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サービスブループリントとは?目的の解説や、具体的な作成プロセスを紹介

サービスブループリントと聞いてどのような図表かイメージできても、目的やメリットを正確に説明できるでしょうか?本記事では、サービスブループリントの基本的な概要、そして弊社のディレクターが過去のプロジェクトで作成・使用した際に考えていたことをまとめています。

この記事を通してサービスブループリントに関する疑問が解消できましたら幸いです。

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サービスブループリントとは?

サービスブループリントの例

サービスブループリントとは、一言で言うと、サービスに携わるユーザー・ステークホルダー双方の動きを時系列で表した図を指します。ステークホルダーに必要な行動やリソースを可視化する事によって、サービスの提供・運用の実現可能性を高めるオペレーションを建設的に検討していくことが可能になるのです。例えば上記のサービスブループリントは、映画のチケット購入から感想を投稿するまでの流れを示したものになります。

サービスブループリントの目的

サービスブループリントの一般的な目的としては、以下のようなことが挙げられます。

サービスの実現に必要なプロセスの可視化と理解

上記でも説明した通り、サービスブループリントはサービスに携わるユーザー・ステークホルダーの動きやプロセスを視覚的に表現する手段になります。これにより、チーム全体がサービスを運用していく上での全体像を理解し、ユーザーや各ステークホルダーがどのように関連しているかを確認することができます。

ユーザー体験の改善

サービスブループリントは、ユーザー目線のみで作成されたカスタマージャーニーマップやシナリオ等の体験を改善することにも活用することができます。サービスブループリントで各ステークホルダーの動きやそのために必要なサービスの運営側のリソースや体制等を実現可能性の観点で考慮して可視化することができるため、その制約を踏まえて、設計したもしくは設計する体験を更に実現可能性の高いアウトプットへと落とし込むことができます。

プロセスの問題点の特定

サービスブループリントは、サービスを運用したり利用してもらう際のプロセスにおけるボトルネックや問題点を特定することにも役立ちます。事前に各ステーホルダーの動きを詳細に可視化しておくことで、その際の課題やリスクを事前に発見し、改善のための解決策や対応策を立てることができます。

ステークホルダー同士の協働の促進

サービスブループリントは、異なるチームメンバーや関係者との協働を円滑にしていくことを促進させることができます。全体のプロセスや必要な動きが各関係者ごとに視覚的に示されるため、異なるステークホルダー同士が協力してサービスの運用に取り組むことが容易になります。

以上がサービスブループリントの一般的な目的や活用方法になってきます。 もちろん、上記に挙げた目的や活用方法は全ての場面に必ず当てはまるわけではなく、プロジェクトの特性や盤面によっても少しずつ異なってきます。

サービスブループリントの主な構成要素

サービスブループリントの構成要素

サービスブループリントに入れるべき基本的な要素としては、「タッチポイント」「カスタマーアクション」「フロントステージアクション」「バックステージアクション」の4つがあります。

タッチポイント

サービスの利用の検討中、各サービスを比較中、など、体験全体の段階別でユーザーとの接点を指します。

カスタマーアクション

サービス利用シーンにおけるユーザーの行動を指します。

フロントステージアクション

ユーザーが直接見ることのできる場所や画面での、サービス提供側の行動を指します。例えば接客する店員の行動や、WEBサイトのAIによるチャットサービスなどが該当します。

バックステージアクション

フロントステージにおける出来事をサポートする、ユーザーが見えない場所でのサービス提供側の行動を指します。シェフによる厨房での料理や、倉庫で在庫管理などがこれに当たります。

サービスブループリントの作り方

ここからは具体的に過去の事例を参考にしつつ、不確実性の高い新規サービスのサービスブループリントをどのような目的や要件、思考プロセスで作成していったのかステップごとに説明していきます。

1.目的とアウトプット要件を決める

まずは、プロジェクトに応じて、サービスブループリントをどんな目的で作成するかについて言語化していきます。そこから、目的に応じたアウトプットの要件を詰めていきます。

サービスブループリントは目的によって、アウトプットの形式や項目が異なります。だからこそ、よくあるサービスブループリントのテンプレートをそのまま使う前に、サービスブループリントをプロジェクトでどう活用していくかについて言語化するのが重要なのです。今回取り上げる事例の場合は、以下のような形で設定しました。

