盛り込み過ぎず、1セクション1メッセージの原則で縦のリズムを崩さない。
3) スプリットレイアウト(大胆2分割)
画面を左右(または上下)に分け、画像とテキスト、動画と解説などを同時に見せて理解を早める王道パターンです。視線は“左→右”や“上→下”の自然な流れになるよう、強い要素を先に置き、余白と行間で息継ぎを用意します。部分使いもしやすく、会社紹介の要点、製品の特徴比較、キャンペーンのハイライトなど“ここで伝え切りたい”場面に効きます。モバイルでは上下に積み替えても意味が通る順番にしておくのがコツ。
例:左に製品写真、右に価値訴求+購入ボタン。
やりすぎ注意:情報を詰め込み過ぎず、1ブロック=1主張+1行動に絞ってコントラストと余白で読み筋を守る。
4) 体験型3D(“使える3D”)
目を驚かせるためではなく、理解を深めるための3Dです。製品を360°で回して細部を見せる、色やパーツを切り替えて比較する、ARで設置イメージを試す——オンラインでも“手に取る感覚”に近づけます。とくに高額商品やB2Bの複雑な仕組み紹介で効果が大きく、購入前の不安を減らせます。実装は軽さが命。モデルは最適化し、読み込みは遅延、操作ガイドや“静止画での要約”も用意して、誰にとっても扱いやすく。
例:家具を360°回転+ARで自室に配置してサイズ感チェック。
やりすぎ注意:重い3Dを全面に敷かず見せ場だけに限定し、必ず軽量化・遅延読込・静止画の代替をセットにする。
5) イマーシブ(没入)デザイン
画面いっぱいの写真や動画、スクロールに合わせたちょい動き、軽い3Dや環境音で、見る人を物語の中に連れていく見せ方です。章ごとに「ここで何を感じて、何を理解してほしいか」を決めて、CTA(次の行動ボタン)はいつでも目に入る場所に置いておくと迷いません。重いメディアは圧縮や遅延読み込みで軽くし、字幕や代替テキストも忘れずに。
例:ブランドの歴史をスクロールで年表→エピソード→製品へ誘導。
やりすぎ注意:演出は“見せ場”だけに絞り、CTAとメニューは常に見える状態を保つ。
6) AIアシスト・デザイン
ワイヤーやレイアウトのたたき台、配色の当たり、ダミーコピーやイラストづくりなどはAIに任せ、人は情報設計と仕上げ(読みやすさ・ブランドらしさ・配慮)に集中するやり方です。プロンプトには「目的/誰向け/NG(避けたいこと)」の3点を書いてブレを減らし、出力はガイドラインに沿って人の言葉に整えます。画像は権利面の確認もセットで。
例:サービス特徴のアイコン案をAIで量産→3案に絞ってリデザイン。
やりすぎ注意:AIの出力を鵜呑みにせず、著作・事実・表記を人が最終チェックして使う。
7) “境界線を見せる”ボーダーデザイン
セクションやカードの区切りを、細い罫線や淡いボーダーであえて見せる手法です。線だけに頼らず、広めの余白や背景トーンのわずかな差、うっすら影を合わせると整理が伝わりやすく、コーポレートでも上品にまとまります。ダーク/ライト切替時は線の明るさを背景比で微調整すると安定。
例:ニュース一覧:サムネ・見出し・日付をカード枠で整列。
やりすぎ注意:罫線を増やし過ぎず、まず余白、次に線、最後に色の順で区切る。
8) エクスペリメンタル・ナビゲーション
3Dっぽい切り替えや、触って探索したくなるメニューで“探検している感じ”を作るナビです。個性が立ちますが、目的地に早く着けることが大前提。主要ページへは最短2手で届くよう情報を圧縮し、検索・パンくず・戻るボタンは常に使えるようにしておくと安心です。
例:作品集サイトで、カテゴリーをホイール操作で円形に展開、中心クリックで遷移。
やりすぎ注意:驚きより到達性を優先し、主要ページへ最短2手+検索・戻るを常設する。
9) マイクロインタラクション
「押した」「選んだ」「送信した」瞬間に、ちょっとした動きや音で気持ちいい返事を返す設計です。ボタンがふわっと沈む、完了トーストがサッと出る——それだけで安心感が増します。動きは短くキビキビ(だいたい0.1〜0.25秒)に、OSの“動きを減らす”設定に合わせて弱める配慮もセットで。
例:「カートに追加」でアイテムがアイコンへ小さく飛ぶ→バッジが+1。
やりすぎ注意:反応は小さく短く要所だけ、動きが苦手な設定では自動で弱める。
10) 遊び心のあるカーソル
