株式会社トライバルメディアハウスは、ソーシャル時代における「売上のメカニズム」を解明するマーケティング支援会社です。
同社の新規事業である、マーケティング学習プラットフォーム「MARPS(マープス)」のプロダクト方針策定からUIUXデザイン、効果検証設計までを、一気通貫で支援しました。
不確実性の高い新規事業を、セブンデックスはどのように支援していったのか。また、そこから見えてきた互いの関係性とは。
本プロジェクトに携わったセブンデックスのビジネス・クリエイティブ・スタジオ事業責任者 西野、UXディレクター 赤間、UIデザイナー 山﨑、また支援をさせていただいた株式会社トライバルメディアハウス キャリアディベロップメント事業部 部長 亀井様にお話を伺いました。
目次
会社の新たな柱を作るための新規事業。支援する上で期待された“転ばぬ先の杖”としての役割。
ーまず初めに、新規事業立ち上げに至った背景を教えてください
亀井様:
当社の事業拡大に繋がる新たな事業の柱を立ち上げようとなったのが今回の新規事業です。というのも、当社はクライアントのマーケティング課題を支援し対価を頂く、労働集約型ビジネスが現在の柱です。しかし、さらなる事業拡大をめざし資本集約型に繋がるようなビジネスを立ち上げることになりました。そこで今回セブンデックスさんにご支援頂きリリースしたのが、マーケターに向けた教育サービス「MARPS」です。
マーケターに向けた教育サービスを立ち上げた背景としては、当社代表の池田が約25年、マーケティング業界にいる中でこの業界に恩返しがしたいという想いを強く持っていたからです。自身が培ってきた、マーケティング知識を世のマーケターに還元する目的で、「MARPS」がたちあがりました。
ー新規事業を一緒に立ち上げていくパートナーとして、最終的にセブンデックスを選んで頂いた理由を教えてください
亀井様:
新規事業の進行段階から細かくご提案いただき、発注前からプロジェクトをイメージできた、かつ頻度高くコミュニケーションを取ってくださったのが、セブンデックスさんだったからですね。
今回の新規事業立ち上げの際、質の高いUI/UXやユーザー体験に落とし込んでいけるか正直不安でした。そんな状況でのパートナー探しで、セブンデックスさんは「こうやっていかなければいけないので、こういう風に進めていきましょう」などプロジェクトのイメージをしやすくご提案くださり、そこが1番大きい理由ですね。あとは、新規事業の立ち上げなので結構泥臭く進めることになると考えたとき、御社のコミュニケーション頻度が高く、一緒につくりあげるイメージができたことがお願いした背景です。
ー今回のプロジェクトにおいてセブンデックスに期待していたことは何ですか?
亀井様:
転ばぬ先の杖として、プロジェクトをリードしていただくことです。今まで様々な新規事業を支援してきたセブンデックスさんの立場として、「それやったら道外れるよ」「こう進んだ方が良いよ」みたいなところをしっかりリードいただくことを期待していましたね。
「ビジネス視点でのサービス構想」と「ユーザーが使いやすいサービス」のバランスを意識し形作る、スピード感あるプロジェクト進行。
ー良いサービスを共に創り上げるために意識して取り組んだことは何ですか
西野:
まず、サービス方針の策定フェーズでは、トライバルメディアハウスさんが「MARPS」を通じて実現したい世界観や構想を正しく捉えた上で、ターゲットユーザーが掲げるニーズやペイン、競合サービスの価値提供方針などを広く捉えながら、「自社の強みや特徴が活きる、ユーザーに求められるサービス方針」を定めていくことを意識しました。
赤間:
ユーザーインタビューを通じてユーザーの体験や課題をファクトベースで捉えた上で、サービスペルソナを「利用ユーザーのセンターピン」として定め、ペルソナに使われるサービスという軸はぶらさないようにしたことは、明確に意識していましたね。
また、ターゲットユーザーのニーズを捉えるだけでなく、ビジネス側としてそもそも何がやりたいサービスなのかといった、根本にある思想や構想を理解することも、「MARPS」の構想を実現するには重要なポイントでした。
山﨑:
エグゼクティブインタビューを通じて代表の池田さんのお話も伺いましたが、、「MARPS」はマーケティングに対する小手先の知識ではなく、根本的な考え方や学びの本質をインストールできるサービスでありたいという強い想いを伺っていました。現在、そのようなサービスは本当に少なく、貴重な存在になると思っていたので「MARPS」実現までしっかり伴走し、ご支援したいと思っていました。
ー「MARPS」のデザインを設計をしていく上でこだわったことは何ですか?
