KNOWLEDGE
KNOWLEDGE

マーケティングプロセスとは?6つの実行ステップ、分析方法、ポイントを解説

マーケティングの現場では、「とりあえず思いついた施策をやってみる」「上から言われた企画を急いで形にする」といった場面は少なくありません。そうしているうちに、うまくいく施策もあれば成果が出ない施策も生まれ、「何が良くて何がダメだったのか」が曖昧なまま次に進んでしまうことも多いはずです。

ビジネスで安定して成果を出すには、“思いつき”や“突発的な施策”に頼るのではなく、「誰に」「何を」「どう届けるか」を筋道立てて設計することが重要です。

本記事では、マーケティングプロセスを構成する代表的な6つのステップと、それを支える分析手法やフレームワークを紹介します。さらに、同じプロセスでも前提が大きく変わってくるBtoB・BtoCそれぞれの場面で、どんな点に注意すべきかもあわせて解説していきます。

問い合わせ後、相談会の日程を提案いたします!
自社の課題をプロに壁打ちする!

マーケティングプロセスの6つの実行ステップとフレームワーク【図解付き】

ここからは、マーケティングプロセスを構成する6つのステップを順に見ていきます。各ステップで使われる代表的な分析手法や考え方もあわせて紹介します。

1.マーケティングリサーチ(市場分析)

マーケティングにおける最初のステップは「市場を正しく理解する」こと。すなわち自社を取り巻く 内部環境と外部環境 を整理・分析するフェーズです。

このフェーズで使われる代表的な分析手法は以下のとおりです。

PEST分析

PEST分析画像
参照元:BRUCE CLAY

PEST分析は、以下の4つの視点から、自社ではコントロールできない外部環境(マクロ外部環境)の変化を整理するフレームです。中長期的にどんな追い風・向かい風がありそうかを把握し、事業戦略やマーケティングの前提条件を明らかにします。

  • Politics:政治
  • Economy:経済
  • Society:社会
  • Technology:技術

外部環境は、「マクロ外部環境」と「ミクロ外部環境」に分類されます

  • マクロ外部環境:自社ではコントロールできない、政治や技術など社会経済全体に影響を及ぼす環境要因
  • ミクロ外部環境:市場や競合他社などの環境要因

PEST分析では「政治・経済・社会・技術」の出来事をただ並べるのではなく、自社ビジネスにとってのチャンスかリスクかを必ずセットで考えることがポイントです。

3C分析

3C分析画像
参照元:BRUCE CLAY

3C分析は、以下3つの視点から市場を立体的に理解するためのフレームです。「誰の・どんな課題に対して・自社はどう応えるのか」というマーケティング戦略の骨格を考える土台になります。

  • Customer:市場・顧客環境
  • Company:自社環境
  • Competitor:競合環境

顧客・競合・自社をバラバラに書くだけで終わらせず、「顧客ニーズ × 競合の弱み × 自社の強み」が交わるポイントを探すのが重要です。
その結果を下記で詳しく解説する、 STP(セグメンテーション/ターゲティング/ポジショニング)に繋げることで、「誰に・何を・どう売るか」が自然と整理されます。

SWOT分析

SWOT分析画像
参照元:Keywordmap ACADEMY

SWOT分析は、自社の強み・弱みと、外部環境がもたらす機会・脅威を4象限で整理するフレームです。PESTや3Cで集めた情報をもとに、「自社にとって何がプラスで何がマイナスか」を構造的にまとめ直します

  • Strength:強み
  • Weakness:弱み
  • Opportunity:機会
  • Threat:脅威

ゴールは「戦略の方向性」を出すことなので、S×O・S×T・W×O・W×Tといった“クロスSWOT”まで踏み込むことが欠かせません。強み・弱みは主観だけで決めず、顧客や競合との比較を交えながら3〜5個程度に絞ると実務で使いやすくなります。

2.セグメンテーション

リサーチで得た情報をもとにして、「市場にいるすべての顧客をひとくくりに扱わず、顧客をいくつかのまとまり(セグメント)に分ける」 — これがセグメンテーションです。

具体的には、以下のような切り口で市場を分類することが一般的です。

  • 年齢、性別、所得、職業、地域といった 人口動態的変数
  • ライフスタイル、価値観、趣味嗜好などの 心理的変数
  • 購買頻度、利用状況、ブランドへのロイヤルティなどの 行動変数
  • 地理的条件(都市/地方、国など)や、利用環境などの 地域変数

ただし、むやみに細かく分けすぎると施策が複雑化して効率が落ちるため、「自社にとって対応可能か」「収益に見合うか」という現実性を考慮することが重要です。
セグメンテーションをきちんと行うことで、次の「ターゲティング」「ポジショニング」の精度が大きく高まります。

