こんにちは。一行目の自己紹介に悩むセブンデックス代表の中村です。
今回のテーマは「マーケティング」です。
セブンデックスの「マーケティングについての考え方」について、現在の市況感や定義について考えながら、私たちの挑戦なども含めてご紹介したいと思います。
目次
マーケティングは5.0の時代を迎えている
マーケティングとは一体なんでしょうか。
日本マーケティング協会は「マーケティングとは企業及び他の組織がグローバルな視野に立ち顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための、組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動」と定義し、
経営学者であるコトラー氏は、「マーケティングとは社会活動のプロセスであり、その中で価値あるサービスを生み出し、提供する。そのサービスを他者と自由に交換して、必要なものや欲するものを手に入れること」だと述べています。
いずれも事業の創造から営業活動までを内包した「顧客に価値を生み出すためのプロセスであり、総合的な活動」を意味する定義になっています。
時代の移り変わりとともにマーケティングも進化を重ね、その流れは以下のように進化してきました。
- マーケティング 1.0 製品中心のマーケティング
- マーケティング 2.0 消費者志向のマーケティング
- マーケティング 3.0 価値主導のマーケティング
- マーケティング 4.0 自己実現のマーケティング
- マーケティング 5.0 最適化のマーケティング
バージョンは変化、遷移する のではなく、上に乗り、積み上げられています。マーケティング5.0とは、1.0〜4.0は必要な前提で、追加されてアップデートされたのが5.0であることと捉えています。
顧客を知り、顧客に求められる事業を創造することはもちろんのこと、社会の中でイメージ形成をしながらファンになってもらうことだけでなく、テクノロジーを駆使したデータ活用で、高速かつ最適化されたマーケティングが求められる時代です。
マーケティングの中心には「人」がいるわけですが、この数十年の間に凄まじいスピードで変化してきた今の世界には多様な世代が一挙に存在し、世代で見ても、5世代に渡って市場のシーンのほとんどを占めています。
- ベビーブーム世代(1946年〜1964年に生まれた世代)
- X世代(1965年〜1980年に生まれた世代)
- Y世代(1981年〜1996年に生まれた世代)
- Z世代(1997年〜2007年に生まれた世代)
- アルファ世代 (2010年〜2025年に生まれた世代)
人を「世代」と言った安易なラベルで括るべきではないことを前提として、ここで言いたいことは生きてきた世代によって、見てきたもの、触れてきたもの、感じてきたもの、それはつまり価値観が異なるということであり、多様な価値観が一つの世界に混在している、という半ばあたり前の事実です。
少し過去を振り返れば、「シャンプーは一家に1つ」だったのではないでしょうか。現在はどうでしょうか。
4人家族、父と母、高校3年生の男子と中学1年生の女子がいれば、「シャンプーはお風呂場に4つある、しかも父のシャンプーを除いては、シャンプーのボトルのデザインはしばしば変わる」のではないでしょうか。もしかしたら父のシャンプーも変わる時代です。
過去は「1個のブランドで50億円」を狙えたビジネスが、激しく変わり続ける世界では「10億のブランドを5つで50億」に変化しています。
デジタルの普及は、ありとあらゆる情報へのアクセスを可能にしました。異なる世代に対して向けられたサービスが、それぞれのタッチポイントでメッセージングされ、それを求めた消費者によって、サービスのバリエーションを増加させています。一方で時代の潮流に流されることなく、長く愛されることを実現するサービスもあります。
多種多様な消費者に対して、ありとあらゆるタッチポイントを前提とした上で、ひしめく他のサービスと可処分所得を奪い合っている、過去と比べると戦況が激化した大戦国時代と言えます。
時代とマーケティングはものすごい速さで進化している。日本はどうだ?