カーソルの形や追従のエフェクトで「触ると楽しい」をひとさじ。たとえばギャラリーの上だけ“Drag to explore”風のカーソルに変える、ロゴの近くでだけブランドモチーフを小さく出す——といった限定使いが上品です。入力欄やテキスト選択では既定のカーソルを保って、操作の確かさを優先しましょう。
例:ヒーローのロゴ付近だけ、カーソルに小さなブランドモチーフを表示。
やりすぎ注意:使う場所を限定し、可読性とクリック精度を保ちつつ入力時は既定カーソルを守る。
11) アダプティブ・ダークモード
“目にやさしい”だけでなく、写真やビビッドな色を引き立てる舞台として使えるのがダークモードの強みです。prefers-color-scheme
に沿ってOS設定と連動させたり、時間帯や環境光で切り替えるなど、自動運用も広がっています。実際の画面では、ロゴの反転版・透過PNGの縁・影やグラデーションの黒つぶれなど、ダーク特有の見え方を細かく整えるのがコツ。リンクやボタンは明度差だけでなく“形と位置”でも見つけやすくし、フォーカス・ホバーの反応を少し強めにすると操作の確信が得られます。
例:ダーク時はリンク下線を太めに、フォーカスリングも明るめの色で強調。
やりすぎ注意:背景をただ暗くするだけでなくコントラスト・可視性・ブランドカラーの再定義を一度で見直すこと。
12) カスタムイラスト&抽象図形
既製素材に頼らず、その会社の声色を絵で表現する考え方です。採用やサービス紹介では、人物の描き方・線の太さ・塗りの面積、そして抽象図形の“間”が親近感と記憶性を左右します。写真が弱い場面でも、イラストと抽象図形のコンビでトーンを保ちやすく、キャンペーン、機能紹介、社内文化の発信まで汎用性高く展開可能。運用面では、色(ブランド/アクセント)、線(太さ/角)、影(有無)をトークン化しておくと制作ブレが減ります。
例:プロダクト説明にて、抽象図形で「流れ」や「階層」を図解、写真なしでも理解できる。
やりすぎ注意:描き込み過多や色数の増えすぎで情報が散らばらないよう“線・面・色のルールを3つだけ決めて全体に貫く”こと。
13) レトロ/Y2K & ピクセルアート
太めのアウトライン、ビビッド配色、グリッド感のあるピクセル表現で、懐かしさを今のUIに落とし込む再解釈です。若い層には新鮮に、上の世代にはノスタルジーで響き、カルチャー色の強いブランドや採用・イベントLPと好相性。成功の鍵は、本文やフォーム、ヘルプなどの実用部分は現代的に整える切り分けにあります。レトロ味は見出しやキービジュアル、ナビの一部に限定して“効かせどころ”を作ると、世界観と使いやすさが両立します。
例:ストリート系ECでは商品カードのホバーで“ネオ看板風”の縁取り演出。
やりすぎ注意:可読性やアクセシビリティを崩さないよう装飾は要所に限定し本文は現代UI基準で設計すること。
14) 多色ノイズ・グラデーション
“にじみ+ざらつき”で温度と奥行きを与える背景表現は、無地では出せない空気感を短時間で作れます。広い面で使う場合は、手前に置く文字・アイコンの視認性を最優先し、見出しは太め・本文は十分な行間で読み切れる強さを確保。ノイズは極薄を基本に、階調が飛ばない明度帯でコントロールすると上品にまとまります。段落の切れ目やCTA周りは“ノイズ弱めのポケット”を作ると、視線が迷わず次の行動へ進みます。
例:イベント告知で、見出し帯だけノイズ強め、本文背景はフラットで可読性を確保。
やりすぎ注意:背景が主役化して情報が沈まないようコントラストと“静かな余白”を確保して要所の可読性を死守すること。
15) ニューナチュラリズム(有機とクリーン)
アースカラー(セージ、サンド、テラコッタなど)と、紙やリネン、木目のごく薄いテクスチャ、有機的な曲線を組み合わせて“温かい清潔感”をつくる方向性です。写真は自然光で彩度控えめ、タイポはヒューマニスト系サンセリフやセミセリフで、柔らかさの中に読みやすさの芯を置きます。レイアウトは呼吸のある余白を広めに取り、要所にシャープな見出しやルール線を差して、ぼやけがちな印象を引き締めるのがコツ。動きはパララックスやフェードなど穏やかなモーションで“空気の流れ”を感じさせる程度に留めると上品です。ウェルネス、フード、サステナ系、ライフスタイルブランドのストーリーテリングと好相性。
例:オーガニック食品のWebサイトでは、自然光の写真+セージグリーン&砂色の配色。
やりすぎ注意:アースカラーの使い過ぎや重いテクスチャでコントラストと軽さを損ねないよう、色数を絞りつつ“太い見出し+広い余白”で締めどころを必ず作ること。
