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リスキリングに「無駄なプライド」はいらない。大手広告・制作会社の出身者2名で語る、セブンデックス転職のメリットと葛藤

ミドル世代のビジネスパーソンが大手企業からベンチャー企業に転職するケースが増えています。広告業界と制作業界においても状況は等しく、セブンデックスにも、2024年に両業界から2名が入社しました。

ひとりは、広告業界大手の株式会社アマナで「シニアビジネスプロデューサー」の経験を積み、「ビジネスディレクター」として入社した山田洋平(42歳)。もうひとりは、2023年に上場したブランディングエージェンシー株式会社揚羽で「デザイナー/アートディレクター」に従事し、「デザイナー」として入社した新井洋輔(39歳)です。

大手で実績を積んできた二人は、なぜ転職先としてセブンデックスを選んだのか。仕事や働く環境にどのような変化があったのか。転職ストーリーを紐解きながら、ベンチャー転職で求められるリスキリングについて考えます。

市場価値を高め、目指すロールモデルに近づくための転職

ーまずは簡単にお二人の経歴を教えてください。

山田:
前職は、株式会社アマナのビジネスプロデューサーとして、フロントに立って、クライアントの課題をヒアリングし、自社のソリューションを提案する役割をしていました。クライアントは主にエンプラ企業で、特に印象的だったのはBMWのプロジェクト。ブランディングを目的としたポップアップイベントの企画、展示やコンセプト動画の制作、PR施策、運営までを担当しました。

ビジネスディレクター 山田洋平

新井:
僕は、株式会社揚羽のデザイナー兼アートディレクターとして、サイトやグラフィックなどのコミュニケーションデザイン領域の制作を幅広く担当していました。顧客にはナショナルクライアントが多く、国産ロケットのサービスサイト、パンフレット等のコミュニケーションツールなどの制作を担当していました。

デザイナー 新井洋輔

—大手クライアントを相手に活躍されてきたお二人ですが、転職を考えたきっかけはなんだったのでしょうか?

山田:
仕事にはやりがいを感じていましたが、自分の市場価値をさらに高めていきたいと考えたときに、他業界の色々な方との情報交換や、やりたいことの言語化の必要性を感じ、転職活動を始めました。ベンチャー企業に絞っていたわけではなく、サービスデザイン、UIUXファーム、事業会社のブランドクリエイティブ部門など、さまざま検討していました。

新井:
僕の場合は、「求められるデザイナー像の変化」を感じたのがきっかけです。制作会社では、デザイナー、ディレクター、マネージャーと、マネジメントコースを進むのが普通だと思っていましたが、時代とともに目指すロールモデルが変わってきているんじゃないか、と。

そう感じた理由のひとつが、事業会社がデザイナー部門を抱えるようになったことです。サービスのコアに関わるPdMになるデザイナーも増えましたし、プロジェクトにおいても、今までよりも広範囲の進行管理や論点整理といった能力が求められるようになりました。

—デザイナーのスキルが拡張している、と。

新井:
また、デザイン自体の枠組みや組織形態が変化してきている会社が増えました。制作会社では、グラフィックデザインチームとWebデザインチームが分かれていることが多いのですが、事業会社では「コミュニケーションデザインチーム」として一つにまとまっているケースが増えています。さらには、コミュニケーションデザインチームとUIデザインチームがセットで設置される企業も増えました。こうした新しい体制、ロールモデルを採用している会社に挑戦しようと思ったんです。

—そのなかで、セブンデックスに入社した決め手を教えてください。

山田:
企業の戦略からサービス設計・グロース・組織開発やブランディングまで一貫して支援することで、「部分最適なマーケティングの負」を解消しようとしていることへの共感が大きかったです。採用プロセスではかなり多くのメンバーと話し、みんな共通してそこへの「熱意」があるのを感じました。

また、僕は「ビジネスディレクター」として入社しましたが、クライアントの戦略から実行まで見れることや、ベンチャーらしいスピード感と裁量の大きさが、スキルを拡張するうえでぴったりだと思ったんです。

新井:
僕も同じようなところです。セブンデックスは、ソリューションをクライアントに合わせてゼロから考えるため、ディレクターの役割範囲が広くなります。その分、デザイナーの担うべき範囲も広い。

コミュニケーションデザインとUIデザインの両方を実践し、かつ、事業会社のデザイン部門のようにサービス開発のコアに関われる環境なので、目指していたロールモデルに近づけると思いました。

個人の意志が尊重される組織。感じたカルチャーと人の魅力

—ベンチャー企業への転職に不安はありましたか?

