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イベントレポート|DESIGN∞:成長を志向する企業が今”ブランディング”に投資する理由

我々セブンデックスは、5月30日(火)に「DESIGN∞:成長を志向する企業が今”ブランディング”に投資する理由」を開催いたしました。本記事ではイベントの内容と、次回開催予定の「DESIGN∞」についてご紹介いたします。

1~2営業日以内に担当者が連絡いたします!
自社の課題をプロに壁打ちする!

DESIGN∞とセブンデックス

DESIGN∞とは

成長を志向する企業が今"ブランディング"に投資する理由

「デザインの力で日本はまだまだ面白くなる。」
日本は、かつて世界にも肩を並べるデザインの力で、大きな経済成長を遂げてきました。 しかし、ニーズの飽和やライフスタイルの変化により、サービスが届けるべき「正解」も、どんどん多様化。 サービスの戦い方も従来のアプローチでは成長が難しくなっています。

変化の激しい社会において、デザインを使った新たな可能性と、心を動かす体験作りをセブンデックスのメンバーが解説するイベントです。今回の第3回では、デザインを起点に事業やサービスをどう成長させれば良いのか、 領域を越境し活躍しているデザイナーのアプローチや考え方をお届けしました。

また、本イベントはYouTubeにアーカイブされています。イベント全体を動画で見たい方は、こちらからご視聴ください。

株式会社セブンデックス

株式会社セブンデックス

株式会社セブンデックスは、東京都渋谷区恵比寿に本社を置くマーケティングカンパニーです。2018年10月に設立した会社で、マーケティングを強みとするコンサルティング会社です。同社はUXUIデザイン、ブランディング、マーケティング、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、幅広い支援を行っています。

発表者紹介

中村伸啓

株式会社セブンデックス 代表取締役  中村伸啓

株式会社セブンデックス 代表取締役

ベンチャーで業務経験を積み、大学卒業後に広告営業としてマイナビに入社。24歳で同社事業部最年少でマネージャーを務める。その後メディア開発、アプリの企画開発を経験し2018年にSEVEN DEX Inc.を設立。代表取締役に就任。

西野慎一朗

株式会社セブンデックス 事業部マネージャー 西野慎一郎

株式会社セブンデックス 事業部マネージャー

新卒入社でマイナビに入社し、企画営業としてマイナビ転職や、求人広告販売を担当。全社表彰/社長賞獲得。CX(Candidate Experience)を通して広義のデザインに可能性を感じ、セブンデックスに入社。現在はPM/UXデザイナーとして新規事業・ブランディング・UXUIリニューアルなど幅広いPJを担当しながら事業部Mgrとして事業の全体統括にも従事。

ブランディングとUXデザインの視点から考える、“選ばれる企業”を創るための戦略的アプローチ

発表者:西野

ブランディングとUXデザインの視点から考える、選ばれる企業を作るための戦略的アプローチ

今日は、これまでのプロジェクトで得た知見を元に、採用をブランディングやUXの視点からどう伸ばしていくかというテーマでお話させていただきます。それでは早速ですが、本日のテーマ「ブランディングとUXデザインの視点から考える、選ばれる企業を作るための戦略的アプローチ」についてお話しいたします。

難化する採用活動

株式会社セブンデックス 事業部マネージャー 西野慎一郎

現在、採用が難しいという話はよく耳にしますよね。私自身も自社の採用やクライアント様の採用ブランディングに関わる中で、その現状を実感しています。以前であれば、特定の求人媒体に掲載すれば一定数の応募者を獲得できたのですが、最近の市況では、これを行ったら必ず成功するという手法は無い状況です。現在の採用市況では企業の総合力が重要なのです。

