ブレインストーミング(ブレスト)というと、新しいアイデアの創出法としてよく知られていますが、「実は効率が悪い」、「1人でアイデアを練った方が良いアイデアが生まれる」、「結局何の成果も得られなかった」のような意見も多く見られます。
確かに、1人で黙々と考えた方が考え込まれた質の良いアイデアが生まれやすく、効率良く問題解決ができるといった意見は理解できます。
しかし、ブレインストーミングは、適切な場面で適切なルールを元に行えば、1人で考えるよりも効率的な問題解決に繋がります。
今回の記事では、実体験を元に、ブレインストーミングを適切に行い、武器として活用するための考え方を紹介していきたいと思います。
目次
ブレインストーミングの意味
まずは、そもそもブレストが何かわからない方のために、ブレインストーミングの一般的な意味を説明していこうと思います。
ブレインストーミングとは、集団でアイデアを出し合い、新しいアイデアを生み出すフレームワークです。
一般的な方法としては、チーム内で、ホワイトボード、筆記用具、付箋を用意して、アイデアを書き出していきます。
ブレインストーミングといえば、ホワイトボードに付箋を貼りながら進めていくイメージがありますよね。
ブレインストーミングのメリット|適切な場面とは?
ここで、ブレインストーミングを武器として活用するための考え方として「集団でアイデアを出すことにどのようなメリットがあるのか」、「ブレインストーミングに適切な場面とはいつなのか」を解説していきます。
まず、ブレインストーミングの大きなメリットは、自分の頭だけでは考えられない新しい視点を得ることです。
ブレインストーミングは、性別、年代など、バックグラウンドの違う集団でアイデアを出し合えるので、自分の頭の中にはなかった考え方を知ることができます。
さらに、自分の意見に人の意見がプラスアルファで上乗せされることで、相乗効果が生まれ、創造的なアイデアの発想にも繋がるのです。
また、ブレインストーミングは、ある問題に対して誰も答えを持っていない時に有効的です。
0から物事を考えていく際に、その時点で持っているアイデアを集団でとりあえず発散することで、そこから答えが生まれることもあります。
1人で闇雲に考えていても答えを探していくよりも、問題解決に効率的に近づくことができるのです。
ブレインストーミング自体に答えを求めると言うより、発散した内容から課題解決のヒントを得る感覚が近いと思います。
ブレインストーミングはルールが重要
メリットの多いブレインストーミングですが、ルールをしっかり守って行わなければ無駄になってしまいます。
ここではブレインストーミングのメリットを体現するためのルールを紹介していきます。
ブレインストーミングのルールは、主に、以下の4つです。
- 他人の発言を批判しない
まず、ブレインストーミングで重要なのは、自由なアイデアを発しやすい場を作ることです。
発散の途中で批判されてしまうと、「こんな意見言っていいのか?」のような遠慮が生まれ、斬新で創造的なアイデアが生まれなくなってしまいます。
また、人によって主観は違うため、自分が人のアイデアに対して間違っていると思っていても、まずは客観的に見て、なぜそのアイデアに至ったのかを深堀りしましょう。 - 自由奔放な発言を歓迎する(夢物語でも良い)
夢物語のような実現不可能なアイデアに何の意味があるのかと思う方がいるかも知れません。
しかし、前述したように、ブレインストーミングのメリットは、人のアイデアによって相乗効果を生むことです。
馬鹿馬鹿しい夢物語のようなアイデアが、思わぬ創造的なアイデアに繋がることもあります。 - 質より量を求める
最高のものを出そうとせず、まずはアイデアを発散し、最後に収束させることを意識しましょう。どんなに些細なことでも後に解決策につながることもあるのです。 - 他人のアイデアに便乗する
ブレインストーミングにおいて、他人のアイデアに便乗するのは恥ずかしいことではありません。
他人のアイデアに便乗することも解決策を見つけるための近道なのです。
ブレインストーミングは無駄?
