セブンデックスでは職種に関わらずビジネス・ユーザー両視点を持ちながらデザインを行っています。今回はビジネス職、デザイナー職、それぞれのバックグラウンドを持ちながらHCD|人間中心設計スペシャリストの資格を持つ3名に、人間中心設計のあり方について伺いました。
(左から筒見、佐久間、西野)
▼プロフィール|筒見 憲介
新卒のナビタイムジャパンでフロント/サーバーサイドエンジニアを経験後、グッドパッチでプロジェクトマネージャー、UXデザイナー、マーケティングを担当。2019年セブンデックスにJoin。事業・組織開発として、マーケティング、プロジェクトグロースに従事。SalesfoceなどCRMを活用した事業支援を行なっている。2020年 HCD人間中心設計スペシャリスト取得
▼プロフィール|佐久間 美里
多摩美術大学卒業後、DeNAで新規アプリサービスの設計,UIデザインに携わる。2020年にセブンデックスに入社し、アミューズの新規事業UXUIデザインなど、企画段階から、UIデザインまで、様々なフェーズの支援を行っている。2021年 HCD人間中心設計スペシャリスト取得
▼プロフィール|西野 慎一朗
不動産ベンチャーでインターンを経験し、新卒でマイナビに入社。数百社の採用支援を行い、全社表彰を受賞、新卒3年目でマネージャーに昇進した。マイナビでリクルーティングデザインに触れたことをきっかけに、デザイン思考を追求。2020年よりセブンデックスにジョインし、現在はPM・UXデザイン・採用を担当。2021年 HCD人間中心設計スペシャリスト取得
ビジネス視点でもクリエイティブ視点でも必要な人間中心の考え方
ー3人ともバックグラウンドが違いますが、人間中心の大切さに触れたきっかけを教えてください
筒見
1社目で新規事業のグロースに携わった時、マーケットドリブンで施策を考えた経験がきっかけです。仮説検証を行う時の成功の判断が売上でしか判断していなかったのですが、100が101,102になるような小さな成長しか出来なかったんですよね。目の前の売上を追った結果解約リスクの高いユーザーが増えて積み上がらないような。マーケットインで考えると便利なものは作れるかもしれないけど心動かされるものは作りづらい。1,000、2,000と伸ばすならユーザーを深く理解する必要があると感じました。
西野
僕は1社目で採用支援を行っていたときがきっかけですね。
採用を成功させるには、求職者視点で「どんな価値を提供できるか」ということを考える必要があるのですが、クライアントがそういった視点を持てておらず、その結果独りよがりの施策を立てて失敗するケースもよく見てきました。
ーなるほどですね(笑)
西野
これは採用だけでなくサービス設計時にも言えることで、「誰の何を解決するのか」を明確にしないとなんですよね。
ユーザーは誰なのか明確な定義が必要なのですが、解像度の高さが成果に比例していたことを実感してから両視点のバランスを大事にしてます。
ー3人の中で唯一佐久間さんは美大出身なので早くから触れていたのですか?
佐久間
大学時代から人間中心設計やUXデザインの授業を受けていて考え方は染み付いていました。周りにも同じ様な人ばかりで、言語化せずとも同じ認識を持てていてそれが当たり前なんだと思っていました。
意識するようになったのは初めてサービス開発を行った時なのですが、エンジニアの方と仕様を決めた結果機能もりもりになってしまって(笑)。絶対に必要ないと思っていたのですが、どうしても言語化できなかったことと人間中心が当たり前じゃないことに衝撃を受けた記憶があります。
そこから社会人になってDeNAで働いたのですが、上司がなぜを繰り返し聞いてくれる方でひたすら答えていました。その結果自分の中での人間中心に対する考えが言語化できましたし、それを他の職種の方にも伝えられるようになりましたね。
抽象度の話がありましたが、人間中心に考えることも大事ですが自分の思考が具体化されていることも大事だなと思って。お二人とは違うプロセスでしたが思考整理を通してその大切さを知りました。
人間中心の考えはビジネスとクリエイティブの共通言語になる
ーお互いが人間中心の考えを持っていることで良い影響はありますか?
