デザインに活きるピグマリオン効果とは KNOWLEDGE
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デザインに活きる「ピグマリオン効果」とは?

最近どうしても必要なものを揃えるために、とあるCtoCサービスのフリマアプリを初めて使うことがありました。
「画像は良さげだけど、実物に傷がついてたらどうしよう。」
「ちゃんと使えるのかな。」
「相手も私と同じような消費者だから、先に支払いを済ませて、指定の日時までに届かなかったらどうしよう。」
偏見ばかりの私でしたが、サービスを利用した際、これまで私が持っていた偏見は呆気なく崩れました。
ユーザーの体験を成功に導くUXをもとに設計されたUI。そこにはユーザーの体験を最大限良くしようとする、作り手のユーザー視点が活きていました。

今回はサービスを利用する際のユーザーのモチベーションを上げ、ユーザー視点をUIデザインに取り入れる際のヒントにもなる、ピグマリオン効果について書こうと思います。

ピグマリオン効果とは

ピグマリオン効果とは、他者から期待をかけられると仕事や学習などの能力が通常よりも向上する心理効果のことです。アメリカの心理学者、ローゼンタールが1964年に提唱しました。ピグマリオン効果は、ある2つの実験を行ったことにより誕生しました。

1963年に行われた実験では、大学生のグループAとBにそれぞれネズミの特徴を伝えて、迷路実験を行いました。本当は個体差がないのですが、グループAには「良く訓練された系統の賢いネズミ」、グループBには「訓練があまりされていない系統のネズミ」と伝え、迷路実験を実施したところ、グループAのネズミの方が結果が良く、グループAの方がグループBよりネズミを丁寧に扱っていたこともわかりました。
その後1964年に行われた実験では、小学校で知能テストを行った際、Aクラスを「成績が伸びる優秀な子供たち」、Bクラスを「成績の良くない子供たち」とそれぞれの教師から生徒へ伝えたところ、Aクラスの成績が向上したのです。教師が期待をかけるようにした生徒とそうでない生徒で成績の伸びの違いがあるという結果になりました。
このことから、外部からの期待値が他人に影響を及ぼすということが考えられます。
またピグマリオン効果は別名:教育期待効果とも呼ばれており、マネジメントなどさまざまな教育の場面で用いられている心理的効果です。

ピグマリオン効果の反対、ゴーレム効果とは

ピグマリオン効果の対義語として、ゴーレム効果も心理学では有名な心理効果です。
ゴーレム効果は「ほめて伸ばす」ピグマリオン効果の反対で、失望や批判をぶつけることでパフォーマンスを下げる心理効果です。
よく「ほめられて伸びるタイプ」、逆に「叱られて伸びるタイプ」など言われますが、叱られて伸びる場合は、相手が上手く叱っている場合があります。叱られる場合も、どこかに相手からの期待が含まれていないと、単に失望をぶつけたり、否定をしても人は伸びません。

おそらく本質は、期待することによって、その人のパフォーマンスを上げるという点にあるのでしょう。

デザインへの応用

冒頭で記載したフリマアプリを初めて使ったときの話に少し戻るのですが、アプリを使った時にどのような心理が働き、使用前と使用後でどのような気持ちの変化があったのか振り返ってみようと思います。

私は出品された物を買う側で、且つ初めての経験だったこともあって、アプリの利用にあたって少し不安を抱えていました。しかしながら、その不安を解消してくれたのが、出品者のレビュー機能です。
同じ出品者から物を買った人たちからのレビューが付いており、出品者がどんな方なのか、発送までの対応やどんなコミュニケーションをとっている方なのかなど、人となりを知れることができ、不安が和らいだため出品者とのやり取りを経て購入に至りました。
逆に出品する側のユーザーにとって、レビュー機能はどのような心の変化をもたらすか。
出品者に寄せられるレビューは、殆どが良い内容ばかりでした。出品者の立場を想像すると、きっと褒められると嬉しいし、もっと期待に応えようとするでしょう。このような心理が働くことをピグマリオン効果といい、レビュー機能によって上手くアプリのデザインに落とし込まれていました。

ではこのピグマリオン効果は、他のデザインでどのように活用できるのでしょうか。誰もが一度は見たことがあるような分かりやすい3つの例を見てみます。

その1: 合格者の声

資格を取得するためのスクールや学習塾のサイト、またはチラシには、よく合格者の声が掲載されていますが、これらもピグマリオン効果をうまく活用しています。
合格者の声を掲載することで、個人の努力を讃えるだけでなく、スクール選びを迷っているユーザーに対しても期待を込めてPRし、申し込みへのモチベーションを上げていくことがポイントです。

その2: 事例紹介

サイトからの問い合わせに繋げる際、いくつかの導入事例を掲載することも有効的です。
ソリューションを提供する会社であれば、導入事例でソリューションの導入前と導入後の変化を掲載したり、コンサルティングの支援を行う会社であれば、実際のアプローチ方法などを事例に盛り込むことで、顧客が具体的な内容がイメージしやすく改善のイメージに期待を持つこともできるでしょう。

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その3: 診断テスト

SNSやサイトのコンテンツとして定番になりつつある、〇〇診断ですが、こちらのコンテンツにもピグマリオン効果は働いています。
このような診断テストは、ユーザーに楽しんでもらうだけでなく、診断結果の後に「〇〇タイプのあなたには、〜〜がおすすめです。」といった、商品やサービスを紹介する情報が続きます。
診断結果によっては、ユーザーは知らない間に期待をかけられた状態になるため、ユーザーに期待した行動を促しやすく、上手くUIデザインにピグマリオン効果を用いた例になります。

おわりに

今回は、デザインに活きるピグマリオン効果について事例を交えて紹介しました。
ユーザーに楽しくサービスを使ってもらうために、これからも何かしらの形でユーザーへ期待をかけて、モチベーションを上げるような工夫を取り入れていきたいと思います。