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デプスインタビューで聞き出すユーザーの本質|質問の設計方法とコツ

ユーザーリサーチの方法はいくつか種類がありますが、特によく使われる方法としてデプスインタビューがあげられます。
ユーザーの本質を聞き出す事に有効なデプスインタビューですが、実際に分析をしてみると欲しかった情報が取れていなかったなんて事もあるかもしれません。求める情報をしっかり聞き出すためどのように進めればいいか、流れと共に質問の設計方法やコツについてお話していきます。

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デプスインタビューのメリット・デメリット

デプスインタビュー(深層面接法)は現場でもよく使われている定性調査の方法です。質問者(インタビュアー)と参加者(インタビュイー)は一対一で対話し、話を深く掘り下げユーザーの本質を聞き出します。

メリット

潜在的なニーズを発見できる
参加者の話を深掘りしていく中で、潜在的なニーズを発見する事ができます。

意思決定プロセスを明確にできる
潜在的なニーズを聞き出す事で、なぜそのような意思決定に至ったのかというプロセスを明確にする事ができます。

プライベートに踏み込んで聞ける
グループインタビューと違い他の参加者がいないため、年収やローンなど人前では言いづらいプライベートな部分も聞く事ができます。

本音を聞ける
グループインタビューでは「他の参加者がこう言っているから…」と本音が聞けなくなる事がありますが、一対一のためこれらのバイアスを避ける事ができます。

デメリット

コストがかかる
インタビューを1人行うために必要な時間は1時間〜1時間半です。定性データは分析にも時間がかかり、他のユーザーリサーチ方法に比べてコストがかかってしまいます。

質問者の力量に依存する
一対一で行うため、質問者の力量によっては得られる情報に偏りが出てしまう場合があります。

これらのメリット・デメリットを理解し、明らかにしたい事は何か、調査にかけるリソースは足りているかを考慮しどのユーザーリサーチの方法を使うべきか考えましょう。

デプスインタビューを成功させるためには

デプスインタビューを成功させるためにはどうすればいいのでしょうか?
そのために次の2点を意識する事が大切です。

  • 最適な参加者の収集
  • 最適な情報の収集

やみくもにユーザーの声を聞いていても、デプスインタビューは成功しません。デプスインタビューには必ず目的があり、それを達成してくれるユーザーの声が必要です。
目的を達成してくれるユーザーの声は、どんな参加者からでも得られる訳ではありません。適切な参加者から適切な情報を収集できなければデプスインタビューは成功と言えません。

デプスインタビューの目的達成=最適な参加者の収集×最適な情報の収集

ではこの2点を押さえるためはどうすればいいのでしょうか?
デプスインタビューを計画し実施するまでの一連の流れを追いながら、これらを押さえるために必要な事を説明していきます。

デプスインタビューの流れ

デプスインタビューの大まかな流れは次の通りです。

  1. 目的設定
  2. 質問設計
  3. リクルーティング
  4. 実施

ここからは各プロセスで注意するべき点やコツについて説明していきます。

目的設定

プロジェクトでは理想とするゴールと現状の差分を埋めゴールを目指します。そのために、ゴールに辿り着くため何が足りていて、何が足りていないのかを考えましょう。その足りない部分を明らかにする事がインタビューの目的になります。

ゴールや現状(≒課題)が分からない場合
ゴールや現状が分からない場合の目的は「現状の体験や理想とする体験を聞き出す」などです。
ゴールと現状が見えていないとユーザーにとって差分がどこにあるか見えません。課題については、ユーザーが満足いかない体験(現状)をしているのであれば、それはユーザーの抱える課題とも捉える事ができ現状≒課題となります。

解決策が分からない場合
解決策が分からない場合の目的は「ユーザーの行動と指向プロセスを理解する」などです。
解決策はユーザーがサービスに訪れた際を点だけで見ていては抽出できません。体験全体の文脈を通し、ユーザーの心情を知る事でこんな思いを持っているからこういうアプローチしようと解決策が見えてきます。

UIデザインが分からない場合
UIデザインの適切な表現が分からない場合の目的は「サイト内の情報の優先順位を明らかにする」などです。
どんなユーザーがどんな情報を重視しているか聞き出す事で、ユーザー事の傾向を見つけます。こんな傾向を持ったユーザーが多いから、情報をどうやって表現しどんな順番で届けたらいいかと考える事が出来るようになります。

