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プロダクトデザインには、クライアントのビジョンとユーザー体験の両立が求められるというお話

今回は筆者がUXデザイナーとして、初めて案件に携わった際に得た学びを紹介したいと思います。

本記事でお伝えしたい結論はタイトルの通りで、いわば「理想のUX体験と、それを実現する機能を導き出すこと」と、「導いた機能要件を実際に開発していくか」は別問題というお話です。これは特に、クライアントの事業戦略・ビジョンが明確にあるなかで、UIUX 改善を行っていく際に重要な視点になると考えています。

言われてみれば当たり前の内容かもしれませんが、プロダクト開発が未経験のUXデザイナーにとって、クライアントのビジネスニーズの観点は抜け落ちやすいものです。

本記事が、クライアントの事業を成功に導くためのUXデザインにおける一つの視点として参考になれば幸いです。

UXデザインのプロセス

UXデザインとは、ユーザーが実現したい理想の体験を提供することを目標に、サービスや製品をデザインしていく取り組みとその方法論です。おおよそ以下のステップで、プロダクトを形にしていきます。

具体的には、インタビューなどのユーザーリサーチを通じてユーザーが実現したい価値を明らかにし(リサーチ)、サービスの方向性であるコンセプトを定義(サービス価値定義)、アクティビティシナリオなどの形で実現したい体験を可視化します(体験設計)。

そして、その体験を実現するための機能要件、デザインコンセプトを要件定義として策定し、サービスや製品の形に落とし込んでいきます。

理想のユーザー体験を実際に開発できる?

さて、ユーザーリサーチのファクトを元にユーザーが本当に求める本質的な体験価値を明らかにした上で、新しいサービスコンセプトと理想シナリオを示し、それを実現するための機能要件、デザインを作成しました。

では、クライアントにとって、これら策定したコンセプトや機能要件が、現行プロダクトの方向性と思想が大きく変わるものだった場合、これらを「実装しよう」とすんなり意思決定できるでしょうか?

答えは NO です。

なぜならば、クライアントが事業戦略の一つとして新しくプロダクトを開発している場合、新しいサービスコンセプトをそのまま受け入れることは、自社のビジネス戦略を抜本から見直すことを迫られるからです。

忘れてはいけない「クライアントのビジョン」

私たちデザインコンサルティング会社がクライアントの既存サービスのUIUXリニューアルを行う際、忘れてはいけないのが、「クライアントがどのような意志を持ってそのサービスを作ったのか」という、クライアントのビジョンです。

これは特に規模が100名未満ほどのベンチャー企業において、特に重要です。

なぜなら、大企業と比較して、ベンチャー企業は有する自社のリソースや、会社を取り巻くビジネス環境(優位性)は厳しいものだからです。サービスの方向性が少しでも変わることが、会社の経営の方針を大きく揺るがす可能性があるのです。

クライアントの事業成長に責任を持つ立場として、私たちデザイン会社は、自分達が導いた結果がファクトに基づいており、どんなに革新的なものであっても、その結果がクライアントに与える影響を理解した上で提案することが求められます。

では、もしそのように提示するサービスの方向性がクライアントの既存の事業の方針と大幅に異なるものだった場合、どうすれば良いのでしょうか?

対話を重ねること

一つは、地道かもしれないですが、出した提案についてクライアントと対話し、納得できる着地点を探すということです。

どんなにロジックが通った提案でも、最終的に実行するのはクライアントであり、サービスを享受するのはユーザーです。

最終的に私たちデザイン会社が目指すことは、納得感のあるデザインを採用してもらうことではなく、クライアントとエンドユーザーが喜んでもらう結果にすることです。

その目的を達成するために、自分達が提案した方向性ではなく、クライアントの意志やビジネスニーズを踏まえ方針の転換を行うことも一つの重要な結果です。

ユーザーテストを行うこと

結局、自分達が提案したアイデアが良いかどうかは、実際にユーザーに使ってもらわないとわかりません。

クライアントに対し、自分達がデザインしたプロダクトが本当に価値をもたらすものと判断するための根拠として、ユーザーテストによる検証が有効でしょう。

ポイントは、新しいコンセプトを実現する必要最低限の機能を搭載したMVP(Minimum Vale Product)を作成することです。

MVPとは何かについては、以下のブログがわかりやすくまとまっています。

テストに費用と時間をかけては本末転倒なので、ユーザーにとってコア価値となる必須機能を盛り込んだプロトタイプなどを用いてユーザーインタビューを行い、実際に使ってくれそうかを検証します。

その際、どのような結果が出れば、実際に開発を行う意思決定を下すのか、事前に認識を擦り合わせると良いでしょう。観点を事前に整理することで、ユーザーテストの結果を元に建設的に議論を収束させることができます。


今回は、著者の経験を元に、理想のUXデザインで抜けがちな、特にビジネスニーズの観点についてお話ししました。

実際のプロジェクトを通じ、クライアントの全社の事業戦略の根本にも携われることが、クライアントワークの難しいところでもあり、同時に面白い点でもあります。

本記事を通じて、事業成長にコミットするセブンデックスのUIUXデザインプロセスについて少しでも興味や理解を深めていただけたら嬉しく思います。

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