山﨑:
1つ目は、サービスの思想をどうUIに反映させるかについて議論を重ねたことです。
例えば、MARPSでは、講義内容をより深く理解するために、事前に予習のステップがあり、講義後は、任意課題や振り返り記事も配信されます。この「予習→講義→振り返り」というフローは「本当に知識をインストールするためにはこの3つのステップが必要である」というMARPSの思想が現れている特徴的な機能でした。通常、講義に申し込む際はボタンを押した後、申し込み情報の入力を行いますが、MARPSの場合は事前課題への回答になります。申し込むというラベルだと、課題のフォームがあっても回答を適当にされる、もしくは離脱になる可能性が高いため、課題への回答の認識を事前に持たせた上で、ボタンを押してもらうためには?MARPS的にはどれくらいの気持ちでユーザーに課題に回答してもらうのがいいかというような、サービス思想に大きく関わる部分は細かくても特に議論を重ねました。
2つ目は、議論のスピード感。ここはプロジェクトを進めていく中で特に大事にしました。トライバルメディアハウスさん含めたチームメンバーで、毎日朝会と夕会を行っていたので、議論からアップデートまでをスピード感もってスムーズに行えました。これらの会には開発メンバーも参加いただいていたので、開発ニーズのディスカッションも同時にでき、コミュニケーションコストを最小限にできて良かったです。
ーセブンデックスのプロジェクト進行に対してどのような印象がありましたか?
亀井様:
1つ目は、プロジェクトを進める上で、とにかくコミュニケーションを頻繁に取ってくださったことです。「MARPS」への理想像を解像度高く持っている当社と、転ばぬ杖としてプロジェクトをリードしてくださるセブンデックスさんの互いの強みを最大化させるために、コミュニケーションは頻繁にとっていましたね。また支援体制として、赤間さん・山﨑さんはこのプロジェクトに入りきりで支援くださりスムーズに進行ができ本当にやりやすかったです。
2つ目は、細かい合意形成をしてくださること。自分たちが進行していることに対して満足しているか、方向性には問題ないかなど細かく合意をとってくださいました。合意形成をしてくださることで、プロジェクトが道を外れる前に軌道修正でき、大事なプロセスでしたね。
3つ目は、ドキュメンテーションの緻密さです。コミュニケーションや合意形成の中で生まれた全てを、とにかく正確に残してくださいました。その結果として、全てのドキュメントがあるからこそ細かい合意形成が行えたり、「これって何でこうなったんだっけ?」みたいなところもすぐに確認できましたね。
密なコミュニケーションで互いの思想や考え方を同期させ、会社の垣根を超えたプロジェクトメンバーへ。
ーサービス実現に向け、どのようなコミュニケーションを意識しましたか?
赤間:
先ほど亀井さんがおっしゃった通り、状況が可視化できるようなドキュメンテーションを意識して作っていましたね。例えば、何かが決まったタイミングなどで、「今こんな状況ですよ」が分かる完成度30%程のものを一旦共有し、常に互いの情報解像度が合うことを重要視して動いていました。
重要視している理由として、新規事業では、どんな事業を始めるか、市場はどうなっているのか、自社の制約条件は何か、など多くの情報情報を取り扱いながら進行していく必要があります。その中で、認識齟齬を防ぎ、スムーズにプロジェクトを進行するには、議論の途中段階が互いに見えていることが大事だからです。
西野:
また、密なコミュニケーションの中で「ユーザーに選ばれる新規事業を作る」ための頭の使い方も合わせていきましたね。弊社が支援事業を伸ばす上で大事にしている「ユーザー起点で考える」「世の中にないものは、ない理由がある」といった頭の使い方やプロセスを、トライバルメディアハウスさんにもインストールさせていただくことで、両社がユーザー起点で会話するプロジェクトになっていきました。
また、こちら側から一方的にインストールするだけではなく、弊社としてもトライバルメディアハウスさんから「サービス構想や背景となるビジネス戦略」などをインストール頂きました。プロジェクトを成功へ導くには互いの脳内(考えや想い)を同期させ理解し合う必要があったため、弊社はトライバルメディアハウスさんが「実現したいサービスの世界」を解像度を高く理解し、トライバルメディアハウスさんは弊社が持つ、「新規事業を成功させるために抑えるべき要所」を理解する。これらは決して簡単なことではありませんでしたが、密なコミュニケーションを意識してとったからこそ認識齟齬なく互いの脳内(考えや想い)を同期することができましたね。
ーその結果、どのような関係性になりましたか?
