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ブランド力とは何か?~戦略から高める方法まで解説~

ブランド力とは何か?
――この問いに即答できる企業は、実はそう多くありません。

商品やサービスの機能が均質化する今、競争優位を築くカギは「ブランド」にあります。しかし、単なるロゴやスローガンの刷新に留まらず、本質的なブランド価値をどう設計し、社内外に浸透させていくのか。そのプロセスを体系的に理解し、戦略として意思決定できている企業は限られています。

本記事では、ブランド力の定義から、その構築に不可欠な戦略思考、そして実行フェーズにおける具体施策までを包括的に解説します。ブランドを「資産」として捉え、自社の競争力へと昇華させたいと考える皆様に向けた内容です。

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ブランド力とは

ブランド力とは、顧客が企業や商品・サービスに対して抱く「信頼」「価値」「独自性」などの総合的な評価のことを指します。単にロゴやデザインの美しさを意味するのではなく、「選ばれる理由」となる無形の価値が、ブランド力の正体です。

たとえば、同じ価格帯・同じ機能の商品が並んでいたとしても、ある特定のブランドが「なんとなく良さそう」と感じられるのは、その企業がこれまで築いてきた信頼や一貫性が認知に結びついているからです。この“無意識の選択”を引き起こす力こそが、ブランドの強さです。

また、ブランド力は対外的なイメージにとどまりません。社内における帰属意識や従業員エンゲージメントにも影響を与えるため、採用力や社員の定着率、企業文化の形成にまで波及します。つまり、ブランドは「広報」や「マーケティング」だけのものではなく、経営資源として戦略的に活用すべき存在だと言えます。

ブランド力を高めるメリット

競合他社との差別化が可能

競合他社と似たような商品やサービスを提供している場合でも、ブランド力の高さが購買行動に大きな影響を与えることがあります。

たとえば、「チョコレートといえばA社」「スーツならB社」といったように、特定のブランドが消費者の第一想起に上がる状況をつくることができれば、価格や機能以外の部分で明確な優位性を築くことができます。これがブランドが持つ“見えない競争力”です。

ブランド力は、「企業」「事業」「商品・サービス」という三つの軸で捉えることができます。企業としての信頼性、事業としての独自性、そして商品・サービスとしての品質や体験価値。これらが相乗的に作用することで、ブランドはより強固なものになります。

たとえば、企業としてのブランド力が高い会社が新商品を発売した場合、消費者の多くは「この会社の商品なら安心できそうだ」とポジティブな印象を持ち、手に取ってもらえる確率が高まります
同様に、ゲーム業界で高いブランド力を築いている企業が新作ソフトを出せば、「今回も面白いに違いない」と期待感をもって受け入れられやすくなります。

このように、すでに築かれた信頼や好印象が、新商品や新サービスに対しても“追い風”として働くのがブランド力のメリットです。結果として、競合他社との比較においても有利な立場を確保しやすくなります。

顧客ロイヤリティが上がり社会的信頼度が増す

ブランド力が高まると、顧客との関係性にも大きな変化が生まれます。その代表的な効果が、「顧客ロイヤリティの向上」です。

ブランドに対して信頼や共感を感じる顧客は、多少の価格差や利便性の違いがあっても、他社に乗り換えることなく継続して選び続けてくれます。つまり、ブランドが持つ“信頼の貯金”が、長期的な収益の安定につながるのです。また、ロイヤル顧客はリピート購入にとどまらず、自ら積極的にブランドを紹介してくれるケースも少なくありません。いわば、広告以上に信頼性の高い「自走するファン」が育つのです。

さらに、強いブランドは社会的な信頼度の向上にも寄与します。認知度が高く、好意的なイメージが定着している企業は、メディアからの注目を集めやすくなったり、採用活動で優秀な人材を惹きつけたりと、多方面でプラスの効果が期待できます。ビジネスパートナーや投資家との関係構築においても、信頼されるブランドであることは大きなアドバンテージになります。

このように、ブランド力は顧客との関係を強固にするだけでなく、企業の社会的な立ち位置を高める資産とも言える存在です。単なるマーケティング施策ではなく、経営視点で捉えるべき重要な戦略領域だと言えます。

顧客単価が上がり利益率が上がる

ブランド力が高まると、価格というハードルが次第に意味を持たなくなります。もちろん、まったく無視できるものではありませんが、「価格以上の価値がある」と顧客に感じてもらえるかどうかは、ブランドの信頼度や独自性に大きく左右されます。

実際、同じカテゴリの商品やサービスでも、ブランドに対する安心感や世界観がしっかり伝わっている場合には、多少高い価格でも受け入れられるケースが少なくありません。そこに「比較検討」の余地はなくなり、「指名買い」に近い購買行動が起きるようになります。

結果として、割引やキャンペーンに頼らずに販売できる状態が生まれ、自然と顧客単価が上がる。さらに、広告費や販促費を抑えながら売上を確保できるため、利益率の向上にもつながっていきます。

