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ブランディングプロセス 〜日本鋳鉄管のコーポレートアイデンティティ形成〜

本コンテンツは「セブンデックスが実際に行なっている、戦略検討からクリエイティブ作成までを一気通貫で行うブランド構築プロセスを知るコンテンツ」となっています。

弊社が担当した日本鋳鉄管株式会社様のブランド構築プロジェクトの工程を一から辿る、ブランド構築をシュミレーションできるような構成となっています。

日本鋳鉄管株式会社様のロゴ Before After

ブランド構築を検討されている企業様、ブランディングに携わっているデザイナー・ディレクターの方々、ブランディングに携わりたいと志す社会人や学生の方々に、何か一つでも残すことができれば嬉しいです。

「実際にどんなプロセスで進めたか」「ブランド構築をするために考えたこと」「そのステップと思考から出されたアウトプット」を中心に、セブンデックスが「ブランド構築をどのように行なっているのか」について日本鋳鉄管様のブランド構築プロジェクト実例を元にまとめていきたいと思います。

文字数:約19500字
読了時間目安:45分

少し情報量の多いコンテンツになっていますので、ご都合の良いタイミングで見ていただけると幸いです。

終盤にはアウトプットギャラリーとして、リサーチのレポーティングや最終的なアウトプットの画像なども掲載しています。ぜひ、そちらもご覧ください。

目次

プロジェクトの概要

本プロジェクトは、2021年より「ブランディングを通じて日本鋳鉄管を好きになり、応援してくださる人を増やし、企業の成長に貢献する。成長を通じて最終的に株価及び時価総額を上げることにコミットする」ことを与件としスタートしました。

4ヶ月かけて2021年9月14日、コーポレートアイデンティティを刷新し、リニューアルした今でも、デザイン経営を全面的に支援し、ブランド戦略の検討から戦術・施策の検討・コミュニケーション設計やクリエイティブツールの制作まで、幅広い領域で携わっています。

日本鋳鉄管株式会社様 (以下敬称略)

創業から84年、業界第3位の水道管メーカー。
インフラに関わる比較的変動の少ない市場に事業ドメインを置き、堅実で安定的な経営を行っている。

しかし国の水道事業に関する予算が減少。水道管の劣化が社会課題となり、水道クライシスと称されている日本では、再び市況が盛り上がる見込みはあるが現在は市場規模縮小に伴い事業成長も減退。
「この状況を打破し、成長するためには、根本的な意識改革が必要である。」とブランド力の強化とデザイン経営の推進に乗り出す。

セブンデックス

2018年創業の事業成長にコミットするUXデザインファーム。UXデザイン・ブランディング・グロースを通じて、課題を突破し企業やサービスの価値を高め、事業成長につなげる。

デザインパートナーとしてプロジェクトの上流から支援させていただくことが多く、大手企業の事業、プロダクトの戦略や、スタートアップに対する一気通貫の支援など、規模を問わず様々な企業の支援をしている。

プロジェクトを始める前に

ブランド構築プロジェクトを日本鋳鉄管と一緒に行っていくにあたり、セブンデックスがはじめに着手&お願いしたことは以下の2つです。

1.ブランド戦略推進室の立ち上げ

企業として、明確にブランドイメージを形成していく意志を、目に見える形で社内外に示し、主体的に行っていくチームをつくりました。

特に企業規模が大きい場合に、ブランド構築を行うには明確なチームをつくることが望ましいです。「ブランド認知は必要か」の質問には、ほぼすべての企業様の回答は「YES」です。ですが、ブランドを形成していくには大きな工数がかかります。「あるに越したことはない」ものにリソースを割き、推進していくことは、日々の業務がある中で、どの企業様であっても難しいことです。

明確に「ブランドを形成すること」をミッションとしたチームを配置することで、推進力に違いが出ます。

2.企業としてのあり方・戦略を考え、整理する

ブランド推進室を立ち上げた後は、今後の指針を決めるために、企業として「どこに向かいたいか」を検討し、ブランドが目指す場所を決めて地図にピンを指すことが必要です。

企業、サービスのブランドを考えるときに「戦略的な目的があること」はブランディングにおいて重要な鍵です。「誤って認知された印象を正しく伝えるために、コミュニケーション設計を見直す」のか「目指すべき方向を決めてブランドを定義し直し、事業運営方針を決めていくのか」には大きな違いがあります。ブランドを定義する時には戦略的、つまり「どこに向かいたいのか」と「その勝ち筋」を見出すことは必要不可欠だと考えています。

ブランドリニューアルの背景

概要で少し触れましたが、日本鋳鉄管がブランド戦略を強化する意思決定に至った背景は大きく3つあります。

1.情勢の変化から市場が縮小傾向にあり、企業として変革が必要
2.ステークホルダーとの接点が少なく、事業価値が伝わりづらい
3.変革に向けた実行力を培うために社内の意識改革が不可欠

水道管を製造し、自治体・工事会社・販売代理店をステークホルダとし、水道管を整備し、地面の下で暮らしに安心で安全な水を通すことに貢献している日本鋳鉄管株式会社は、事業価値がとにかく見えづらいです。

また「製品をつくり、対法人という限定的な範囲で顧客に品物を納める」ことが生業であるメーカーの業種特性から「マーケティング活動、外部に向けて発信する」ことについては注力してこなかったので、ステークホルダーとのコミュニケーションの接点は未開拓の状態でした。

