プロジェクトマネージャーやディレクターとして活動されている方々で、プロジェクトの進行計画は問題なくとも、振り返ってみると、顧客とのコミュニケーションに齟齬がある事や、顧客目線で不明点などが発生しており後になって問題が発覚するケースを経験したことは多いのではないでしょうか。
今回は顧客が不安に感じるポイントについて絞ってお話しをさせて頂きます。
顧客が不安に思うポイント
これまでプロジェクトマネージャーとして経験をした中で特にクライアントが不安に思うケースについて、代表的なものを3つまとめました。
プロジェクトの見通しが立っているように見えるが、具体的には分からない
プロジェクトの計画や、それぞれのタスク、完了状態をWBS・スケジュールで顧客と共通認識をとるかと思いますがそれぞれのプロセスでどんなアウトプットが出てくるか?に関しては必ずしも依頼主側も解像度が高いとは限りません。
(参照:WBSについては、以下記事が参考になりますので、、ぜひ参照してみてください。)
特に以下のようなプロジェクトプロセスの場合はアウトプットが出るまでに時間がかかってしまいます。
- 成果物が完成するまでの期間が長い
- アウトプットがドキュメントになるもの(リサーチ結果、戦略提案等)
上記の特性から、抽象的なものであればあるほど、具体的な納品物のイメージをプロセス単位で顧客と認識合わせをする必要があります。
可能であれば、アウトプットのイメージを変更する前提で、プロジェクトキックオフの時点で顧客に提示できると安心です。
自分(発注側)は何をすれば良いか分からない
発注側が困る具体的な事例4つを記載させて頂きました。
- プロジェクトの進捗を上長や役員会で報告したいが、どのタイミングでどんな資料が上がってくるか分からない
- 今後のプロジェクトを進めていく中で、社内のどの部署に依頼が発生するか分からない
- 意思決定する事項が、自分だけで意思決定できる事なのか不透明
- 目的を達成する為に、追加で予算を取る必要があるのか分からない
特に、顧客の社内を動かす必要性が発生しそうなリスクがある場合は、プロジェクトキックオフのタイミングで顧客に対応頂きたいタスクとして事前にお伝えできると望ましいです。
顧客の規模によっては、社内で日程調整するのが1ヶ月かかるケースなどもありますので、どのタイミングで意思決定者の方々と同意を取るのか?などは特に注意したい点です。
どの意思決定が最適か分からない
意思決定をする際に以下のシーンもあるかと思います。
- 提案された複数の案や、プロジェクトの中でトレードオフになる事項で、どちらを選択するのがこのプロジェクトにとって好ましいか分からない
顧客はユーザー目線、自社の戦略(方針)を鑑みた提案の中で最適な意思決定をしたいと思っています。ただ、プロジェクト初期〜中期で後続プロセスの解像度も高まっていない状態で意思決定するのは顧客にとっても非常に不安な事だと思います。
それぞれのパターンのメリット・デメリットを提示する事は勿論あるかと思うのですが、その意思決定をした際の収束のイメージも一緒に伝えられると後続プロセスへの安心感にも繋がります。
顧客に意思決定をお願いする際には、後続プロセスの影響範囲についてもセットで解像度を高めるコミュニケーションを心がけましょう。
最後に
顧客が不安になると、どれだけ品質の高いアウトプットを出したとしても、その価値が適切に伝わらなくなってしまう局面もあります。社内のプロジェクト進行だけではなく、顧客にとっての体験も最大化する為に、顧客目線で伴走できるプロジェクトマネージャーとして日々のプロジェクト進行を心がけたいですね。