その一方で、企業のリソースは有限であり、採用を加速させるためには適切な施策を展開することが求められています。このような市況の中で私が重要だと感じる考え方は「ブランディングとUXデザインの視点から考える」というものです。自社のブランドが採用のシーンで想起されるために、ブランドイメージを浸透させるための戦略を立て、それを実行し続けることが採用ブランディングだというのが私の解釈です。また、CX(候補者体験)の設計も重要になってきています。候補者が企業を認知し、選考を終え、入社意思決定を行うまでの一連の体験を設計するという考え方がCXであり、市場の傾向にも合致するこの視点が、今後ますます重要になると予想されます。

採用におけるブランディングとUXデザインの重要性

ブランディングとUXデザインの視点から考える、選ばれる企業を作るための戦略的アプローチ

採用活動にブランディングとUXデザインの観点がなぜ重要なのかというと、ブランドを形成し、実際の戦略として実行する際に、候補者とブランド間の全ての接点で、ブランドらしさを感じられる体験が必要であるためです。ただし、採用活動は人事担当者が1人で行うものではありませんよね。現場のマネージャーや担当者も採用に関わることが求められるのです。そしてボードメンバーや広報担当者も、情報発信において採用活動に関わってきます。こう考えた時、関わる人々全てが、自社の採用ブランドイメージについて共通の認識を持つことが特に重要になってくるはずです。

複数の人数でプロダクトを作っていく際に、誰にアプローチするのか、どういう体験を提供するのかという共通認識を持つために、UXデザインは存在していると思います。ブランディングとUXデザイン、これら2つの観点を踏まえて、設計を進める上で意識すべき4つのポイントについてお話ししたいと思います。

設計する上で意識したい4つのポイント

1. 多角的にブランドイメージを策定する

まず1つ目のポイントは自社、競合、候補者、採用市場の観点から多角的に形成するべきブランドイメージを策定するということです。ここでは、自社の採用活動を成功させるためにはどういったブランドイメージを持ってもらうのが良いかを考えましょう。

多角的にブランドイメージを策定する

自社の強みや競合に無いもの、そして採用候補者のニーズなど、多角的な視点から自社への理解を深めることで、採用における勝ち筋を見つけ出すことができます。その上で必要なブランドイメージを策定するのです。ブランドイメージを形成する要素は複数あります。例えば、会社が目指すべき理念、ビジョンやパーパス、自社のプロダクトや展開する事業、自社での仕事や存在するメンバー、どういったキャリアを歩めるのか、などが存在します。そういった観点を踏まえて、どのようなカルチャーの会社なのか、そこでどんなキャリアを描けて、どういった仲間たちと働けるのかといった観点を総合的に捉えた自社のブランドイメージを策定するのが本段階の目的です。

2. 正しく機能するペルソナで考える候補者の人物像

自社が獲得可能な人物像と、その人物が持つニーズやゴールはどういうものかということを考えていくのがこのパートのポイントです。アプローチするべきペルソナに対して、その人がどういう考えやキャラクター、思考性を持っているのかを1人にできるだけフォーカスして考えていくことが重要になります。その上で、戦略フェーズで定めたブランドイメージによって獲得可能な候補者はどのような人物かを捉えましょう。

一方、よくある失敗例としては、人物像を形成する要素をまとめたものがプロフィールシートのようになっているケースです。例えば趣味や休日の過ごし方が書かれていることもありますが、それが採用のニーズにどのようにつながるのかという根拠が欠けていないでしょうか。ここで重要なのは、キャリアビジョンやワークスタイル、文系か理系かということなど、採用ニーズに関係してくる属性情報を根拠とした正しいペルソナの設定です。

正しく機能するペルソナで考える候補者の人物像

3. ペルソナにブランドイメージを実感してもらうための体験設計

ペルソナを設計した上で、正しくブランドイメージを認識してもらうための体験設計についてお話しします。自社のブランドイメージを候補者に認識してもらうために体験を設計するのがこのステップです。

