最近は、ECサイトを使って商品を購入することが当たり前になり、多くの人々にとって欠かせない存在になっています。しかし、ECサイトを作成することは簡単なことではありません。売れるECサイトを作るには、優れたUI/UX設計やマーケティング戦略、セキュリティ確保など、多くの要素が必要です。
本記事では、ECサイトを作成するための基本的なステップと事例について紹介していきます。
目次
ECサイトの構築方法と、それぞれの料金相場
ECサイトの種類
ECサイトには「モール型サイト」と「自社ECサイト」の2種類があります。
「モール型サイト」はAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングのように複数のショップで1つの大きなショップを形成するショッピングサイトで、「自社ECサイト」は各企業・個人が独自で運営しているショッピングサイトのことを指します。
ECサイトを作成する際には、はじめに目的や費用に合わせて適切な構築方法を選択することが重要です。
まずはECサイトの構築方法とそれぞれの料金相場をご紹介します。
ECサイトの構築方法・料金相場
ECサイトの構築には、以下の6種類の構築方法があります。(モール型:1種類、自社EC:5種類)
構築方法 | 制作期間 | ビジネス規模 | 費用合計 | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | カスタマイズ性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
モール | 1週間〜1ヶ月程度 | 〜数千万円 | 無料~数万円 | 無料〜6万円 | 10万円 /月 | 5〜15% | 低い |
ASP | 1週間〜1ヶ月程度 | 〜1億円 | 無料~数十万円 | 無料〜100万以下 | 無料〜10万円以下 | 3〜4% | 低い |
クラウド | 3ヶ月程度 | 1億円〜数十億円 | 500万円〜 | 500万円〜 | 5万円〜30万円 | 3〜4% | 普通 |
オープンソース | 1ヶ月〜3ヶ月程度 | 1億円〜5億円 | 10万円〜500万円 | 0~数百万円 | 数千円~数百万円 | 無料 | 高い |
パッケージ | 1ヶ月〜3ヶ月程度 | 1億円〜数十億円 | 500万円〜2000万円程度 | 100万円〜500万円程度 | 10万円〜100万円 | 1%〜5% | 高い |
フルスクラッチ | 半年〜1年 | 数十億円 | 数千万円 | 数千万円 | 数十万円〜 | 0% | 高い |
モール
楽天市場やAmazonなどの多数の店舗が出店するオンラインショッピングモール。多数の店舗が出店しているため、ユーザー数が多くマーケティング面でのメリットがありますが、カスタマイズ性が低いため独自性が出しづらく、販売手数料が高いことがデメリットです。低コストでスタートできること、各モールのサポートを受けることができるので、EC運営初心者におすすめです。
ASP
BASEやSTORES.jpのように、専用のシステムを提供するASP企業によってECサイトを構築します。初期費用が少なく短期間で構築できるため、初めてECサイトを作る初心者におすすめです。しかし、カスタマイズ性が低く、独自性が出にくいことがデメリットです。
クラウド
ShopifyやBigCommerceのように、クラウド上にあるプラットフォームを用いてECサイトを構築することができます。サーバーやインフラストラクチャをクラウド上に配置することで、柔軟性や拡張性が高く、セキュリティも強固です。初期費用が500万円〜、月額利用料も数十万円かかるため、コストが高いことがデメリットですが、システムが常に更新されるため、システム改修費用がかからず長期的にはコストパフォーマンスがいいと言えます。
オープンソース
無償で提供されるオープンソースのECソフトウェアを利用して構築します。MagentoやWooCommerceなどが代表的な例です。導入コストが低いことに加えて、プラグインで機能を追加することや、ソースコードを自由に書き換えることができるため、カスタマイズ性が高いですが、技術力や知識が必要であることがデメリットです。自社にシステムやセキュリティに精通したメンバーがいる場合におすすめな構築方法です。
パッケージ
ECサイトの運営に必要な機能を備えたソフトウェアを利用して構築します。EC-CUBEやWelcartなどが代表的な例です。カスタマイズの柔軟性は高いですが、カスタマイズ無しのベース機能だけでも数百万円以上かかることが多いため、ある程度規模が見込めるサイトの構築に向いていると言えます。
