前回はKGI/KPIとKPIツリーの立て方について紹介しました。
KPIツリーを作成、定義した上でどうすれればKPIを伸ばせるのか、仮説検証が必要になりますね。そこで役立つのが『ロジックツリー』。
今回はロジックツリーについてや、ロジックツリーを活用したKPIの仮説検証方法についてご紹介します。
目次
ロジックツリーとは
ロジックツリーとは、ある物事を属性で構造的に分解した樹形図のことです。課題に対する原因分析や、ある事象に対する仮説検証で用いることで、原因の特定や根拠付けを行うことができます。
また、ロジックツリーを作ることで、物事に対してどの論点について話しているのか、チームコミュニケーションにも役立ちます。
ロジックツリーは階層が深いほど深く考察できていることになります。経験上3階層考えられると精度の高い分解ができてると言えるでしょう。
ロジックツリーを作成する上で大切な『漏れダブりのないMECEな状態』
ロジックツリーは上位の要素を分解したものです。ここで漏れダブりがあると、思わぬ観点が抜けて間違った結論を導き出したり、同じ論点を議論してしまいます。ロジックツリーを作る上で重要なMECEになる分解方法をご紹介します。
例として、『車』を分解してみましょう。(今回は物を分解しましたが、『なぜ売上が伸びないのか』など、課題/事象を置いても大丈夫です。ロジックツリーは物事を構成する要素の分解だと捉えてください。)
物で切る
- 色:黒、白、赤、青、緑
- 形:セダン、ワゴン、SUV、クーペ
人で切る
- 購入者年代:20代、30代、40代、50代、60代
- 購入者性別:男性、女性
- 購入者利用:一人で、二人で、家族で
時間で切る
- 使用曜日:月、火、水、木、金、土、日、平日、休日
- 使用頻度:毎日、週に2回、月に2回、年に4回
場所で切る
- 購入場所:ディーラー、自動車販売店、ネット
- 使用場所:通勤、レジャー
MECEな分解を考えるコツ
分解軸次第でその後の検証精度が問われる、腕の見せどころです!ただ、実際に分解しようとすると軸が定まらずうまく分解できないことがよくあります。ロジックツリーの分解で悩まないために、MECEを考える上でのコツをご紹介します。
目的を持って分ける
ロジックツリーは構造化できるほど精度が高くなりますが、ただ闇雲に分解すれば良いわけではありません。
例えば曜日を分ける場合。ただ、『月、火、水、木、金、土、日』と分けただけでは、そこからは何も発見できません。『平日と休日で用途が違うのでは?』など、分解する目的を持ちましょう。
いきなり細かく分けようとしない
いきなり細かく分けようとすると、その切り方がMECEなのか判断がつかなくなります。先程の車の色を例に上げると、この様なイメージです。
- レッド
- ワインレッド
- パープル
- グレー
- シルバー
- 「…あれ、何が知りたいんだっけ?」
まずは、『人気色|黒白』と『その他』で見て傾向を知るなど、目的に合わせて少しずつ分解しましょう。MECEを確認しつつ、意図を持って分解できるはずです。
曖昧な表現を避ける
曖昧な表現をしてしまうと、MECEな状態を担保できなくなってしまいます。『通勤時間帯、お昼、帰宅時間』と分けた場合、人によって解釈が異なってしまいます。『8~10時、10時~13時、13~17時、17~21時』の様に、解釈にずれがない形で分解しましょう。
全体を俯瞰して見る
一度分解を行ったら全体を見て、意図した切り方になっているかを確認しましょう。例えば車の購入者の傾向を知りたい場合、男女で分けても傾向は見えづらい、などです。『ライフイベントによって傾向が違うのではないか?』と意図を明確に持つことで、最適な分解軸を定めることができます。
KPIの仮説検証にロジックツリーを活用する
では最後にロジックツリーを使った仮説検証方法をご紹介します。
今回は実務に近い、『ECサイトの売上が下がってしまったのはなぜか』を例に考えてみましょう。
まずECサイトのKPIツリーを見てみましょう。
まずは、ECサイト各KPIの変化から、原因のKPIを特定します。今回は購入率が下がった事による購入数低下が原因と仮定しましょう。
ここからなぜカート追加率が下がったのか、ロジックツリーを作成します。
今回購入/決済画面からの購入率が落ちたので、ユーザーの行動軸で分けてみました。次にロジックツリーに対して初期仮説を紐付けてみましょう。ロジックツリーの分解項目が起こるなら何が原因と考えられるか、洗い出しましょう。
ロジックツリーに紐付いて初期仮説をたてることができました。あとは仮説を満たす施策を考え検証すれば、どの因子が購入率低下を招いているのか結論づけることができます!
この様に、KPIツリーとロジックツリーを組み合わせることで、質の高い仮説検証ができるようになります。
ぜひ自社サービスでも2つのツリーを使って仮説検証にチャレンジしてみてください!