佐久間
職種関わらず建設的に議論が進むのが一番大きいですね。ここがブレると「ビジネス視点」「デザイナー視点」「エンジニア視点」それぞれバイアスが掛かって議論の収束に時間がかかっちゃいます。時間がかかるだけなら良いのですが、職種間で共通認識が取れずにお互いがギクシャクすることがよくあって…そこに時間が取られないのは良いなと思います。
西野
僕の中ではビジネスとユーザーのバランスが取れる事が良いなと思ってます。前提、人間中心設計=ユーザー中心に体験とビジネスのロジックを組むことなので、掛け算が大切です。誰の何を解決するか。そしてそれはマイノリティーかマジョリティーか、実現可能かどうか、ビジネスとクリエイティブを別で考えるのではなく複合的に見てピンを落とすようなこの感覚が得られたのは大きいなと思います。
ー異なる職種の方たちが人間中心設計を共通言語に歩み寄っている感覚があるのですが、この感覚はどの様に身についたのですか?
佐久間
経験したかに尽きるかなと思います。前職で新規事業のUXUIデザインに携わったのですが、そのサービスは使えば使うほど味が出るような、魅力的なサービスだったんですよね。でもそのサービスが1年経たずにクローズしてしまって…味が出る前にその体験すらできなくなってしまいました。
この時に良い体験だけでは意味がなくて、良い体験には持続性、すなわちビジネスとしてどう成り立たせるかまで考えなければいけないと気付かされました。
「あの時なにか私にできることがあったんじゃないか」とめちゃくちゃ悔しかったですね。そこからは必ずどちらの視点も持ちながら長く愛されるプロダクト作りを意識するようになりました。
筒見
自分もたまたま仕事上で気付けたから良かったですが、日本だとデザイナー環境的に歩み寄れないケースがよくあります。例えば事業会社だと「事業責任者=ビジネス視点」「現場=ユーザー視点」と役職で分断されてしまったり、場合によってはデザインセンターの様に物理的に切り離されていたりなど。意識的に歩み寄ることも大切だと感じています。
最善を選択するために。人間中心設計はサービス開発にとっての当たり前となる
ーサービス作りにおいて人間中心設計の立ち位置はどう考えていますか?
西野
事業を成長ための当たり前のツールになると思っています。
理想を求めるためのユーザー視点、売れるかどうか判断するビジネス視点、その他実現可能性を判断するテクノロジー視点。これらのバランス感が大切ですしその中心に人間中心設計がある。この状態を求められると思います。
佐久間
自分のスキルを手札に例えると、人間中心で考え判断することで、手札を増やすだけではなく、手札の量や質を上げられると思うんですよね。さらにそれを共通言語として他の職種の方と会話ができれば、手札を最善のタイミングで出し合えるようになる。
よく「最高と最善は違う」と表現するのですが、どんなに最高のものを作っても、今その状況下でできなければ意味がない、その時の最善を出さなければいけない思っています。サービス開発で最善を出すためには当たり前の手段だなと思っています。
ーセブンデックスでは人間中心設計は当たり前なんですか?
佐久間
私の大学時代に似ていると言うか、職種問わず全員が当たり前の様に行ってるんですよね。HCD人間中心設計スペシャリスト/専門家資格も社員の約半分が取得しています。こういう環境だと当たり前に高いレベルで話ができるし面白いなと思います。
筒見
「職種問わず」がかなり重要だと思っていて、UXUIデザイン、ブランディング、グロースデザインと多くのメンバーが携わる中で、全員が誰の何を解決するか認識が自然と合うこの感覚はなかなか心地よいです。ビジネスとクリエイティブを融合しながらプロジェクトを進められるのは本当に面白いなと感じます。