市場が縮小する流れの中で、新しい事業価値を創出しなければならない。自分たちを見つめなおし、新しい大志を掲げて中長期で会社を成長させていく。目指すべき新しい旗を掲げる、まさしく企業としての変革、そして変革を実現するための意識改革が必要である。新しく創出した価値をステークホルダーに正しく伝え、理解していただけるコミュニケーションを実現できるように体現していきたい。

そうした考えからブランディングを強化する意思決定になりました。

ブランディングパートナーであるセブンデックスは、戦略の可視化、具現化と行った日本鋳鉄管の頭の中にあるものをカタチにして、社会の中での存在意義を戦略的に作っていく役割を引き受けました。

ブランドリニューアルの全体像

ここからは具体的にブランドをリニューアルするプロジェクトのプロセスについてお話しをします。

戦略構想からコーポレートアイデンティティの刷新を行うまでのプロセスの全体像としてはこのように進めました。


手順と、その中でどんなことをアウトプットしているのか具体的にイメージを持っていただけるように、ワークフローの全体像として整理するとこのような図になります。


合計で、約4ヶ月ほどの期間を要しています。クライアントとのコミュニケーションで、すれ違いや前段に戻ることがほとんどなかったことから考えると、スムーズに進んだプロジェクトに類するものです。スケジュールは規模によりますがおおよそ4〜6ヶ月を見込むのが相場と考えています。

市場調査や詳細を詰める作業は妥協しやすい点でもありますが、「どれだけの情報を多角的に深く考えられたか」はクオリティに直結します。描写を鮮明に描けば描くほど、後のワーディングやビジュアライズする時にアイデアの源泉になるので、可能であれば時間をとって整理することをおすすめします。

※このコンテンツの中では、ブランドという概念とコーポレートアイデンティティという概念が出てきますが、棲み分けはアングルの違いです。

ブランド:ブランド化する対象(ここでは日本鋳鉄管)に対して、自身の特徴を踏まえつつ第三者の視点を基軸に大局的に見て定義しているもの

コーポレートアイデンティティ:日本鋳鉄管の視点で自らのアイデンティティを定義しているもの

STEP.1:戦略の構想

ブランドを構築する際にまず最初に行うことは戦略の構想です。戦略の構想を行うために、大きく分けて2つのことを行います。

1.市場調査、分析
 -戦況の盤面を理解する
 -自分たちの立ち位置を理解する

2.戦略の構想
 -どこに行きたいか、行けそうかを考える
 -行きたい場所にピンを立てる(定める)
 -ピンまでの辿りつき方、勝ち筋を考える

1.市場調査.分析

市場調査では、市況環境、歴史、競合との関係性など自社を取り巻く環境を構造的に理解していきます。
流通チャネルで登場するステークホルダー、外部環境、社会情勢による影響、どんな業界でどんな作用があるとどう動くのかを、相関関係を理解できるように調査、そして分析をします。

「どの手順でリサーチを進めると良いか?」は非常に難しい点です。「1つわかることが増えると、これまでに詰まっていた点が2つ3つわかるようになる」ようなことがほとんどです。行ったり来たりします。

出来るだけ大きな全体像の話から調査し、深掘していく。深掘する過程で明確になったことがあれば、全体の捉え方を更新する。情報を集約して整理するを繰り返し、体系的に考えていきます。

実際のレポーティング


市場を調査する際に多角的に考える為に、マーケットリサーチのフレームは有効な手段です。3C分析,4P分析,5フォース、などあらゆるアングルから、業界に対して考察し、構造を紐解いていきます。

「競合との関係性はなぜ、このようになったのか。何がきっかけなのか?」
「各社のバリューチェーンは何か?」
「各社の利益率の違いはサプライチェーンに違いがあったりするのか?」

参考文献はもちろん、過去のIRデータを辿ることは企業の変遷や競合との違いを発見するのには有効な手段となります。

日本鋳鉄管が在する水道管メーカーの業界は、市場を作ったトップメーカーが今もリーディングカンパニーで、そのマーケットシェアは実に60%を超えます。生産数が多く、それを一気に作ると水道管を生産する時の原価は下がりやすくなるため原価においても優位性があります。市場の開拓者であり、市場の過半以上のシェアを持ち、生産面でもすでに他社にはないバリューチェーンを持つ、いわば「圧倒的王者」です。



この盤面をひっくり返すことはなかなかできません。100年、200年後は分かりませんが、少なくとも短期間で真正面からぶつかって、日本鋳鉄管が業界トップになる要素はほぼほぼ考えられません。

「それでも企業は成長しなければならない。ではどうするか?」
この問題を解くことが戦略的にブランドを形成していくために必要な問いです。

ブランドの方向性は「どんな状況に置かれている人が、どこに行くために、どんな人であるべきなのか」を包括的に考えて定めるべきです。
ブランディングパートナーを務める私たちにも、この業界の状況や構造、すなわち盤面を理解する責任があります。