【目的】

サービス(サイト)によって、実現したいユーザー体験を実現するために、サービスの運用・提供に必要な行動と、それを実現するためのリソース・体制を明らかにする。

プロジェクト内で体験設計を行っていないにもかかわらず、どんなオペレーションやリソースが必要になってくるかについて明らかにしたい場合を考えましょう。その場合は、一旦仮説をもとにユーザーの動きを可視化した上で、サービス提供者側の必要な動きやリソースを可視化していくと良いと思います。

そして、上記の目的を達成するためのアウトプット要件を以下のように定めました。

【アウトプット要件】

・サービス利用からコンバージョンまでのユーザー体験(カスタマーアクション)とサービス提供側のアクション(フロントステージアクション)が分かる。
・ユーザー体験(カスタマーアクション)を実現させるために必要な行動(バックステージアクション)が分かる。
・フロントステージ・バックステージアクションを実現するために必要なリソースや体制が分かる。

目的やアウトプット要件が決まったら、どこにどのような情報を記載するかをステークホルダーと擦り合わせるために記録しておくこともおすすめです!

【カスタマーアクションを記載する】
第一フェーズで作成したカスタマージャーニーマップにおける「ユーザーの主な行動」を記載する

【フロントステージアクションを記載する】
ユーザーが直接見ることのできる場所での、サービス提供側のアクションを記載する

【バックステージアクションを記載する】
フロントステージにおける動きを実現する、(ユーザーが見えない場所での)サービス提供側のアクションを記載する

このようにして、サービスブループリントの目的、アウトプット要件が決まったら早速アウトプットの型を作成しましょう。

2.各項目を埋める

サービスブループリントのフォーマットが作成できたら、あとは各項目を埋めていきながらアウトプットを完成させていきます。ここでは4つのステップに分けて作り方を解説します。

2-1. タッチポイントとカスタマーアクションを記載する

サービスブループリントの構成要素、上半分

最初に時系列でカスタマーアクションを書き出していきます。既にカスタマージャーニーマップを作成している場合はそれを元にして、ユーザーの主な行動を書き出していきます。カスタマージャーニーマップを作成していない場合は、実際にサービス上で想定される動きをシュミレーションしていきながら仮説でアクションを記載していきます。

タッチポイントはカスタマーアクションが行われるサービスとの接点を記載します。Webサービスのようにオンラインで完結するサービスの場合、基本的にそのサービスサイトがタッチポイントになりますので、わざわざタッチポイントを記載する必要はありません。タッチポイントがシーンによって変化する場合は記載しておきましょう。

2-2. フロント・バックステージアクションを記載する

サービスブループリントの構成要素、下半分

書き出したカスタマーアクションに対応するフロント・バックステージアクションがあれば、それぞれ記入していきます。ただし、必ずしも全てのカスタマーアクションに対してフロント・バックステージアクションが発生するわけではありません。必要が無ければ何も記入しなくて問題無いのです。

また、ここではリソースや体制等の条件を踏まえて記述していく部分になりますので、必要に応じて各ステークホルダーの判断を仰ぐ必要があります。ですので、一旦仮説でアクションを可視化しつつ、それが実現可能かどうかステークホルダー間で擦り合わせながら作業を進めることが必須です。

2-3.フロント・バックステージアクションを実現するために必要なリソースや体制を可視化する

フロント・バックステージアクションが可視化できたら、今度はそれらのアクションを実現するために必要なリソースや体制をまとめていきます。必要なリソースや体制を可視化できたら、ステークホルダー間の打ち合わせで、実現可能かどうかを丁寧に擦り合わせていきましょう。

2-4.各ステークホルダーのタスクを整理する

可視化したフロント・バックステージアクションを実現するためには、各ステークホルダーにリソースの確保や体制構築に向けて動いてもらわないといけません。サービスブループリントで可視化した動きが実現できるように、必要なタスクをできる限り整理します。加えて、適宜進捗を確認しておくとプロジェクト全体の成功率を向上させることができます。

まとめ

今回は、サービスブループリントの作成する目的に応じたアウトプット形式の決め方やアウトプットの作成方法を説明していきました。

サービスブループリントをプロジェクトの初期フェーズから作成することで、ステークホルダー間の目線合わせも早い段階で行うことができます。結果的に不確実性の高いプロジェクトでもより実現可能性の観点を高めながらサービスの設計や運用方針の検討を行うことが可能になります。

この手法がうまく活きそうな場面が出てきた際にはぜひ活用してください!

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大学と42Tokyoでコーディングを学ぶ中で、UX/UIに興味を持つ。AIの台頭によって、単純な技術力以外の価値が高まったと感じ、ユーザーに寄り添うことを学ぶためにセブンデックスにインターンとして入社。国際基督教大学情報科学専攻在籍。