転職を考えるデザイナーが避けては通れない道といえば、ポートフォリオ制作。
この記事ではデザイナーとして2回転職をした筆者が、ポートフォリオ制作で気をつけていた基本的な事項と、取り入れたい一歩先を行くポイントを紹介します。また、私が候補者として経験したセブンデックスのポートフォリオ選考についても触れていきますので、気になっている方はぜひ参考にしてください。
はじめに
デザイナーの転職活動におけるポートフォリオとは、制作物を並べた作品集ではなく、自分がどういう思考のもと課題解決に取り組んだのか、そのためにどういうアウトプットを選択したのかを、事例とともにプレゼンするための資料です。
資料という点で履歴書や職務経歴書のような客観性は必要ですが、情報にコントラストをつけずに羅列してしまうと、せっかくの自分の強みをアピールする機会を逃してしまいます。そのようなことにならないためにもテーマの設定や構成を工夫し、ポートフォリオによって何をアピールしたいのかを明確に持ちながら制作していくことをおすすめします!
媒体について
昨今ポートフォリオの媒体は多様化しており、自分が志望する業界と表現手段にあわせた媒体を選ぶことが自己PRに繋がる場合もあります。
ちなみに、セブンデックスに送られてくるポートフォリオで多いのはPDF形式のものです。私自身も書類選考時にはPDFで送り、面接時にはプリントアウトしてプレゼンするなど使い分けていましたので、PC上とフィジカルの行き来が容易な点がPDFはおすすめです。その他の媒体では、ポートフォリオサービス、自作のWEBサイト、figmaのプロトタイプなどがみられました。
テーマと構成
媒体を決めたら、ポートフォリオのテーマとそれに合った掲載作品と構成を決めていきます。
テーマの必要性と決め方
制作物を羅列するだけでもポートフォリオは作れますが、採用担当者が候補者のアピールポイントをより掴み取りやすいように自分が伝えたいこととしてテーマを設けると良いでしょう。テーマが決まっていると面接でも話しやすくなります。
テーマの決め方は、会社の求める人材を自分なりに解釈して決めるのが最適かと思いますが、転職の際には複数社受ける場合が多いので自分の強みをアピールする方向でテーマを設定し、面接などでその強みが志望する会社に入社した際にどう生きるのかを言葉で補強していくのがいいと思います。
私の場合は自分の強みをこれまでの経験から「デザイン力・ヒアリング力・気配り力」の3つと設定し、直近のポートフォリオでは「コミュニケーション力と、表現の幅をアピールする」というテーマのもと構成に取り掛かりました。
構成について
ここからは実際に私が制作したポートフォリオをもとに構成について紹介いたします。ポートフォリオサイトや、WEBサイトの場合は読む流れが特に決まっていないので、ここでの構成は主にPDFやページ形式のものを作る場合を想定しています。
表紙
個人的には、表紙は採用に関わる重要な要素ではないと考えているのですが、セブンデックスの人事担当者に聞いたところ、表紙で期待が膨らむとのことだったので、表紙でフックとなるようなデザインを提示できると強いかもしれません。
ちなみに私は、以下のように名前を欧文で配置したシンプルなデザインにしましたが、既視感のないフォントを使用し、個性を演出することにしました。
基本的にポートフォリオは履歴書や、職務経歴書ではわからない部分を補足する資料なので、学歴や職歴、趣味など、パーソナリティーについては最低限触れるにとどめておくのが良いと思います。PDFであれば、1ページくらい。私は表紙のデザインに入れ込むような形で半ページくらいの文量で記載しました。
自己PR
すぐに実績紹介を始めてもいいですが、これから紹介する作品の見どころがわかるように、自分の強みをプレゼンするページをいれるといいでしょう。
私の場合はテーマを決めるときに設定した3つの自分の強みをテキストと視覚情報、それが分かる作例とともに4ページほどで紹介しました。初めに自己PRを入れることで、面接の際も作品をだらだら一つずつ紹介するのではなく、自分の強みとそれが生きた事例をプレゼンします!という形式をとれるので相手にとっても傾聴する姿勢に入りやすくなると思います。
実績紹介
自分の強みを伝えられたら実例として作品を紹介していきます。
作品数については、アウトプットのクオリティが担保されていれば必ずしも多い必要はありません。作品数が多く、数や表現の幅、早さも強みとしたい場合は単一的に全ての作品を扱うのではなく、メインでアピールしたい数作品に加えて、数で圧倒する「その他の作品ページ」を挿入するなどコントラストをつけて紹介し、情報整理力も同時にアピールしていきましょう。
各実績ページには、作品の概要(名称、具体的にデザインしたもの)、自分にとってそのプロジェクトがどういうものだったのかを端的に説明したテキストと、具体的な役割を記載します。他にも制作期間や、使用ソフト、プロジェクトメンバー数などを記載するのもいいでしょう。
私は自分の強みが分かる数作品をまず紹介し、表現の幅もアピールしたかったので後半にデザインを羅列するページを作成しました。イラストの仕事も経験があったのでオマケ的に紹介し、最後には自主制作を掲載したinstagramの紹介をしました。
一歩先を行くポイント
以上がポートフォリオ制作の基本事項とプロセスでした。ここからは、採用担当者の欲しい情報を先回りして取り入れたい3つのポイントを紹介します。
意思決定プロセスや制作意図を記載する
UIデザインやブランディングまで領域を広げたいと考えているデザイナーは、作品の概要からさらに踏み込んで、意思決定プロセスや制作意図、制作過程などを過程や部分ごとに説明し、記載できるといいでしょう。
面接で聞かれそうなことをあらかじめ言語化して記載しておくことで面接でのやり取りをスムーズにすることもできます。
デザイン以外の実績も載せる
イラストや記事執筆などデザイン以外の実績がある方は、noteなどのリンクとともに実績を紹介するページを設けるのも、入社後の仕事のイメージに繋がりプラスの印象になるかもしれません。
また、チームのリーダーとして制作した実績に関しては、自分の役割を記載することでマネジメント力のアピールにもなります!
企業に合わせた追加資料を作成する
未経験の業種にチャレンジする場合には、その業種にあった自主制作や資料を追加で用意することも考えます。紙媒体のデザイナーからWEBに転職するのであればfigmaで制作したWEBデザインなどがあると採用側も新しい業界で働くイメージがつきやすいです。
私がセブンデックスの選考を受けた際はグラフィックデザイナーからの転職でしたので、デザイン力とは別に思考の軌跡が分かるよう、ロゴの制作プロセスをリサーチからコンセプトの決め方、アウトプットの過程までを記載した資料にし、追加で提出しました。
おわりに
ポートフォリオ作成に正解はありません。手間も時間もかかる作業ですが、その時点の自分を取り漏らさず最大限にアピールすることを目指し、日々アップデートしていくといいと思います!
またセブンデックスではデザイナーを募集しているので、ご興味がある方はぜひお気軽にエントリーしてください。
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