経営陣と対等に近しい目線で話せる状態になる。その為に市場の情報をインプットする。
これがブランディングプロジェクトを行う上で最初のステップになります。

市場調査、分析を通じて、自社が戦っていく盤面を理解し、その中で今自社がどこに立っているか、を明確にします。

2.戦略の構想、具体化

盤面を理解し、自社の立ち位置を理解することが出来たら、ヒアリング(主にエグゼクティブインタビュー)を通じて、戦略の可視化、具現化をしていきます。

プロジェクトには必ずいつも制約がつきもので、理想的な進行が常に正しいとも限りませんが、「スケジュールに制約がつかない」「余裕を持つことが出来る」のであれば、エグゼクティブインタビューは、市場調査を一段落を終えてから行うようにしています。理由はマーケットの知識が浅いと、エグゼクティブインタビューで得られるはずだった情報を理解不足で溢してしまうからです。

ヒアリングをして理解できるかどうかは、伝える側の説明の仕方だけでなく、聞く側の知識にもよることが多いです。水道インフラの情勢と市場構造を前提においた上で考えているビジョンや戦略を、水道インフラの話がわかっていない上で聞いても理解することはできません。

ヒアリングをした時に、理解の到達点を高くできる準備を可能な限り行った方が望ましいので、エグゼクティブインタビューは市場調査が一段落ついた後が良いと考えています。

ヒアリングは、いくつかの観点に分けて行いました。

実際のヒアリング項目

ヒアリングを行った方

・日下社長
・営業本部長
・製品開発センター長
・総務部長

ヒアリングを行った観点

・市場について
 Lex.現在の市場をどう捉えているか、ご自身の考えを教えてください。
 Lex.市場の中で自社の存在をどのように認識しているか教えてください。

・課題と現状について
 Lex.競合他社と比べて日本鋳鉄管が選ばれている理由を教えてください。
 Lex.顧客から見た自社の強みは何だと認識しているか、教えてください。

・戦略と戦術について
 Lex.他社と差別化をどうつけるべきだと考えているか教えてください。
 Lex.事業の次の可能性、展開はどのように考えているか教えてください。

・これからのビジョンについて

 Lex.今後どのようなビジョンを持っているか教えてください。
 Lex.理想通りに進んだとして、5年後の姿はどのようになっていると思うか、教えてください。

ここでは出来るだけ、インタビュイーの頭の中を正しく捉えることを意識しています。

企業の「こうしたい!」という想いを整理整頓していく作業で、中には言葉では適切に表現できていないこともあります。「大方近しいがニュアンスとしては少し違う」ようなケースもたくさんあります。経営メンバーも人間です。ちゃんと考えているんだけど、綺麗に加工して外部にアウトプットできなかったりします。

例えば、ヒアリングの中でインタビュイーがブランド構築の目的として「ニッチなニーズを見つけていく」というワードを繰り返し口にしました。

しかし、本来の意図は「顧客が真に求めるもの、実際の現場で起きている事象に目を向け、利便性の追求や課題解決の道筋を探す」であり正しい表現ではない、もしくは構造化して「ニッチなニーズを見つけること」と分けて考えるべき論点である、ことを示唆していました。前提として日本語はハイコンテクストのため意味を包含させることが可能です。だからこそ、定義づけるときは正しい要素分解を行うことに意識を向けています。

対話を通じて「それはつまり、こういうことですか?」と、認識を共通化していく過程で、より言葉もブラッシュアップされていきます。言語化、可視化を通じて、より思考を洗練させていくことでよりわかりやすくしていきます。

「違う、そういうことではなく!」というシーンもあります。だけど、そこで怯まない。盤面をきちんと理解している前提があれば、わかるまでとことん話します。ここで必要なのは、コミュニケーション力、理解力、知識、その他に信頼関係が必要です。

絡み合った意図を一つづつ紐解いて、わかるようにしていく。そのプロセスを通じて、経営メンバーもさらに整理整頓されていく。自社が置かれている盤面を理解した上で、戦略や未来に対する想いを一つづつ紐解きながら、整理していく。

そうして、未来へのイメージを膨らませていきます。

セブンデックスがブランディングを行う時には「戦略的であるかどうか」は非常に重要視しています。この戦略的にはビジネス戦略的な話ももちろん含まれますが、広義の意味で「戦の知恵、はかりごと。つまりは作戦的であるかどうか」を大切にしています。

STEP2. ブランドの姿の解像度を高める〜マンダラチャート〜

市場調査、ヒアリングから、戦略立案、目指すべき方向性、理想の状態のイメージを膨らませた後は、その未来の姿の詳細を詰めていきます。

未来の姿の詳細を詰めていくと言っても「何の詳細を詰めていけばいいか」は悩みどころです。詰めようと思えばいくらでも詰められる、考え方、アプローチの仕方が複数ありすぎて、どこまでやればいいかわからなくなります。

ここに答えはありません。詰まれば詰まる方がいいと思いますが、クリアの条件が明示されているわけではありません。ここで避けるべきなのは「時間の許す限り詰められるだけ詰めようとすること」ことです。明確なゴールを決めずに、アウトプットを始めることで、詰めるべきことがつまらないまま、不十分な状態で終えてしまうことがあります。なので時間で区切るよりは「何らかの観点で定めた到達点に達すると終わり」とする方が望ましいです。

日本鋳鉄管のプロジェクトでは、ステークホルダーからの見られ方としてどうあるべきか、の詳細を詰めていきました。未来の日本鋳鉄管はどんな印象を持たれているのか、見られ方を言語化していくことにしました。