このように、ブランドは“売上のアクセル”であると同時に、“利益のブレーキ”を緩める装置でもあるのです。ブランドへの投資は短期的なROIで測りにくい部分もありますが、長期的には事業の収益構造を健全に整える、非常に合理的な経営判断と言えます。

組織力が向上する

ブランド力が作用するのは、消費者に対してだけではありません。実は、そのブランドを支える社員や、これから仲間になるかもしれない求職者にとっても、ブランドの影響力は非常に大きなものです。

ブランド力が高いということは、それだけ社会的な信頼度が高く、多くの人々に良い印象を持たれているということ。すると、社員は「このブランドの一員であること」に誇りを感じるようになり、日々の仕事へのモチベーションや帰属意識も自然と高まっていきます。
一方、求職者にとっても「いつかあの会社で働いてみたい」と思わせる魅力となり、優秀な人材が集まりやすくなるという効果も見逃せません。

こうした内外からのポジティブな循環が広がると、社内の雰囲気が前向きになり、新しいアイデアや良質なサービスが生まれやすい環境が整っていきます。結果として、ブランド力の高さが業績の向上にもつながっていきます。

ブランド力を向上、高めるブランディング方法とは

過去にセブンデックスが手掛けたブランディングに則り、詳しく解説していきます。

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ブランディングの必要性を認識する

ブランディング画像

グループ全体で何千名を超える社員を抱える企業であってもスタートアップでも、ブランドの方向性を示すだけでは、変革を現場にまで浸透させることは困難です。ブランド戦略を成功させるには、まず経営陣がブランディングの必要性を正しく理解し、主体的に関与する土台づくりが欠かせません。

ブランディングの根幹であるブランドアイデンティティの定義や戦略立案に入る前に、経営層と共通認識を形成することを最優先に位置づけることが大事です。具体的には、「ブランディングとは何か」という基礎から、「なぜ経営戦略としてブランディングが重要なのか」、そして「ブランディングが企業にもたらす変化」までを体系的に学べる勉強会を設計することも効果的です。
さらに、理論を理解するだけでなく、よりリアルにブランディングを捉えてもらうため、実際にコーポレートリブランディングを経験した企業の外部講師を招いた講演会を実施することも非常に効果的です。

こうした取り組みを通じて、ブランディングの本質と価値について組織内に共通認識を醸成し、プロジェクト推進のための基盤を、丁寧に整えることが成功への第一条件です。

企業価値を明確化、ブランドコンセプトを定義

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ブランドコンセプトを定める際には、単に理想のイメージを描くだけでは不十分です。自社のルーツや提供してきた価値、社会との関係性を深く掘り下げるプロセスが欠かせません。

ある企業では、ブランドの今後の方向性を明らかにするために、多角的な調査・分析を実施。地域との関わりや、長年培ってきた信頼関係を丁寧に振り返ることで、企業としての“核”に改めて向き合う機会をつくりました。

その過程で見えてきたのは、「地域に安心と価値を届ける」という使命感と、それを支えてきた社員一人ひとりの真摯な姿勢でした。変化の激しい時代にあっても、この姿勢こそが変わらず支持されてきた理由であり、企業の独自性を形成する根幹であると再確認されたのです。

そこで、ブランドの向かうべき方向性として、「○○な価値を社会にもたらす企業」や「○○を通じて人と地域をつなぐ存在」など、企業の本質に根ざしたブランドコンセプトを再定義。過去・現在・未来を一貫してつなぐ軸として、社員や顧客の共感を得られる明確な価値観が言語化されました。

このように、自社らしさを深く掘り下げ、社会との関係性を再構築するプロセスを経て、ブランドコンセプトを「掲げるもの」から「動かす力」へと変えていくことが大事です。

ブランドアイデンティティを策定

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企業のブランド戦略を推進するうえで、まず重要となるのが「企業として何を大切にし、社会にどのような価値を提供していくのか」を明文化することです。ブランドアイデンティティの定義は、そうした価値観や存在意義を可視化し、社内外に共有するための第一歩といえます。

ブランドアイデンティティを策定する際は、「目指すブランド像」だけでなく、それを的確に伝えるためのメッセージ設計が求められます。たとえば、ブランドの根底にある想いやビジョンを伝えるステートメント、そしてそれを端的に表現するコミュニケーションフレーズやタグラインなど、複数のアウトプットに分けて設計するのが一般的です。

また、ブランドアイデンティティは経営陣だけでなく、現場の社員も自分ごととして理解できることが重要です。そのため、多くの企業では策定プロセスに社内ワークショップステークホルダーとの意見交換を取り入れ、現場の声を反映しながら納得感のあるかたちで定義を進めています。

さらに、経営層向けにはブランドの意義や効果を丁寧に説明する資料を整備し、全社的な合意形成に時間をかけることも大切です。このように、インナーとアウターの両面を意識した設計・説明・対話のプロセスを丁寧に行うことで、ブランドアイデンティティが「絵に描いた餅」ではなく、企業活動の軸として機能する土台を築くことができます。

