会社やブランドの顔となるロゴマーク。ロゴのデザインは長い期間使われることから、デザイナーの中でもかなりやりがいのある仕事です。
しかし、ロゴの完成物は世にたくさんあれど、それを実際どのようなフローで制作しているのかについて語られたものはあまり多くなかったりします。
そこで、この記事では実際に我が社のデザイナーたちがどのような作り方でロゴを制作しているのかをご紹介します。実務でロゴデザインを行う時に役に立つよう、ぎゅぎゅっと重要な要素を濃縮してまとめました。
デザイナーの感覚的センスだけではなく、論理的にどのようなゴールを見据えて作っていくのかについても説明をしているので、グラフィックデザインを専門にしている方以外にも使いやすい内容となっています。ロゴデザインに困っている方の助けになれば、幸いです。
目次
ロゴデザインとは
まず初めに、ロゴデザインとはサービスや会社の象徴となるロゴマークをデザインすることです。サービスや会社を立ち上げるときにはほとんどの場合ロゴマークを必要とするため、事業の立ち上げにおいてキーとなる部分です。
ロゴデザインを細かく見ていくと、ロゴマークが一般的にロゴと言われている部分です。ロゴマークはその中でも、イラストなどでイメージを表すシンボルマークと、サービス名や会社名を文字で表すロゴタイプの二種類に分けることができます。
特に、シンボルマークは小さな面積でも置くことができるので、シンボルマークに強い想いをこめる会社が多くあります。ロゴタイプは会社名を訴求するためにシンボルマークの世界観に合わせて制作されることが多いです。
ロゴデザインを作るときは、シンボルマークとロゴタイプのサイズ比や距離などもきちんと定め、誰がどんな場面で使っても会社としての印象が崩れないように留意します。
今回はシンボルマークの方に注目し、制作手順や参考になるサイト・記事・デザイナーなど実践的なロゴデザインの手法についてご紹介していきたいと思います。
現役デザイナーが実践するロゴデザインの作り方
ロゴデザインの制作手順は、およそ5ステップに分かれています。
- サービスや会社が抱える“想い”を言語化する
- テイストの方向性を決める
- アイデアを発散する
- アイデアを収束させる
- 微調整する
これら5ステップの詳細を、これから説明していきます。
サービスや会社が抱える“想い”を言語化する
ロゴデザインを制作する上で、最も大切なステップがここです。
サービスや会社には、それぞれ立ち上げた者や存続させている者の強い思いがあります。しかし、それを常に意識している会社は多くありません。そこで、エグゼクティブ(経営幹部や上級管理職)の方にインタビューをとり、サービスや会社が抱えている“想い”を言語化していくことが重要になります。
エグゼクティブインタビューを通して言語化していきたいことは、主に2つに分かれます。
それは、「M.I(マインド・アイデンティティ)=会社として持つべきマインド」と「B.I(ビヘイビア・アイデンティティ)=会社としてとるべき行動」です。
これらはロゴデザインを考える時に役立つだけではなく、「今後会社やサービスとしてどうしていくのか」という問いへの答えにもなります。これらを上層部だけではなく会社全体で共有して意識づけていくことで、方向性のずれない強い会社を作っていくことができます。
M.IやB.Iをインタビューから言語化していく過程は、こちらの記事で詳しく書いているので興味のある方はこちらをご覧ください。
テイストの方向性を決める
エグゼクティブインタビューで聞いた内容から会社として持つべきマインドや取るべき行動を言語化したら、次はロゴの方向性をざっくりと決めていきます。
たとえば、とある企業のロゴを制作した際は
- 企業のサービスを使用したときに生まれるワクワク感を抽象的に表現したシンプルなロゴ
- 企業のサービスの核となるモチーフを使用したロゴ
- 企業名の頭文字をモチーフにしたロゴ
という風に、いくつかの方向性を決めていきました。
このように、自分の中でどのような方向性で作るのかを言語化してから作り始めることで、似たようなものを大量に作ってしまうことを防ぐことができます。