16) ミニマル&ホワイトスペース
「余白は装飾ではなく要素」という考え方で、情報を間引き、行間・段落間隔・グリッドを整えて、視線の流れをまっすぐ導きます。色数は最小限、強調はサイズ・太さ・位置で行い、影や装飾は必要な場面だけ。コピーは短く、コンポーネントは用途別に役割を一つに絞ると、設計の一貫性と運用のしやすさが両立します。タイポは流体スケール(clamp
設計)で端末ごとに最適化し、CTAは余白の“谷”に置いて視認性を上げると、少ない要素でも説得力が出ます。結果としてパフォーマンスも良くなり、ブランドの“格”を演出しやすくなるのが利点。
例:法人サイトでは、白背景に黒と1アクセント色のみ、CTAは余白の“谷”に配置。
やりすぎ注意:装飾を削るあまり意味まで削らないよう、目的から逆算して必要情報は残しつつコントラスト・フォーカス・タブ移動の確実性を検証すること。
17) Bento Boxレイアウト
カードをタイル状に並べ、ユーザーがつまみ食いのように情報を拾えるレイアウトです。1カード=1メッセージ(または1アクション)に絞り、サイズや位置で重要度を可視化すると、一覧性と誘導力が同時に高まります。グリッドは2〜4列をベースに、強調カードだけを大きくして“山と谷”を作るとリズムが出ます。モバイルでは縦一列に落とし、カード内部の要素順(見出し→説明→行動)を崩さないのが鍵。ホバーやフォーカスで小さな反応を返すと可用性が上がり、運用面でもカード単位で差し替えやA/Bテストがしやすくなります。
例:メディアTOP部分では、特集・新着・人気をカードで区切り、並び替えやタグで回遊促進。
やりすぎ注意:一枚のカードに情報やボタンを詰め込み過ぎず、重要度に応じてサイズと配置を割り当てて視線誘導とタブ順の一貫性を保つこと。
18) 巨大見出しのファーストビュー
写真に頼らず、“言いたいことひとつ”を巨大な文字で打ち出す見せ方です。短いコピーを中心に、字間・行間を丁寧に整え、背景とのコントラストを強めることで、数秒で意図が伝わります。余計な装飾を足さないぶん、ブランドの言葉づかいと書体選びが勝負どころ。改行位置でリズムを作り、スマホでは2〜3行に収めると読み切りやすくなります。採用やブランド訴求、キャンペーンLPの“第一印象”を決めたい場面で強力に効きますが、本文やフォームは落ち着いたサイズに戻して読みやすさとのバランスを取りましょう。
例:採用サイトで、「We hire problem solvers.」を3行でドン、下に“募集を見る”ボタン。
やりすぎ注意:メッセージは一つに絞り、実テキストで表現しつつ背景コントラストと行長の上限を守り、装飾は最小限に留めること。
19) 紙っぽいデザイン(エディトリアル風)
雑誌の組版をWebに持ち込む発想。広めの余白とはっきりした見出し階層、リード文・キャプション・細い罫線で、情報量が多くても“上質に読ませる”流れを作ります。見出しは存在感のある書体、本文は疲れにくい書体にしてコントラストを確保。紙の繊維感のようなごく薄いテクスチャを背景に敷くと、画面に手触りが生まれます。PCは1〜2カラムで呼吸をつくり、スマホは1カラム+やや広めの行間が基本。途中にプルクォートを挟むとテンポ良く読めます。
例:事例詳細で、写真にキャプション、章扉に大きな見出しと短いサブリード。
やりすぎ注意:重いテクスチャや装飾の盛りすぎは可読性と軽さを損なう。目次・パンくず・前後記事リンクで“今どこにいるか”を保つと、コラムやブランドストーリーで効果を最大化できます。
20) サステナブル/軽量志向
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やりすぎ注意:軽さを優先しすぎて画質や読みやすさを落とさないこと。
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コツは全部を盛らないこと。この記事の20項目から、目的に合うものを3〜5個だけ選んで濃く使いましょう。ブランディングなら「巨大見出し+イマーシブ+カスタムイラスト」、信頼重視なら「アクセシビリティ+余白+タイポ」、CV最優先なら「スマホ読み+マイクロインタラクション+軽量化」…という具合に、“軸”を先に決めると迷いません。
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