新井:
ほとんどなかったです。前職もベンチャー企業のようなカルチャーでしたし、「たとえ組織に不完全な部分があっても、自分で解決しよう」と思ってましたから。転職活動中に、面接を受ける企業の強みと弱みの仮説を立て、あらかじめ想定していたのも不安解消に役だったのかもしれません。

山田:
僕も不安はなかったです。経営陣への信頼も含め、セブンデックスは間違いなく伸びていく企業だと思います。万が一転職してうまくいかなかったとしても、この環境で働く経験は絶対に無駄にならない確信があったんです。周りからは「よくベンチャーを選んだね」とか「上司(事業部長の西野)と干支が一回り違うけど嫌じゃない?」って心配されましたけどね(笑)。

—平均年齢29.6歳の組織ですから、周りの人が心配する気持ちも少し理解できます(笑)。

山田:
たしかに。でも、セブンデックスは年齢や経歴、役職にかかわらずフラットにコミュニケーションをとる環境なので、やりにくさはまったく感じません。毎月の360度評価だって、遠慮のないフィードバックをたくさんもらえます。たまにグサっとくるものもありますが、忖度なく指摘してもらえるので、リスキリングが加速してありがたいです。

—その他、入社してみてプラスに感じたことはありますか?

新井:
情報の透明性が高いことですね。全社会議で決算について細かく共有されることはもちろん、プライバシー等に関わる一部情報を除いた、創業時からのすべてのデータ(Slackチャンネル、Notion、Driveデータ等)に誰でもアクセスでき、自由にインプットできます。経営会議なども、見たい人がいれば録画して共有されます。経営や事業に意欲的なメンバーにとって嬉しいことですし、僕らのように新しく入ったメンバーのキャッチアップにも非常に役立っています。

山田:
働き方の面でも、プラスに感じたことがあります。クリエイティブやコンサルティングを提供するベンチャーというと、超激務なイメージを持つ方もいますよね。もちろん、セブンデックスも忙しいけれど、一方で、個人の事情を考慮して働き方を調整させてくれる柔軟さもあるんです。

僕の場合は、子どもがいる共働き家庭なので、送り迎えが必要な日は勤務時間をずらさせてもらっています。「個人の意志を尊重する組織づくり」がなされていると感じます。

—では、採用プロセスで感じた「クライアントの本質的な課題解決を目指すメンバーの熱意」は、入社してみてどうでした?

山田:
そこは予想通りでした。まだ関わった案件が少ないのですが、「与件にはないけれど、クライアントの未来のためにやるべきこと」を提案する姿は、何度も見ました。それに、社内の会議でも「目的から考えて本当にやるべきことか?」という問いが自然と出てくる。「ただの“御用聞き”にはならないぞ」という意志を、至るところから感じます。

新井:
クライアントすら見えていない課題まで見つけ、解決策を模索し、先導していくためには、深い信頼を得ることが必要です。そのために、クライアントの事業や企業、市場環境などを徹底的に調べ、考え尽くすことができるメンバーが多いですよね。

「ジュニア時代に戻ったかのよう」リスキリングに挑む二人の心境

—入社してみて感じた前職とのギャップはありますか?

山田:
わかりやすいところからいくと、商流の部分で違いがあります。前職はマーケティング部署からのご依頼が多かったのですが、セブンデックスではマーケティング部署からの他に、経営直下でご依頼いただくケースも多くあるんです。事業開発やマーケティングの上流から携わることができます。

新井:
デザイナーの観点でも、事業会社の上流に関わるデザイナーさんに近い役割を求められていると感じます。ナショナルクライアントからスタートアップまで、いろんな事業会社のデザイナーのような立場として入り、支援できるのは大きな違いですね。予想通り、デザイン以外に求められるスキルが深くて広いです。

—具体的にどんなスキルが求められているんですか?

新井:
議事録作成や論点整理などのポータブルスキルが、とんでもなく高い基準で求められます。もちろん前職でも経験しましたし、本で学んだりもしてきましたが、その徹底度合いが段違いです。

山田:
MTGの設計一つとってもそうですよね。目的の整理、アジェンダの組み方、ファシリテーションの設計、先方の反応の想定、それに対する対応シミュレーションの準備が徹底されています。僕も前職でそれなりに経験してきましたが、まだまだ感覚とアドリブに頼っている部分があるんだと思い知らされました。

—かなり経験を積んできたお二人でも、そう感じるのは驚きです。他にも、仕事の取り組み方の面でギャップを感じたことはありますか?

