バリアフリーデザインの定義
バリアフリーデザインとは、高齢者や障害のある人を含め、すべての利用者が安全で快適に生活できるように配慮された設計のことを指します。段差をなくしたスロープや手すりの設置、わかりやすい案内表示、広めのトイレスペースなどが代表的な例です。物理的な障壁を取り除くだけでなく、視覚や聴覚への配慮、情報を伝える工夫なども含まれます。つまり、生活や移動における「困難」を減らし、誰にとっても使いやすい環境を実現するのがバリアフリーデザインの考え方です。
バリアフリーデザインとユニバーサルデザインの違い
バリアフリーデザイン | ユニバーサルデザイン | |
目的 | 既存の障害を取り除く | 最初から誰でも使える設計 |
対象 | 高齢者・障害者など特定の人 | 年齢や性別を問わずすべての人 |
タイミング | 後から改善 | 設計段階から配慮 |
事例 | スロープ、手すり | 段差なし設計、シンプルUI |
バリアフリーデザインは、すでに存在する段差や不便さといった「障壁」を取り除き、高齢者や障害者など特定の利用者が快適に暮らせるようにする取り組みです。
一方でユニバーサルデザインは、最初から年齢や性別、障害の有無に関係なくすべての人が使いやすいように設計することを目的としています。
より詳しくバリアフリーデザインとユニバーサルデザインの違いを知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
バリアフリーデザインの例
バリアフリーデザインは、日常生活や施設、ウェブサイトなど身近な場所で実現されています。ここからは分野ごとの具体的な事例を見ていきましょう。
日常生活・公共空間
まずは道路や駅、交通機関など、私たちが日常的に利用する公共空間での事例を紹介します。
点字ブロック
点字ブロックは、視覚障害者が安全に歩行できるように設置された舗装です。進行方向を示す誘導用と、注意を促す警告用があり、駅や横断歩道など多くの公共空間で使われています。高齢者や健常者にとっても安全を意識する目印となります。
音響式信号機
音響式信号機は、視覚障害者が安全に横断できるように音で知らせる装置です。青信号になると音やメロディが流れ、歩行のタイミングをわかりやすく伝えます。高齢者や外国人にとっても理解しやすく、安心して道路を渡れる環境づくりに役立っています。
スロープ
スロープは、段差を解消し車いすやベビーカーでも移動しやすくするための設備です。駅や公共施設の入口、歩道などに設置されており、高齢者や体の不自由な方にとって欠かせません。荷物を持った人や小さな子ども連れにも便利で、誰にとっても使いやすい空間を実現します。
ノンステップバス
ノンステップバスは、もともと段差による不便を解消するバリアフリー対応として開発されました。乗車口を低くし、床をフラットにすることで、車いす利用者やベビーカーでも乗り降りしやすくなり、高齢者や足腰に不安のある人も安心して利用できます。さらに、荷物を持った人や小さな子ども連れなど、誰にとっても快適で使いやすい設計となっており、ユニバーサルデザインの代表例としても位置づけられています。
屋内・施設
続いては、住宅やオフィス、商業施設など屋内空間でのバリアフリーデザインの事例です。毎日使う場所だからこそ、安全性や快適さへの配慮が欠かせません。
手すり・階段昇降サポート
手すりや階段昇降のサポート設備は、高齢者や足腰の弱い人が安全に移動できるように設けられています。階段や廊下、トイレなどに設置することで転倒のリスクを減らし、安心して生活や仕事ができる環境を整えます。
多機能トイレ
多機能トイレは、車いす利用者や高齢者、妊婦など多様な人が安心して使えるように設計されたトイレです。広めのスペースや手すり、オストメイト対応設備を備えることで、誰にとっても快適で使いやすい環境を実現します。
引き戸・自動ドア
引き戸や自動ドアは、力を使わずに出入りできるため、高齢者や車いす利用者にとって便利です。オフィスや商業施設でも広く採用され、混雑時のスムーズな動線づくりにも役立っています。
Web・デジタル
ウェブサイトの改善は多くの場合「バリアフリー対応」として語られます。色使いの修正や代替テキストの追加など、既存の不便を解消する取り組みが中心だからです。ただし、本来は最初から誰でも使えるように設計する「ユニバーサルデザイン」の発想も重要です。
ここでは代表的なバリアフリー対応の事例を紹介しますが、設計段階からの工夫についてはセブンデックスの「Webサイトにおけるユニバーサルデザインの基本」でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
色覚配慮
色覚に配慮したデザインは、見え方に違いがある人でも情報を正しく理解できるようにする工夫です。コントラストを十分に確保し、色だけでなく文字やアイコンで区別することで、多くのユーザーにとって読みやすく安心できるウェブサイトになります。
音声読み上げ対応

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音声読み上げ対応は、スクリーンリーダーなどの支援技術でウェブサイトを利用できるようにする仕組みです。見出しやボタンに正しいタグを設定することで、視覚障害者や高齢者でも情報を理解しやすくなります。
代替テキスト(alt属性)
画像に代替テキストを設定すると、音声読み上げソフトを通じて内容を理解できるようになります。これは視覚障害者への配慮だけでなく、通信環境によって画像が表示されない場合の補助としても役立ちます。既存サイトでは改善策として追加されることが多い一方で、本来は新規制作時から取り入れるべきユニバーサルデザインの基本的な考え方でもあります。
さいごに
バリアフリーデザインは特定の利用者への配慮にとどまらず、結果的にすべての人にとって安心できる体験をつくります。そして、その考えを発展させたユニバーサルデザインは、サービスやウェブサイトの設計において欠かせない要素です。多様な利用者に寄り添ったデザインを実現することは、社会的な意義だけでなく、事業の成長にもつながります。
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