セブンデックスにはたまたまですが多摩美術大学出身のデザイナーが複数名在籍し、日々活躍しています。今回は3名のデザイナーのルーツを辿り、今に活きる美大カルチャー、美大出身だからこそ出せる価値に迫りました。
(左から佐久間、臼井、安部)
▼プロフィール|佐久間 美里
多摩美術大学卒業後、DeNAで新規アプリサービスの設計,UIデザインに携わる。2020年にセブンデックスに入社し、アミューズの新規事業UXUIデザインなど、企画段階から、UIデザインまで、様々なフェーズの支援を行っている。
▼プロフィール|臼井 結那
セブンデックスのデザインとビジネスに対する思考の深さに魅力を感じ、2020年3月からインターンとして入社。人々が抱える「生きづらさ」をデザインの力で無くしていくべく、デザインの本質を探りながらさまざまな分野のデザインについて学んでいる。多摩美術大学統合デザイン学科在籍。
▼プロフィール|安部 裕子
多摩美術大学卒業後、広告制作プロダクションに入社。ビジュアルデザインを軸とし、デザイナーとしてナショナルクライアントをはじめとした様々な案件に携わる。2020年セブンデックスに入社し、クライアントワーク支援や社内のクオリティーマネジメントなど幅広く携わっている。
それを「デザイナーの仕事」と知り、歓喜
デザイナーとの出会いは中学の美術の教科書だったのですが、ピクトグラムの話が載っていて、「デザイナーって仕事があるんだ」と知りました。
その頃から、例えばパッケージを見ても「この赤には絶対意味があるはず」とか、世の中の物に対する意味付けを漠然と考えてましたね。
デザインというものに漠然と興味を持っていた中、進路を決める時に「美大」と言う選択があると知って、そこでデザイナーを目指しました。
初めてデザイナーを知ったのが本屋の洋書セールで見つけたデザイナーの本で、読んでいるうちに興味を持ちました。その頃は漠然となってみたいなと思っていたのですが、現実的になったのが美大を目指していた友達と一緒に行った多摩美の芸術祭。
見た瞬間「ここに行ったらデザイナーになれる!」と美大を目指しました。
本屋から始まり美大を目指す友達がいて、何か一つでも欠けていたら私はここに居なかったですね(笑)。
不便を便利にするとか、一部の人には暮らしにくい社会をみんなが暮らしやすくする、その解決方法がデザインなんだな、と。
そこから特にデザインに関わるわけではなく高校生になったのですが、将来を考え始めた時に「暮らしやすい世界を創りたい…あ、デザイン!」と思い出しまして。理系の高校だったので工学デザインしかない中、多摩美なら理系でも行けると知って目指しました。
デザインと言う単語を知って、美術が好きで、気になってた美大に理系でも入れる…わ〜全部繋がった!と、もう運命でしたね(笑)
美大で磨かれる感性
3年生からはメディアデザインというゼミに所属したのですが、面白かったのが接点を考える授業。
人と人との接点なら手段は何でもよくて、手法を選んで伝える様な授業です。
例えば「あなたにとって本は何ですか?」をアニメーション、プログラム、紙芝居などで表現します。
私は製本に興味があり本を製作したのですが、伝えることの大切さを学びましたね。
ライゾマティクスが盛り上がり始めた時だったのと割と何かに流されるのが好きで専攻しました。
特に認知心理学的なものに興味があって。人のグニャグニャってした感じと数字を組み合わせるのが面白いなと思って、それを表現するためにインタラクティブアートをやっていました。
誰かが笑うと笑い声が聞こえてきてこっちも笑って、みたいな連鎖が起こる状態をアートで表現しました。
プロダクトはドライヤーや椅子をつくったり、グラフィックでは色彩や構成力を身につけたり、表現力も大事だよねってことで描写も。
インタフェースの授業は印象的だったんですが、いわゆるUIの話では無くて、「人と人に限らず、人とものなど、全てにおける接点のことをインターフェースと呼ぶ。」っていう本来の意味を教える内容でとても面白かったです。
まず最初に5枚の絵を見せて実は共通点があるけど何が共通点がわからない。けど最後の6枚目を出すと全部の共通点を表すわかりやすいヒントがある。というルールで、お題から6枚の絵まで全部考えて自分で描く課題がありました。
関連ワードを100個出しては収束させて、最後は表現してとめちゃくちゃ脳筋使いました。コミュニケーションの基礎を叩き込まれましたね。
2年目からはダイアグラムやインタラクションなど細分化しつつ、引き続き描写やプロダクトなど幅広い分野のスキルを磨いていきました。
「なんか」を感じ、表現してから言語化するカルチャー
デザインで「最初どうするんだろう、最後どう持っていくんだろう?」となった時の解決方法は気合で出せますね。
ひたすら「講評」しては評価を受けて磨かれたのが根本にあるのかなと思います。
基本的に授業は課題をやってきて講評、意見をもらうんですよね。
とある週に「この日が講評日だよ」と言われたら後は自分で答えを見つけに行く、やらざるを得ない状況。
そして講評の時はクラス全員の前でプレゼンするんですが、出来が悪かった時は「隠したい…」みたいな(笑)。
強制的に客観的に見させられて、「ここなんでこうしないの?」に必死に答えて、時には恥をかくこともあって。
自分が作ったものを客観的に批評され続ける時間が高頻度で1年中やってくるので、良いものを出し切ることは身につきますね。
美大って雰囲気で話し合うことが多くて、説明なしに「ここなんか変じゃない?」みたいな(笑)。
またその「なんか」について「なんかって何?」と考えるんですよね。言葉にできない「なんか」って大事なんですよ!
「私はなんかがわかるんだ」って嬉しくなったのを思い出しました!
そこからの言語化が大変なんですけどね(笑)
「あれ?野に放たれた?あれ?」みたいな(笑)
なんかの追求と言語化をひたすら繰り返すのは美大ならではですね。
手を動かし頭を回す。答えを導く力
美大だとものづくりに没頭するので、平気で夜通し頑張っちゃったりするんですよね。夜中に作った部分が一番良く出来てたり、急に覚醒するのは不思議ですね〜。
それで講評日は基本寝不足なのに終わったらとりあえず飲みに行って「あれ良かったね〜」といつまでも話しちゃう。
作ることに本気になった経験があるからこそ、仕事も「何でも来い!」ってなりますね。
とりあえず作ってフィードバックから改善して、とやりたいので、作ることのハードルは本当に低いです。
要件が決められていくのと同時にUIデザインも作っていくので、いざUIデザインフェーズに入ったときにはすでになんとなく答えが見えてるんですよね。
言葉や文章を汲み取りものを作って壊しながらも答えにたどり着く。この力は強いなと思います。