山田:
「プロジェクトの山場を前に持ってくる」という考えはセブンデックスで新しく学びました。

前職の仕事では、プロジェクト終了時にアウトプットを出すタイミングが山場になることがほとんど。しかし、セブンデックスは、クライアントに伴走しながら柔軟にアプローチを変え、ときには先方が求めている以上のことを提案していくスタイル。

プロジェクト開始当初から、期待を超える提案やコミュニケーションで山場をつくり、深い信頼関係を早期に築くことが鍵になります。「成果物で満足してもらえればいい」という考えは、アンラーニングしないといけないと感じました。

新井:
僕は転職して2〜3ヶ月ですが、求められるスキルも仕事の取り組み方も前職と違うので、正直なところまだまだ試行錯誤をしています。ときに不甲斐なさを感じることもあるくらいです。

ジュニア時代の自分に戻ったように、なにもわからない、仕事の工数も読めずにもがいているといってもいい。新しい環境で、新しい仕事を高い基準で行うのって、思った以上に難しいことなんだと実感しています。

—リスキリングには痛みが伴いますよね。それでも前向きに挑戦するためには、どのような意識が必要だと思いますか?

新井:
大事だと思うのは「謙虚な姿勢」「諦めない心」「自分への自信」の3つです。せっかく新しい環境に来たのに、過去の実績ややり方にしがみついてしまうのはもったいない。謙虚な姿勢で学びながら、一つひとつ取り組んでいくのが大切です。

ただ、自分の理想像と現在地のギャップにぐらっときてしまうことは、誰にでもあります。そんなときは「いまフロンティアを開拓しているんだ」というマインドセットをして、諦めないこと。

加えて、うまくいかないからといって過去の自分を否定する必要はありません。自分ができることには自信を持ちながら、できないことに堂々と挑戦するのが大切だと思います。

山田:
新しい環境での挑戦を邪魔するのは「自分の無駄なプライド」だと思うんです。それをアンラーニングできるかどうかで、活躍できるかどうかや、リスキリングが成功するかどうかが決まってくる。

職種や業務内容も変わる転職をするということは、意図的に自分をコンフォートゾーンの外に出すということです。そこで成長痛があるのは当たり前と捉えて、前向きに受け入れていくのが大切だと思います。

多様な人材を採用し、組織のケイパビリティを高めていきたい

—試行錯誤しながらも前向きに挑戦するお二人。今後の目標やキャリアはどう考えていますか?

山田:
目指すキャリアや求められていることを考えると、いち早くビジネスディレクターのマネジメントを担っていくことが大切だと思っています。そのためにも、まずは現場でプレイヤーとしてのケイパビリティを伸ばしていく。そこに、前職で培ったビジネスプロデュースの経験をうまく接続して、エンプラ企業向けのさらなる価値提供につなげていきたいです。

新井:
前職までは、UIデザインも担当していましたが、コミュニケーションデザインの経験のほうが比重が大きかったので、セブンデックスでは、UIデザインのほうをより意識して伸ばしていきたいと思います。また、テクノロジーとビジネスモデルの進化によって求められるデザインは変化します。最新の動向を常にキャッチアップして、変化し続けられる自分でいたいです。

—最後にセブンデックスの展望について、お二人から見て思うことがあれば教えてください。

新井:
デザインチームの役割をもっと拡張していきたいと思っています。たとえば、コピーライティング領域に特化したデザイナーを社内で育成し、現在ディレクターがカバーしている制作物のクオリティコントロールの一部を担ってもらうとか。ボードメンバーにデザイナー出身者が入るとか。

デザインチームの存在感をより高めていけば、セブンデックスの提供価値も高めていけると思います。シニアのデザイナーで辣腕を振るいたい方がいれば、ぜひ参画してほしいですね。

山田:
新たなケイパビリティが加われば、その分だけ組織は強くなります。現在のセブンデックスは、UIデザインに強いデザイナー、事業会社のマーケ出身者が多い組織。そこに、シニアのデザイナーやクリエイティブディレクションができる人など、多様なタイプが加われば、会社全体のケイパビリティに厚みが出る。

コンサルでも広告会社でも制作会社でもない、BCS(ビジネス・クリエイティブ・スタジオ)の独自性をさらに際立てていきたいですね。

新井:
そうした組織になるのを待つのではなく、「役割や役職に縛られずに、みずから舵を取る」という意識で取り組んでいきます。

美容専門学校を卒業後、美容室の広報として新卒入社。マーケティング知識を広げるため、芸能プロダクションへ転職し新規事業開発に携わる。その後、セブンデックス一人目の広報として入社し、社内・社外広報として従事。