この記事では、UXプロセスにおける”半構造化インタビュー”において必要な心構え・姿勢についてまとめていきます。
ユーザーインタビューは、自分の仮説を検証するための場ではありません。対話によりユーザーの理解を深め、相手が何を求めているのかを明らかにしていくことが目的となります。
事前準備やテクニックも大切ですが、対話を行う上での姿勢や意識というものが、より重要になってきます。
この記事では、改めてユーザーインタビューとは何か。どのような姿勢・意識で臨むべきかをまとめていきます。
目次
1.ユーザーインタビューとは何か
ユーザーインタビューを行う目的は
「ユーザーが求めている価値を考察するための、情報を集めること」です。
インタビューで得た情報を基に考察された内容が、その後のサービスやプロダクト設計の軸となり、
非常に重要なプロセスになります。
ユーザーインタビューの理想状態としては、ユーザーについて深く理解し共感ができている状態です。
相手が何を求めてるのか共感し、憑依できる状態になれば「ユーザーが求めている価値」は自然と考察できるようになります。
「狙った情報を聞き出そう!」と意気込むのではなく、相手を理解する傾聴を心がけましょう。
2.ユーザーインタビューで必要なマインド
2-1.ユーザーに直接答えを求めてはいけない
前章で、ユーザーインタビューの目的は「ユーザーが求めている価値を考察するための、情報を集めること」という表現をしました。
ここでのポイントとしては、ユーザーインタビューは「情報を集める」ためのプロセスであるということです。
直接、ユーザーに何が欲しいか聞いても、適切に言語化することは非常に困難です。
潜在的に求める価値の抽出は、サービス・プロダクトを考える私たちの仕事です。
ユーザーに直接「何を求めているのか」答えを求めてはいけません。
2-2.自分の主観で相手を誘導しない
インタビューを行う前は、ご自身で仮説を持っている状態だと思います。
しかし、インタビュー中には、仮説に引っ張られることがないように意識しましょう。
事前に仮説を立てることは、深掘りする上で必要です。
全くの知識のない状態では、前提となる知識について認識を揃える必要があり、情報を深掘ることができません。
しかし、インタビュー中に仮説を直接相手にぶつけることは、自分の主観に誘導した質問になってしまい、バイアスのある質問の仕方になってしまいます。
自分の主観を完全に無くすことはできませんが、インタビューの中では誘導してないか常に意識するようにしましょう。
インタビュー中に、立てた仮説をうまく活用するためには
✖️「この人は、□□が好きそうだな。聞いてみよう」
○「この人は、□□が好きなのか。ということは、△△の行動をしている可能性があるな」
上記のように、仮説を元に事実を確認していく質問であれば、誘導した質問にはなりにくいです。
2-3.発言の「事実」と「意見」を区別する
一般的に、ユーザーインタビューでは「なぜ?」という質問は避けるべきと言われています。
それは「なぜ?」に対する解答が、その人の”意見”になってしまい”事実”ではないためです。
前提として、ユーザーの意見をサービスやプロダクトに直接反映することは望ましくありません。
人は「周りからこのように見られたい」「このようになりたい」という自身の理想像を持っています。
そのため”意見”を言う時は、本当に求めているものではなく、想像上の自分像に近づこうとする発言が多いです。
つまり、”意見”を直接反映することは「ユーザーが必要だと思い込んでいるもの」を反映しているのにすぎないのです。
これでは、サービスやプロダクトは失敗してしまいます。
そこで、ユーザーインタビューでは必ず「意見」ではなく「事実」に注目していきましょう。
例えば「おしゃれなカフェでコーヒーを飲むことが好き」という”意見”があった場合、
そのまま解釈すると「この人はおしゃれな空間が好きで、そこにいる時の非日常感を求めている」という考察がされます。
しかし、実際の行動として「カフェに行くのは、半年に一回」という”事実”が確認された場合、上記の考察はあまり求められているものではなさそうですよね。
このように、人の「意見」と、「事実」には大きな乖離があります。
実際のインタビューの中では、「意見」と「事実」の見極めは難しいです。
事実を聞くためには、抽象的な質問ではなく、具体的な質問を心がけましょう。
✖️「どんな食べ物が好きですか」 (感想や考えを聞く)
○「昨日は何を食べましたか」(実際に行った行動を聞く)
2-4.インタビューは対話
最後に、ユーザーインタビューは対話です。
一問一答のように、全て予想通りに行われるインタビューは、良いインタビューとは言えません。
自分の想像通りの答えしか得られない場合、インタビューをする意義がないとも言えます。
改めて、ユーザーインタビューの理想状態は、「ユーザーが潜在的に何を求めてるのか」ユーザー自身も言語化できていない部分を明らかにすることです。
上記を防ぐために、インタビュー中は事前準備に捉われずに相手との対話に集中しましょう。
相手が本音を語れるように信頼関係を構築し、「この人にもっと話したい」を感じてもらえるように好意や興味を表していきましょう。
対話の中で、趣旨とは異なる方向に進みそうであれば、随時修正していきますが、方向性が合っているのであれば気になる点や違和感などあれば、積極的に深掘りしていきましょう。
ユーザーインタビューは、明らかにしたい方向さえずれていなければ、どのような情報でも有益です。
積極的な対話を意識していきましょう。
3.おわりに
今回は、ユーザーインタビューに置いて、必要な心構え・姿勢についてまとめました。
他にも、インタビュー前の事前調査などまとめているので、ご参考になれば幸いです。