ペルソナにブランドイメージを実感してもらうための体験設計

そのためには、まずどのような体験が理想であるかを描きましょう。そのアプローチとしては、カスタマージャーニーマップの活用が有効です。候補者の接触ポイントやその時点での思考、行動などを理解し、それを基に候補者の体験を設計することが求められます。採用サイトを見ているフェーズ、Twitterを見ているフェーズ、採用イベントに参加しているフェーズなど、各フェーズにおける候補者の体験を考慮することが重要です。そのため、前プロセスで設計したペルソナに対して、ペルソナが自社を認知してから、入社の意思決定をするまでに、どういう体験を追っていけば理想的な選考体験になるのかを理解し、認識していくのがジャーニーマップの役割です。

4. 理想の体験を提供するクリエイティブとは

最後のポイントは設計した体験を実現するために正しく機能するクリエイティブとは何か、という点です。実際に作っていくためのアプローチとしては大きく3つのプロセスがあります。

まず第一に、先ほど設計した理想的な体験設計に対して、どの体験のどのフェーズでどのクリエイティブが機能するのかを明確にしましょう。採用サイトの場合、情報収集、比較検討、入社意思決定のどこのフェーズでクリエイティブがどのように機能するか、ということです。

第二に、その体験の中でクリエイティブに持たせる機能性と、その中で満たすべきユーザーのニーズをどう満たすかを認識することが必要です。加えて、ビジネス側が何を伝えていきたいかというビジネスニーズも考慮します。クリエイティブを作る上で、満たすべきユーザーニーズとビジネスニーズを整理するのがこの段階なのです。

理想の体験を提供するクリエイティブとは

第三に、以上の2つに基づいたクリエイティブをコンテンツとして企画します。ここまでが、正しく機能するクリエイティブを作成するための3つのプロセスです。体験、機能性、ビジネスニーズ、ユーザーニーズを明確にした上で、それらを満たすクリエイティブの企画を作るのが適切なアプローチだと思います。

体験の中でクリエイティブがどう機能するのか、という解像度を高めることが重要なのです。それぞれのコンテンツに、ユーザーにどう利用されるかのシナリオを用意することで、ユーザーがどのようにそのコンテンツに触れるのかというイメージがより具体的に捉えられるようになります。

ここでのポイント
・採用活動の難化と訴求方法の多様化
・ブランディングとUXデザインが採用活動のキーポイント
・自社のブランドイメージを明確にする
・候補者の人物像に合致するペルソナ設定が効果的
・ペルソナをもとにした候補者の体験設計
・ビジネスニーズとユーザーニーズに合致したクリエイティブの作成

強固な組織カルチャーが事業を伸ばす。 “企業理念”の策定から浸透までのリアル

発表者:中村

強固な組織カルチャーが事業を伸ばす。 "企業理念"の策定から浸透までのリアル

今日のテーマは「成長を目指す企業がなぜブランディングに投資をするのか」「何を考えてどのように、具体的にはどう進めているのか」という点をセブンデックスを例として、企業理念の策定から浸透のプロセスやその過程で生まれた考えをお話しします。

それでは早速、セブンデックスが企業文化の構築を重要な経営課題と置いている理由についてお話ししていきます。その答えとして大きく3つの理由が挙げられます。1つ目が「強い”Agility”は事業優位性につながる」ということ、2つ目は「今の時代は「その会社が好きかどうか」が重要」であるということ、3つ目が「組織拡大時にアップサイドリスクをとれる」ということです。

アジリティが強化する事業優位性

株式会社セブンデックス 代表取締役  中村伸啓

「アジリティ」は敏捷性という意味を持っています。力の強さや向き、速度などを表すベクトルと言われるような言葉がありますが、それを動きや実行というところに落としたニュアンスの言葉です。

共通の思考様式を持つことで、理念やバリュー・行動指針と、企業として当たり前とされている暗黙知が揃い、阿吽の呼吸が生まれ、その結果コミュニケーションコストが下がります。1人があるタスクを2日でやりたいと考えた際、周りの人も暗黙的に同じ意見を持っているような状況です。こうなればすぐに実行へ移れますよね。

