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リブランディングとは?成功事例10選から学ぶブランドイメージ刷新の戦略と効果

市場や顧客の価値観が変化し続ける今、企業のブランド戦略も見直しが求められています。「リブランディング」とは、ロゴやデザインを変えるだけでなく、ブランドの目的やビジョンを再定義し、企業の価値を再構築するプロセスです。
かつての成功体験にとらわれず、時代に合わせてブランドイメージを刷新することで、新しい顧客との関係を築くことができます。
この記事では、国内企業の成功事例を通じて、ブランドがどのように課題を乗り越え、成長へと繋げたのかを解説します。自社のリブランディングを検討する際の具体的なヒントを、ここから掴んでください。

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リブランディングとは?

ブランドを取り巻く環境は日々変化しています。顧客の価値観や市場のトレンドが移り変わるなかで、企業は常に自社の「らしさ」を問い直す必要があります。では、そうした変化に対応しながらブランドを進化させるリブランディングとは、一体どのような取り組みなのでしょうか。ここからは、その意味とブランディングとの違いを整理していきます。

リブランディングの意味

リブランディングとは、既に確立されたブランドを市場や顧客の変化に合わせて再構築する取り組みのことです。単なるデザイン変更やキャンペーンではなく、企業の理念・価値・ビジョンを再定義し、ブランドの方向性を更新する戦略的プロセスを指します。企業が長く事業を続ける中で、ブランドイメージと社会の価値観に“ズレ”が生まれることがあります。そのズレを見直し、ブランドの本質を残しながら時代に合った形へと再設計するのがリブランディングです。

また、リニューアルが“部分的な刷新”を意味するのに対し、リブランディングはブランド全体の再定義と価値再構築を目的とします。
つまり過去を否定するのではなく、自社の強みや存在意義を改めて捉え直し、新しい成長のためにブランドを進化させる行為なのです。

ブランディングとの違い

ブランディングとリブランディングは、目的とアプローチが異なります。ブランディングは、新しいブランドを立ち上げ、価値や認知を築いていく活動です。企業がまだブランドの軸を持たない段階で、「何者であるか」を定義するプロセスといえます。

一方、リブランディングは既存のブランドを、時代や市場、顧客の変化に合わせて再定義すること。
ブランドの強みを活かしつつ、ミッション・ビジョン・バリューを見直し、新しい戦略や表現へと再構築していきます。つまり、ブランディングがブランドをつくる段階なら、リブランディングはブランドを進化させる段階です。
変化に応じて柔軟に再設計できるかどうかが、企業の成長を左右します。

リブランディングを理解するうえで、既存の「ブランディング」の考え方を知っておくことも大切です。
業界ごとの成功事例をまとめた「ブランディング事例集」では、企業がどのようにブランド価値を築いてきたのかを詳しく紹介しています。

リブランディングの種類とアプローチ方法

ブランドの課題や目的によって、リブランディングの進め方は大きく変わります。
単にロゴを変えるだけの取り組みもあれば、理念や戦略レベルから見直すケースもあります。
ここでは、国内企業の成功事例にも多く見られる4つの代表的なアプローチを紹介します。

アイデンティティ変更型

ブランドの印象を一新し、顧客との接点で新鮮さや親しみを再構築する手法。
ビジュアルデザインやロゴ、ネーミングを変更することで、時代感やブランドの方向性を示します。
例:老舗食品メーカーが若年層向けにパッケージを刷新するケースなど。

ブランド戦略再構築型

企業の存在意義や価値観、戦略を再定義するアプローチ
市場の変化や顧客層の拡大に合わせ、ブランドの軸を再整理します。
例:ミッション・ビジョン・バリューを見直し、社内外に浸透させるケース。

ブランド体系再設計型

複数の事業やサービスを持つ企業が、ブランドポートフォリオ全体を再構築する手法。
グループブランド・製品ブランドなどの関係を整理し、全体像の統一感を高めます。

コミュニケーション刷新型

広告やSNS、Webサイトなどのブランド発信のトーンや体験を見直すアプローチ。
顧客接点ごとに一貫したメッセージを届け、ブランドの世界観を体験として浸透させます。

これらのアプローチを選ぶ際には、ブランドの目的と戦略の一貫性を見極めることが重要です。ブランドの再構築を成功させるための考え方については「リブランディングの事例から読み解く、成功させるための進め方とは?」も参考になります。