そこで作成したのがマンダラチャートです。

1.市場
2.顧客
3.競合
4.株主
5.社員
6.採用候補者
7.メディア
8.消費者
9.それらの中心にある1マス

各項目9マスづつ、81マスをおおよそアウトプットのクオリティを担保できる到達点であると定め、フレーム化し埋めていきました。

例に、顧客の9マスにフォーカスを当ててみます。

STEP1.で膨らませてきた、目指すピンとそこにたどり着くまでの戦略を辿っていく姿=あるべき姿とします。
「そのあるべき姿を体現している時に顧客から見た日本鋳鉄管はどのような印象を形成しているか?」について、考えていきます。

「こう言われると嬉しいよね」「こんな感じでできてると良いよね」という考えを希望だけでなく、希望と戦略の延長線上で考え、それを具体的な行動やシーンに変換していきます。

日本鋳鉄管の場合は、顧客に寄り添い距離の近いところで、まだ手が届いていないニーズに手を伸ばす技術を世に送り出していきたいという思いがありました。

すでに最近の新製品は工事の現場に出て、工事を行う方の作業を実際に見る中で発見した負荷を製品で解決するためのものでした。それは、生き残るための手段でもあり、成長する糸口でもありました。その観点から要素を考え、最終的には先に行きすぎない、寄り添いながら少し前を歩いて引っ張ってくれる様を描き「常に3歩先を照らしてくれる存在」を顧客のマスの中心に総論として置きました。

必要な要素を書き込み抽象化、具体化と抽象化の行き来を繰り返します。この時点で、言語化の難しさを痛感しはじめます。企業の印象は非常に抽象的で、微々たるチューニングを行う必要があります。「だいたい、こんな感じなんだけど、微妙に違う。もう少しだけ強めの印象なんだけど」ということもしばしば。頭では湧いているのに、発散できない暴発しそうな状態。苦しいところですが、この一つ一つのチューニングが積み重なって、印象の集合体を形成するので妥協はできません。

また、各要素を記載しながら、同じような要素をステークホルダーへの印象を体現している他社の事例も挙げていきます。あるべき見られ方を言語化していくと、おおよそ行動のイメージがついてきます。

例えば「常に3歩先を照らしてくれる存在」として「専門な知見を有していながらも親切な対応をしてくれる」というイメージを持ってもらうためには、「顧客に寄り添って、一緒になって考え、水が求めるもの以上のアイデアで解決策を提示する」という行動が必要になります。そうした動きがあるのであれば、顧客との伴走した事例をインタビューとしてコンテンツとして供給することで、より安心感を増幅させるようなことも施策として考えられます。一つ一つの想像を膨らませていくと、「こんなこともできるかもしれない、あんなことも」と施策のイメージもついてきます。

マンダラのなかに書かれていない内容のイメージがつくようになってくると、解像度をより高められているサインだと思います。

ブランディングの説明を行うときに「らしさ」と表現されることが多いですが、自社の強み・特徴・いわゆる「らしさ」をブランドのコアに置きながら、戦略的に盤面をクリアする筋立てと目指すピンを立てて、進む一連の流れを捉えながら描写し、伝えるための定義を行う、考えた人の頭の中にしかない絵を外部の人にもわかるように開示する作業です。ある地点を表現することは比較的容易ですが、一連の流れをおおよそイメージできるようにする為には、詳細を詰める必要があります。

STEP3.ブランドを定義する〜ブランドDNAの作成〜

あるべき姿の解像度を高めることできたら、ブランドの思想や価値、方向性を定義するブランドDNAを作成していきます。

消費者だけでなく、このブランドに関わる全ての人々が、混乱することなく確実に理解し、誰もが迷わず同じ方向を目指せるように、正確で明確に定義する必要があります。

ブランドも印象も、クリエイティブを作れば形成できるものではない。人と同じで、服装だけが印象を形成する要素ではない。ビジュアルは印象を形成する大きな要素ですが、振る舞い、仕草、言動など印象を形成する要素は複数あります。ブランドは体現しなければならない。その為には、誰にもわかるようにブランドを定義する必要があります。

ブランド・システムを構築するときは、リサーチと分析からブランドの本質を見極め、クライアントへの丁寧なヒアリングによりクライアントの思いやビジョンを引き出し、概念化します。

消費者にとって魅力的な形に体現化して、このブランドに関わる人々が正しく理解し共有できるようにアウトプットしていきます。

日本鋳鉄管のブランドDNAの構成要素

・ブランドベネフィット
・ブランドピラミッド
・ブランドパーソナリティ
・ブランドプロポジション
・ブランドプロミス
・ブランド構造
・ブランドエクスペリエンス
・トーンオブボイス
・ブランドストーリー
・タグライン

BRAND DNA
BRAND DNA benefit
BRAND DNA pyramid
BRAND DNA parsonarity
BRAND DNA proposition
BRAND DNA promiss
BRAND DNA strucre
BRAND DNA experience
BRAND DNA tone of vioce
BRAND DNA story
BRAND DNA tagline
previous arrow
next arrow

ブランド・ベネフィット

ブランドが提供する利益を可視化して、整理します。


以下の4つの視点からブランドが提供する利益を整理しました。

・社会からの視点でどんな利益をもたらすか
・市場からの視点でどんな利益をもたらすか
・顧客からの視点でどんな利益をもたらすか
・株主からの視点でどんな利益をもたらすか

