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ビジュアルインスピレーションになるかもしれない映画

映画には音楽・音響、脚本、俳優の演技、美術など、たくさんの表現が詰め込まれており、様々な視点から楽しむことができますよね。
その中から、今回は映画の「美しいビジュアル」にフォーカスし、いくつか作品をご紹介します。ビジュアルを製作するデザイナーには構図やカラーパレットなどのデザインリソースになるかもしれませんし、そうでない方にとっては映画を観る際の新たな視点となるかもしれません。

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『グランド・ブダペスト・ホテル』

ビジュアルの作り込みへの情熱といえば、やはりウェス・アンダーソン監督の作品ではないでしょうか。どの作品にも同監督のこだわりが感じられますが、際立ってビジュアルの完成度が高い作品が『グランド・ブダペスト・ホテル』です。日本でもヒットし、この作品でウェス・アンダーソン監督を知った方も多いのではないでしょうか。なかなか使い方が難しいピンク色が基調なのにも関わらず、びっくりするほど上品に仕上がっていますよね。

ウェス・アンダーソン監督の作品の特徴といえば、印象的に使用されるタイポグラフィ、徹底的に世界観を統一させ細部まで作り込まれたプロダクションデザイン(映画美術)、そしてそれらを捉える左右対称の構図や俯瞰からのアングル。
それらは広く影響を与えており、街中でも「ウェス・アンダーソンっぽい」広告ビジュアルを見かけるようになりました。さらに、2017年にミレニアル世代を象徴するカラーとして定義された「ミレニアル・ピンク」は『グランド・ブダペスト・ホテル』から影響を受けたものだと言われています。

ちなみに、ウェス・アンダーソン作品のプロダクションデザインには多くのグラフィックデザイナーやプロップアーティストが関わっています。その中でも著名なグラフィックデザイナーが、アニー・アトキンズさん。劇中に登場する本の表紙やケーキ箱などのプロップのグラフィックを手掛けています。
そんな彼女の作品をじっくりと見ることができる書籍が『映画プロップ・グラフィックス スクリーンの中の小道具たち』。クロースアップされることがほとんど無いにも関わらず、ひとつひとつがとても丁寧に作り込まれていることが分かります。製作工程も紹介されており、ウェス・アンダーソン作品のファンであれば、必ず楽しめる内容だと思います。

『ムーンライズ・キングダム』

ウェス・アンダーソン監督の作品をもうひとつご紹介します。映画全体を通してカラーパレットが統一されたプロダクションデザイン、構図やカメラワーク等により、それまでよりもさらにウェス・アンダーソン監督らしさが際立った作品となっています。こちらは『グランド・ブダペスト・ホテル』のひとつ前の作品で、同作品の完成度に繋がる布石となった作品であることが窺えます。

『ムーンライト』

第89回アカデミー賞の作品賞を受賞した作品です。カラーグレーディング(映像の色や質感を調整すること)に非常にこだわって製作されており、映像美も大きく注目されました。ストーリーは幼少期、青年期、成人期の3章で構成されており、それぞれに合わせて異なる色調が設定されています。光が印象的でとても美しい作品なので、是非お部屋を暗くするなどして映画館に近い環境で観ていただきたい作品です。

『her/世界でひとつの彼女』

監督のスパイク・ジョーンズはかつてテレビCMやミュージックビデオの監督として名を馳せた経歴もあり、ひと目で印象に残る鮮烈な映像を作り上げる監督です。赤色が印象的な美しい画作りの他にも、主人公が恋をするAI「サマンサ」のUIも注目したいポイントです。

ちなみに、劇中で主人公がプレイする架空のゲームを手掛けたのは著名な映像作家のデヴィッド・オライリー。斬新なCGアニメーションや詩的な表現で注目されるアーティストで、監督のセンスやこだわりを感じる人選です。

『ノクターナル・アニマルズ』

ハイブランドとして知られるトム・フォードですが、その創設者であるトム・フォードさんが実は映画監督でもあることを知っていましたか?『ノクターナル・アニマルズ』はスリラー映画としての面白さもありながら、トム・フォードが手掛けていることが感じられるような洗練された世界観を併せ持った作品となっています。

主人公はアートディーラーという設定のため、劇中にアンディ・ウォーホルやダミアン・ハーストなど著名な現代美術作家の作品が印象的に登場します。それらは「トム・フォードが手掛けるスリラー映画」らしさを増強するための演出の一部となっており、この作品の見どころのひとつです。

おわりに

今回はビジュアル面を中心にご紹介しましたが、脚本や音楽など、ビジュアルの美しさ以外でも非常に評価されており、いずれも映画としての完成度が高い作品です。
ぜひ楽しんでいただきたいです!

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UIデザイナー
多摩美術大学卒業後、広告制作プロダクションに入社。ビジュアルデザインを軸とし、デザイナーとしてナショナルクライアントをはじめとした様々な案件に携わる。2020年セブンデックスに入社し、クライアントワーク支援や社内のクオリティーマネジメントなど幅広く携わっている。