国内企業のリブランディング成功事例10選

ここでは、理念の再定義からデザイン刷新、コミュニケーション戦略の見直しまで、国内企業が実践したリブランディングの成功事例を紹介します。

東邦ガス

東邦ガスグループは、創業100年を超える歴史の中で、エネルギー供給を超えた「暮らしのパートナー」への変革を目指していました。
しかし、事業の多角化が進む中で、“東邦ガスらしさ”や“自分たちの使命”を明確に語れないという課題が浮き彫りになっていました。

SEVENDEXは、ブランド戦略立案から社内浸透まで一貫支援。
社員参加型のワークショップを通じてブランドアイデンティティを共創し、「変革の火を絶やさない」という新たなビジョンを策定しました。
そのメッセージをもとに、ブランドムービー・冊子・Webサイトを制作し、6,000名を超える社員の共感を生むブランド体験を設計。

結果として、社内の意識変革と外部認知の両面で成果を上げ、ブランド価値の再定義を実現しました。

詳細は ”東邦ガス コーポレートリブランディング事例” をご覧ください。

カネボウ化粧品

カネボウは、既存ブランドの老舗イメージを刷新し、“希望を生み出す美しさ”を表現する新ブランドへ転換しました。スローガン「I HOPE.」のもと、化粧を通じて人の感情や生き方に寄り添うコンセプトを打ち出し、社会的メッセージ性を高めました。パッケージ・広告・店舗デザインなどを統一し、ブランド体験を再構築。感性に訴える発信が共感を呼び、国内外でブランド認知と売上の両面で成果を上げました。

オルビス

オルビスは、長年のスキンケアブランドとしての認知を維持しながら、Z世代・ミレニアル層を取り込むためのリブランディングを実施。「ここちを美しく。」という新コンセプトのもと、ブランドデザインやWebサイトを刷新。環境配慮・サステナブル素材などエシカルな価値観を重視した取り組みで共感を獲得しました。結果として、従来顧客との信頼を保ちつつ、新規顧客層への接点を拡大しました。

ヤンマー

ヤンマーは、創業100周年を機に「A SUSTAINABLE FUTURE」という新ビジョンを掲げました。これまでの“機械メーカー”という枠を超え、社会課題の解決に挑む企業姿勢を明確化。ロゴやデザインシステムを刷新し、国内外でブランドメッセージの一貫性を強化しました。結果、サステナブル経営の象徴的存在として、国内外から高い評価を受けています。

湖池屋

スナック業界の老舗・湖池屋は、ブランドの若返りを目的に大胆なデザイン刷新を実施。ロゴの簡略化とパッケージの再設計により、現代的で洗練された印象を確立しました。「ユーモア×上質」をテーマに、新たな価値観を発信しながら老舗の信頼感を維持。結果として若年層の支持が拡大し、SNSでの自然拡散も増加しました。

ポカリスエット

大塚製薬のポカリスエットは、30年以上にわたり「青春」「爽やかさ」を軸にした一貫したブランド発信を継続。映像・音楽・キャスティングを通じて“体験としてのブランド”を作り上げました。最近ではSNS・映像演出を進化させ、Z世代にも共感を広げています。長期的ブランディングの成功例として、ブランドの持続性を象徴する存在です。

ショウワノート

ショウワノートは、長年親しまれてきた学習帳ブランド「ジャポニカ」を軸に、教育をテーマとしたブランド再構築を実施。デザインリニューアルに加え、学びを支援する新製品シリーズを展開。ブランドの社会的意義を再定義し、学校や家庭の信頼をより強固にしました。中小企業による“持続的リブランディング”の成功モデルとして注目されています。

かっぱ寿司

一時の経営トラブルからの再生を目指し、企業理念とブランドトーンを刷新。「まじめな、おいしさ。」を掲げ、品質・安全性・誠実さを軸にしたブランド再構築を行いました。店舗デザイン・広告コピー・メニュー表現を統一し、信頼の回復に成功。外食業界におけるリブランディングの王道事例として高い評価を受けています。