これまで集約してきた情報をもとに、一つ一つのクラスタを想像しながら、これからもたらしたい利益を考えます。

ブランドピラミッド

機能的価値・情緒的価値2つの属性をブランド属性の土台として、ブランド価値を見出すプロセスです。

メーカーとして担保すべき高い製品質と顧客のリソース不足が課題の市場に提供するソリューションサービスを機能的価値に。機能的価値を提供する時に併せて顧客にどんな心情、気持ちを提供していることが望ましいか、をあるべき姿として情緒的価値に。
その結果、日本のメーカーらしい側面と、ものづくりだけではない価値づくりをするメーカーの新しい姿の両方の側面の両面を持っていることをブランドの価値としました。

ブランドパーソナリティ

ブランドがどんな存在であるべきか、どんな人格を持っているかを示すものです。ブランドの性格がはっきりすることで、思考や言動が自然と定まり、 ブランドが外に発信するすべての言葉のトーンが揃いやすくなる。ここでは実在するかは問わずに具体的な人物像を掲げることができます。

日本鋳鉄管のパーソナリティで掲げたのは、日清食品創業者の安藤百福と「下町ロケット」の主人公であり、佃製作所の代表である佃航平でした。誠実で、ひたむきで、少し泥臭く、世に役立つ技術、製品を産みだそうとする性格を日本鋳鉄管に重ね合わせました。一方、華美や豪快なイメージが入らないように、気をつけていました。

ブランドプロポジション

ブランドの中核となる概念で「このブランドはどんなブランドか?」 をできる限り短い文章でわかりやすく明示するものです。ブランドDNAの中で最も重要であり、まさにブランドシステムの中心と言えます。


ここでは「どんな姿勢で、何をして、どこに向かっていくか」を読み取れるようにしたいと思っていました。

どんな姿勢で
ひたむきで真摯に泥臭く向き合う
何をして
水道管の製造とソリューション
ものづくりの技術を磨くことと、最新技術を融合した新しい可能性の提示
どこに向かって
障害なく、安全な水が流れ続けること

上記の要素を満たせるように、一つの文章にまとめた結果が、以下です。

ブランドプロミス

ブランドが保証している品質、機能あるいは価値をまとめたものであり、顧客や消費者への約束。顧客や消費者からどのような信頼を得たいか、を明示したものです。

「顧客には一番頼りたくなる寄り添う姿勢と豊富な知見と技術、リードしてくれる対応」
「顧客の痒いところに手が届き、使いやすく前進させる技術」
「日本の水道インフラの課題を解決し、変革していく企業姿勢」

この3つの観点をもって、ブランドが保証する約束にまとめました。

ブランド構造

ブランドがどんな構成要素、構造で成り立っているのか、を全体像で見えるように明示したものです。

こちらは事業として有しているものをまとめたものですが、製造業とソリューション事業の両方を有することを表しています。

ブランドエクスペリエンス

ブランドを体現するとどんな体験を提供することができるのか、情緒的な部分も含めてステークホルダーとの関係性を主な視点で捉えたのものです。

マンダラでまとめた情報、これまで定義した情報から「あるべき姿を体現できている場合、顧客はどんな体験を得られるだろうか」を考えていました。
豊富な知識と真摯な姿勢から生まれる、信頼を体験の中心に、顧客に寄り添ったスタンスの提供価値を表現しました。

トーンオブボイス

そのブランドの”らしさ”を示すために、ブランドのイメージをコントロールしたり統一感を出すために、文体や語調など特定の表現を示したものです。発信が書き手によって左右されず、一貫した人格形成を目指します。

どちらかというと大人しい性格ですが、その中には確固たる信念、あからさまではなく、奥の方で静かに燃える情熱を持っている人格をイメージして、あまり華美すぎない、発話をイメージしています。

ブランドストーリー

ステークホルダーに伝えるためにブランドの価値を情緒的に語り、理解、共感してもらうための心に響かせるストーリーです。


暮らしに水が流れている、という私たちにはあたり前すぎて重みを感じないことにフォーカスしてストーリーを構成しました。多くの人は、生まれてこの方、暮らしに水が流れていないことを想像したことがありません。「あたり前のことだけど、考えてみれば感謝すべきこと」にも入らないほど、あたり前だと思っていて、その価値を浮き上がらせたいと考えていました。

誰も目を向けることができないほど、安心しきっているあたり前に向き合う姿勢を表現し、あたり前すぎるほどのあたり前の尊さに目を向けることができる、ブランドストーリーにしました。

タグライン

ブランドDNAのエッセンスを凝縮した世界観を表す一言。独自性があり、ポジティブでブランドの世界観を表します。


何をしている会社か、機能と情緒的な部分をなんとなく理解できる世界観を表したい。正確に伝えようと思うと、情報量が増えすぎてしまうので、タグラインには書いていない範囲まで想像を広げられるようなワーディングを精査していました。

・水道管、水をつないで生活用水の流れを作っていること
・生活用水は暮らしの根幹を担うもの
・暮らしに安心しできる水が流れていることは、世界から見ると「幸せ」と言っても過言ではないこと

この要素をわかりやすく伝えられるタグラインを検討し、「水をつなぐ、しあわせをつむぐ」に決定しました。

STEP4.M.I(マインド・アイデンティティ)の策定〜企業の理念を決める〜


ブランドDNAの作成を経てブランドの定義ができたので、次は「企業がどのような考えをもち、どのように社会に貢献するためにビジネスを行っているのか」を表し、企業の存在意義をわかりやすい言葉で表すためにM.I(マインド・アイデンティティ)、企業理念の策定を行いました。