では、日本のマーケティングシーンはどうでしょうか。「現状は世界と比べて、少し遅れをとっている。進化する必要あり。」そう思っています。
先進的に進み、飛躍的な成果をあげている企業も存在しますが、全体感は日本のマーケティングシーンは2.0、宣伝を中心としたマーケティングが現在地であり、今3.0に進みつつある、のような進捗感な気がしています。
マーケティング領域の偉大な方々の実績によって、一石を投じられている市況感ではありますが、実際のシーンをのぞくと、狭義的にマーケティングが実施されてしまっているケースが比率としては高いように感じています。
マーケティングという言葉を使って会話をすると、広告やプロモーション、販売促進に関する会話が第一想起される。セールスとリード獲得するマーケティングチームは対立構造になっていたりする。サービスを作っているチームとプロモーションを考えるチームは評価軸が異なり、コミュニケーションが無かったりする。
僕自身、最初のキャリアをセールスでスタートさせた身でして。はじめは自分の営業成績が第一優先でした。会社にデータを貯めていくことなどは業務として後回し、目の前にいる顧客とコミュニケーションをとることが最優先。組織的にもそういう構造になっています。
たまたま大局的な観点でセールスを語ってくれる上司でした。「サービスがあり、サービスを利用してくれるユーザーと顧客がいる。そのサービスを実現させるコンテンツをつくるためにセールスがある。」と。
ともすれば全てのチームは本来サービスの基に繋がっている。全てのチームはサービスを通して顧客に価値を提供するために、連帯して動くべきです。
市場を捉え、敵を知り、顧客の需要に肉薄し、明確な差別化を図り自社がアタックしていく需要と提供価値を明確にし、対価を得られるほどの価値を提供できるサービスを作り、適切な場所で顧客の需要に合わせたメッセージングでイメージを形成しつつ、購買訴求を促し、移り変わりが激しい顧客の行動を分析できるようにテクノロジー、データ環境を構築し、高解像度で顧客を分析し、戦略と顧客の需要に沿った効率的な意思決定を重ね、検証改善を繰り返し、価値を高速で積み上げ、マーケットシェアをとっていく「顧客に価値を生み出すためのプロセスであり、総合的な活動」を全てのチームで連帯して行っていくことがマーケティングであり、日本のマーケティング文化を変容させていくことで、日本の産業、ひいては経済を活発にしていけるのではないかと思っています。
マーケティングが縦割り文化の日本と比較し、海外は集合的なマーケティング文化を有しています。
顧客に価値を生み出すためのプロセスを統合的にマネジメントしているマーケティングチームがあり、それぞれのエキスパートが集合的にバリューを発揮している。マーケティングというものを「顧客に価値を生み出すためのプロセスであり、総合的な活動」を前提の理解としている上での組織が構築されているのが要因でしょうか。マーケターやデザイナーといった職種レベルで見ても、職種に対するスコープが日本と比べて、少しずつ上流側にあるように感じています。
だとすると、もしかしたら日本はものづくりが先行し、後からマーケティングが入ってきたという事業構築の順序が違ったことが現在の状況の要因かもしれません。
高度経済成長をものづくりを圧倒的な強みで遂げた国ですから、然るべき過程だとも思います。
もしかしたら、日本はまだまだ本気を出せていないのかもしれません。そう考えると、気分が明るくなるような。時代に合わせて、そもそもの概念をアップデートする。そうすることで、今よりも飛躍的な価値を提供できる国になるのではないか、とそんな期待を胸に持っています。
消費者のニーズを捉え、顧客中心のサービスづくりに注力している企業やブランドを戦略的につくることに成功しているサービスはまだまだ少数派だと思いますし、AIだけでなく、CRMやMAを使いこなし、データドリブンで事業を進めている企業は市場の中では先進的な位置にいます。
一方で時代は異なる時間軸で世界と同じように進み、需要は常に劇的に変化する、マーケティングのケイパビリティに対して、顧客から求められる価値水準は高くなるばかりです。
結果として、今、私たちの生活は海外のサービスがかなりの比率を占めています。
Dysonで掃除機をかけ、iPhoneを使い、Amazonで買い物をし、電車に乗ればInstagramを開き、YouTubeを見て時間を過ごす。
そして僕はFigmaを使ってデザインをし、Slackでコミュニケーションをとっています。とっても使いやすくて便利です!(遠い目)
「顧客に価値を提供するために、全てのチームが連帯して動くこと」を競技としたときに、日本という国に強みがあるように感じています。 僭越ながら、セブンデックスのコンセプトムービーで「日本はまだまだ面白くなる」というメッセージを出させていただきました。もっと日本のサービスは価値を発揮できるはずだ。日本のプレイヤーをもっと元気に、そして日本のシーンをもっと豊かに。そんな願いを持っています。
分断された国境を越え、統合したマーケティングが必要である