アジリティが強化する事業優位性

そういった決断に対してのベクトルが反射的に一致することによって、質の高い意思決定が即座に行われ、素早い実行へつながります。実行までの速度が速く、検証回数を増やせるということは、何が起こるかわからない昨今の状況において非常に有用な優位性につながります。強いアジリティは事業優位性を強化してくれるのです。

その会社が好きかどうか

以前と比べて人材流動性は増加し、加えてベンチャーやスタートアップのブランド価値は上がっています。しかし、その一方で大手企業のブランド価値は低下しています。加えて、正社員だけでなく、副業、業務委託、フリーランスなど、働き方は非常に多様化し、企業がフラットに見られるようになってきています。人材は非常に大事な経営資源ですから、長く勤めて大きなパフォーマンスを出していただきたいというのが、企業経営における本音だと思います。

人材を獲得しパフォーマンスを発揮させられる状況を作る中で、会社が好きであるという事の重要性が高まりつつあります。採用するだけでなく、定着のためにも同様です。そこで必要なのは、働く人にとってのプレミアムです。プレミアムを作ることは以前と比べて難しくなり、プレミアムを作るためにはコストをかけなければなりません。金銭だけではなく、時間も必要であり、そのROIは測られなければなりません。そんな中、企業の文化というのは独自性の高い唯一無二のプレミアムになり得ます。そのため、企業経営を進めていく中で文化の重要性は高まっているのです。

事業拡大時にアップサイドリスクを取れるようにするために

企業文化が構築されていないということは、共通の思考様式が無いことを意味します。そんな状況で増員した場合、エラーの発生率が高まってしまいます。エラーが重なり、大きな問題が発生した場合には第三者の介入が必要になることが多く、リソースを割かなければなりません。

加えて、企業はリスクがあったとしても新たな機会を取りに行かなければ成長できません。そのためにはリソースの余裕が必要であり、リソースを確保するためには共通の思考が効果的だと考えています。

以上の理由から、企業は強固な基盤を持つ必要があり、その上で拡大していくためには、企業文化の構築が重要であると感じています。そのため、我々はブランディングや企業文化の構築を重要な経営課題として捉えており、企業文化に投資するのです。

具体的には、我々セブンデックスは、PVMV(パーパス、ビジョン、ミッション、バリュー)というフレームに基づいて企業理念を持っています。最上段に来るのがパーパス、つまり企業の存在理由であり、その先に描く未来がビジョンです。その中間目標としてミッション2025を設定し、そしてバリューは組織として持つべきものです。

事業拡大時にアップサイドリスクを取れるようにするために

企業理念は企業文化を作るためのツールである

企業理念は思想としての企業理念とツールとしての企業理念に分けることができ、思想としての企業理念は、創業者や経営者の心と頭の中にあり、企業の理念として存在します。しかし、ステークホルダー、特に従業員と共有するためには、言語によって可視化する必要があります。それがツールとしての企業理念であり、我々が企業理念と呼んでいるものです。

企業理念は企業文化を作るためのツールである

初めての企業理念からわずか1年半、なぜ企業理念をリニューアルしたのか

我々セブンデックスは、2021年10月に初めて企業理念を策定したのですが、わずか1年半後の2023年4月に企業理念をリニューアルしました。1年半という短い期間で企業理念をリニューアルした理由は、浸透の障害となる要素が理念そのものの中に多く見つかったからです。我々が企業理念を作ったのは2021年の10月ですが、企業理念を作ろうと決めたのは同年の4月でした。我々が3期目半ばに立っていた頃、ダウンサイドリスクにリソースが集中してしまったためです。

初めての企業理念からわずか1年半、なぜ企業理念をリニューアルしたのか

1期目には、PLを増長させていくことにほとんどのリソースを割いていました。創業メンバーや初期メンバーが高い構成比率を占める初期フェーズでは、コミットメントとアジリティの高いメンバーが集まります。そして、その高いコミットメントとアジリティを武器に、2年間PLを伸ばし続けていました。