フルスクラッチ
他の構築方法と違い、ZOZOTOWNやUNIQLOなどの大手EC企業のような、まっさらな状態からすべてを自社で設計・開発する構築方法です。独自性が高く、幅広い要件を満たせるなど自由度も高いですが、コストが高く、制作期間も長くなります。立ち上げ、運用共に専門的なスキルを要するため、インハウスで開発部門がいるような大規模企業で、他社と異なる販売形態を取りたい場合におすすめです。
ECサイト運営に必要な業務とそれぞれの有効施策
サイト制作・運用
ECサイトを始める際、まずは、ECサイトの制作が必要になります。前述した通り、予算やビジネス規模に合わせてECサイトを構築する方法は異なります。ビジネス規模が大きく、カスタマイズ性が高いものを作りたい場合は、パッケージやフルスクラッチでの開発を検討する必要があり、技術力のあるメンバーが必要となります。また、ユーザーが使いやすいECサイトを作ることも、リピーター獲得、販売促進につながるため、デザイン会社など、専門的な知識とスキルを用しているところに依頼することをお勧めします。
ECサイトを制作したら、次は運用が必要になります。商品に関する最新情報、おしらせ、商品の情報更新を行なったり、日々、サイトの情報更新が必要不可欠です。またECサイトの安全性を保つために、定期的なセキュリティ面のチェック、保守運営も必要となります。
カスタマーサポート
ECサイトで商品を購入した顧客からの問い合わせ対応を行う、カスタマーサポート担当者が必要です。カスタマーサポートは、電話やメール、チャットサポートなど、様々な方法で導入ができます。顧客がECサイトを閲覧している時や、購入した後に抱いた困りごとなどは、いかに迅速に適切な対応ができるかが重要となります。例えば、チャットメッセージで迅速に対応できるようなツールを導入すると顧客の課題解決スピードも早く、満足度が上がります。また、顧客の課題解決以外にも、リピーターを獲得するためにアフターフォローサービスも重要となります。
適切な顧客対応がスピード感を持ってできる体制の構築は、顧客満足度を上げることに繋がり、ビジネスを前進させる上でとても重要です。
マーケティング
ECサイトに商品を掲載しただけでは売れません。いいものであっても、魅力の伝え方ができているか、認知をされるために何かおこなっているか、などの工夫や戦略がないと、そもそも顧客の目に触れることもできません。
ECサイトへ集客をし、いい商品を正しく魅力的に伝えて購入してもらうためには、マーケティングが必要です。例えば購入してくれそうな顧客に適切な訴求文・クリエイティブで広告を出して新規顧客を集客したり、集客した顧客を自社の顧客リストとして確保し、公式LINEやメルマガで定期的なお知らせを流して顧客との接点を増やしたりすることが求められます。また、イベント時に開催するセールやクーポンの配布、季節ごとの商品がある場合はキャンペーンを打つなどの企画を考え、売上向上に繋げていきます。
ECサイトの顧客体験を改善するために、分析ツールを導入し、ECサイトの効果的な集客アプローチや、購入に繋げるためのサイト導線を整える検証をすることも重要です。
商品管理
ECサイトを運営する際、安定的に顧客に商品を提供できる体制も必要です。つまり、商品情報の登録や在庫管理、注文管理などを担当する商品管理業務は必要不可欠です。ビジネス規模が小さめだったり、最近ではよく見かける、受注販売型のアパレルサイトなどであれば、ある程度必要な在庫の目処が立ちやすいですが、そうでない場合は、販売予測をしながら適切な商品の発注を行うことは、時期や市場にも変化があり、適宜調整が必要なため、難しい業務です。実店舗があったり、自社サイト以外のECモールでも商品を販売すると、さらに在庫の管理が難しくなってくるため、商品管理ツール導入の検討も必要になります。
ロジスティクス
注文を受けたら次は、商品を梱包し、安全に顧客に配送するということが必要になります。商品の梱包は、ショップごとの個性が出る場面でもあり商品のブランドの印象にも影響します。また、梱包の工夫次第で配送料を抑えることもできます。このように、どんな梱包にするのかを考えることも重要ですし、その工夫した梱包形式で商品を安全に届けてくれる配送業者を選ぶかも大事です。コストを重視して選ぶことも大事ですが、対応の良さや、やり取りがスムーズな業者かどうかも大切にしながら選びましょう。
