本記事では、「ブランディング」と「UXUIデザイン」の2つの事業を展開している当社の視点で、「ブランディング」と「UX」の関連性ついてお伝えします。
UXタイムライン・タイムスパンという概念を用いて、それぞれがどのように関連しているか理解することで、「ブランディング」と「UX」に対する解像度を高めていきます。
目次
ブランドとは、「ユーザー心の中にあるプロダクトやサービスの印象」
まず初めに、「ブランド」と「ブランディング」という言葉の定義について触れていきます。
ブランドとは何か。それは、「ユーザーの心の中にあるプロダクトやサービスの印象」のことを言います。
誰かから説明を受けなくても、「高級外車=ベンツ」「おしゃれなカフェ=スタバ」と瞬時に変換できる理由は、その製品のイメージが、消費者の心の中に定着している状態であるためです。
単なるモノやサービスという領域を超えて、ユーザーが感情移入した状態が「ブランドが形成されている状態」となります(ブランドには、感情移入したファンが存在します)。
ブランディングとは、ブランドを構築するための“戦略”
それでは、ブランディングとは何か。ブランディングとは、上記の「ブランド」を形成するための戦略のことを言います。
「ブランディングとは?」と聞くと、ロゴ制作?SNS運用?サイトリニューアル?など、様々な答えが返ってきますが、実はその全てがブランディングの手法。ユーザーに対して、プロダクトやサービスのイメージを印象付けるための手法は、すべてブランディングに分類されます。
一貫したブランド価値を提供するためには、まず初めに「誰に」「何を」「どうやって」伝えていくかを明確にし、それらを表現し続けていくプロセスが必要になります。
ブランドを社会に対して浸透させていく努力を継続させていくことで、徐々にブランドが形成されていきます。
「UXタイムライン」と「UXタイムスパン」とは?
次に、「UXタイムライン」と「UXタイムスパン」についてご説明します。
どちらも、UXに時間軸の概念を加えた考え方で、これらを理解することで、UXという概念い対してより立体的に捉えることができます。
「UXタイムライン」とは?
UXタイムラインとは、サンフランシスコのデザイン会社btraxが提唱している考え方で、
プロダクトUXを形成するのは、プロダクトを使用している時の体験だけではなく、使用前・使用中・使用後の一連の体験により形成されていると言う考え方です。
良いUXを形成するには、プロダクト使用時の体験を考えるデザイナーだけでなく、
- マーケター
- セールス
- プロダクトマネージャー
- カスタマーサポート
など、ユーザーとプロダクトとの接点に関わる全ての職種が協力してUXを形成する必要がある、と言う話です。
「UXタイムスパン」とは?
上記と少し似た考え方に「UXタイムスパン」という考え方があります。
UXを「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間全体」という4つの期間で捉え、「利用前」「利用中」「利用後」の期間で形成されたUXが累積して、「利用時間全体」のUXを作り出すという考え方です。
タイムスパン上で、一貫して同じ体験を提供することが大事
UXタイムスパンにおいて、この「予期的UX」「一時的UX」「エピソード的UX」で提供される体験が一貫していることが大切であり、一貫していることで「累積的UX」が高まり、その結果としてユーザーの心の中のイメージ(=ブランド)を形成します。
例として、高級焼肉店の「叙々苑」について見てみましょう。
叙々苑に行ったことがなくても、利用前の「予期的UX」にて「美味しいお肉が食べられそう」と言う印象を持っている方は多いのではないでしょうか。
実際に叙々苑に行ってみても、利用中の「一時的UX」にてイメージ通りの体験をすることができ(美味しいお肉を食べられる)、利用後も「(予想通り)美味しかった」と一貫した体験を提供することができています。
こうして、「累積的UX」として、「叙々苑=美味しいお肉が食べられる高級焼肉店」という印象が形成され、その印象が他の誰かに伝わり、その方の「予期的UX」に繋がっていきます。
逆に、「実際に行ってみたら美味しくなかった」など「予期的UX」と「一時的UX」が一致していない場合は、「累積的UX」が悪くなるため良い印象を形成できず、ブランド構築には繋げることは難しくなってきます。
【まとめ】「ブランディング」と「UX」は繋がっている
今回は、「ブランディング」と「UX」2つの関連性にフォーカスしていきましたが、この2つは密接に関係しています。
ブランド(ユーザーの心の中のイメージ)を形成するためには、「誰に」「どんな価値を」「どうやって」届けていくかという戦略設計プロセスが必要です。
そして、定義した提供価値を届けるために、UXタイムライン・タイムスパンの考え方に基づき、プロダクトとして一貫した体験を提供する必要があるのです。
これらの概念を理解することで、「ブランディング」「UX」それぞれに対する解像度を高めていきましょう。