質問設計

設定した目的を達成するためにはどうすればいいか、仮説を立てその仮説を証明する情報は何か考えます。つまり質問項目は、仮説を証明するため必要な情報の集まりといえます。

「サイト内の情報の優先順位を明らかにする」目的のインタビューであれば、「利用頻度の高い項目」「一連のプロセス」など仮説を証明するための情報が質問項目になります。そのため仮説の解像度が高くなるほど、質問項目もより具体的になっていきます。

解像度の高い仮説を立てられるかは、質問者の知識や経験則にも影響されます。自分と全く違うターゲットにインタビューする場合、そもそも仮説すら立てられないかもしれません。その場合、事前情報を如何に調べるかが重要です。

例えば、参加者に対して事前インタビューと本番形式のインタビューを2回行う事で、ターゲットへの理解を高めてから本当に聞きたい事を聞く場合もあります。よく使うアプリの情報を得られれば、事前に調べておく事で「こんなメリットを持っているから使っているんじゃないか?」と仮説を立てる事が出来るかもしれません。

リクルーティング

目的が決まればインタビューの参加者を決めていきます。インタビューの参加者がそもそも得たい情報を待っていなければ意味がありません。そのため参加者のリクルーティングは非常に重要な工程です。

例えば「利用頻度の高い項目」や「一連のプロセス」について質問する場合、利用期間や利用頻度が低いユーザーは、そもそも利用の仕方への優先順位をつけれていないかもしれません。各質問項目に対してこの情報を持っているのはどんなユーザーか考えリクルーティングする事が大切になります。

また必要な参加者の人数も目的によって異なります。

  • 仮説の解像度が高く、ここの部分を検証したいなという場合…参加者は3人ほどで信頼性を担保できる
  • 設定したペルソナに本当にニーズがあるのか確認をする場合…参加者の主観が入る事を考慮し5人ほど
  • 課題の発見など新たな気づきを得たい場合…回答から傾向を見つけるため5人以上の参加が必要

この様に、目的の設定は人数を決める際にも大切となってきます。

インタビュー

実際にインタビューをする際は、参加者との信頼関係の構築が大切です。そのために次の3点に気を付ける事が必要です。

  1. 話しやすい環境
  2. 体験を思い出しやすい質問の仕方
  3. 回答を誘導しない質問

1.話しやすい環境

参加者は、求められている回答ができているのかと不安に思ってしまう場合があります。
するとなるべく綺麗な回答をしようとしてしまい、本質的なユーザーの声が聞けないかもしれません。そのため様々な場面で参加者への気遣いが重要です。

例えば、最初はたわいもない話で緊張をほぐすといった工夫があげられます。
もっと詳しい話を聞きたいという気持ちを抑え、まずはたわいもない質問から始める事で「あ…こんな話で良いのか」とリラックスしてインタビューに臨んでもらう事ができます。

また、座る位置を工夫する事で参加者の緊張をほぐす事もできます。
対面する形で座ると、参加者は面接をされてるようで緊張したり、視界に入る情報が多くなりインタビューに集中できないかもしれません。そこで、L字になる様に座る事で、参加者との距離が近くなり緊張感を和らげる事ができます。また参加者の視界も狭くなるため、周りの余分な情報量が入らず質問に集中してもらえます。

2.体験を思い出しやすい質問の仕方

インタビューでは、聞かれた質問に対してその場で答えを考え回答をします。
直接知りたい情報を聞くと、すぐに思い出せる様な情報しか出てこなく知りたい情報が得られないかもしれません。そのため、関連する周辺の質問から聞いていく事で、参加者にそのときの体験を思い出しながら回答してもらう事ができます。

3.回答を誘導しない質問

デプスインタビューで質問を深掘りする際、参加者が答えやすいように回答を復唱したりヒントを出す事があります。この際気をつけなければいけないのは、回答を誘導していないかという事です。相手の回答を整理してあげたつもりが、空気を読みすぎて「つまりこういう事ですよね?」と結論を加えていないかなど注意が必要です。

おわりに

今回はデプスインタビューについてお話してきました。
ユーザーの声を聞かなければやはりいいデザインはできません。質問者の経験が影響する部分もありますが、事前の質問設計や参加者に対しての気遣いで成果を大きく上がります。デプスインタビューをする際は、ぜひ今回のお話した点を活かしてみてください!

今回紹介したデプスインタビュー 意外にもユーザーリサーチには様々な方法があります。
ユーザーリサーチの方法については以下の記事でまとめていますので、興味を持った方は是非ご覧ください!

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