ですが拡大していくためには、採用活動というものが必要になります。採用を進めていくことで、個人のコミットメントとアジリティには、創業メンバーや初期メンバーとは当然差分が生じるようになります。差分が生まれるにつれてエラーの解消や、コミットメントとアジリティの高い側がカバーに回る事象が増え、成長よりもそちらにリソースが割かれていました。

アップサイドリスクが取れていない期間が続くと、当然企業成長も鈍化します。成長曲線の上昇を取り戻すためには一定の時間がかかると判断しました。そのまま鈍化を続けると、元に戻すのにも更に時間がかかると判断し、一時的にPLが減退してでも組織作りに着手することを決意。それが2021年の4月で、そこから半年かけてセブンデックスの企業理念を策定していきました。

初めての企業理念からわずか1年半、なぜ企業理念をリニューアルしたのか

そして、初めての企業理念がこちらです。フィロソフィー、パーパス、ミッション2025、ビジョン、バリューステートメントという5つの企業理念を体系的に策定。この理念をリリースして以降は、組織に浸透するための施策を講じてきました。その一つとして、企業理念が浸透していくためのミッションを持つチームを立ち上げ、改善と検証を行ってきました。

他にも、毎週火曜日の朝会ではライトニングトークとして私から10分程度、企業理念に関するプレゼンテーションを行いました。加えて、弊社では月末に全メンバーが参加する経営進捗やそれぞれの事業部門の発表などを行うミーティングがあり、そこも企業理念の発信の場でした。他には、企業理念の理解に対する社内アンケートを定期的に実施し、企業理念にまつわる社内コンテンツの制作も行いました。例えば、ボードメンバーに対するインタビューや、アンケートの結果を公開するなどの社内コンテンツの制作も施策の1つでした。そして、行動指針を体現したケースをメンバーからメンバーに対して共有したりフィードバックをするという施策を定期的に行っていました。これらの取り組みを約15か月間続けていたのです。

浸透施策とROI、施策は本当に効果的なのか

しかし、その間に1つ生まれてきたものが、この浸透施策のROIに対する違和感でした。浸透のための施策の工数に対して、浸透している実感が薄いように感じてしまいました。

浸透施策とROI、施策は本当に効果的なのか

この違和感が日々大きくなる中で、葛藤が2つ生まれました。1つは、せっかく策定して時間をかけたものをまたやり直すことはもったいないという考え。もう1つは、企業の価値観を浸透させるという行為は根気よく続けるべきものではないかという考えから来るものでした。この2つの葛藤と向き合い続けた結果、ROIが悪いという違和感を信じて、それを頼りに原因を検証する決断をしました。

検証のためにはミクロな視点で見ていく必要がありました。経営者としてではなく、現場に目を向けることが必要だったのです。企業理念の効果をチェックするために、アンケートや理解度のヒアリングを行い、メンバーの理解度や解釈を確認しました。また、マンツーマンでのメンバーとの対話からも、企業理念に対する状況を抽出していきました。これらから得られた情報から、企業理念の検証分析を行っていきました。

アンケートでは理解度を表す定量的な数字や、どういう印象を持っているかについての定性的な情報を回収し、それらを分析しました。定量化できるものは定量化し、定性的な情報からは仮説を出し、検証分析を行いました。

浸透施策とROI、施策は本当に効果的なのか

検証からは様々な課題点が発見されました。まず、初期状態から事業内容のイメージが異なり、フラットに見れない、つまりフィルターがかかっている状態がありました。セブンデックスの企業理念や考え方は熱い印象を受けることが多いと思います。しかし、実際の事業はユーザーエクスペリエンスやブランディングに加え、包括的なストラテジーやサービスデザインであるため、熱い企業としてではなく、難しい領域を扱っているインテリジェントな企業というフィルターがかかっていたのです。その結果、本来伝えたい内容とは別のメッセージとして受け取られているという課題点が見えてきました。また、企業理念が覚えにくいというシンプルな意見や、誤解釈を誘発するリスクも一定存在していました。

