近年、VUCAと言われる時代を切り抜ける一つの手法として「ブランディング」といった言葉が注目され、ブランディングに力を入れ始めた企業も少しずつ増えてきました。
本記事は、SNSを企業のブランディングに活用したいと考えていたり、認知拡大をしていきたいと考えるマーケティング担当者に向けた、SNSブランディングについての有益な記事となっています。
目次
SNSブランディングとは?
SNSブランディングとは、SNS上でブランドイメージを構築することで、ターゲット顧客との繋がりを強化するデジタルマーケティング戦略です。そして、情報が溢れる時代において、消費者は視覚に無数のブランドが飛び込んでくるようになりました。その結果、差別化のためのブランド力の影響力が強まり、SNSブランディングの必要性はますます高まっています。
本記事では、SNSブランディングとは何なのか?という基本的な知識から、具体的な手法、そしてSNSブランディングを成功させるポイントまで解説していきます。
なぜ今の時代SNSブランディングに力を入れるべきなのか?
SNSブランディングが注目される背景
第四次産業革命に入り、消費行動のデジタル化が進んだことで、消費者が主体的に情報をキャッチ出来るようになりました。つまり、情報過多や商品のコモディティ化などによって、企業はサービスの品質や性能だけでなく、消費者の個性や信念を反映するブランド作りをしていく必要に迫られました。そんな中、消費者と企業を繋ぐSNSブランディングが注目され始めました。
注目される2つの理由
モノ消費からエモ消費へ
消費の歴史
エモ消費とは、単にサービスの機能性や価格だけではなく、感情的なつながりやストーリー、ブランドの価値観に基づいて購入決定を行う消費行動を指します。
情報過多や選択肢が多様化していった背景から、消費者は商品を購入するにおいて、物質的な欲求を満たすだけではなく、心理的な欲求を満たす志向に変化していきました。そのためサービスの高い品質に加えて、消費者の体験や感情的満足を満たし、ブランドとの深い関係を築くことが購買において重要な要素となりました。
購買プロセスの変化
デジタル化によって、消費者と企業の接点が多様化しました。そして、消費者は様々な媒体から、回遊するように情報をキャッチアップし、莫大な情報の中で購買を決める様になりました。その結果、消費者と様々な接点を通してコミュニケーションを取る中で、すべてのタッチポイントで一貫したブランド体験を提供し、消費者の心に残りやすいような設計をしていくことが差別化として重要になりました。
SNSブランディングのメリット
SNSブランディングによって、自社の強みや魅力を効果的に伝えることが可能になります。具体的には、以下のメリットがあります。
ブランド認知度やLTVの向上
SNSを活用して情報発信をすることで、企業の認知度を高めることが可能です。SNS上で消費者と双方向のコミュニケーションが取ることでロイヤルカスタマーの創出に繋げることが可能です。
※LTV:消費者が企業と取引を始めてから、関係が終了するまでにトータルで得られる利益。
顧客満足度の向上
ブランドと消費者で直接的なコミュニケーションが可能になるため、パーソナライズされた体験を提供できます。それによって、消費者と信頼関係が構築でき、顧客満足度が大幅に向上します。
UGCの創出
ブランドの理念やストーリーの発信によって、消費者からの共感が得られやすくなります。共感を得られることがUGC創出に繋がり、商品の購買行動に大きな影響を与えることができます。
※UGC(User Generated Content):消費者が主体的にサービスに関するコンテンツを投稿すること。
SNSブランディングの手法
1. 市場調査
自社が置かれている状況や市場の動向などの環境を分析しましょう。自社の環境分析の際には3C分析、PEST分析、SWOT分析などが有効です。
2. ブランドコンセプトの開発
ブランディングを行う上での方向性やコンセプトを明確にしましょう。誰にどんな価値を提供するのかをキャッチコピーなどの一言で表現することがポイントです。
3. ビジュアルアイデンティティの策定
一言で言語化されたブランドコンセプトをもとに、ロゴ、カラースキーム、フォント、イメージスタイル、グラフィック要素を選定し、それらをビジュアルアイデンティティに落とし込みます。これによって、ブランドの視覚的な一貫性を確立できます。
