「誰もが住みたい地域を、このまちからつくる」
そんな想いを掲げた東邦ガスグループが、100年を超える歴史のその先に目を向け、策定したブランドアイデンティティとコミュニケーションフレーズを軸に、地域と未来に向き合う企業としての在り方を、映像に落とし込みました。
私たちセブンデックスは、ブランド戦略の構築から、ビジョンを社会に届けるためのクリエイティブ制作までを一貫して支援しました。その取り組みのひとつとして制作したのが、今回ご紹介するブランドムービーです。
本記事では、このムービーがどのような意図で企画され、どのような人々の想いでつくられていったのか。多くの関係者が関わる中で、どのように期待値をすり合わせ、ひとつの映像へと昇華させていったのか。そして、映像を通して伝えたかった「未来の、まんなかへ」というメッセージとは——。
制作の舞台裏を通じて、このプロジェクトに込めたストーリーをお届けします。
目次
ブランドを再定義する。“ガス会社”から“地域の未来づくり”へ
東邦ガスグループのブランド再構築は、「魅力的な地域をつくる会社」としての在り方を改めて見つめ直すことから始まりました。
多角的な調査と分析を通じて、100年以上にわたり地域とともに歩んできた同社の歴史や、地域への強い愛着、そして“安心”を丁寧に届け続けてきた姿勢に触れました。それは、変化の激しい時代においても揺らぐことのない、東邦ガスグループならではの価値だと私たちは考えました。
この想いを軸に、私たちはブランドの今後あるべき姿を定め、アイデンティティ設計から社内外で体験されるタッチポイントの設計まで、包括的なコミュニケーション設計を行いました。
今回ご紹介するブランドムービーは、そうした一連の取り組みのひとつです。「ゆるぎない安心と、未来につづく賑わい」というメッセージを、言葉だけでなく感覚的に伝える手段として、映像という表現を選びました。
コンセプトは「360 Dream」
過去から未来へつながる東邦ガスグループのストーリー
ブランドムービーのコンセプトは「360 Dream」。
これは、ガス灯の時代から始まった東邦ガスグループの歩みを起点に、現在、そして未来へと続くストーリーを360度の視点で描いたものです。
映像は、過去の夜を照らした「ガス灯」から始まります。明かりがともることで人が集まり、街が育ち、文化が生まれる。そんな「地域の始まり」を照らす光が、やがて「未来を照らす光」へと転換していきます。エネルギーの枠を超え、新たな価値や体験を地域に提供していく東邦ガスグループの進化が、丁寧に紡がれていきます。

ブランドの世界観を“映像として表す”までの道のり
ブランドムービーの核となったのは、「誰もが住みたい」と思える地域のリアルな暮らしを、映像として丁寧に描き出すこと。そのために、実際の生活に根ざしたロケーションやシーン構成を徹底的に追求しました。
本プロジェクトでは、撮影チームやキャスト、ロケ地の関係者など、普段以上に多くの外部メンバーと連携する体制で進行しました。セブンデックスにとっても、社内メンバー中心で進める案件とは異なり、外部のプロフェッショナルメンバーと目線を揃えながら、一貫した世界観を築きあげることが求められるプロジェクトでした。
映像制作においては、伝えたい価値や感情のニュアンスがわずかな認識のズレによって損なわれるリスクがあります。だからこそ、「何を伝えるか」だけでなく、「なぜその表現なのか」を含めて、細部にわたり丁寧に言語化し、関係者間で共有することを重視しました。また、リアルな暮らしを映像に落とし込むうえで欠かせなかったのが、現実の制約を踏まえた企画段階での設計の工夫でした。実写での再現性を検証しながら構成を練り、演出の意図が形になるよう、絵コンテの時点から精度を高めていきました。
撮影地として選定したのは、東邦ガス技術研究所、みなとアクルス、久屋大通公園、金華山など。東邦ガスグループの事業と地域性を象徴する場所を選び、シーンに合わせて丁寧に設計しています。現場では、自然光やキャストの動きといった偶発的な要素にも対応するため、即時の判断や修正を可能にする連携体制を構築しました。

こうした綿密な準備と現場での判断力、そして「この映像で何を伝えるか」だけでなく「なぜこの表現なのか」を共有できていたからこそ、ブランドの世界観をブレることなく、リアルな暮らしのなかに落とし込むことができたと考えています。
言葉を超えて、心に届く「ブランド」体験へ
100年を超える東邦ガスグループの歩みと、これからの未来への意志。その両方を一つのストーリーとして描き出す手段として、私たちが選んだのが「映像」でした。
言葉では伝えきれない温度や余白、日々の仕事や暮らしの中に息づく誇りや希望。ブランドムービーという形式だからこそ、それらを五感に訴えるかたちで、まっすぐに届けることができたと感じています。
この映像は、外部に向けたブランドの姿勢を示すと同時に、社員一人ひとりが自然と立ち止まり、自分の仕事を見つめ直すような感覚をもたらすことも願って制作しました。日々の業務の延長線上に、地域の未来が続いている——そんなことを、直感的に感じてもらえるような体験であればと思います。
映像を通じて「これは確かに、東邦ガスグループらしい」と多くの人が自然に感じてくれたこと。その共通の感覚こそが、このプロジェクトがブランドの本質に触れていたことの証だったと、私たちは受け止めています。
これからも私たちセブンデックスは、企業がまだ言葉にできていない本質的な想いを言語化し、それを社会と共有できる体験へと変換していく、そんなブランドパートナーでありたいと考えています。