デザイナーとして働くにあたって、成長していく方向性に悩んだことはないでしょうか?
今回はデザイナーの数ほどある成長プロセスから、私の経験をもとにした一つの考え方をご紹介させていただきます。特に、組織に所属してデザイナーを務める方が対象となります。
成長方法に正解はないと思われますし、一個人がデザイナーとして働いてきて思ったこと・感じたことを主観で書いていくため、あくまで参考程度に捉えていただければと思います。
自己紹介
はじめまして!
遅れましたが自己紹介をさせていただきますね。
最近SEVEN DEXにデザイナーとしてジョインしたばっしーです。以前は新卒から約3年ほどベンチャー企業にてデザイナーとして勤め、UIはもちろん、web、エディトリアル、ロゴなどなど様々な媒体のデザインから、ノンデザイナーとデザイナー間がコミュニケーションをとりやすくなるような組織の仕組み作りをしてきました。
そんな経験をしてきた私の主観で、今回は成長の方向性について語っていきたいと思います。ベンチャーや比較的小さい組織でデザイナーとして頑張っている方の参考になれば幸いです!
スキルアップの種類
成長=スキルアップを目指すにあたって、特にデザイナーやエンジニアなどの技術職は山ほどあるスキルで何を伸ばしていくか迷いますよね。
まずスキルアップと一概に言っても、一般的にはソフトスキルとハードスキルという2つに分類されます。
ソフトスキルは、コミュニケーションスキルやリーダーシップスキル、自発性、柔軟性などの測りにくい定性的なスキルであり、一方ハードスキルは体系立った知識や技術などのことで、例えば専門的な資格であったりエンジニアリングやデザインもハードスキルと言えます。
ここではデザイナーにフォーカスするため、その中でも特に、
- ソフトスキル:柔軟性に繋がるマインド面(考え方)の成長
- ハードスキル:表層的なデザインスキル。いかに綺麗な絵が描けるか、表現方法を知っているかという技術面の成長
の2点に関して、どちらの成長を優先すべきかを後述していきます。
どちらにバランスを傾けるべきか
結論から書いてしまうと、技術的な成長よりまずはマインド面の成長を意識したほうが良いでしょう。
技術的な面での成長は、後からいくらでも補完できるためです。綺麗なUI・グラフィック・ロゴなどの表層的なアウトプットは、やろうと思えば一人で様々なものを作ってみるだけでも成長へ繋がりますし、数をこなせば一定のスキルアップは誰でも図れます。しかしマインド面の成長となるとそうはいきません。
ではマインドの成長とはどういうことなのか。
ここで書いている「マインド」とはメンタルの強さなどではなく、一言で説明すると「視座を高めて考えること」を意味します。
例えば、インハウスで働いているデザイナーの場合を考えてみましょう。
自社サービスで何かしら改善施策のデザインを作ることになったとします。そういったシチュエーションの時、
- その施策がどういった背景で立てられたものなのか。
- どういった数値の売上にどれほどのインパクトをもたらすのか。
- もっと深掘ると自社の経営状況がどうなっているのか。
- その状況も含めて本当に必要な施策だと思うのか。
等といった、表層的なデザインに着手する以前の背景をいかに知っているか、デザイン以外の状況をどれだけ視座を高くして見れるかということが一つのポイントです。
その他にも、例えばコーディング技術を身に付けたいと感じているwebデザイナーの場合
- 組織に不足している技術であるのか。
- 自分が担っている役割やリソースと照らし合わせて、技術習得の価値があるのか。
- 習得することでどんなことが達成できるのか・効率がよくなるのか。
等の、組織状態への理解も一つのポイントになると感じます。例に挙げたように、会社の経営状況や組織状態を理解・意識するということが、マインド面の成長に繋がるのではないでしょうか。
そして、これは所属している組織や共同で一つのアウトプットを出すという環境があってこそ得られる経験であり、一人で経験しようと思っても中々身につかない意識です。そのため、一人でもある程度成長可能な技術力より、優先順位を高めて意識しておくことが重要であるといえます。
マインドを成長させる方法と3つのメリット
では視座を高めて考えるためにはどうするのか?