3.ターゲティング

セグメンテーションで分けた市場セグメントの中から、自社が本気でアプローチすべき “顧客層/市場” を選ぶのがターゲティングです。

ターゲットを選ぶ際の判断軸としては、たとえば以下のようなものがあります。

  • そのセグメントの 市場規模や成長性
  • 競合が少ない、または競合に比べて 自社の強みが活かせるか
  • 収益性や将来性(長期的な価値)
  • 自社リソースとの相性(コスト、対応余力、実行可能性など)

資源が限られている中小企業やスタートアップでは、特に「限られたリソースをどこに集中させるか」が重要な意思決定ポイントになります。ターゲティングがぶれてしまうと、その後の施策もブレやすくなります。

4.ポジショニング

ターゲット市場が決まったら、その市場で「自社/自社の製品・サービス」をどのような立ち位置で認知させるか ― つまり、どんな価値・イメージを顧客に届けるか を明確にするのがポジショニングです。

この段階では、例えば次のような要素を検討します。

  • 価格帯(高価格 vs 手頃価格)
  • 提供価値(高品質、高機能、独自性、使いやすさ、デザイン、信頼性など)
  • ブランドが持つイメージやストーリー
  • 競合との差別化ポイント

多くの場合、ポジショニングマップ を使って「縦軸・横軸に異なる評価軸(価格/品質、機能/デザインなど)」を設定し、自社と競合をマッピングすることで、“どこに隙間があるか”“どこを狙うべきか”を視覚的に把握できます。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップ画像
参照元:KanseiAI
●ポジショニングマップとは何か

ポジショニングマップは、縦軸・横軸に「価格」「品質」「使いやすさ」などの評価軸を置き、自社と競合の“立ち位置”を図で見える化するツールです。
顧客の頭の中で「誰がどんなイメージで認識されているか」を整理し、どこを狙って差別化するかを考えるために使います。

●作成ステップ

まず「どの市場・競合を対象にするか」と「顧客が実際に重視している2つの軸(例:価格×品質)」を決め、自社と競合がそれぞれどの位置にいるかをプロットします。
次に、そのマップを見ながら「現状どこにいて、どのポジションを取りにいきたいか」を決め、4P(商品・価格・チャネル・プロモーション)などの具体施策に落とし込んでいきます。

5.マーケティングミックス

ポジショニングが定まったら、次に「どう売るか」「どう届けるか」「どう伝えるか」を設計する段階です。これが、マーケティングミックスです。
代表的なフレームワークとして は 4P分析4C分析 がよく使われます。

4P分析

4P分析画像
参照元:TECH+

4P分析は、以下の4つの視点から、「企業側がどう売るか」を整理するフレームワークです。どんな商品を、いくらで、どこで、どのように伝えるかを一貫して設計するために使われます。

  • Product(製品/サービス):何を提供するか。機能、品質、パッケージ、付加価値
  • Price(価格):いくらで提供するか。価格戦略、割引、支払い方法
  • Place(流通/チャネル):どう届けるか。販売ルート、店舗/EC、流通方法、物流
  • Promotion(販促/コミュニケーション):どう伝えるか。広告、PR、販促、販促メディア、メッセージ、キャンペーン

それぞれの要素を、ターゲットとポジショニング、そして自社のリソースや目的と整合させながら設計することで、施策全体の一貫性と効果を高められます。

4C分析

4C分析画像
参照元:TECH+

4C分析は、以下の4つから、「顧客から見てどう感じるか」を整理するフレームワークです。企業都合ではなく、顧客にとっての価値や負担、買いやすさ、企業との関係性を意識したマーケティング施策を考えるときに役立ちます。

  • Customer Value(顧客価値):顧客にとってどんな価値を提供するか
  • Customer Cost(顧客が支払うコスト):価格だけでなく、時間、手間、心理的コストなども含む
  • Convenience(利便性):どれだけ購入/利用しやすいか、アクセス性や使いやすさ、購入の手間の少なさ
  • Communication(コミュニケーション):企業と顧客との双方向のやりとり、信頼関係、サポート、情報提供

4Pだけでは見落としがちな「顧客側の事情・心理」をしっかり押さえることで、顧客にとって本当に魅力的な価値提案が可能になります。

また、このフェーズでは KPI(重要業績評価指標) を設定するのが一般的です。KPIを明確にしておくことで、次の「実行・評価」での指標がぶれず、成果を可視化しやすくなります。

6.実行・評価

設計した戦略や施策を、実際に動かすフェーズです。それ自体に大きな意味があるだけでなく、 評価と改善があってこそ、マーケティングプロセスは完結します。

  • 実行:広告キャンペーンの実施、販促、チャネルの整備、販売開始、顧客へのアプローチなど。チーム間の連携、オペレーション体制の整備が重要。
  • 評価・検証:KPI、ROI、顧客の反応、売上やコンバージョン、顧客満足などの定量/定性指標で結果を分析。想定とのギャップ、ズレがあればどこに問題があったのかを探る。
  • 改善・次へのフィードバック:分析の結果をもとに、ターゲットの見直し、ポジショニングの微調整、チャネルやメッセージ、プロモーション手法の変更などを行い、次のサイクルに活かす。いわゆる PDCAサイクル を回すことが重要。