※記事コンテンツの構成上、ブランドDNAの後に行っているように見えますが、平行して考えています。

企業理念の策定において行ったのワークフローは以下の通りです。

・日下社長にコアバリュー&フィロソフィーについてのヒアリング
・社員の方々とのワークショップ
・理念体系の構想
・アウトプット

コアバリュー&フィロソフィーについてのヒアリング

組織のリーダー個人のコアバリューと理念の延長線で、フィロソフィーは経営者・創業者から生まれるものであると考え、代表である日下社長にヒアリングして受け取った内容を正しく届けられる方法を考えることに注力しました。

本来なら創業から受け継がれたものを守るべきと考えますが、

・これまで明確にしているものではなかった
・市況の変化があり、企業として大きな変革を遂げなければならない
・日本鋳鉄管が第3の創業を掲げている

そういった観点から、紡いできた歴史の要素を取り入れながらも、新しく始める気持ちで日下社長の理念をもとにした大刷新を行う考えに至りました。

・メーカーとしての生業と商売を行う上で重んじる人との関わり方
・精を出し、仕事に向き合い、技術を磨く技術者としての信念
・生活インフラを支える

企業の雰囲気や存在感、事業ドメインからカジュアルさ、分かりやすさというよりどちらかというと伝統的で、本質的、良い意味での堅さと重さを空気感に含めて表現できればと思っていました。よって現代的な文章表現というよりは、少し歴史を辿るような古めかしい感覚を得る文章表現を用いることに。日下社長の造語もありながら、とてもユニークで意志を感じる言葉になりました。

ワークショップ

企業理念を検討していくプロセスの中に社員26名の方たちとワークショップを組み込みました。セブンデックスはこのブランドプロジェクト全体を通じて、約50名の社員の方とのコミュニケーションを取らせて頂いています。

ワークショップにご参加いただいたのは

・管理職など日本鋳鉄管の中心を担うメンバー
・日本鋳鉄管のものづくりに関わるメンバー

の26名の方々です。

オンライン開催でインタラクティブなコミュニケーションをとることが難しい状況でしたので、事前にワークを設定しました。改めて会社のことを見つめ直し、考えて発散することを即時で行うことは難しいだろうと考えた点もあります。
少し時間をとり、設問に対してに解答を考える、という時間を通して
改めて自分が勤めている企業のことを考えてみる時間にもしたいと考えました。

それぞれ各人が考えてきた「会社についての思いの丈」を本番でシェアをしながら収束させていく形を取りました。自分の考えをみんなに共有する場、同じ設問で同じ問いを考えた時に、自分の周囲で働いている人はどんな内容を語るのか、そこに触れる場にもしたいと思っていました。

結果、このワークは社員の皆様の為、企業理念の検討プロセスのみならず、ブランディングパートナーを務める私たちにとっても有意義な時間になりました。現場でも製品を作っている方が口に出していることや、日常の業務の中での課題、管理職の方々の目に映った企業の歴史とその上で思うこと、常日頃、その場に身を置いていないと触れることはできない、課題を抽出することもでき、新しい課題に取り組めそうな情報を集約することができました。

また、企業としての理念を策定するプロセスに関わっていただくことで、今後の浸透促進も図っています。

ブランディングや企業理念などを策定する際には、アウトプットからではなく、プロセス、途中経過を共有するようにしています。かっこいいものを作って、お披露目でドーン!ってしたいところですが、考えてきた時間に差がありすぎて、見た人は「お、おん!」ってなることが大抵だと思います。

完成前のプロセスを共有し途中経過から見える試行錯誤は、取捨判別の基準や大切にしている要素など貴重な一次情報になります。

理念やそれに類するもの(例えばVMV)は大量の情報と想いが圧縮されて検討されているので、一度や二度、気合を入れて伝えたからといって、理解できるものではありません。しつこいぐらいに伝えていく必要もあります。そのため、完成前のプロセスから共有することで浸透の速度を早めることを考えています。

完成してお披露目した時も、「あのときに言っていたものはこうなったんだなぁ。きっと〇〇の視点を大切にしたんだろうな」など読み取れるものが増えるので、より理解がしやすくなります。

理念体系の構想

M.Iを表現するために、言いたいことを検討しながら、最も表現しやすい構造、すなわち理念体系を検討していきます。

Corevalue&Philosophy〜理念〜
誠心をもって福なる縁を広げ、精励をもって志事を成す
生活基盤の平穏と更なる進化のため、あらゆる技術を築き磨く

この理念を企業理念体系の中に組み込むことを前提として、最も良い理念体系の構造を探っていきます。

このステップでは、フレームに入れて眺めてみたり、比較してみたりと試作を繰り返し、最も感触のいいフレームを決定します。

その結果、ビジョナリーカンパニーで紹介されるコリンズ・ポラス式のフレームワークを起用することにしました。フィロソフィーをそのまま組み込むことができ、上場企業としてパーパスを有すること、存在意義を問い直すことを行いやすいとも感じました。

日下社長の言葉から出た、理念をそのままPhilosophyとして起用。
企業の存在意義、存在する理由を明確にするPurpose
野心的目標であり、日々社員の方が意識できるMission