ブランド価値定義

ブランド価値画像

ブランドの価値を定義するには、感覚的な印象や表層的な打ち出しにとどまらず、客観的な調査と多角的な分析に基づいた裏付けが欠かせません。

自社調査を行い、現場のリアルな声を通して、社内に根づく企業文化や「この会社らしさ」を抽出します。さらに、主要拠点を訪問して働く現場に触れ、経営陣との対話を重ねながら、創業以来受け継がれてきた価値観や理念を丁寧に紐解いていくことが必要です。

一方、市場と競合の視点では、デスクリサーチを通じた業界分析に加え、一般消費者を対象としたブランド認知度調査や、既存顧客へのインタビューなどを実施することで。自社がどのように見られているのか、どんな価値を期待されているのかといった、“外からの視点”を定量・定性の両面から把握することが大事です。

これらの調査から浮かび上がった強みをもとに、この価値を再解釈し、ブランドの方向性とアイデンティティを定義。企業の絶対に外せない考えや想いを軸に据えながら、今後のビジョンを明確化にします。

ブランド価値の定義は、社内外の認識を揃える出発点であり、全てのブランド戦略の土台となります。そのためにも、単なる主観に頼らず、多面的な調査に基づいた価値の再発見が極めて重要なのです。

ブランド認知のためのクリエイティブ制作

ブランドアイデンティティを定義しただけでは、ブランドは浸透しません。重要なのは、社内外のステークホルダーに対してその価値をどう伝え、どのように共感を促していくかというプロセスです。

ロゴ

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1つ目はロゴです。ロゴは企業の経営理念や行動指針を視覚的に伝わるように制作するものです。
上記で策定したブランドコンセプトを効果的に消費者や社内の人間に伝えるために色、デザイン、文字の大きさなど細部まで拘って人々の印象に残るように制作することが大事です。

「このロゴといえばあの会社だよね」と消費者やステークホルダーが認知することが多くなればなるほどブランド力が高いと言えるでしょう。

ブランドサイト

ブランドサイト画像

2つ目はブランドサイトです。
ロゴと比べ、多くの情報を載せることができるため、より消費者の共感や認知度を高めることが可能になります。

ただ、ロゴと比べ工数や時間、コストが掛かってしまうため、タイパ、コスパを鑑みてより効果的に内容を充実させることが必要になります。

ブランドポスター

ブランドポスター画像

3つ目はブランドポスターになります。
ポスターはロゴよりも情報量多く、サイトよりも短い時間で簡単に制作することが可能になります。また、人の往来が多い駅や商業ビルなどの壁に貼るだけで簡潔するという手軽さもあります。

しかし、いくらロゴよりも情報量多くできるとはいえ、一枚に集約しなければならないため、本当に伝えたいことを絞ってデザインすることが求められます。

ブランディングによってブランド力が高まった企業

スターバックス

スターバックスは高いクオリティの商品とサービス精神によりブランドロゴを消費者に広く認知させ、CMなどの広告を打たずとも集客できるブランドイメージを持たせた企業の一つとして知られています。

スターバックスはグローバルブランドでありながらも、ローカルコミュニティを大切にしています。店舗がそれぞれ地域との結びつきを一番に大切にしながら運営を行っています。

また、サードプレイスとしての地位をいち早く確立したこともあり消費者に広く共感され、認知されています。

レッドブル

Red Bullは、世界的なエナジードリンクのブランドです。

なかなか、商品名から企業のイメージが湧きにくい課題があった中で、Red Bullでは「翼を授ける」という斬新なキャッチコピーを用いて、夢や目標に向かって一所懸命に頑張っている人々を応援するというイメージを築くことができ、今では、若者を中心に世界中に認知されるようになりました。

千疋屋

千疋屋総本店は約190年続くフルーツの老舗で、東京・日本橋に本店を構える企業です。

関東を中心に高い認知を獲得していましたが、近年さらなる成長の道筋を探索していました。そのような中で2021年に新しいシンボルマークを導入し、新たなブランドを導入したことでさらに付加価値を高めました。若年層の取り込みと紅茶やワイン、食品など主力商品以外の業態も強固なものにしていきました。

また、カタログやツールのデザインも一つの世界観に落とし込んだり、スタイルキーワードを社員の振舞い方にも導入し企業として次の100年を見据えた行動を行っています。

まとめ

ブランドの力を、経営の力に。ブランディングのご相談はセブンデックスへ

ブランドは単なる表現ではなく、企業の価値を社会に届けるための経営資源です。
目指すべき方向性を定義し、社内外に浸透させていくプロセスには、深い対話と設計力、そして巻き込む力が求められます。

セブンデックスは、ブランドアイデンティティの策定からクリエイティブ制作、社内浸透の戦略設計まで、一貫したブランディング支援を行っています。
経営戦略に結びつく「ブランド」を一緒に築いていきませんか?

まずはお気軽にご相談ください。

ブランディング支援資料

セブンデックスのブランド構築プロセスと実績詳細が解説されている資料を無料でダウンロードできます。

医療・福祉系会社のM&A部署で営業の長期インターンでアウトバウンドや顧客面談、IM作成などを経験。営業を経験していく中でインサイドセールスや潜在的な顧客を生み出すマーケティングに興味を持ち、インターンとして入社。明治大学商学部在学。