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クリティカルシンキングとは?|ビジネスに活用できる具体的な方法を紹介

皆さんはクリティカルシンキングという思考法をご存じですか?

クリティカルシンキングを身につけると、いつ、どんな状況においても最適解を導ける様になり、思考深度が位置段階深まります。

今回はそんなビジネスに役立つクリティカルシンキングを、具体的な活用方法とともにご紹介します。

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングとは、肯定的な批判精神を持ち、客観的に物事を思考する方法です。一言でいうと、「常に客観的な視点を持つ」ということです。

「Critical」の本来の意味は「批判的な」という意味であり、クリティカルシンキングを直訳すると「批判的思考」となります。

これだけ聞くと、マイナスなイメージを持つ人も多いかもしれませんが、この場合「Critical」は「なぜ?」「本当に?」といった疑問を持つことを指しています。

私たちは自分の経験や主観から、頭の中に様々な前提を作ってしまうため、自分で物事を考えるとき、その前提に従って考えてしまうのです。

クリティカルシンキングでは、その前提に対し「なぜ?」「本当に?」を繰り返していくことで、主観や感情に流されず、客観的に物事をとらえることができます。

ロジカルシンキングとの違いは?

ビジネスでは、ロジカルシンキングも重要だと言われています。ロジカルシンキングとは、「物事を合理的に筋道立てて考えること」です。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングをそれぞれ一言でまとめると、

  • ロジカルシンキングは「論理的に整理する」こと
  • クリティカルシンキングは「客観的に検証する」こと

このように、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングでは、思考している段階が異なるのです。

ロジカルシンキングでは、課題をいくつかの要因に分解し、論理的に整理します。

クリティカルシンキングでは、整理された情報をもとに最適な案を決め、なぜそれが最適なのか客観的に検証していきます。その際に根拠となる仮説を立て、その仮説を検証していきます。

ロジカルシンキングのみで意見を導き出しても、そこに隠れた前提があったり、偏った認識の上に整理されていれば元も子もありません。ロジカルシンキングで情報を分解・整理し、クリティカルシンキングで客観的に検証してこそ、最適な案が導き出せるのです。

なぜビジネスにクリティカルシンキングが必要なのか

変化の多い現代を勝ち抜くために

クリティカルシンキングが注目されている背景として、時代の変化が急速になってきていることが挙げられます。

デジタル化が進み、日々変化の激しい現代では、昨日まで“当たり前”だったことが通用しなくなってきています。

ビジネスにおいても、“当たり前”を疑い、変化させていくことが必要とされているのです。

デジタル化によって、人々の生活は大きく変化しました。しかし、人々の根底にある欲求は変わりません。クリティカルシンキングによって、根底にある本質的な欲求を見抜き、時代に即した形に変化させていくことが、新しいビジネスにつながるのです。

クリティカルシンキングと課題解決

また、ビジネスにおいてクリティカルシンキングが重要視されているのは、本質的な課題解決を行うことができるからです。

ビジネスでは様々な要素が複雑に絡み合い、多くの前提条件が存在します。その中で、「なぜ?」「本当に?」と問い続けることで、今まで気が付かなかった課題に気が付くことができるのです。

クリティカルシンキングを疎かにすると誤った解決策に…

ここで、クリティカルシンキングを行うと、本当に本質的な課題が解決できるのか、具体例を挙げながら説明します。

山田さんはある居酒屋の店長を務めています。今月の売り上げが前月の20%減であることから、何か打開策がないか考えています。
しばらく考えていると、売り上げが減少した原因は、顧客単価の減少にあることに気が付きました。前月に比べ、お酒のメニューを今月は減らしていたため、山田さんはメニュー数を増やすことで、顧客単価をもとに戻そうと考えました。

このケースでは、メニュー数を増やすことが解決策として打ち出されています。しかし、それが本当に適切な策なのでしょうか?

例えば、「店員がいつも注文の際におすすめを紹介していたが、今月はおろそかにされていた」「近くにバーができて2件目に流れてしまった」「いつもよくしてくれている常連さんが離れてしまった」などの理由も考えられなくはないですよね。これらが原因だった場合、メニューを増やしても顧客単価が元に戻ることはありません。

このように、「今月は前月よりお酒の種類を減らしたから売り上げが下がった」という一見論理的に見える解決策でも、ビジネスでは多くの要素が絡み合っているために、最適とは限らないのです。

よって、一つの案が思いつくたびに、「なぜそうなるのか?」「本当にそうなのか?」「ほかに考えられることはないか?」と問い続けることで、思いもしなかった課題が見つかるかもしれないのです。

クリティカルシンキングの基本姿勢

では、実際にクリティカルシンキングを実践するにはどうしたらいいのでしょうか?ここでは、クリティカルシンキングを実践するために、ポイントとなる3つの姿勢を紹介します。

目的とは何かを常に意識する

何かを考える際に、「そもそも何のために考えるのか」を明確にすることです。

正しくクリティカルシンキングを行うには、「そもそもそのことに関して考える必要はあるのか」、「本当の目的は違うところにあるのではないか」と考える習慣をつけることが重要です。