目指す山の頂上の景色と理念体系を総じたタイトルとしてVision

フレーム通りであれば、Philosophy、Purpose、Missionになりますが、目指す山の頂上の景色を描いておきたいという考えからVisionを策定することになりました。

M.Iのアウトプット

理念体系の構想もできたので、各項目の相関性も考慮しながら、M.Iをアウトプットしていきます。

日本鋳鉄管がこの社会に存在する意義であるパーパスは根本的に「なんのために存在しているのか?」を問い続けました。

日本鋳鉄管が事業ドメインを置く水道管は見えないところで、私たちの暮らしを実現させてくれている存在。水道管がなければ、当然水は暮らしに流れない。流してくれることもない。この日本で私たちの暮らしに口に含むことができる水が流れている。水道管が機能しなくなればどうなるのか?現在、水道管の更新遅れにより進む管路の劣化は水道が破綻する可能性をはらむ社会問題。

水が当たり前に通っている暮らしを持続させるために存在する企業の存在意義を定義しました。

Puropose〜企業の存在意義〜
水が途切れない世界を実現させる

野心的目標であるミッションは、日々の業務に心の片隅におけることを意識していました。参入障壁が高く新規のプレイヤーの参入が限定されている中で、スピード感溢れる市場というよりはどちらかというと安定的で緩やかな市場。その市場には、まだまだ手が届いていない、満たされていない需要がある。緩やかな市場の中でも突き抜けようとする意志で、満たされていない需要に手を伸ばすために、変革心とはみ出す意志を込めて策定しました。

Mission〜野心的目標〜
水道管路の常識を覆す一歩を進める


大から小まで、日々の業務の中で「どうすればこれまでを更新できるか?」を考えるきっかけになれば嬉しいと考えています。

フィロソフィー、パーパス、ミッションを定めたのち、最後にこれらを総じて一つに括ったビジョンをタイトルとして検討しました。

圧倒的王者が存在する市場でも、AIやブロックチェーンなど先端技術を用いた新しいサービスソリューションを持ち、これまで実現できなかったことを実現し顧客の需要に応えようとしている日本鋳鉄管です。市場のトップをすぐに取ることはできなくても、課題を抱える水道管路を取り巻く環境の変革を先進して欲しい。

山の頂上に掲げる景色を以下のように策定しました。

Vision〜目指す景色〜
水道管路の変革を先進し、世界随一の水道インフラを持続させる

これらを日本鋳鉄管が掲げる新しいM.Iとして決定しました。


STEP.5 B.I(ビヘイビア・アイデンティティ)の策定〜掲げるべき行動指針を決める〜

M.Iが定まったので、企業として、そのメンバーとしての行動指針を定めます。ここまで定義してきたブランドDNAや企業理念と整合性が取れるように、また体現していきたい未来の日本鋳鉄管の姿をイメージしながら「掲げるべき行動指針は何か?」を考えました。

ここでは「日下社長へのヒアリング」「検討」を行いました。

約50名の社員の皆さんとコミュニケーションをとり、オフィス、工場にも足を運ばせていただき、すでに十分な情報を有していたので、すぐに検討に入ることができました。

日下社長との対話の中で最終的に抽出してきたのが、次の5つの要素です。

1.誠実
社会に胸を張れる企業人として、正しく堂々と仕事をする。

2.安全最優先

製造現場は大きな機械を動かす。曖昧な危機管理では危険を伴う。社員の安全は全ての視点から最優先すべきである。自分も仲間も、その家族や周囲の全ての人のために、社員の安全と自分自身の安全を守る行動を尽くすべきである。

3.組織の壁を作らない・スケールデメリットの排除

大きな組織体は、部署が独立しやすいが、これから掲げる大志は連携なくして果たせるものではない。連

4.挑戦
どんな局面でも今までに至らなかった価値の創出、提供価値を高めるアグレッシブな行動を。変化を起こしずらいからこそ、これまでを超えられたかどうかを念頭におきたい。

5.ファンになってもらえる仕事

ただ仕事をこなすのではなく、好きになってもらえるほど喜んでもらえる仕事をしたい。

日下社長のお人柄が存分に表れていること、また日本鋳鉄管を取り巻く環境やらしさが検討されている内容を抽出することができました。

私は製造業での業務の経験がないため、工場などに看板として掲げられている「安全第一」の言葉の重みを知ることは初めてですが、自分の目で見た工場のスケール感や、製造機械の大きさを知り、初めて「安全第一」の意味を理解したのかもしれません。

社員の方々が日々立ち返りやすいように、部分的にでも会話の中で使ってもらえることをイメージしながら、掲げるべきワーディングを検討しました。

その結果が以下の行動指針になります。

日常の業務の中での判断軸や、立ち返る場所、自分たちが向き合うべき行動の指針となることを念頭において設計しました。

STEP6.V.I(ビジュアル・アイデンティティ)の策定

ブランドDNA、企業理念を凝縮し、象徴となるビジュアルを成形します。

これが今後展開していく制作物すべての基準となり、どのタッチポイントからでもその企業らしさがわかり、想起させられる状態を作り出します。

最終的にはビジュアルアイデンティティをブランドブックに集約し、ブランドを展開していく上で、どのアウトプットを辿っても日本鋳鉄管と想起されるよう、ルール化します。

コーポレートロゴの方向性



改めて決定のために何かすると言うよりも、今までやってきたステップから導き出していきます。この方向性と言うのは、伝統的、普遍的など最終的などんな印象にすべきかのアウトラインを決定することです。カタチを創り出すのは、ほぼ無限に等しいのでどの方向性でカタチを創り上げるかを決めてから具体的な造形に入りました。