4. クリエイティブ制作
策定したビジュアルアイデンティティをもとに、アイコンやフォント、サムネイルなどブランド周辺の制作物のグラフィックデザインを行います。
具体的なブランディングの策定プロセスに関しては、こちらの記事で解説しているので、興味のある方はぜひ参考にしていただければと思います。
SNSブランディングを成功させるポイント
ペルソナ設定
市場調査や自社サービスの強みなどを洗い出した上で、誰にどんな価値を提供したいのかを明確にしましょう。ブランドの伝えたいメッセージを抽出し、コンセプトが明確になることで、サービスの価値が消費者に伝えられやすくなります。
メッセージの一貫性
多様なチャネルがある中でも、ブランドイメージや価値観を反映させる必要があります。消費者がブランドの個性や魅力を認識しやすいように、一貫性のあるメッセージを発信しましょう。メッセージの一貫性があることで、回遊するように情報をキャッチアップする消費者にもブランド認知が蓄積しやすくなります。
SNSの選定
ターゲットのニーズや価値観を把握し、適切なSNSを選定しましょう。ビジュアルを通して、ブランドイメージを構築したい場合はInstagram、拡散力や消費者とのコミュニケーションを重視したのであればX(旧:Twitter)を活用するといいでしょう。各SNSの特性や特徴に合わせて効果的な戦略を立てることが重要です。
トンマナの統一
全てのSNSでアイコン、フォント、プロフィール、コンセプトなどトンマナを合わせ、ブランドイメージを統一するように設計しましょう。
※トンマナ:デザインやブランドの「調子」や「雰囲気」を表す概念で、色彩や形状、フォントなどの視覚的要素を通じて、特定のイメージやメッセージを伝える方法です。
トンマナ策定プロセスの具体的な手法は以下の記事からご覧になれます。
SNSブランディングの成功事例
事例1.DeNA Design
DeNA Designは、エンターテイメントからヘルスケアまで、多岐にわたる分野で事業を展開するDeNAのデザイン本部です。
DeNAのSNSでは「Delight」というキーメッセージを掲げ、Delightを届けるといったミッションを体現しています。全てのSNSでアイコンのデザインやフォントなどのトンマナを合わせていることに加えて、DeNAデザイン本部のこれまでの歩みや価値観を記事として掲載しているなど、消費者と心理的な繋がりを大切にして運用されています。
フォロワーに対してのいいね数も多く、エンゲージメント高く運用されているといえます。
事例2.無印良品
無印良品は、品質と環境に配慮した商品を幅広く展開する日本のリーディングリテール企業です。
無印良品のSNSでは、シンプルでクリーンなデザインを投稿にも反映させ、一貫したブランドイメージが保持されています。DeNA Design同様、全てのトンマナを合わせることに加えて、製品の背景やブランドストーリーを共有し、ブランドへの深い理解と関連性を促進しています。
事例3.Blue Bottle Coffee
ブルーボトルコーヒーは、カリフォルニア州オークランド初のコーヒーショップです。モダンで洗練された店舗空間と持続可能な運営方針によって、コーヒーを文化的な体験へと昇華させています。
SNS上で、ハッシュタグキャンペーンなどを通して消費者を巻き込んだり、トンマナの合わせられた写真やグラフィックデザインを通してロイヤルカスタマーを獲得しています。
また縦動画では、まるでBlue Bottle Coffeeにいるかの様な顧客体験ができる様に設計されており、視覚的な魅力を通じてブランドの物語を語っています。
SNSを活用したブランディング事例についてお悩みの方は、SNSコンサルティングサービスを行う株式会社フルスピードへご相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、SNSブランディングについて解説をしてきました。
SNSブランディグとは、VUCAの時代において勝ち抜き、持続可能な経営につながる非常に重要な施策です。今後デジタル化がより進み、企業と消費者のリレーションシップがますます重要性がます中、ブランディングのためにSNSを活用していくことは必至になります。
本記事で取り上げた内容をきっかけに、企業のブランディングを推進すべくSNSを活用してみてください。