ユーザーインタビューとは、ユーザーにインタビューを行い、商品・サービスに関する利用実態などを聞き出すリサーチ手法です。対話を通じてユーザー自身も自覚していなかった潜在的な課題やニーズを引き出せるという点が利点になります。そのため、定量情報では把握できない利用背景や課題の把握に効果的です。
今回は実務を繰り返していく中で、筆者が起こした失敗を元にユーザーインタビューの考え方を共有させていただきます。
インタビューでは「意見」ではなく、「ファクト(事実)」を聞く
基本的には、ユーザーインタビューは過去ユーザーが実際に経験したファクト(事実)を元にユーザーの課題やニーズ、その背景にある文脈を捉えていく事になります。
例えば朝食を食べる人にインタビューを実施する際に以下のような回答があったと思います。
Q:朝食は食べますか?
「意見」:朝食は取りたいと思っているし、たまに朝食は食べる。
Q:今週は何回朝食を食べましたか?
「ファクト」:今週は朝食を1度も食べていない。
もしインタビューの中で、調査の目的に沿うような好意的な回答があったとしても、実際にそのユーザーが本当にその行動をしているかは確認が必要です。
特に、「〇〇をしたい」「〇〇が欲しい」などと言った言葉は「ファクト(事実)」ではなく「意見」と捉え、正しくユーザーの実態を把握できる質問をしていきましょう。
「ユーザーの回答の中」にインサイトがあるわけではない
ユーザーインタビューでは基本的に、ユーザーに実際に起こったファクト(実際に持った感情やとった行動)のみを把握していく事になります。
その為、ユーザーが答えを持っているというよりは、質問を通じて得られるユーザーのファクトから洞察(インサイト)するのはインタビューをする側(以降:インタビュアーと呼びます)になります。
(通常、インタビュー後にファクトからユーザーのニーズなどを整理するタイミングで洞察を導きます)
インタビューを実施すれば、何かしら素晴らしいインサイトを得られるという事は殆どなく、ファクトを紡いでインタビュアーがインサイトを導き出す主体的な行為と考えるのが適切かと思われます。
話やすい雰囲気を作れないと本質には迫れない
インタビューでは最終的に、ユーザーのペインと、ペインを生む背景構造まで把握する必要があります。
インタビューを受ける側(以降:インタビュイーと呼びます)の目線でインタビューの場を考えてみるとユーザーインタビューを受けるとは以下の特徴があります。
- 限られた時間(通常60~90分)の中で
- 初対面のインタビュアーに対して
- 設定されたテーマに対して自分の課題や無自覚な悩みなどを話す
体験になります。
上記の前提理解があると、可能な限りインタビュイーに対して話しやすい雰囲気、分かり易い質問の投げかけ、ハキハキとした話し方が重要になってくる事が分かるかと思います。
また、テーマによっては扱う事そのものがシリアスなケースもあります。
例えば恋愛に関してヒアリングするケースだと
- インタビュイーの恋愛対象は同性だとあまり話したくない
などが想像されるかと思います。
インタビュイーの前提も適切に把握出来ていない状況からインタビューはスタートするものですので、想像力を働かせてインタビュイーにヒアリングする必要があります。
まとめ
これらは大変お恥ずかしいのですが、筆者がインタビューでやってしまった失敗例になります。
- ユーザーの「ファクト」ではなく、「意見」ばかり質問をする
- インタビューすれば、ユーザーの中にある最もらしい「洞察(インサイト)」が発見できる
- 調査の目的を達成する為に雰囲気づくりに注力できず結果的に、あまりファクトを集められない
今回は筆者の失敗談を元に、あるあるな落とし穴としてまとめさせて頂きました。インタビュー初心者の転ばぬ先の杖として活用いただければと思います。