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ユニバーサルデザインとは?意味から実例まで徹底解説

現代社会では、あらゆる人々が日々の生活や仕事の中で、快適かつ安全な環境やサービスを享受できることが求められています。
ユニバーサルデザインは、その実現に向けた設計思想として、初期段階からあらゆる利用者を対象に配慮したアプローチを採用する点が特徴です。

ここでは、ユニバーサルデザインの根本的な考え方や、従来のバリアフリーとは異なる新たな視点、そして実践における具体的なポイントをより詳しく掘り下げます。

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ユニバーサルデザインとは何か?簡単に分かりやすく解説

ユニバーサルデザイン(Universal Design)は、年齢、身体能力、文化背景、技術レベルなど、多様な要因に左右されず、できる限り多くの人々が直感的かつ快適に利用できるように製品、建築、環境、さらにはサービス全体を設計する考え方です。

1980年代にアメリカのロナルド・メイス博士によって提唱され、その後日本をはじめ世界各国で公共施設や製品の設計に取り入れられてきました。

このアプローチは、単に障壁を取り除くだけでなく、最初からすべての利用者を包み込むデザインとして、持続可能かつ包括的な社会実現を目指しています。

ユニバーサルデザインの考え方についてはこちらの記事をご参照ください!

ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインを実現・評価するための指針として、以下の7原則が定められています。これらの原則は、設計の各段階において多様な利用者の視点を取り入れ、使用する際のストレスや不便さを最小限に抑えるための具体的なポイントとなります。

公平性

すべての人が平等に利用できることを目指します。
例えば、公共交通機関や建築物では、入口から内部までが均一にアクセス可能な設計が求められます。
利用者を選ばず、公平に使える設計は社会全体の包摂性を高めます。

自由度

利用者それぞれの状況や好みに合わせた使い方ができる柔軟性を確保します。
利き手の違いや身体のサイズ、さらには利用シーンに応じた多様な操作方法を提供することで、個々のニーズに寄り添うデザインとなります。

単純性

複雑な操作や理解が必要なく、誰でも直感的に利用できる設計を重視します。
シンプルな操作系統や明快な表示は、利用者が無理なく機能を把握し、安心して使用できる環境を作り出します。

明確さ

情報が迅速に伝達されることを重視し、視覚、聴覚、触覚など多様な感覚を通じて分かりやすく表現されることが求められます。
多言語対応やアイコン、サウンドフィードバックなどが、情報の伝達精度を向上させる手法です。

安全性

利用者が操作ミスをしても大きな危険に発展しないように設計されます。
例えば、誤操作時の自動停止機能や、使用時の安定性を高める構造は、日常的なリスクを低減します。

負担の少なさ

利用にあたり、身体的、精神的な負担が最小限に抑えられる設計を目指します。
軽量素材や工夫されたレイアウトは、誰もが無理なく使い続けられるようにします。

空間性

利用者が十分な余裕をもって動けるよう、物理的な空間やレイアウトに配慮します。
特に車椅子利用者や介助が必要な人々に対しては、広い通路や転回スペースの確保が必須となります。これらの原則に基づくデザインは、利用者にとっての「使いやすさ」を最大限に引き出し、製品や環境の安全性、快適性、さらには信頼性を向上させます。

ユニバーサルデザインの7原則について、詳しくは以下の記事をご参照ください!

ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い

ユニバーサルデザインとしばしば比較される「バリアフリー」は、共に多様な利用者を支援する設計思想ですが、そのアプローチには明確な違いがあります。

バリアフリーのアプローチ

バリアフリーは、主に障がい者が直面する具体的な物理的・心理的障壁を「取り除く」ことに重点を置いています。

たとえば、階段のみの建物に対してエレベーターやスロープを後付けする事例が典型です。こうした改修措置は、特定のニーズに対する「事後対応」としての性格が強く、すでに存在する障壁の解消を主眼としています。

ユニバーサルデザインのアプローチ

一方で、ユニバーサルデザインは初期の設計段階から、すべての人々が快適に利用できる環境を構築することを目指します。
このため、設計過程においてあらゆる利用者の視点を取り入れ、障壁そのものを「作らない」工夫が施されています。
つまり、ユニバーサルデザインはあらゆる利用シーンにおいて予め多様性を考慮した「事前対応」を行うため、将来的な改修の必要性が低く、持続可能な環境づくりに寄与するのです。

この違いを理解することで単なる障壁の撤廃に留まらず、より広い視野で全ての利用者が恩恵を受けられる環境の設計に注力できます。

ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いについては以下の記事をご参照ください!

ユニバーサルデザインの意味と重要性

ユニバーサルデザインは、社会全体の包摂性を高めるための不可欠な戦略です。
現代の多様化するニーズに応えるため、企業や自治体はこのアプローチを採用することで、利用者の満足度向上はもちろん、ブランド価値や企業イメージの向上にもつながります。

また、初期段階からの包括的な設計は、後々の改修コストの削減や、予期せぬトラブルの防止にも効果を発揮します。
さらに、グローバルな市場においても、多様な文化や環境に適応できる製品・サービスは競争力を大きく高める要因となっています。

身の回りのユニバーサルデザインの具体例

ユニバーサルデザインの理念は、日常生活のあらゆるシーンで実践されています。
ここでは、街、家庭、そしてモノという視点で、その具体例をより詳細にご紹介します。

街にあるユニバーサルデザイン

都市空間においては、公共交通機関や公共施設におけるバリアフリーはもちろん、最新の技術を活用したスマートシティの取り組みも進んでいます。
たとえば、駅やバス停では、リアルタイムの情報提供システムや、多言語・多感覚に対応した案内板が導入され、利用者が安心して移動できる仕組みが整備されています。