「顧客に価値を生み出すためのプロセスであり、総合的な活動」を行っていくことがマーケティングだとしている我々にとって、日本のマーケットでマーケティングに従事していると、「分断されている」と感じることは少なくありません。戦略を考えるチーム、ものづくりを行うチーム、データを分析するチーム、販売を促進するチームがそれぞれ「縦割りで異なる別働隊」として動いているように感じます。
マーケティングは「顧客に価値を生み出すためのプロセスであり、総合的な活動」なので、そのプロセスを通して全ての活動で同じ方向に向かって価値を積み上げていく必要性があり、別の方向に向かって積み上げてしまっては、その分効率が悪くなってしまう
大局的で広範囲のことを連鎖的に考えなければいけないマーケティングですから、別働隊として動くこと自体に問題はないのですが、それぞれ異なるブレイン、指示系統で動き、それぞれの評価指標、目標を追っており、ここには課題を感じています。また、その縦割りで作られた組織がそれぞれ発注先であるパートナーとタッグを組んでいたりする。戦略を考えるチームが選定したパートナーAと販売を促進するチームが選定したパートナーEは、全く別人であり、相反する思想を持っているケースもあります。
事業の創造から営業活動までを含む全てのプロセスは統合的に考えられるものであることを前提として、各プロセスが戦略に向かって集合的にマーケティングを実行していることが必要です。
理論だけではどうにもならないのも「マーケティング」
一方で、実際のマーケティングの現場は理論だけでは通らない部分も体感しています。それぞれの組織には当然外部要因も内部要因も含めた「事情」があります。
綺麗なシナリオ通りに進められることなどなく、制約がかかるのは当然のこと。突然の外部環境変化にシナリオを余儀なく変更されるケースもあれば、予測不能な未来に対して、現時点で最善の戦略を立てつつ、壊れたタイヤで一定距離を走るジャッジを迫られることもある。
戦略のシナリオが綺麗かどうかではなく、ROIが最適化される意思決定を連続的に行う必要があり、厳しい状況を泳ぎ抜く胆力、それと胆力の源になる情熱が必要です。
事業家は情熱を燃やして事業と向き合っている。良いことも悪いこともどれもこれも一緒に飲み込んで、ギリギリのラインで立っている。
そんな事業家を支援する立場で成長の支援することを要請された我々はクライアントと一緒になって汗をかき、悩み、苦しみつつその中でも成長の喜びを共にし、マーケットシェアを上げ、売り上げを立てて利益をあげていく過程を一緒に歩んでいく。
タフネスに、諦めずに情熱を燃やして成長を実現させる事業家精神と、的確に勝ち筋を見出す冷静な知能の両方を持ち合わせる必要がある。
事業の最前線にはそんなリアリティがあり、綺麗な道を歩く手引きをするというよりは、服を泥だらけにしながら、事業家の一歩前で道なき山道で草むらをバッサバッサと切り倒し、道を作り、その道を事業家とともに歩いていく。そんな組織が創れたら、と思っています。
セブンデックスの挑戦「新時代のマーケティングを実行する組織」として、日本のマーケティングを変革する
そんな中セブンデックスは、顧客に価値を生み出すためのプロセスであり、総合的な活動をマーケティングであることを前提とし、経済活動全体をデザインする会社(つまり、デザインの会社であり、マーケティングの会社)でありたいと思っています。
熱い情熱と冷静な知能を持って、共に汗をかきながら戦略的に体験の全てをデザインしながらマーケティング1.0〜5.0を駆使して、事業を成長させるマーケティングカンパニーの姿、事業家と伴走しサービスライフサイクルのすべての段階に対応するソリューションを提供し、統合したマーケティングを実行できる会社を目指し、挑戦を続けていきます。
そのために、ストラテジープランニング、UXデザイン、ブランディング、マーケティンググロース、DXソリューションを統合的に支援し、CACとLTVの両面にアタックすることができるマーケティングカンパニーとして、日本のマーケティングにイノベーションを起こしていく。それが今僕たちが掲げているチャレンジでもある「Marketing Innovation」です。
「5体揃ったエクゾディア」みたいな事業内容になっていますが、マーケティングは5.0の時代を迎え、顧客の求める水準は高まる一方で、エクゾディアを前提としてマーケティングを捉え直す必要は一定あると思っています。
「顧客に価値を生み出すための総合的なプロセスをマーケティングとした前提で、事業状況を捉え、その上で「どうやって理想を実現するか」と「その実行方法」を考え、成長を実現させてくれることについて1番の存在になっていきたいと思っています。
おわりに
日本のマーケティングシーンは変わりつつあります。徐々に「顧客に価値を生み出すための総合的なプロセスであるマーケティング」はフォーカスされ、広がっています。
変わりゆく流れにセブンデックスは、最前線でその波を大きくし、社会にモメンタムを起こせる存在でありたいと思っています。
これまでの常識や慣習と戦い、新しい時代に新しい文化を打ち立てるのは簡単ではないと思っていますが、日本のシーンを沸き起こしていくために、戦っていきたいと思います。