亀井様:
会社の垣根を超えた大事なプロジェクトメンバーの一員だったと思っています。なんで会社が別なんだ、と思うほど日々コミュニケーションを取っていた仲間でしたね。
また、プロジェクトを進行していく中で、ディレクション観点やデータ分析観点、ビジネス観点、デザイン観点など、当社には足りなかった部分を補ってくださってくださいました。プロジェクト初期から転ばぬ先の杖として、プロジェクトをリードしてほしいとお伝えしていましたが、しっかりとプロジェクトを導いてくれたなと思っています。
西野:
本当に思ったことを素直に言える関係性でした。忖度なく「今こう思ってます」をしっかり言える関係値を築けたことでプロジェクトをスムーズに進められましたし、「MARPS」が実現したい理想を目指して同じ目線で進めるチームでいることができましたね。
このような良い関係性を築けた理由として、互いの企業カルチャーが合っていたことが、大事なポイントだったなと思っています。新規事業に大事なのは想定されない変化に対して、柔軟に対応して動くこと。セブンデックスは支援側としてケイパビリティがもちろん求められますが、トライバルメディアハウスさんの対応力や柔軟性もすごく高くて。私たちとしては、すごくやりやすく有難い部分ではありましたね。
「MARPS」リリースで起きた、目標値を上回る大きなインパクト。そして互いに考える、今後の展望とは。
ー「MARPS」のリリースにあたり、社内外でのインパクトはありましたか?また、会社として今後の展望があれば教えてください。
亀井様:
「MARPS」β版をリリースした際、かなりインパクトがありました。当時、β版の目標値として300人の登録者数を目指していましたが、いきなり1000人を超えたんですよね。かつアンケートの結果も好評価で、このインパクトは大きかったです。
また、「MARPS」は当社のマーケティング支援事業とシナジーがあるため、採用候補者やクライアント候補者が「MARPS」経由でいらっしゃってくださることもあります。ここは元々狙っていた部分でもあるので、企業広報と採用広報での効果があることは狙い通りだったなと思っていますね。
また、ユーザーインタビューの中で「改善して欲しいポイント」などをヒアリングさせていただくと、いまのところ全然ないと言われますね。これは、プロジェクトの中でセブンデックスさんが密なコミュニケーションと細かく議論を重ねてくださったからだと思っています。
今後の展望としては、「MARPS」を事業の柱にしていきたいというところが大きな目標としてあるので、コツコツ成長させていきたいですね。また「MARPS」を通して、日本のマーケティング課題や当社の事業課題を解決していけたらと思っているので、やりたいことが盛り沢山です。
ーもし今後またご縁があった場合、今後セブンデックス側で支援してみたいことはありますか?また、今回の支援での感想などがあれば教えてください。
赤間:
今回支援させて頂いた「MARPS」は今、どんどん人を集めているフェーズだと思うので、新しい施策をたくさんできそうだなと思っています。なので、プラットフォームをさらに活かしていくために、新たな施策をまた一緒に考えたいですね。
山﨑:
私も、新しくできそうな施策がたくさんあると思うので、またご一緒できたら嬉しいです。また、新しい機能や情報が増えてきても、ユーザー起点での情報やUIを設計し、使いやすいサービスであり続けられるよう、またご支援できたらなと思っています。
西野:
今回支援させて頂いた感想としては、新規事業という複雑で不確実性の高いものに対して、密なコミュニケーションを通じて可能な限り脳内を同期し、スピード感を持って意思決定し続けることで前進し続けることができたことが印象的です。また、プロジェクトメンバー全員が、互いの得意・不得意や担保すべきプロフェッショナル領域を明確に理解してたので、精度高いサービスを作り上げることができたなと思っています。