創業84年と歴史ある企業のロゴをつくる上で、バックデート(過去を想起・老舗感を表現)するのではなく、未来へ向かわせるロゴを経営戦略構想の段階で想定していました。なぜ未来へ向かわせるのか。それは、日本鋳鉄管が第三の創業として新しい方向へ向かおうとしている事、IoTやAIを使いながらメーカーでありながらソリューションを持つことやデザイン経営を推進させていく様などこれから新しい企業としての姿、先進する姿を表現したいと考えたためです。

以下の2点に定め、具体的な造形の策定に入って行きました。

・未来を見据えた上で普遍的なものであること(2100年にそのロゴが存在していても違和感がない状態)
・伝統的な表現を使わずに、厳格さを出す

コーポレートロゴの造形

ブランドDNA・企業理念からブランドを象徴する要素を抽出し、ビジュアルコンセプトを立てます。

・ひたむきに(真摯に)生活の土台として力強く支える柱
・水の流れ
・社名の頭文字であるN

③ビジュアルコンセプト

ひたむきに水流を支える

これまでのステップで方向性や、象徴となる要素がすでに言語化されているため、このフェーズでは抽出するのにはあまり時間はかかりませんでした。

モチーフ

象徴する要素、ビジュアルコンセプトからシーンの想像を膨らませ、モチーフを策定します。

暮らしに無くてはならない存在の生活用水のメタファー、井戸の「井」をにしてカタチを導きました。「井」のカタチには「井戸」以外に、水道管路網としての「網」造形をする「#」、水を繋ぎ幸せを紡ぐの「紡ぐ」を造形する「#」を直線表現の造形に組み込んでいます。

●直線表現と曲線表現の融合

管の中を流れる水を動的な曲線で表現し、それをひたむきに支える姿を2本の直線で表現。その2つを融合させ、社名の頭文字Nのカタチに構築しました。

●造形のブラッシュアップ

単一の太さで構成されたドライな印象を、曲線部分に計算した均一のズレをつくり「違和感のあるカタチ」「意思のあるカタチ」へ調整して行きました。その違和感により目に止まりやすく、曲線部分が有機的になり意思のある強さを持った造形へとブラッシュアップしていきました。

コーポレートカラー

水を想起しやすい青色を基本として選定しました。


・生活用水や水を想起しやすい明るめの青
・ロゴの造形と合わせた時に軽い印象にならない青

パッと見た時の印象などを幾つも検証して行き、社名にある鋳鉄から鉄の原子記号Feがカラーコードに含まれているもので決定しました。

グラフィックエレメント

コーポレートロゴそのものを用いたエレメントと、ロゴの尊厳を守り自由に扱える拡張性の高いエレメントをデザインの基本フォーマットとして制作しました。
「媒体の中を流れる水」をコンセプトに、地下にある為、普段目にすることができない「水をつなぎ、水をつむぐ」様子をエレメントにしています。PCや紙などの媒体は、真っ直ぐな直線に囲われているので、それを直線表現に変換し、管の役割を持たせました。

ブランドガイドライン

基準となるビジュアルアイデンティティ(コーポレートロゴ、カラー、グラフィックエレメント、イメージボード、ロゴアプリケーション)をブランドブックにまとめ、今後の制作物に日本鋳鉄管らしさ、ブランドイメージが反映されるようにルール化して行きました。

BRAND BOOK00
BRAND BOOK01
BRAND BOOK02
BRAND BOOK02-1
BRAND BOOK02-2
BRAND BOOK03
BRAND BOOK04
BRAND BOOK05
BRAND BOOK06
BRAND BOOK07
BRAND BOOK08
BRAND BOOK09
BRAND BOOK10
BRAND BOOK11
BRAND BOOK12
BRAND BOOK13
BRAND BOOK14
BRAND BOOK15
BRAND BOOK16
BRAND BOOK17
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Appendix.アウトプットギャラリー

最後に上記で紹介しきれなかった、アウトプットをご覧ください。

さいごに

ここまで、長い文章を読んでくださりありがとうございます。

拙い文章にはなりますが、少しでも多くの方に何かを残せていたら嬉しく思います。

「知っているか知らないか」と「好きか嫌いか」の感情は非常に近い距離感にある感情で、知れば好きになる、応援したくなる、ファンになることはよくあることだと思います。

そのために、知ってもらえるように自分たちを分かりやすく説明する必要がある。ブランディングを通して、複雑な自分たちのことをわかりやすく説明できて、好きになってもらえることが増える。

そんな企業、サービス、製品が増えると嬉しいです。

そして、本コンテンツを通じてブランディングやマーケティング、デザインという仕事に更なる可能性を感じていただけた方がいらっしゃれば幸いです。


ベンチャーで業務経験を積み、大学卒業後に広告営業としてマイナビに入社。24歳で同社事業部最年少でマネージャーを務める。その後メディア開発、アプリの企画開発を経験し2018年にセブンデックスを設立。代表取締役に就任。2019年グッドデザイン賞受賞。