その上で、新しい施策でその不足分を解消するのか、それとも根本的に解決するのか、という二択になりました。企業理念の浸透というのは新規入社者が入るたびに発生するものであり、この問題は根本的なものです。加えて、この課題の負債が後にコストとして発生するリスクを払拭するためにも、企業理念自体をブラッシュアップするという決断をしました。メッセージングの視点から「何を言いたいか」は変えずに「どのように言うか」を変更するという考えに基づいた決断です。

浸透施策とROI、施策は本当に効果的なのか

企業理念のファインチューニングという決断

企業理念のファインチューニングという決断

2度目の策定プロセスでは「何を言いたいか」という視点は変えず、一度立てた企業理念の理念体系を分解し、出た課題を前提に置きながら、理念体系の要素を再解釈していきました。その上で、企業のアイデンティティやキャラクターを整理し、それらを反映させるためのアイデンティティを選定し成形したのです。その結果を基に、完成したものをすぐにリリースするのではなく、従業員に対してテストを何回か行い、それがどのように見えるかを検証し、それに基づいてブラッシュアップするという流れを繰り返しました。この2度目のリニューアルに関しては、意思決定から約2.5ヶ月で最終的なリリースまで至りました。

企業理念のファインチューニングという決断

リニューアル後の2023年4月からは、浸透のための施策を実施しています。具体的には、全社員での企業理念に対するワークショップの実施、企業理念に共感する人への質問会の実施、理解者とのワンオンワンの実施などです。また、日報にバリューについての記載箇所を追加することで、タッチポイントを増やすような施策も行っており、これらの結果として、企業理念の理解・共感度は非常に高まり、順調に推移しています。

企業理念のファインチューニングという決断

これは従業員のアンケートをソースとしている資料になります。現在の浸透施策は以前のものと比べ、非常に高い浸透進捗率を出しております。定性的な変化としても、会話の中でバリューが使われることが以前と比べて格段に増えたと感じています。また、業務水準の判断基準としてもバリューが使われるようになり、価値を創出するとき、社外に対して価値を提供するとき、あるいは社内で価値を喪失する際にもバリューをベースとして考えられるようになりましたね。そして、組織運営だけでなく、採用の面接でも担当するメンバーの視点が企業理念のリニューアルによりクリアになり、どういう観点で社外の候補者と接すればいいかが明確になりました。また、採用面接では候補者からの組織についての具体的な質問も増えました。

そうした定量的な観点と定性的な観点から変化を感じており、以前よりROIも大幅に向上しています。この要因として、大きく2つ挙げられます。まず1つ目は、言いたいことは変えずにファインチューニングをしたことです。初めての企業理念に比べ、今回のものは内容自体は変わっていないため、メンバーが初見で見た時に前回より多くの情報を処理できたと思います。2つ目は、最初の策定時に試行としての企業理念を詰めきっていたことです。初回の企業理念策定時に、企業が何のためにあるのか、何をしたいのか、どうありたいのかという議論を6ヶ月間かけて徹底的に行ったため、今回のリニューアル時にはそれらに触れる必要がなかったのです。前回6ヶ月かかったところに対して今回は2.5ヶ月でリニューアルできました。

ここでのポイント
・成長を目指すためにはブランディングに投資すべき
・アジリティが事業優位性を強化する
・企業がフラットに見られるからこそ、企業を好きになってもらう必要がある
・企業理念は企業文化創生のツールである
・企業文化こそ企業ごとの唯一無二の優位性
・共通の思考様式=企業理念でコミュニケーションコストを抑える
・企業理念が基盤だからこそ、浸透していない場合は大胆に舵を取ることも必要