正直その方法に関して、具体的な学習方法があるかはわかりません。所属している組織によって得られる情報や視点は異なりますし、一概に「こうすれば考え方が成長していく」という方法が私の中に確立しているわけではありません。
一つ挙げるとしたら、前述したようにまずは会社の経営状況や組織の状態などを知るということが大切です。そのため、まずは知るために「それを知っている人に話を聞く」というアクションが重要だと感じます。特に駆け出しのジュニアなどのフェーズだと、自分が見れる・理解できる範囲は確実に狭いです。なので、どんな環境であってもまずは上司や上司以上、可能ならCEOなどのポジションの人に話を聞いてみるというアクションをお勧めします。
そしてマインド面を成長させるメリットについて。
①「何を作るべきか」が見えてくる
技術力を高め、いかに綺麗なもの・使いやすいものが作れたとしても、根本の「何を作るべきか」という部分がズレていたら意味がありません。そこをズラさないためには、会社のニーズ、ユーザーのニーズを理解してアウトプットの方向性の精度を高める必要があります。視座を高く持ち、より上流の視点を持つことでその精度を高めていけるのではないでしょうか。
②ストレスを溜めにくくなる
例えば、よく聞くデザイナーのフラストレーションとして「納品間近で要素の変更や企画の方向性が変わった」というものがあります。所謂ちゃぶ台返しというやつです。しかし、市場や世の中の状況も日々移り変わってゆくものであり、制作中に何かしら状況が変わってしまい、アウトプットを変更せざるを得ないということは往々にしてあります。
そのような場合に、その変化をいかにキャッチアップして動けるのかは現場を指揮している人にかかっているとともに、その動きに柔軟に対応するには現場の理解が必要です。経営的な視点や、マネージャーの視点を事前に理解しておくことで、スムーズな対応や動き方の提案が可能になり、何よりフラストレーションを極力抑えることができます。
③技術成長の目標が立てやすくなる
前述したように、組織に不足している技術を考えたり、どんなアウトプットにした方が良いかを提言していく中で、自ずと不足している技術が浮き彫りになってきます。客観的に習得すべき技術、成長させた方がよい技術がわかってくれば、あとは好みなどの主観でそれを取捨選択するだけです。
環境に合わせた優先順位
ここまで「マインド=考え方」を優先して成長させた方が良いというお話をしましたが、正直なところその優先順位は所属している組織にもよります。
経験談になりますが、私の場合以前もベンチャーであったため、リソースは限られており、スピード感を持って効果検証をどんどん進めていく必要のあるフェーズで、短期的な成果も十分に上げなければいけない状況でした。そのため無駄なものを作る余裕はありませんし、前述したようにマインド面を強化して主体的に動ける・自走できるデザイナーの方がマッチしているなと感じました。
逆に大きな企業で分業体制が確立している環境では、そこで必要な技術力を圧倒的に高めていった方が価値が発揮できるのではないかと思います。
また、前者であるからといって、技術的な成長を疎かにしてよいというわけでもありません。マインド成長を優先して得られるメリットにもあった、「何を作るべきか」が見えたとしても、それが作れないのでは意味がありません。技術的な成長に関しても、まずは広く浅く触れて「作れない」という状態は回避し、引き出しを増やしておくことをお勧めします。
私の場合、以前のベンチャー企業に入社した当時は企画の立案やエンジニアリングの実装スキルなども、技術的な成長の視野には入れていました。ベンチャーだとデザイナーが企画〜コーディングまで担当することはよくあることなので。
しかし、蓋を開けてみれば企画を考えるのには数字を見れる強いメンバーがおり、実装面でも技術力の高い頼れるエンジニアがいました。そのため企画やコーディングといったスキルは当時の自分には必要ないと判断し、相手の話を理解できるように一定の知識は得るものの、それ以上は踏み込まないようにしていました。その分、絵作りのスキルを伸ばしたり、企画側が「やってみたい」と思うことをすぐ表現できるよう、表層的なデザイン表現の幅を広げることができるスキルを率先して学習していましたし、ノンデザイナーがどうしたらデザインの確認や依頼がしやすくなるのかという、仕組み作りを学んだりというスキルアッップを図っていました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私自身まだまだ成長していかなければならない部分だらけで、成長に関する記事を書くのもちょっとおこがましいのですが、自分の考えを言語化する意味でも、今回は私が感じた成長に対する意識バランスについて書かせていただきました。
環境によってはマインド面の成長を優先させるべし、と紹介しましたが、正直言えば「成長」は目的ではなく、その先にある「自分のなりたい象」や「成し遂げたいこと」といった目標があって、成長はそこに後から付いてくるものだとも思います。
またそういったことについても記事にできればと考えていますので、今後もSEVEN DEX POSTをチェックしていただけると嬉しいです!