このステップなくしては、「なぜ売れた/売れなかった」の原因があいまいになり、次の施策に活かすことができないため、実行 → 評価 → 改善のサイクルを継続することがマーケティングの命とも言えます。

マーケティングプロセスを実行する上でのポイント

マーケティングプロセスを実行する上で、重要なポイントを以下で解説します。

✓.再現性のあるマーケティング

市場分析や仮説をデータで確認しながらプロセスを回すことで、「たまたま成功した施策」ではなく、同じ考え方を他の商品や他チャネルにも展開できるようになります。
例えば、あるキャンペーンで成果が出たときも、「どのターゲットに、どんなメッセージを、どの媒体で届けたから成功したのか」を分解して記録しておけば、別案件でも同じロジックで再現しやすくなります。

✓.ターゲットと施策の一貫性

セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング→マーケティングミックスという順番で考えることで、「誰向けの商品なのか」「どんな価値を打ち出したいのか」が明確になり、そのターゲットに合った価格・チャネル・プロモーションを選びやすくなります。
結果として、Webサイトのコピーから営業資料、SNS投稿までメッセージが揃い、「このブランドはこういう価値をくれる」という印象を一貫して持ってもらえます。

✓.顧客視点の取り入れ

4C分析を使って、「顧客にとってどんな価値があるか」「お金や時間、手間の負担はどれくらいか」「どれだけ買いやすく使いやすいか」「企業とのやりとりは安心か」といった観点で施策を見直すと、売り手都合の企画を減らせます。
例えば、機能を増やすよりも、申込みフローを簡略化したり、チャットサポートを整えたりする方が、顧客にとっては価値が高いケースも見えてきます。

✓.改善サイクルによる継続的な最適化

施策ごとにKPIを決めて実行し、結果を振り返って「どの仮説が当たっていたか」「どこがボトルネックだったか」を検証すれば、次回は無駄打ちを減らした打ち手に修正できます。
市場環境や顧客ニーズ、競合の動きが変わっても、このサイクルを回していれば、施策も自然とアップデートされ、戦略全体の精度が少しずつ磨かれていきます。

✓.リソースの最適配分

ターゲットやポジションを先に決めておくと、「このセグメントにはリターンが見込めるので、広告予算を厚めに」「このチャネルは費用対効果が低いので縮小」といった判断がしやすくなります。
人員や予算が限られる中でも、成果につながりやすい顧客層・チャネル・施策に集中投下できるため、同じコストでも売上やリード獲得数を大きく伸ばせる可能性が高まります。


このように、マーケティングプロセスを単なる「やるべきことの羅列」と捉えるのではなく、戦略設計から実行、評価、改善までをひとつの流れとして捉え、成果を見える化し、継続的にブラッシュアップしていくと良いでしょう。

BtoBとBtoCの戦略の違い

BtoBであってもBtoCであっても、マーケティングプロセスの基本的な流れ自体は大きく変わりません。ただし、相手にする顧客像が異なるため、検討開始から購入・契約に至るまでのリードタイムには違いが出やすくなります。

特に、検討〜成約までの期間が長くなりがちなBtoBマーケティングでは、顧客ニーズだけでなく、その背景にある業務状況や組織事情まで深く理解したうえで、課題解決に直結する提案を通じて訴求していくことが重要です。
その際、展示会やイベント、セミナーといった場を活用し、対話を重ねながら関係性を育てていく施策も有効です。

まとめ

マーケティングは単なる「広告を打つ」「SNSで情報発信する」といった場当たり的な行動ではなく、
市場理解 → 顧客理解 → 戦略設計 → 施策 → 実行 → 評価 → 改善 というサイクルを回すことで、継続的かつ再現性のある成果につなげるものです。本記事で紹介した ステップ、分析・設計フレームワークを押さえることで、自社に合ったマーケティング戦略を構築できます。

特に、中小企業や新規事業、リソースに限りのある組織においては、こうした体系的なプロセス設計こそが成果を手堅く積み上げる鍵となります。また、BtoB と BtoC、それぞれの特性を踏まえてアプローチを変えることで、より効果的なマーケティングが可能になります。

マーケティングの“次の一手”に迷ったら、セブンデックスへ

認知があっても成果が出ない——そんな壁を突破するには、顧客理解と体験設計の再構築が欠かせません。

セブンデックスは戦略 × デザインを統合し、事業の成長を支える打ち手を伴走型で提供します。

UXUIデザイン支援資料

セブンデックスのUXUIデザインプロセスと実績詳細が解説されている資料を無料でダウンロードできます。

滞在型インターンで「革製品×伝統工芸」をテーマに商品企画に携わり、企画立案から現地でのユーザー検証までを経験。こうした経験を通じて商品企画やマーケティングに関心を深め、インターンとして入社。横浜国立大学経営学部在学。