目的を見失ってしまうと、問題の一部のみに注目してしまったり、無駄な部分を検討してしまったり、問題の解決から遠ざかってしまいます。クリティカルシンキングでは、目的が何かを常に意識し、全体を俯瞰して考える姿勢が基本なのです。

思考の癖があることを前提に考える

最初にも述べたように、人にはそれぞれ暗黙の前提が存在するため、クリティカルシンキングを行う際には、暗黙の前提(思考の癖)がすべての人にあることを念頭に置く必要があります。

例えば、プロジェクトの進行をする際、AとB二つの案が存在していたとします。過去にA案で成功した経験があった場合、B案はほぼ眼中にないかもしれません。しかし、過去にA案で成功したからといって、B案の検討を行わなくていいのでしょうか?ここで一度立ち止まり、「本当にA案で妥当なのか?」「なぜB案は妥当でないのか」と、暗黙の前提を意識し、考え直すことがポイントです。

このように、自分自身の思考の癖を意識するためには、一度立ち止まり、自分を客観視することが重要なのです。

問い続ける

クリティカルシンキングでは、何かの結論に至ったと感じても、問い続けるのをやめてはいけません。

なぜなら、何かの結論に至ったという感覚もまた、暗黙の前提から得られるものだからです。結論に至ったと感じても問い続けるからこそ、今まで見えていなかった課題が見えてくるのです。

クリティカルシンキングの活用方法

次に、実際にクリティカルシンキングを用いて、ビジネスにおける課題解決の例を紹介したいと思います。

今回は、ピラミッドストラクチャーを使った方法をご紹介します。

鈴木さんはある工場に勤めています。上司の山田さんは、『ある部品をA社とB社、どちらから購入すべきか?』で悩んでいます。山田さんは以前から取引があり、大手企業からも信頼の厚いA社から購入しようと考えていますが、鈴木さんはB社から購入すべきだと考えています。
そこで、鈴木さんは「B社は最近業績も伸びてきているし、A社に比べコストも抑えられます。最近うちの工場も経営が厳しいですし、一度考えてみてはいただけないでしょうか?」と説得しようとしましたが、山田さんは納得がいかない様子です。あなたが鈴木さんならどのように伝えるのが適切でしょうか?

枠組みを考える

まずは、この問いを考える上で考慮すべき論点(枠組み)について考えます。鈴木さんはコスト面しか触れていませんでしたが、問題に対して抜け漏れがないようにすることで、より客観的に主張することができます。この場合は以下の3つに絞られます。

  1. 機能や品質は基準を満たしているか?
  2. 価格は適切か?
  3. 納期の順守や安定的な納入が可能か?

この際に、抜け漏れがないか意識するのはもちろんのこと、疑問文の形で書くことで次のステップにつなげやすくなります。

メッセージを抽出する

次に、それぞれの枠組みに対して情報を集め、そこからキーとなるメッセージを抽出します。

  1. 機能や品質は基準を満たしているか?
    「A社、B社共に品質に関しては問題なし」
    「A社の方が他の部品も含めた総合的な技術力は優れている」
    「B社はここ5年で部品の市場に参入したものの、大学との研究など、部品に特化した技術開発に力を入れている」
    ☞B社の技術力に問題はない
  2. 価格は適切か?
    「B社の方が1割ほどコストが抑えられている」
    ☞B社の方がコストを抑えられる
  3. 納期の順守や安定的な納入が可能か?
    「A社は歴史ある企業であり、納入が遅れたり不安定になることは考えにくい」
    「B社の社長は大手企業出身であり、ベンチャー精神も大事にしつつ、大手企業で学んだ顧客第一主義を大切にしている」
    「A社の方が大手企業との契約は多い」
    「B社の方が契約数は多く、幅広い企業との契約がある」
    ☞B社は信頼性の高い企業である

「なぜそう言えるか?」「本当か?」を問いかける

最後に、全体を見渡して論理構造をチェックします。「なぜそう言えるか?」「本当か?」を問いかけ、論理に矛盾がないか、しっかりとした根拠の上に成り立っているかを確認します。

例えば、③納期の順守や安定的な納入が可能か?であれば、本当に信頼性の高い企業なのか、取引先の企業にヒアリングを行ったり、ネットで評判を調べてみることで根拠が得られます。

以上のステップを踏まえ、整理すると以下のようになります。

このように整理できたら、これを項目ごとに文章化することで、説得力のある提案書を作成することができます。

おわりに

クリティカルシンキングで最も重要なのは、「なぜ?」と問うことを忘れないことです。

UXデザインでもこの考え方は活用されており、UXデザイナーはユーザーと向き合うため、日々ユーザーの行動や言動に対して「なぜ?」を繰り返しています。そうすることで、ユーザーにとことん向き合い、ユーザーにとってより良い体験を作っているのです。

自分の何気ない日々の業務でも、「なぜそのようなフローで行っているのか」「そもそもなぜこの業務をしなければならないのか」を考えることで、改善すべき点が出てくるかもしれません。また、客観して全体を見ることで、視座を一つ上げることもできます。

また、お客様や部下に対しても、「なぜそのような行動や言動をするのか」を考えることで、より良い関係性を築くことができます。

クリティカルシンキングはビジネスにおいて様々な場面で活用することができ、良いビジネスマンには必要不可欠です。ぜひ皆さんも明日から活用してみてはいかがでしょうか?

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