これまで解説してきたように、他人から新しい視点を得て創造的な発想をする、解決の糸口を効率的に見つけることができるため、決して無駄ではありません。
大事なのは目的を持って行うかどうか。ただなんとなくアイデアを集めるために行っても全く意味がありません。
ブレインストーミングをなぜやるのか、目的と手段を誤らないように実践しましょう。
実践の際には以下を意識するのがおすすめです。
- なぜ行うか目的が明確にする
- どんな結果を期待しているかイメージする
- その結果を得るために必要なメンバーを考える
ブレインストーミングを成功に導くコツ
実際にブレインストーミングを成功させる秘訣をご紹介します。
アイデアの数を競争する
ブレインストーミングに慣れていない方などは、どうしても質の良いアイデアに拘ってしまう傾向にありますが、それではやる意味はなくなってしまうでしょう。
質の良いアイデアを出した方が勝ちではなく、アイデアの量の多い人が勝ちにすることで、とりあえず自由にアイデアを発散することに専念させることができます。
もしファシリテーターの役割だった場合は、発言できていない方に話をふるなど、積極的な参加を促しましょう。
役職/職種関係なくアイデアを称賛し深堀りする
ブレインストーミングで失敗しがちなケースは、上の立場の人だけが積極的に発言してしまったり、他人のアイデアに対して途中で批判してしまうこと。
これでは自由な発言の場を奪ってしまいますよね。
出てきたアイデアは称賛し、そこからさらに進化させたアイデアが出ないか、深堀りしましょう。
このように、誰もが発言しやすい環境が作れるとメリットを発揮することができます。
4~6人くらいがベスト
人数は多ければ多いほうが良い気もするのですが、多すぎは逆効果。限られた時間の中で発言機会が回ってこなかったり、集中力が分散されてしまいます。
過去の経験からベストな数は4~6人。このくらいの人数であれば様々な角度からのアイデアを一通りもらうことができます。
ブレインストーミングのためのおすすめツール
コロナの影響もあり、ホワイトボードを使って対面で行うことが難しくなってしまいましたよね。
そこでオンラインでもブレインストーミングができるおすすめのツールを紹介したいと思います。
miro
miroは、オンラインでブレインストーミングをするのに一番定番なツール。
ブレインストーミングのテンプレートがあるので、アナログで作業するのとほぼ変わらない状況で作業することができます。
リッチなビジュアルなので、リアルに近い雰囲気を体験することができます。
Figma
FigmaはそもそもUXUI編集ツールなのですが、リアルタイムで共同編集が可能なので、ブレインストーミングに使用することもできます。
Figmaを使うメリットは、フォーマットがないため自由にアイデアを書き込むことができる点です。
画像やデザインのアイデアなども書き込めるため、デザインなど言葉だけでは伝わりにくいブレインストーミングにおすすめします。
弊社は、UXUIデザイン会社なので、ブレインストーミングにもFigmaを使うことが多いです。
Whimsical
Whimsicalはシンプルな使い勝手が好評のツールです。ロジックツリーやマインドマップなど、様々なテンプレートがあり、どれも直感的に操作できます。
また、同時編集も可能なので、複数人で話しながら編集することができます。
ビジュアルのリッチさなどはありませんが、だれでもかんたんに使えるツールとしてはおすすめです。
弊社では有料契約していて、PM同士のコミュニケーションなどで良く使います。
1人でもブレインストーミングはできるのか
ところで、1人でブレインストーミングをすることは可能なのか、意味はあるのか、と疑問に思ったことはありませんか?
ブレインストーミングは、これまで書いてきたように、新しい視点を得たり、1人で煮詰まることを防いだり、集団でやることに意味があるものです。
そのため、1人でブレストするメリットはないと言えるでしょう。
しかし、1人でも思考の発散は自由なアイデア創出に繋がります。
1人で思考を発散させるのにおすすめな方法の一つが、マインドマップです。
一つのキーワードやイメージを中心に起き、連想されるキーワードを放射状につなげていくことで、考えていることを脳内に近い状態で可視化することができます。
この方法は、ブレインストーミングのように自由な発想を引き出すことを1人でも実践することができるのでおすすめです。
まとめ
これまでの解説をまとめるとこのようになります。
- ブレインストーミングの大きなメリットは、自分の頭だけでは考えられない新しい視点を得ること
- ブレインストーミングは、ある問題に対して誰も答えを持っていない時に効率的な問題解決に繋がる
- ブレインストーミングを有効なアイデア発散法として活かすには、ルールが重要
- リモートでもツールを使ってブレインストーミングすることができる
- 1人でアイデアを発散するにはマインドマップがおすすめ
この記事を読んで、ブレインストーミングを問題解決の一つの手段として有効活用していただけたら嬉しいです。
ブレインストーミングは、デザイン思考の一つの方法でもあります。
創造的発想法に興味を持たれた方は、こちらの記事もご覧ください。