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How Might Weとは?課題解決に向けたUXデザインプロセス

ユーザーインタビューを経て、ユーザーが求めるニーズや解決すべきイシューが明らかになったあと、解決に向けたアイデアプロセスに進むために有効な手法が「How Might We?(Q)」です。

本記事では、その具体的なやりかたやポイントついてご紹介します。

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HMW とは?

HMW とは、アイデア出しのフレームとなる問いで、ニーズに対するソリューションアイデアを発散するために用いられる手法です。(愛称として “How Might We Q” と呼ばれることが多いです)

「How might we make the wait the most exciting part of the trip?(どうすれば空港の待ち時間を旅の最も楽しい時間にできるか?) 」のように、「どうすれば私たちは ~~ できそうか?(How might we …?, HMW(Q))」という形で、ユーザーの解くべき問題を明記します。

ユーザーインタビューなどから抽出したユーザーニーズに対し、そのままソリューションアイデアを考えてしまうと、大小様々なアイデアが雑多に出過ぎてしまったり、逆に全くアイデアが出なくなったりしてしまいます。

HMW という形で制約とゴールを明確にした問いを設定することで、プロジェクトとしてアプローチすべき課題と方向性が定まり、アイデアを考えやすくすることができます。

以下では、HMW の具体的な方法とそのポイントを見ていきます!

STEP1. 問いを発散するニーズを選定する

まず、HMWQではニーズに対してソリューションアイデアを発散していくため、「どのニーズに対して問いを発散するのか」を決定する必要があります。

ペルソナが複数のニーズを有している場合は、それら全てに対してニーズを発散していくのか、もしくはそこから限定してニーズを発散していくのか、併せて意思決定していきます。

上位下位分析

ニーズを選定する際、具体と抽象を意識したニーズを選ぶことがポイントです

着目するニーズが具体的すぎると、ニーズから出る「問い」も具体的すぎてしまうことで、問題解決の方向性を限定しすぎてしまいます。

一方で、ニーズの抽象度が高すぎると、問いが曖昧すぎてしまい、どのようなアイデアを出して良いのか分からない問いになってしまいます。

※ 事前に上位下位分析を行っている場合、「最上位ニーズ」までいくと抽象度が高すぎることが多いので、「本質的にニーズ」または「行為目標」から出すとちょうど良い粒度の問いを設定できる傾向にあると感じます(あくまでケースによります)

STEP2. ニーズに対して問いを設定する

次に、着目したニーズに対して、「どうすれば私たちは○○できそうか?」という形で問いを設定します。

この作業では、ニーズを満たすソリューションアイデアを出すために、切り口(ソリューションの方向性)の選択肢を出していきます。

デザイン思考教育の総本山である d.schoolでは、次の10種類のアプローチでHMWを構築するアドバイスをしています。

トピック:地元の国際空港における地上での体験をデザインする。
着眼点(インサイト):3人の子供連れの母親が空港で数時間待っている間、子供達が待ちくたびれた他の乗客をイライラさせないよう、楽しませる必要がある。

d.school より
  1. 良いところを伸ばす: 私たちはどうすれば、子供たちのエネルギーで他の乗客を楽しませることができるだろうか?
  2. 悪いところをなくす: 私たちはどうすれば、子供たちを他の乗客から遠ざけることができるだろうか?
  3. 逆を考える: 私たちはどうすれば、待ち時間を旅行で最も面白い部分にできるだろうか?
  4. 前提を疑ってみる: 私たちはどうすれば、空港の待ち時間を完全に無くすことができるだろうか?
  5. 形容詞を変えてみる: 私たちはどうすれば、「つまらない」待ち時間を、「快適な」待ち時間に変えられるだろうか?
  6. 他のリソースを見つける: 私たちはどうすれば、他の乗客の自由な時間を活用できるだろうか?
  7. ニーズや文脈から連想する: 私たちはどうすれば、空港を温泉や遊び場所のようにできるだろうか?
  8. 課題に対して着眼点(インサイト)を適用する: 私たちはどうすれば、空港を子供たちがいきたくなる場所にできるだろうか?
  9. 現状を変える: 私たちはどうすれば、はしゃいで騒ぐ子供たちを静かにできるだろうか?
  10. 問題を分割する: 私たちはどうすれば子供たちを楽しませられるだろうか? 私たちはどうすれば、母親を落ち着かせられるだろうか? 私たちはどうすれば、遅れてきた乗客を和ませられるだろうか?

▼ポイント
やりがちなこととして、着目しているニーズや課題をそのまま問いに変換してしまったり、問いのパターンが同じになってしまうことがあります

例)私たちはどうすれば、子供たちを楽しませずに済むだろうか?(「3.逆を考える」パターン)

できるだけ多角的な観点で、問いを出すことを意識しましょう!

上記の観点で様々な問いを出したら、アイデアを発散する問いをチーム内で絞ります。

アイデアを出すための問いは多く用意しすぎると、様々な方向性のアイデアが出てしまうため意味がありません。

前述した、ちょうど良い抽象度で、かつ様々なソリューションが生まれそうな「良い問い」をチーム内で議論し、テーマに対し多くても3つほどに絞りましょう

STEP3. 問いに対しアイデアを発散する

前のステップで設定した問いを実現するためのソリューションアイデアを発散(ブレスト)していきます。

ブレストはワークショップ形式で行うことが多いです。

事前に参加者に対しルールや観点を共有することで、同じ目線や心構えでアイデアを出しやすい空気感を作ることができます。

WSにおけるルール設定の実例

▼ポイント
ブレストでは、イノベーティブなアイデアを生み出すためにも抑制を取り払い、質よりも量を優先し自由にアイデアを発散することが理想です。

ただし、前のステップで問いを絞りきれなかった場合には、アウトプットの方法に形式を持たせることで、続くフェーズでアイデアを整理・精査しやすくなります。

例えば「〇〇なサービス」「■■な機能」「△△なコンテンツ」など、形式はプロジェクトの内容によって変わってくるでしょう。

参考:

最後に

いかがでしたでしょうか。

How Might We Q 手法はアイデア出しのために弊社でもよく使う手法ですが、意外と体系だってまとまった記事がありません。

本記事が、How Might We Q を初めてやる方々の参考となれば幸いです!

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