近年、サービスのガイドラインが公開される動きがさまざまなところで起きているかと思います。その度に注目され、多くのクリエイターを刺激しています。
様々な種類のガイドラインがありますが、今回はVIガイドラインをご紹介していきたいと思います。
国内にはWebサイト上で見られるアクセスしやすいVIガイドラインは中々ありません。 VIガイドラインではありませんが、Abema(Spindle)やfreeeなど、ブランドガイドラインが公開される動きは、日本にも起きつつあります。
海外に目を向けるとWebサイト上でVIガイドラインを公開している事例は多くあります。PDFで公開している事例は国内でも見られますが、専用Webサイトを設置している事例はあまり見られません。
今回選定した複数のVIガイドラインは、ロゴやカラー、フォントの規定だけではなく写真やグラフィックエレメントの規定まで掲載されています。国内ではおそらくWebサイト上で見ることができない非常に濃密な内容のVIガイドラインです。
VIガイドラインを作成する際や、アップデートしたい際などの参考になれば、と思います。
目次
VIガイドラインとは
VIガイドラインとは、ビジュアルアイデンティティに関する規則や禁止事項をまとめたものです。
関係者が資料を作成する際やデザイン依頼を外注で行う際に、VIガイドラインを共有することでビジュアルアイデンティティが守られます。
また、ビジュアルアイデンティティとは、ブランドを象徴するデザイン要素一式を総称したもの。ブランドの価値やコンセプトを可視化した、ブランドシンボルやロゴデザイン、ブランドカラーや書体などです。
海外のVIガイドライン5選
ニューヨーク州立大学バッファロー校(英称:University at Buffalo)
こちらのVIガイドラインは、私が今まで目にしてきたWeb上で公開されているVIガイドラインの中で一番情報量が多いガイドラインです。Web上でここまで公開されている事例は世界でも類を見ないのではないでしょうか。
項目数はなんと、59項目あります。
項目が多いだけでなく、それぞれとても細かく規定が記されているのです。例えば、グラフィックエレメントの「行と箇条書き」の項目では、Adobeでの設定についてもガイドされています。
中でも個人的に一番刺激を受けた項目は、ムードボードです。TPOに合わせて適切にコミュニケーションできるよう、柔軟に対応できる設定がされています。
私はこれを見て1ブランド1ムードボードでなくてはいけないという固定概念が崩されました。
しかし、この手法を取り入れるには精密な設計をすることを大前提として、慎重に検討する必要があります。カジュアルでもフォーマルでもブランドらしさが揺るがない絶対的なアイデンティティと、築かれてきた歴史があるからこそ成り立っているムードボードですね。
ロチェスター工科大学
今回ご紹介する5つのVIガイドラインの中ではコンパクトで一番見やすいサイトです。
こちらのVIガイドラインの特徴は、グラフィックエレメント。
非常にシンプルなエレメントの具体的な活用方法が記載されており、グラフィックはもちろん指定方法についても参考になります。
カリフォルニア大学 バークレー校
こちらのVIガイドラインの特徴は、ブランドを広める担当者がブランドについて語ることができるように資料がまとめられていること。
なんとブランドマニュアルやブランド研修用の資料も公開されているのです。(全109ページ)
ブランドを浸透 “させるため” の資料が、いつでも誰もが手に入れられることは稀だと思います。
カリフォルニア大学 サンフランシスコ校
こちらのVIガイドラインの特徴は、テンプレートと例が整っていること。
用途別にポスターとデジタルサイネージのテンプレートが明確に用意されており、当事者が扱いやすい状態となっています。
ボストン大学(英称 :Boston University)
こちらのブランドガイドラインで驚いたのは無料のストックフォトを提供していること。
ブランドの軸からブレないように扱う写真が徹底的に管理されています。
さいごに
今回は、海外の大学にフォーカスし、優れたブランドガイドラインを紹介しました。
5つのみの紹介となりましたが、この5つだけでお腹いっぱいになるくらい、情報量の非常に多いVIガイドラインだったのではないでしょうか。
もちろん全てを参考にできるわけではありませんが、とても勉強になるガイドラインです。
VIガイドラインをこれから作成するデザイナーや、自社のVIガイドラインの作成を検討している担当者の方の参考になればと思います。