ユニクロ

ユニクロは、「服を変え、常識を変え、世界を変える」という理念のもと、ブランド哲学を再定義しました。単なるアパレル企業ではなく、“生活の質を高める存在”としてのポジショニングを確立。店舗・広告・Web・商品の全てで“LifeWear”という一貫した世界観を表現。グローバルブランドとしての地位を確固たるものにしました。

スターバックスジャパン

スターバックスは、「第三の場所」というコンセプトを軸に、店舗体験と顧客体験の再設計を進めました。空間デザイン・接客・キャンペーンを含めて“ブランド体験そのもの”を提供。一貫した世界観と顧客共感により、単なるカフェを超えたコミュニティブランドとして確立。ブランドの理念と体験を融合させたリブランディングの理想形です。

リブランディングの進め方(5ステップ)

リブランディングは、感覚的な発想ではなく、明確な戦略とプロセスに基づいて進めることが重要です。
ここでは、実際のプロジェクトでも活用されている5つの基本ステップを紹介します。

1. 現状のブランドを分析・診断する

まずは、自社ブランドの「現在地」を正確に把握することから始めます。顧客や市場の評価、競合との比較、社内認識のギャップを調査・分析し、課題を明確化します。この段階で得たデータが、後の戦略構築の精度を左右します。

2. ブランドの軸(理念・価値)を再定義する

分析結果をもとに、企業が本来届けたい価値や目的を再定義します。ブランドの存在意義を見直し、「何を・誰に・どのように伝えるのか」を明確化する工程です。ここで理念やビジョンを言語化し直すことで、全社的な共通認識が生まれます。

3. 戦略と体験デザインを設計する

再定義した理念をもとに、ブランド体験をどう設計するかを検討します。ロゴ・ビジュアル・トーン&マナー・Webサイト・店舗体験など、顧客接点ごとの表現を統一。戦略(ブランド戦略)× デザイン(体験設計)を連動させることで、一貫したブランド価値が生まれます。

4. 社内浸透(インナーブランディング)を進める

リブランディングを成功させるには、社員一人ひとりの共感と行動変化が欠かせません。理念やブランドメッセージを社内に浸透させることで、発信のトーンが統一されます。具体的には、研修・ワークショップ・社内ツールの整備などが有効です。

ブランド浸透を進めるには、理念の共有だけでなく社員が主体的にブランドを体現できる仕組みづくりが欠かせません。
実際のインナーブランディング施策については、「インナーブランディングとは?」を参考にすると、具体的な手法や成功のポイントがより明確になります。

5. 効果測定と改善を継続する

ブランドの再構築は一度で完結しません。施策実行後も、顧客の反応や認知データ、社内アンケートを通じて継続的に効果検証を行います。結果を踏まえて戦略やデザインを柔軟に改善し、ブランド価値を中長期的に育てていくことが重要です。

リブランディングを成功に導くためのポイント3つ

1. ブランドの「核」を一貫して保つ

リブランディングでは、新しい方向性を打ち出す一方で、企業の根幹となる価値や理念をぶらさないことが重要です。変化の中でも「自社らしさ」を保つことで、顧客やステークホルダーの信頼を維持できます。たとえデザインやメッセージを刷新しても、その背景にある想いが一貫していれば、ブランドは強く根づきます。

2. 社内外の「共感」を設計する

どんなに優れた戦略を描いても、社員と顧客の共感がなければブランドは動かない。社内では理念の共有や体験を通じた浸透を、社外ではストーリー性のある発信を意識しましょう。ブランドを“共に育てる”姿勢が、長期的な支持を生む基盤となります。共感が広がるほど、ブランドの世界観は自然と社会に浸透していきます。

3. 専門パートナーと伴走し、戦略を“実行”に落とし込む

リブランディングを成功させるには、戦略を現場で実行し、継続的に運用する仕組みが欠かせません。そのためには、理念と戦略を実行へと結びつける専門パートナーの支援が効果的です。社内だけでは見えない課題を客観的に整理し、ブランドを共に育てていく伴走体制を整えることが、成果への近道です。

おわりに

ここまで、リブランディングの進め方や成功事例を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
自社のブランドを見直す際のヒントとして、少しでも参考になれば幸いです。

SEVENDEXでは、ブランド戦略の立案からデザイン、社内浸透、発信までを一気通貫で支援し、企業価値の向上と事業成長を実現するリブランディングを行っています。
理念や目的の整理からでも構いません。些細なご相談でも大歓迎ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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