また、このように言語化することで、実際のロゴを作り始める前に先方と文面で方向性を確認することも可能です。たとえば、このときは最初「リッチで高級感のあるロゴ」という方向性もあったのですが、先方と文面を元に擦り合わせた際に「それはちょっと求めてる感じじゃないよね」という意見をいただくことができ、無駄な作業量を削減することができました。
アイデアを発散する
いよいよ実際のロゴの形や色を考えていきます。先ほど決めた方向性から、それぞれ多種多様な案を出していきます。案を出した後は先方に確認していただくのですが、ここで大切なのは先方にとってどれも違う案に見えるようひとつひとつの案のジャンプ率を高めていくことです。
たとえば、「企業の頭文字をモチーフにしたロゴ」という方向性で微妙に色や形が違うけどざっくりとした形は同じ案を3つ出したとします。デザイナーから見たら「違うデザインじゃないか!」と思うかもしれませんが、非デザイナーからしたらほぼ同じ形なので印象としては変わらないものになってしまいます。
そのような状態を避けるためにも、形をできるだけ変えつつ多くの案を出してアイデア発散を行うことが大切です。
アイデアを収束させる
多種多様に作った案の中から先方と擦り合わせつついくつかに絞られてきたら、次はアイデアを収束させていきます。先ほどはできるだけ違う形や色にすることで微妙な差を出さないようにしましたが、今度は同じ雰囲気の中でさまざまな案を出していきます。
色を変えたり、グラデーションにしてみたり、地と図を反転させてみたり、角度を変えてみたり…
さまざまなアプローチで数多くの案を出していき、最もその会社やサービスらしいシンボルを探っていきます。
微調整する
「これで行こう!」というひとつの案に絞られたら、最後は膨大な微修正を行なっていきます。ここまでくるともう感覚的な話になってきてしまいますが、線の太さや角度、絶妙な色の調整など、最もしっくりくるものを微調整しながら探していきます。
デザイナーとしてのセンスを最も問われるのは、ここのフェーズといっても過言ではないかもしれません。しかし、この過程なしに完成度の高いロゴは完成しないとも言えます。
大量の微調整と先方とのすり合わせの結果、ひとつのロゴができたらこれで一旦ロゴデザインの作業は終わりです。お疲れ様でした!
ロゴデザイン制作の参考になるサイト・記事
ロゴデザインを作るには、論理的に会社の想いを言語化していく能力と感覚的に完成度の高いビジュアルを作っていく能力のふたつが必要になります。
その中でも、感覚的なものを養うには多くの事例を見ることが何よりも大切です。そこで、数多くのロゴデザインを見る上で参考になるサイトや本を紹介します。
dribbble
dribbbleはアメリカの企業が運営しているSNSで、世界中のデザイナーたちが作品を投稿しています。
dribbbleの最も特徴的な点は既存ユーザーから招待されないとユーザーになれないところです。dribbbleはユーザーしか作品を投稿できないので、自ずとレベルの高い作品だけが投稿されるような仕組みになっています。
ユーザーでなくても作品の検索は行えるため、質の高い作品だけをざっとみたいというときには非常に便利です。
ロゴデザインの見本帳
ロゴデザインの見本帳は、その名の通り国内外の企業や団体などのロゴデザイン700点以上の実例をまとめた見本帳になります。
ひとつひとつのロゴに詳細な説明はありませんが、実際の企業や団体で使われているロゴデザインを一気に見ることができます。また、日本企業が多く掲載されているため日本語を使ったロゴデザインの参考として非常に重宝します。
まとめ
ロゴデザインは、消費者と企業の重要なタッチポイントです。
企業やサービスの想いをカタチにすることは難しいことも多くありますが、より良いタッチポイント制作のためにこの記事がお役に立てば幸いです。
ロゴデザインよりさらに大きな概念であるブランディングなどにも興味がある方は、こちらもオススメです。
また、ロゴ制作をAIの力を使って行ってみたい方は以下の記事もおすすめです。
ロゴ制作ができる生成AIツール!デザインの提案や便利な編集機能も|SOKUDAN Magazine
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