会社やサービスにおいて、とても重要なブランディング。特に、歴史や実績のある企業が改めて行うブランディングをリブランディングと言います。
ここでは、そのリブランディングの結果大きなイメージチェンジを果たし、新しい姿が人々に愛されている大手企業の事例を紹介します。
ブランディングとは
ブランディングとは、会社独自のコンセプトを軸に、その市場で立ち位置を形成していくための戦略です。他社との差別化を図り存在価値を高めていくことや、一貫したコンセプトを発信し続けてサービスや商品の強みを認識してもらうことが、ブランディングにおいて重要なことになります。
ブランディングの際は会社やサービスを1人の人間として捉えることで、
- この会社はどんなことを思うだろうか
- この会社はこんなことがあった時どんな意思決定をするだろうか
という考え方をすることができます。そうすることで、会社としての言動を一貫させることができ、ブレないブランディングができるのです。
参考サイト :
ブランディングに加えて、リブランディングはすでに歴史や実績のある会社やサービスが改めてブランドを構築することをいいます。長い歴史の中で会社としての軸がぶれてしまった会社が改めて軸を建て直したり、事業が振るわない会社が新しいイメージを構築することで事業を立て直したり、ということが多くあります。
今と昔でこんなに違う!?成功したリブランディング事例
リブランディングの成功事例は大きく2つに分かれます。
- かつての印象をガラリと変え、イメージチェンジした姿がステークホルダーに愛されている状態
- 今までなんとなくふわふわしていた会社の軸を明確にし、市場での立ち位置が確固たるものになっている状態
今回は前者の方にフォーカスを当て、有名企業が行なったブランディングの成功事例を見ていきたいと思います。
ユニクロ
素材が良くて、見た目も機能性も高いブランドのイメージを持っているユニクロ。そんなユニクロも、10年以上前は安物ファッションの代名詞であり、安かろう悪かろうなイメージが根強い会社でした。
ロゴも広告の雰囲気も今とは全く異なっており、特に昔の広告は衝撃です。かつてのユニクロでは理由を問わず返品交換が可能だったため、そのことを訴求するためにおばちゃんがレジ前で着ている服を脱いでいく、という今では衝撃的な広告を打っていました。
そんなユニクロが方向転換を行なったのは、2000年代後半のことです。その少し前、あまりにユニクロの商品が普及した結果、ユニクロの服を着ているのがバレてしまうと恥ずかしい(=ユニバレ)という感情がユーザーに起き、商品の売り上げが落ちてしまいました。そこでユニクロは今までの印象を一新すべく、リブランディングを行ったのです。
コミュニケーション戦略のひとつであるクリエイティブ・ディレクションでは、高い品質の商品を低価格で提供できる日本のブランドという特長を、「美意識ある超合理性」というコンセプトに凝縮させました。
カタカナと欧文を併記したロゴマークやコーポレートフォントの開発から、国内外のクリエイターと協働した世界各地の旗艦店のデザイン、商品企画、プロモーション戦略にいたるまで、経営と直結した総合的なディレクションで、ユニクロをグローバルブランドへと押し上げた。
https://kashiwasato.com/project/6821
上記のように、ユニクロはデザインと経営を直結させることで、世界展開させていく店舗全てに「ユニクロらしさ」を体現させていくことに成功しました。
このようなリブランディングを行った結果、ユニクロは高品質な商品を提供している洗練されたブランドというイメージを手に入れたのです。
ヤンマー
ヤンマーは、エンジンや農作業機械などを制作する創業100年を超える老舗企業です。かつては「ヤン坊マー坊天気予報」という番組が放送されており、「農作業機械を作る昔ながらの会社」というイメージが強い企業でした。
しかし、そんなヤンマーは2013年に創業100年を期に大きなリブランディングを行います。その理由は、ヨーロッパ圏では高級船舶のエンジンのイメージが強いためにラグジュアリーなイメージが強くあり、日本とのイメージに大きく隔離があったからです。
会社のグローバリゼーションが進む中で、ビジネスの内容だけでなく企業イメージもグローバルで統一させて売り出していきたい、という思いが強く生まれました。
そこで、まず初めに行ったのがVI(ビジュアルアイデンティティ)の制定です。オニヤンマの羽のイメージにヤンマーの頭文字のYを重ね、物作りへの情熱と確信をイメージする赤を用いたロゴを制定し、ヤンマーの新しいイメージを打ち出しました。
そしてそのあと、フェラーリのデザイナーにトラクターのデザインを頼んだり、イッセイミヤケのデザイナーに農作業ウェアをデザインしてもらうなどして、ヤンマーの新しいビジョンと高い技術力を体現するような商品の開発を進めていきました。
このように、初めにブランドのコンセプトを設計し、VIを変え、それと同時にそのコンセプトを実際に具体化するプロダクトを開発することで、ロゴと製品デザインが同じタイミングで新しくなります。こうすることで、デザインによるブランドイメージの再構築を分かりやすくし、シンプルかつ力強いメッセージを伝えることができるのです。
湖池屋
ポテトチップスの会社として有名な湖池屋。実はポテトチップス市場の縮小が起きていたり、ポテトチップスにプレミアム市場が確立されていなかったことから、競合他社との価格競争に陥っていました。
今は量の多さや価格の安さより、利便性やこだわりのある商品が求められています。その中で、新たな付加価値を提供することができるスナック市場を創造する必要があると、湖池屋は考えました。
そこで、2016年に「ポテトチップスの老舗」を目指したリブランディングが始まりました。
まず、新しいロゴマークを制定しました。六角形の中に湖池屋の湖の字が入ったシンボルマークで、全体的に墨溜まりを作ることで老舗感を演出しています。
また、社内向けのブランディング施策として、企業のルールや考え方をまとめたブランドブックを全社員に配布しています。また、社屋も一新し、料亭のような門構えや老舗旅館のような玄関にすることで、「湖池屋にはポテトチップスを作る料理人がいる」というイメージを根付かせています。
次にお客様へ向けたブランディングとして、湖池屋のプライドをかけた理想を追求した「KOIKEYA PRIDE POTATO」を開発しました。
従来のポテトチップスの工程を全て見直しつつ、湖池屋の持っているノウハウを全てつめこみ、全社員が自信を持って商品開発/生産/販売をした商品になりました。
このようにロゴマークを始めとする様々な社内ブランディングのあとに、フラッグシップとなる商品を提供したことでリブランディングはひとつの形になったと言えます。
まとめ
ご紹介した3社のように、リブランディングを行うことで、企業価値を上げたり今までとは違うユーザーをターゲットにすることができます。
リブランディングの際は、どんな会社にしたいのかというビジョンを忘れないように、リブランディングしていく事が大切です。
また、ロゴを変える/VIを変えるだけに留めず、会社として出すもの全てをリブランディングしていくことも忘れないようにしましょう。