質疑応答

企業理念・企業文化の浸透具合はどのように測るか

中村:
セブンデックスでは社内の進捗率を観測数値にしており、社内アンケートで、定量データと定性的な視点も検証のために取り入れています。認知・理解・共感・行動・習慣化それぞれのフェーズで、「何%の人ができているのか」を目標数字として管理しています。100%が理想ではあるのですが、100%ということは新規入社者がいないことを意味します。それは良くない状況ですので、高い数値を目指しつつ、あくまで観測数値として追っている数値です。

効果的だった施策はどのようなものか

株式会社セブンデックス 代表取締役  中村伸啓
株式会社セブンデックス 事業部マネージャー 西野慎一郎

中村:
共感ができていないメンバーと中村が1on1で、あるいは公開質問会のような形で話すことが非常に効果的でした。また、社内向けラジオも意外と好評です。社内ラジオだからこそ、オフィシャルな内容も少し砕けたトーンになり、非効率な会話も生まれます。非効率なものが情報に立体感を持たせることがあるので、良い施策だと思います。

他にも印象的だったのは、居酒屋での1対1の話し合いです。ちょっとした間を持たせて話ができる感覚がありますね。業務中の会話だと効率を求められるため、プライベートの会話でも効率的な話し方になってしまうことがあります。だからこそ、非効率な会話も非常に重要なのです。

西野:
創業者である中村の言葉が最も密度が濃いと思います。その濃い色をどんどん増やしていかなければいけませんが、構造上、広がっていくと色は薄くなってきます。だからこそ、最も色が濃い言葉を直接聞くというのは、理念を正しく理解するという点で非常に機能的だと思います。

採用活動に向けたクリエイティブはどのようなものか

西野:
まず採用におけるクリエイティブのパターンは多様化しているのが大前提です。その中で、弊社に特にご依頼いただくものとしては、採用サイトや採用活動において、自社を採用の文脈で理解してもらうための資料が主となっています。

弊社自体も採用活動を行っている中で、どこまでがクリエイティブかという観点で考えます。私は採用イベントやカジュアル面談も1つのクリエイティブと考えています。それらは自社のブランドイメージを形成するために機能させるべきものであり、クリエイティブの1つです。

中村:
特に採用サイトにおいては、就職活動や新卒採用等で求められる会社の印象が重要となります。そのため、クリエイティブにどういうストラテジーを繋げていくかが難しいところです。最終的には、採用サイトのトップページに使用するキービジュアルやコピー、そしてそのコンテンツがどのようになるべきかということを考えます。

例えば、インテリジェントでクールな印象を持つ企業を求める方に対しては、冷徹な印象を持たれないように、落ち着いたトーンで、なおかつ芯の力強さを感じさせるキービジュアルを採用するかもしれません。また、端的でありながら、少しクセのある言葉遣いを用いることで、印象的なものになるでしょう。一例ですが、このように考えてクリエイティブを制作していきます。

西野:
コンテンツ1つとっても様々なパターンが存在します。採用サイトのコンテンツと言えば、一般的にはインタビューが多いと思います。しかし、クリエイティブという観点からすると、制作過程でさまざまなパターンが出てくるでしょう。必要な要件を満たした上で、クリエイティブのパターンに独自性、あるいは企業らしさを持たせたクリエイティブが戦略に基づいていると良いと考えています。

次回のDESIGN∞

本記事では5月30日(火)に開催された第3回DESIGN∞についてご紹介しました。セブンデックスでは6月27日(火)に第4回DESIGN∞を予定していますので、興味のある方はぜひ以下のフォームからお申し込みください!

ブランディング支援資料

セブンデックスのブランド構築プロセスと実績詳細が解説されている資料を無料でダウンロードできます。

大学と42Tokyoでコーディングを学ぶ中で、UX/UIに興味を持つ。AIの台頭によって、単純な技術力以外の価値が高まったと感じ、ユーザーに寄り添うことを学ぶためにセブンデックスにインターンとして入社。国際基督教大学情報科学専攻在籍。