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デスクリサーチから有益な示唆を得る方法

デスクリサーチは仮説検証や追加論点の洗い出しを素早く行えるリサーチ手法です。デスクリサーチで有益な示唆を得るには、事前準備とリサーチ方法がかかせません。

この記事ではデスクリサーチの目的をおさらいしつつ、リサーチ準備、実施手段をご紹介します。

デスクリサーチの目的

デスクリサーチは公開されている情報を使い、早く結論を導く事が目的です。調査済みの集計レポート、公開されている公的書類などをソースにします。一次情報、一般情報を使うことで一から調査を行う必要がなく、時間短縮に繋がります。

調べる業界の専門性が高く、リアルタイム性があるほど、定量・定性調査の難易度が上がるため、デスクリサーチによる効率化が図れます。

  • 専門性の高い業界:医療、司法関連、など
  • リアルタイム性の高い業界:金融、旅行、など

デスクリサーチの心得

デスクリサーチは結論を素早く導ける一方で、方法を間違えると何も示唆を得られないまま調査から抜け出せなくなります。リサーチ時に気をつけるポイントをご紹介します。

あくまで全体目的達成手段の一つである

デスクリサーチはあくまでプロジェクト遂行する上での手段の一つに過ぎません。そのため「とりあえずデスクリサーチする」で始めてしまうと、大体失敗してしまいます。
リサーチの前に必ず以下の通り、デスクリサーチの目的、役割を明文化しましょう。

  • なぜデスクリサーチを手段として選んだのか
  • デスクリサーチでどこまで知れたら良いのか
  • リサーチの結果、どの状態になっていることが良いか

一次情報をソースにする

デスクリサーチでは効率性担保の代わりに情報の信憑性を問われます。
例えばソース元が不明な個人ブログの情報を使ってしまうと主観の可能性もあり、全く異なる結論になりかねません。

公的な情報、統計情報など、信頼できるソース、集計されたアウトプットを使用する場合はソースを確認しましょう。

目的から外れた調査はしない

デスクリサーチの目的と調査範囲を定めましたが、範囲からはみ出た項目は調べずに切り上げる様に意識しましょう。

デスクリサーチは深堀りだしたらキリがありません。あれもこれもと気になり、気づいたら全く必要無いことを調べていた…なんて事がよくあります。(勝手に思考迷子と呼んでます。)

本来は最初立てた調査範囲について、結論づいた時点で次に移る
調査しているうちに目的を失い、最終的に何をリサーチしているのかわからなくなる

思考迷子は一見MECEに調べてると感じますが、俯瞰した時に断片的で目的にそぐわない調査だと気付きます。各調査対象について、「この感覚を得られたら一旦引き返そう」と、調査範囲を意識することが大切です。

調査しきれない場合でも一旦結論づける

デスクリサーチでは全ての論点・仮説を検証することはできません。また、調査した論点・仮説についても情報が欠けている事はよくあります。
リサーチでは取得情報に関わらず結論付ける事が大切です。例えば「結論はAだが、一部については情報が無く、断定はできない」も立派な結論ですし、この結論から「次は確証を得るために定量調査をしよう」と別の最適解に繋げられます。

「情報は揃わないことが普通」次に繋げる結論をどう導けばよいか、を考えながらリサーチしましょう。

一旦結論付ければ次の仮説や手段に繋げられる

デスクリサーチに向けた準備

ではここからは実際のデスクリサーチ手法をご紹介します。
デスクリサーチで有益な示唆を得られるかは、事前準備にかかっています。「後は調べるだけ」の状態を目指しましょう。

今回は「新しいモビリティを考える」をケースに進めていきましょう。

目的・ゴールの設定

まずは目的、ゴールを定めます。前述の通り、リサーチの目的が曖昧だと何をどこまでやればよいかわからなくなり、思考迷子になってしまいます。

定める上でのポイントは2つ。
1つ目はリサーチ自体の目的から定めること。今回のリサーチ全体目的を明文化することで、全体におけるデスクリサーチの目的、役割がわかりやすくなります。
2つめは自分の感情まで定義すること。「このデスクリサーチを通してモビリティの未来について質問されても大まかに自分の言葉で語れる位」の様に肌感を言語化してみましょう。

