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壁を乗り越え、事業を前進させる「変革力」

ビジネスにおいて必要なのは、現状に変革を起こそうとする力。今ある課題を解像度高く把握し、その解決のために少しずつでも確かにコトを前に進めていくことが大きな変革につながります。

この記事では、営業改革でコミュニケーションをデザインした事例から、周りを巻き込みつつ物事を前に進め、現状を打破し続ける変革力について探ります。

▼プロフィール|用松 亮介
大学卒業後、新卒でセブンデックスにUXデザイナー/PMに入社。新規クライアントのWebサイト制作やリブランディング、組織開発、CRM導入支援を手掛ける。現在はカルチャー浸透など組織を活性化させるための社内施策にも立案、実行している。

歴史ある企業にDXをインストールする

ーまずはじめに、現在関わっているプロジェクトについて教えてください

創業80年を超える水道インフラ企業である、日本鋳鉄管さまのDX・営業組織開発を行っています。具体的にはCRM導入を手段として、「さらに売れる営業組織」に変える支援を行っています。

このプロジェクトが始まる経緯が面白くて。元々はサイトリニューアルやロゴ作成など、ブランディング支援から始まってるんですよね。製品・会社のイメージは何か、そのイメージをどう正しく届けるかを考える。そのような「ステークホルダーに会社の価値を正しく届ける」の一環で、売り方を最適化したい話が出てきてこのプロジェクトが始まりました。

ブランディングプロジェクト全体の詳細については、こちらの記事でも紹介しています。

「ブランディングの一環で営業組織構築?」と思うかもしれませんが、価値を届けるためにその価値を適切に話すことができる話者を増やし、そこからの伝達でブランドを育てる、と言う観点で考えると自然な流れだなと思ってます。

ー歴史ある企業の組織を変革する。壮大ですが、どんな依頼からはじまったんですか?

DX・営業組織開発プロジェクト開始時にいただいたオーダーは、「会社に根付いてしまった常識を壊す事」でした。社内文化が全く異なるけれど、ブランディング支援によって現場への解像度が格段に上がっている我々だからこそできる、「客観的な視点と、現場を尊重できる理解度」をフルに活用した組織変革を求められていました。

ーかなり責任重大な任務ですよね。

事業が「水道管老朽化の社会課題を解決する」とスケールが大きいので、プレッシャーはありましたね。ブランディングのフェーズで経営理念をまとめ、会社の価値を明文化することができた。だからこそ、今度は価値の話者として営業組織が語れるよう、営業を起点に変わらなければいけない。まるで、営業組織が日本鋳鉄管の象徴になる様なイメージです。

そんな最終地点をイメージした上で目の前の組織を一歩ずつ変えていく。簡単に言ってしまえば「DX・組織開発」なんですが、その裏にある社会課題の重みをひしひしと感じていました。

クライアントと目線を揃えるために動き続ける

ーDX・組織開発は具体的にどのような事を行うんですか?

まずは全ステークホルダーの解像度を上げたいと思い、社員の方に業務フロー、役割、持っている課題などを細かくヒアリング・整理しました。そこから課題を抽出し理想の状態を描いた上で、CRMを使った営業プロセスの標準化、運用浸透設計、活用に向けたコミュニケーション設計を行いました。

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プロセスの中で大事なのは、組織開発の目的となる「なぜ、より売れる営業組織に変えるのか?」を丁寧に伝えることでした。

実は水道管を作って良い会社は日本で3社だけなんですよね。3社のシェアも大きく変わることは無い、安定した業界。一定の売上が立つ環境なんです。そんな環境下で、より勝てる組織に変えるとはどう言う事なのか。その手段がなぜDX・組織開発なのか、プロジェクトの意義を丁寧に伝えることが重要でした。

ーここまで聞いた上でお聞きするのですが…簡単に浸透しないものなんですか?

これがそう簡単に行かないんですよ(笑)。

アナログな手法や属人的な運用が一般化していて、デジタル化してデータを蓄積する意義から懐疑的に思われてしまうことも多く。また、先方の業界特有の専門用語の多さや業務フローの特殊さから、こちらとしても課題特定が非常に大変でした。

また業務をシステムに落とし込む、と言うことは標準化・効率化の為に何かを削ぎ落とすことにもなるので、大きな変化や痛みを伴うんです。でも痛みを一緒に超えなければ変革できない。だからこそ、同じ目線で、同じ目的意識で、覚悟を持って進めることに必死でした。

要所のグリップで変革へとつなげる

ー痛みを伴いながら一緒に超える。変わることの深さを感じますね

例えば、「IT業界がチャットツールが使いやすくても、別業界にとっては電話が良い。」の様に、今の手段は試行錯誤を経てたどり着いた最適解だったりもします。まずは今の状態があることにリスペクトを持つ必要があります。信頼関係を築いた上で、初めて変えたほうが良い部分を共有し、一緒にやる覚悟を伝える。現場に寄り添いつつ、要所でグリップする、これが変革に必要な力なんです。

あとは「伝道師」を生み出すことが鍵だったりします。まずは社内で協力的な方を選抜し、目的・手段を伝え、体現してもらうんですね。時には「今大丈夫ですか?」と会話しながら、一緒に施策を考えたりしました。

そうやって細かなコミュニケーションを取ることで同じ言葉で話せる様になる。そうするとその方から伝播していって、先方の中で否としてたものがある時から是となるんです。第三者的立場にいる我々だけでなく、同じ会社の仲間からも同じ言葉が発せられることで、そういった大きな動きが生まれます。面白くないですか?バラバラだった想いが1つにまとまり、組織として強さを持つ瞬間。この状態を作れたら勝ちですよ。

ー成果に繋げるため、バランスを取りながらもグリップする。特別何か意識してるんですか?

自分が置かれている状況をメタ的に認知して、何が最適解かを考え続けるようにしています。全体を俯瞰できているからこそ、バランスをとってグリップすることができるんですよね。前提、ビジネスって自分のためじゃなくて相手目線で考えるもの。そこを忘れずに、常に最適解を考え続けています。これは今回のプロジェクトだけでなく、施策を考えるときの前提で必然かなと思ってます。