これにより、外国人観光客や高齢者、障がいを持つ方々にもストレスなくアクセスできる環境が実現されています。

家にあるユニバーサルデザイン

家庭内においても、ユニバーサルデザインの考え方は重要な役割を果たします。

バリアフリー設計が施された住宅では、段差のない床、十分な幅を持つドア、手すりやスロープの設置により、子供から高齢者、介護が必要な家族までが安心して生活できる空間が提供されます。
さらに、調理台や洗面台の高さ調整、使いやすい収納スペース、視認性の高い照明など、日常生活のあらゆる場面で細やかな配慮がなされることで、生活の質全体が向上します。

モノのユニバーサルデザイン

製品や道具の設計においても、ユニバーサルデザインの原則が活かされています。
たとえば、スマートフォンや家電製品では、直感的に操作できるユーザーインターフェース、大きく見やすいディスプレイ、簡単なナビゲーションシステムが採用され、世代や技術レベルを問わず使いやすさが追求されています。

また、キッチン用品や家具、文房具などの日用品も、握りやすさ、持ちやすさ、さらにはメンテナンスの容易さなど、利用者の負担を軽減する工夫が盛り込まれており、日常生活の利便性と安全性を高める役割を果たしています。

ビジネスにおける活用例についてはこちらの記事をご参照ください!

webデザインにおけるユニバーサルデザイン

現代のwebデザインでも、ユニバーサルデザインの考え方は基盤となっています。
多様なユーザーが、デバイスや環境に関係なく快適な閲覧体験を得られるよう、以下の点が重視されています。

クセシビリティの確保

アクセシビリティとは、視覚や聴覚、運動に制限がある人も、他の利用者と同じようにサイトを使えるようにすることです。
具体的には、スクリーンリーダーへの対応や、キーボードだけで操作できる工夫、そして画像や動画に対する代替テキストの充実が挙げられます。
こうした取り組みは、ユーザーがストレスなく情報にアクセスできる環境づくりに直結しており、また法的な要件を満たすうえでも重要です。

レスポンシブデザイン

レスポンシブデザインは、どんなデバイスでも見やすく操作しやすいレイアウトを実現する手法です。
画面サイズや解像度に合わせて、レイアウトや画像が自動的に調整されるため、スマートフォン、タブレット、PCといったさまざまな環境で、一貫した使い心地を提供します。
近年では、スマートフォンでの閲覧が主流となっているため、モバイルファーストでの設計が特に重要視されています。

確な情報構造とナビゲーション

利用者が欲しい情報にすぐたどり着けるよう、サイト内の情報の整理やメニューの配置にも工夫が必要です。
見出しやサブタイトル、整理されたレイアウト、視認性の高いフォントや色使いなどが、利用者の混乱を防ぎ、ストレスなく情報にアクセスできる環境を作ります。
こうした工夫は、サイト全体の信頼性やプロフェッショナルな印象にもつながります。

ユニバーサルデザインを用いたフォント

UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)が、デザインの質を高める重要な要素として注目されています。

UDフォントの具体的な役割と特徴

読みやすさと視認性の向上

UDフォントは、文字の形や配置を工夫することで、特に高齢者や視覚に制限がある方にも読みやすくなっています。
実際のテストでも、従来のフォントよりも短い時間で情報が伝わるといった結果が出ており、長時間の閲覧でも目の負担を軽減します。

均一なデザインによる安定感

各文字のデザインが統一されているため、文章全体にまとまりが生まれ、読み手に安心感を与えます。
こうしたデザインは、企業サイトや公共機関のサイトでよく使われ、全体の信頼性を高める効果があります。

さまざまなデバイスへの適応性

スマートフォンやタブレットなど、画面サイズが異なるデバイスでも文字が潰れずに表示されるため、どんな環境でも快適な閲覧が可能です。
これにより、モバイルユーザーを含めたすべての利用者に対して、安定した体験が提供されます。

実際の活用例

アクセシビリティの強化

行政機関や医療機関、ニュースサイトなどでは、視覚に障害のある利用者にも情報が伝わるよう、UDフォントとアクセシビリティ対応の機能が取り入れられています。

ブランド価値の向上

UDフォントの使用により、情報が明確に伝わることで企業の信頼感やプロフェッショナルな印象が強化され、ブランドイメージの向上に寄与します。

レスポンシブなデザインの実現

どんなデバイスでも文字が見やすく、直感的な操作が可能になるため、モバイルファーストのサイトでも高いユーザー満足度を実現しています。

web サイトにおけるユニバーサルデザインについてはこちらの記事をご参照ください!

UI/UX改善におけるユニバーサルデザイン

UI/UXの分野において、ユニバーサルデザインはユーザー体験の質を左右する重要な要素です。
すべてのユーザーが直感的に操作できるデジタル体験を実現するために、以下の点が取り入れられています。

視認性の高いデザイン

フォントサイズ、コントラスト、余白など、視認性を徹底的に考慮したデザインが情報の把握を容易にします。

多様な操作方法への対応

タッチ、音声、ジェスチャーなど、複数のインターフェースに対応することで、技術に不慣れな利用者も快適に操作できます。

ユーザー行動の分析とフィードバックの反映

実際の利用状況やフィードバックを継続的に分析し、改善を重ねることで、より洗練された体験を提供します。

これらの要素により、企業は直帰率の低下、コンバージョン率の向上、そしてブランドイメージの強化を実現することが可能となります。

UXUI改善についてはこちらの記事をご参照ください!

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