売れたら終わりではなく、顧客に届くまでを想定しながら丁寧にプロセスを構築することが結果的に顧客からの信頼を得ることに繋がります。
もし物流を代行してくれるような企業を探している方は、ぜひ以下の企業をチェックしてみてください。
富士ロジテックホールディングスのEC物流代行サービスは、お客様の商品の在庫管理から梱包や配送まで、全ての作業を当社が代行して行うサービスです。
入出荷、保管/在庫管理、検品からB2C/B2B のオムニチャネル物流まで、物流・発送・保管・流通加工業務のアウトソーシングが可能です。
売れるECサイトを作るにはUXUIが重要
ECサイトにおいて、顧客が商品を探したり購入したりするためのユーザーエクスペリエンス(UX)と、ウェブサイトの外観や機能性を設計するユーザーインターフェース(UI)は、非常に重要です。
ユーザーのニーズに合わせたサイト構成
ECサイトを訪れる顧客のニーズや要望に合わせたサイトを構築することで、顧客にとってわかりやすく使いやすいサイトを提供し、ECサイトの利用率や顧客満足度を向上させることができます。
出典:ZOZOTOWN
ZOZOTOWNのECサイトでは、ユーザーが探しているブランドやアイテムを簡単に検索できるように、検索機能を充実させています。また、検索結果のフィルター機能も、色やサイズ、柄や丈の長さなど、項目が豊富で、条件に合わせた商品を探しやすくなっています。
購入プロセスの簡素化
ECサイト上での購入プロセスを簡素化することで、顧客が簡単に購入手続きを行えるようにし、購入意欲の向上や、利用者数の拡大などを促進することができます。
Amazonは、購入プロセスを簡素化することに力を入れています。例えば、消費のページ上1クリックで購入することができたり、クレジットカード情報や配送先情報を一度入力すると、次回以降は自動的に表示されるようになっています。また、商品の購入完了後にも、配送状況の確認や返品・交換の手続きがスムーズに行えるようになっています。
ウェブサイトのナビゲーションや検索機能の改善
ECサイト上での商品検索やページ遷移などのナビゲーションや検索機能を改善することで、顧客が欲しい情報や商品を簡単に見つけることができるようになり、ECサイトの利用率や売上の向上につながります。
出典:UNIQLO
例えば、子供服から大人向けの服まで取り扱っているUNIQLOのECサイトでは、商品を複数のカテゴリーに分類し、ナビゲーションを充実させています。例えば、「メンズ」「レディース」「キッズ」「ベビー」「ユニセックス」といったカテゴリーから商品を探すことができます。
ECサイトだけでなく、顧客体験全般を意識して設計することが重要
ECサイトのUI/UXのデザインだけでなく、AppleやNike、UNIQLOなど、実店舗とオンラインストアを組み合わせて顧客によい購入体験を提供するためにもUI/UXデザインは重要となります。
Appleは、実店舗とオンラインストアを組み合わせたオムニチャネル戦略を展開しています。オンラインストアでは、購入した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗でのサービス予約を行ったりできるようになっています。また、実店舗では、商品のデモンストレーションや修理サービスを提供しています。UI/UXデザインにより、顧客がスムーズに商品を購入・受け取り・修理できるようになっています。
ネットショップ開設をご検討で、各サービスについて比較したい方は以下の記事もご参考下さい。
売れるECサイト制作を依頼するならセブンデックス
ECサイトはちょっとしたUXUIの差異によって、大きな購買率の差を生むことがあります。また、世の中がコト消費に変化する時代、モノを作るだけでは売れず、顧客調査から課題やニーズを分析し、サービスに落とし込むプロセスが必要です。
セブンデックスのUXデザインは包括的に支援するために、市場、顧客調査、UXリサーチ、ペルソナ設計、UXデザインと、全プロセスを提供します。
UXデザインから新たなビジネスチャンスを創出し、成長するサービス作りを行います。
株式会社ライトオン様のアパレルECサイト&アプリのUXUIデザインリニューアルを支援した際は、改めて、ライトオンらしさとは?から問い直し、さらなる事業拡大を目指してライトオンのECショップとしてのあり方を再定義しながら、リニューアルを行いました。
セブンデックスのECサイトUI/UXデザイン支援の具体的なプロセスについて知りたい方は、こちらにて詳しく解説してますので、ぜひご参照ください。