皆さんの中での“デザイナー”はどんなイメージがありますか?
今回は制作会社や事業会社など様々なバックボーンを持つ3人のデザイナーにインタビュー。
「デザイナーの役割」をトークテーマに、意識していること、考え方について伺いました。
▼プロフィール|安部 裕子
多摩美術大学卒業後、広告制作プロダクションに入社。ビジュアルデザインを軸とし、デザイナーとしてナショナルクライアントをはじめとした様々な案件に携わる。2020年セブンデックスに入社し、クライアントワーク支援や社内のクオリティーマネジメントなど幅広く携わっている。
▼プロフィール|石橋 力
大学卒業後、ファッションレンタルサービスを展開する株式会社エアークローゼットにて、様々な媒体のデザインワークやチームビルディング等を経験。現在は大手クライアントのリニューアルプロジェクトに関わりつつ、役割に囚われず組織文化醸成なども手掛けている。
▼プロフィール|西川 元香
立教大学経営学部を卒業後、ミクシィにてtoC向けの美容マッチングサービスminimoのカスタマーサクセスを3年半担当。 その後SESでwebデザイン/DTPを経験し、2020年6月からUIデザイナーとしてセブンデックスに入社。スタートアップのアプリデザインや大手企業のUXUIデザインに携わっている。
デザイナーとして 、関わる範囲に限界はない
ビジュアル部分は自分が得意としている領域で、今は前職の経験を活かしながら会社全体のクリエイティブのディレクションや、インターンの育成なども担当してます。
変わった案件だと、キッチンカーのコンセプト設計からデザインまで、店名を決めるところからロゴデザインを考えるところまで全て担当しました。
そこからデザインのスクールでデザインを学んで、セブンデックスの前はSESの会社に勤めていました。主に紙媒体のデザインは全て制作経験があって、大手企業のチラシを担当したこともあります。
今は大手企業のコーポレートサイトリニューアルを担当したり、前職の経験を活かしてリブランディングやパンフレット制作を行ったりもしてます。
僕は新卒で事業会社にデザイナーとして入社して、UIデザインを中心にやってました。デザイナーも少なくて…ベンチャーだったのもあって、UIデザイン以外にもLPの制作やロゴデザイン、採用まで関わったりもしてましたね(笑)いわゆるジェネラリストなタイプかな、と思います。
今はリーガルテックのSaaSサービスを担当しているんですが、エグゼクティブインタビューやユーザーインタビューなど、上流からPMと一緒にプロジェクトを進められるのが楽しいですね。
案件の幅もそうなんですが、業務の幅も結構あってデザイナーも上流から関わることができるので、その部分も面白いんですよね。
例えばユーザーインタビューをするときもPM主導で進めていきつつ、リクルーティングやインタビュー内容の壁打ちなどはデザイナーがしたり。逆に形に落とし込んでいくフェーズでは、デザイナーがメインでPMにフィードバックをもらったりしています。
意思決定はもちろん、それまでのプロセスにはすべて関わっているので、デザインアウトプットの質も上がるし。プロジェクト開始からチームで考えられるからこそだなと。
私自身ものづくりをしていく上で、自分の手の届く範囲に限界を感じてしまったことがあって。
その時に「デザイナーの仕事ってなんだろう?」と考えて「もっと上流の部分から関わってものづくりをしたい」と思ったし、その方がとことん追求できるので楽しいですね!
全員が納得するために「言語化」する
例えば今パンフレット制作を行っているんですが、必ずビジュアルの判断軸を定義して、その軸を基にチーム内で話し合いながら進めていくようにしています。
私も社内でビジュアルのアドバイスをすることがあるんですが、必ず「このデザインの意図は何なのか」「この画像で何を伝えたくて、その要素がデザインに落とし込めているのか」を確認するようにしてます。
一つ一つ根拠を持ってデザインしていくことで、例えばデザインに煮詰まったときもどの要素に違和感があるのか検証していくこともできます。
チーム内でデザイン案に対して違和感があるときも、一つ一つ意図がはっきりしていればスムーズにすり合わせていくことができるし、言語化することは本当に大切です!
チーム内でのコミュニケーションでいうと、僕はUIデザインのトンマナを決める時に特に意識してます。トンマナがUIを作っていく上での基礎なので、細かい部分まで徹底的に確認して、納得いくまで作りこむんですよね。
そのために、クライアントととにかくコミュニケーション量を増やして、徹底的にイメージのする合わせるようにしていて。
言語化ってデザイナーの腕の見せどころですし、ホント体力勝負ですよ。(笑)
クライアントも“作る側”だから、チームとして伴走する
以前はクライアントに自分が作ったデザイン案をプロセスの説明なく提案してしまって。当然ですが「なんか違うんだよね」と言われました。
その時にユーザー視点とはまた別の、クライアント目線を持つことも大事だなと気付いて。それからはデザイン案を見せるときは意図を必ず説明して、お互い納得して進めることを大切にしてます。
でも、逆に意図をはじめから伝えない方が良かったこともあったりして。特にUIデザインは「ユーザーが何も感じずにいられる」ことも一つのゴールだと思うので、クライアントにまずは何も説明せずに見てもらうことも多いです。
最終的にはもちろんデザインの意図はしっかり伝えて「なるほど」と納得してもらえるようにしますよ!
自分自身は決してクライアントのために作っているわけではないし「クライアントチームで作っているんだ」という意識を持てば、自ずとデザインの意図もチーム全体が理解できるようになるのかなと!
特に大手の企業だと関係者がものすごく多い場合もあって、大変なことも多くて。
これは積み上げの部分も大きいかもしれませんが、クライアントのデザインに対するリテラシーだったり、会社の規模だったり、臨機応変に対応してプロジェクトを前進させていく力も大事だと思います。
ビジネスとユーザー視点を両立させるために
私自身デザインだけでなく上流から関わって、デザイナーとしての幅を広げたくて転職をしたので、デザインの力でビジネスの部分も解決できた瞬間はやりがいがあります。
CSだとユーザーの声は直接聞けても自分自身でそれを改善してくことはできなかったので「次は自分が変えていきたい」と思ってデザイナーになる決心をしましたね。
僕自身学生の頃からデザイン思考やUXUIデザインを学んでいたんですが、ビジネスは学んでいなかったので、前職でビジネスの考えが抜けていて失敗したことがあって。それから「ユーザー要求とビジネス要求を両立するデザイナーになる」という目標を立ててデザインしてきたので、その役割を果たせた実感を持てることがやりがいにつながってますね。
結局はユーザーの視点をいくら考慮しても、ビジネスとして成立しなかったら元も子もないと思ってて。そもそもお金を稼ぐことも一つの大きな目的なので、ビジネスの視点を持ちつつ、ユーザーの要求とのバランスをとる。そうやってユーザーと会社を繋いでいくのがデザイナーの役目だと思います!
例えばビジュアル一つ作るにしても、ベンチマークを決めたりはしますがそれに届いたとしても、クライアントやユーザーにとって最高のものであるわけではないし、満足せずにできるところまで作り続ける意識はしてます。
チームとして全員が納得できるデザインにすることは一つのゴールですが、自分が作っている中では完全に納得できることは少ないかもしれないです。なのでいつも締め切りまで、挑戦する時間がある限り作ってます!
デザインで数字が伸びたりすることも嬉しいんですが、一番はやっぱりクライアントから「一緒にやれてよかった」って言われた時なんですよね。多分その言葉が聞きたくて限界まで作り続けることができてるし、一番の原動力になってると思います!