今回の新モビリティ構想におけるデスクリサーチの目的・ゴールは以下の様に定義しました。

  • リサーチの目的:現状のモビリティの課題、そこから見える潜在ニーズを洗い出す
  • デスクリサーチの目的:注目のモビリティについての市場理解
  • リサーチ範囲:市場プレイヤー、市場規模、成長性、課題
  • リサーチ後の感情:モビリティの未来について質問されても大まかに自分の言葉で語れる感覚
  • リサーチ後の状態:情報を持って課題と潜在ニーズの仮説を洗い出し、定量定性調査項目として使用する

ゴールを満たす論点の洗い出し

次に立てた目的を満たす論点を洗い出します。リサーチ範囲を意識しながらMECEに洗い出しましょう。

論点洗い出しの段階で、「この情報で正しいと言えるのか」「無駄なものはないか」と問い続けながら整理しましょう。

今回のケースでは以下の様に洗い出しました。

デスクリサーチの目的を満たせるかシミュレーション

最後の準備はシミュレーションです。洗い出した論点に対して「仮に〇〇の結論が出た場合、△△とする」の様に、調査予測とアクションを想定します。
理想の状態だけでなく、一部情報収集できなかった場合もシミュレーションすることで、リサーチの抜け漏れが無いか確認します。

この段階で「調べたら何かしら価値ある情報を得られる気がするな」の感覚が持てるかが重要です。もしデスクリサーチの途中で意図しない答えが出てきたら、すぐにシミュレーションし直しましょう。

デスクリサーチ方法

準備を経てデスクリサーチができますが、リサーチする際によく使うチャネルをご紹介します。

省庁の資料

市場についての調査レポートはよく省庁のサイトで公開されています。省庁のレポートは信憑性が高いので調べてみましょう。

今回「モビリティ 省」と検索した所、官邸のHPにモビリティ動向がまとまっていました。モビリティの場合法整備なども課題として上がってくるため、省庁のレポートも豊富にあります。

この様に省庁がレポートをまとめているため、最新の動向が把握できる

論文

論文は一次ソースや独自調査に基づいて結論を出した有益な情報です。省庁の情報より幅広く考察されています。独自に調査すると時間がかかる内容も、論文を引用することで時間短縮できます。

今回は「モビリティ 論文」と検索した所、論文をまとめているサイトを見つけました。サイト内の論文情報を一通り確認すれば網羅できそうです。

IR資料

IR資料は、市場に関わる企業の市場考察と戦略を見られます。自社の戦略を立てる際の参考にもなります。

「モビリティ IR」と調べると、トヨタのモビリティに対する取り組み、戦略がまとまったIR資料を見つけました。

トヨタコネクティッドへの取り組み

Twitter

最新の動向を得る際の強力なツールです。Google検索だと最新の情報が拾いづらいので切り分けて使います。

Twitter上で「モビリティ」と調べると、注目のモビリティのプレスリリースなどを見つけられます。

PR TIMES

PR TIMES は企業がプレスリリースを打つ際に使用するサービスです。プレスリリースに特化した最新の情報をチェックできます。

モビリティだけで約7,000件のリリース情報があるため、企業が何に取り組んでいるか市場動向を把握できます。

競合分析ツール

市場プレイヤーがわかる場合、競合はどんなキーワードで認知されているか、どの様なページからランディングしているか、マーケティング・広報施策を明らかにできる競合分析ツールがあります。

ahrefsと言うツールは、月1万円と少し高いですが、被リンクや自然流入ワードなど細かく分析できます。

今回トヨタを分析してみましたが、トヨタイムズを公開してから現在に至るまでで、トラフィックが4倍に増えていることがわかります。(分析結果をスクショできないので、ぜひ試してみてください)

まとめ

今回は市場動向をケースにデスクリサーチを行いましたが、競合、自社のリサーチでも同じチャネルを使いながら分析します。

なにより大切なのが、リサーチ前の準備です。(準備で8割、くらいの感覚です。)準備をした上で適切なチャネルを選びリサーチ、良い示唆を得られるようにしましょう。

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事業/組織開発
アメリカ/ボストン生まれ。新卒のナビタイムジャパンでフロント/サーバーサイドエンジニアを経験後、グッドパッチでプロジェクトマネージャー、UXデザイナー、マーケティングを担当。2019年セブンデックスに入社。事業・組織開発として、マーケティング、プロジェクトグロースに従事。SalesfoceなどCRMを活用した事業支援を行なっている。