ブランディングと聞くと、高級なブランドにだけあるものだったりビジュアルや世界観を作ることだと思われがちですが、実は経営戦略と密接な関係にあります。
ブランディングとは、
・戦略的に企業、商品やサービスの強みを引き出し
・環境や時代、消費者のニーズを踏まえながら
・消費者や社会に伝わるようなかたちで表現し
・企業のブランド価値を向上させる
引用:ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと
経営戦略です。
そして計画通りにブランドを育成するには、方針をブラさずに展開活動を継続的に行う必要があります。そんなブランドの展開にも種類があります。今回はその3つのアプローチをご紹介したいと思います。
マスター・ブランド戦略
マスター・ブランド戦略は、「グループ・ブランド」や「コーポレート・ブランド(アンブレラ・ブランド)」の知名度を活かして、その下に事業やカテゴリー、製品を展開する戦略のことです。
マスター・ブランド戦略の場合、ブランドは一つです。マスター・ブランド戦略をとっている企業で想像しやすいのはNIKEでしょうか。ブランドは一つですが、スポーツウェアだけでなく、シューズや時計、アプリケーションなどを展開していますよね。さまざまな製品カテゴリーにおいてNIKEというブランド力を発揮させて、品質保証や訴求力として機能しています。
メリット
コーポレートブランドにマーケティング資源(ブランド、社員、ビジネスモデル、知的ナレッジなど)を集中しているため、マーケティング効率を高めることができます。
デメリット
コーポレートブランドに依存しているため、コーポレートブランドの評判が悪化した際は、全てのサービスや商品にも悪影響を及ぼすリスクがあります。また、コーポレートブランドのイメージから逃れることができないため、各サービスや商品の成長にも限界があります。
マルチ・ブランド戦略
マルチ・ブランド戦略は、ひとつの企業の下、複数のブランドを展開する戦略です。例を上げるとP&Gジャパンのブランド展開などが想像しやすいのではないかと思います。「アリエール」や「ボールド」などの洗濯用洗剤や、「SK-II」という化粧品などコーポレートブランドを全面に出さずに各ブランドが独立していますよね。この戦略で洗濯用洗剤の市場で「アリエール」「ボールド」「レノア」など複数のブランドを展開することによって、洗濯用洗剤の市場を活性化させ、シェアを獲得しています。
メリット
同一カテゴリーで、複数のブランドを展開することで幅広い層のシェアを獲得することができます。
また、リスク分散の役割も果たします。各ブランドが繋がっていないため、仮に一つのブランドが炎上などした場合でも他ブランドへの悪影響を最低限に抑えられるということです。
デメリット
各ブランドにマーケティング資源が分散されているので、ブランド立ち上げ時は0からスタートしなければならなかったり、各ブランドで蓄積されているノウハウがブランド間で共有されていなかったり、非効率が生まれてしまう可能性があります。
サブ・ブランド戦略
サブ・ブランド戦略は、上記で紹介した2つの戦略「マスター・ブランド戦略」と「マルチ・ブランド戦略」を折衷させた戦略です。サブ・ブランド戦略をとっている企業の例を上げると、Apple社が想像しやすいかもしれません。Apple WatchやApple TVなど企業名がついている製品とMacやiPhoneなど企業名がついていない製品がありますね。製品によっては企業名を付けて品質保証をしつつ、MacやiPhoneなどシェアが高い製品はブランドが独立しています。
メリット
「マスター・ブランド戦略」の品質保証と訴求力の面と活かし、個別ブランドを展開していくので、ブランド展開を加速させることができます。
デメリット
ブランド体系が複雑になるので、管理が難しくなりブランドとしての一貫性を保てなくなってしまう可能性があります。
あとがき
プロダクトが最大限活かせるブランド展開は、企業によって様々です。
各企業、戦略をもってブランドを展開させています。意図せず社名や製品名がそのままブランドになっていた、という場合もあり、そういった事例も今後ご紹介できたらと思います。
ブランディングについて学ぶ手始めとして、まずは身近なプロダクトのブランド展開から調べてみるのはいかがでしょうか。